1.概要
テシュプは、北方フルリ系の天候神、戦神(※より正確にはテッショブ)。前3千年紀にはそこまで重要でなかったが、前2千年紀にはフリ人の主神となり、マリ、アレッポ、カルケミシュ、ボアズキョイなど広範囲で崇拝された。
テシュプはフルリ系の神であるが、神学上、祭儀上、天候神アダドと同一視されており、南メソポタミアに入ると「ティシュパク」と呼ばれるようになった。
※本項目では、テシュプとティシュパクを併せて扱う。
2.テシュプ——『クマルビ神話』
ヒッタイトの神話である『クマルビ神話』では、父であるアヌに反逆したクマルビ、そしてその子(?)ウルリクムミを打倒するなど、神々の代替わりの最終的な勝利者して讃えられている。同神話によれば、本拠地はクムミヤ。
神統譜について、配偶神はヘパト女神、息子はシャルマ。アナトリアにおいては、ナムニ、ハッジ両山神の背に乗る姿で描かれている。
3.ティシュパク——北方から来た神
ティシュパク神は冥界神。戦神。フルリ系の神であるテシュプがメソポタミアに入り、エシュヌンナ市の守護神となった神格である。それまでエシュヌンナの都市神であったニンアズ神を退け、アッカド時代あるいは古バビロニア時代に同一視されるようになったと見られる。ティシュパクの起源や、いつ頃北メソポタミアから渡来したかは不鮮明であるものの、ただ『ハンムラビ法典』の碑文がニンアズにもティシュパクにも触れていることから、ハンムラビ治世頃が過渡期だったと思われる。
新アッシリア時代に伝わる『ラブ神話』は、嵐神ティシュパクが、蛇の怪物ラブを撃破する話である。ティシュパクは、シン神の要請に応え、雲や嵐を呼んでラブを撃破した。
4.参考動画
以下、テシュプについての参考動画です。
【東方MMD】 クマルビ神話Part① 【ヒッタイト神話】(https://www.nicovideo.jp/watch/sm30019047)
(参考文献)
「古代メソポタミア史は諸民族興亡の歴史か」、「古代メソポタミアの神々」
(出典神話等)
『クマルビ神話』、『ハンムラビ法典碑』、『ラブ神話』
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