1.一般名詞「主」
アッカド語の一般名詞で、ベールは「主/主人」の意味であり、エンリル神、ネルガル神などの大神を指す場合に使われてきた。その後、新バビロニア時代になると、ベルは専らマルドゥク神と同義語になった。
ちなみに、女性系はベルトゥ/ベレト(「女主人」)。ツァルパニトゥ女神のことを「ベルトゥ」と呼んでいるものがあるのは、このためである。また、ベレトの用例としては、「ベレト・イリ」を参照のこと。
※また似た言葉として「バール」を参考にどうぞ。
1.パルミラの主神
固有名詞としてのベールは、パルミラの主神を指す。ベル、ベール、ベルム。その名は、バビロニアのベル・マルドゥクに由来する。パルミラは東西文化の交流地であり、後の世においてバビロニアのマルドゥク信仰が廃れてしまってからも、その呼び名は残った。
ただし、パルミラで古くから祀られていたのは、収穫の神ボールである。ボール神は、西方のフェニキアにおいて古くから存在した神であり、それがパルミラに伝えられ、更に東方からの影響を得てベル神に変わったようである。
(参考文献)
「古代メソポタミアの神々」
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧