1.『テリピヌ伝説』——ヒッタイト版『イシュタルの冥界下り』
テリピヌは、ヒッタイト神話に登場する男神。農耕神、豊穣神。
神話『テリピヌ伝説』の主人公で、地上の生命力——植物の生長、動物の生殖活動——に関する神らしく、彼が姿を消したことにより、麦は実らなくなり、牛や人などが子を宿さなくなった。このことは、バビロニアの神話『イシュタルの冥界下り』におけるイシュタルさながらの役割であり、テリピヌはバビロニアのタンムーズ、シリアのアドニス、フリギュアのアッティスの如く、季節によってその活力を復活させる植物の生成に擬せられている。
なお同神話については、上記の類似から、南メソポタミアからの影響が認められており、前15C頃に成形された物語とも考えられている。
信仰地としては、主に北部、中央アナトリアで、都市としてはハンハナ、タウィニア、トゥルミッタで崇拝を受けた。また神統譜について、矢島文夫「メソポタミアの神話」よれば妻はハンナハンナ、「古代オリエント事典」に基づくならば、妻はハテピヌ。加えて「古代メソポタミアの神々」解説によれば、嵐の神テシュプの子である。
(参考文献)
「メソポタミアの神話」、「古代オリエント事典」、「古代メソポタミアの神々」
(出典神話等)
『テリピヌ伝説』
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