1.塩水の大母
ティアマト、タワワトはバビロニアの女神で、神々の戦争と世界の創造を物語る『エヌマ・エリシュ』の敵役として有名。夫であるアプスー(「淡水」)に対して、「塩水」を体現しており、太古の海の女神ナンムをモデルにしたものという解釈もある。『エヌマ・エリシュ』においては、新世代を生み出す旧世代にあたり、また11の怪物やキング神を生む。これは、淡水と塩水の交わりによる創造性を表している。
また別名としてフブルの名がある。フブルは「冥府の河」を意味する。
2.『エヌマエリシュ』と『ルガル神話』
怪物を生んだティアマトはマルドゥク神と対立し、最終的に敗れる。マルドゥクはティアマトの身を引き裂いて天とし、その水分は雲となり、両眼からはチグリス・ユーフラテス河が造られた。
このストーリーラインについては、シュメル神話の『ルガル神話』を参考にしている可能性がある。『ルガル神話』にも11の敵役が現れ、また英雄神が敵役を打倒することによって秩序が取り戻される。『エヌマ・エリシュ』については、バビロンの都市神であるマルドゥクを祀り上げるため意図的に創作された可能性があるが、その筋立て自体、既存の神話を骨格としているのかもしれない。
3.ティアマトは竜(?)
マルドゥクがティアマトの軍勢を倒しに行くと勇んだ場面で「≪大洪水をおこす竜≫を鎮圧」という一文がある。作中においては、ティアマトを竜と形容している箇所はここだけである。果たして、ティアマトの容姿は如何なるものなのだろうか…
(参考文献)
「古代オリエント事典」
(出典神話等)
『エヌマエリシュ』
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧