ニンアズ

ページ名:ニンアズ

1.治癒神、冥界神———二面性

 ニンアズ、ニナズは「医師なる主」の意で、治癒神であり冥界神である男神(※ただ、"ニン" は女性形である点に不可解さを感じる…)。
 美称として「畑の上に測量線を広げる王」とあり、耕地の神でもあるらしい。ただより有力なのは「死ぬ神」としての性質である(※「死ぬ神」あるいは「死んだ神」とは、冥界神の中でも、元から冥界の神だったのではなく、死して冥界に移った神のこと)。冥界神にはしばしば豊穣神で含まれており、冥界神に顕著な二面性を示しているが、ニンギシュジダの場合は「治癒神」であることが特徴的だ。
 または、ニンギシュジダと同様「蛇神」ともされるほか、卜占や除魔を司るとも言われる(※もっとも、この場合の卜占は、治癒、医術に近いものかもしれない)。


2.神統譜

 神統譜は複数あり。『エンリル神とニンリル女神』では、エンリルとニンリルの三番目の子とされる。一方、『ギルガメシュの死』(メ・トゥラン版)では、母親はエレシュキガルとなっている。このことは、ニンアズが冥界神の一つである点と関係するものであり、エレシュキガルを讃える美称ではしばしば「ニンアズの母」が用いられる。
 神話『エンキとニンフルサグ』では、女神ニンキリウトゥが配偶女神。子どもはニンギシュズィダ。


3.その他

 もともとはエレシュヌンナ市(エシキル神殿)の守護神であったが、アッカド時代にはティシュパク神と同一視され、とって代わられた。
 ウル第3王朝にはウルの都市神ナンナ、あるいは水神エンキと集合される。


(出典神話等)
 『エンキとニンフルサグ』、『ハンムラビ法典』、『エンリル神とニンリル女神』、
 『ビルガメシュ神の死』(メ・トゥラン版)
(参考文献)
 「古代メソポタミアの神々」

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