シャラ(男神)

ページ名:シャラ(男神)

1.イナンナとの関係性

 神話『イナンナの冥界下り』、『ズー神話』などにその名が見られる男神。
 イナンナの息子とされるほか、イナンナ女神をして「歌を唄う者、私のシャラは、私の理髪師」と称される。ウサハラ神とともにウンマの都市神、エマフ神殿に住まう(『ウル滅亡哀歌』において、エマフ神殿を見捨てる)。配偶女神はクムルムル。
 なお、シャラという女神がいるが、こちらは別の神格である。


2.戦闘性

 ある程度、戦闘的神格を帯びているらしい。『ズーの神話』においては、ズー退治の三番手に挙げられており「イシュタルの長子、シャラ」と呼びかけられている。「〔稲妻よろしく〕おまえの武器でズーを〔したたかやっつけろ〕」というアヌの言葉は、シャラの属性を示しているのであろうか…?
 他の神話においても見られることだが、戦闘的なイシュタル女神と親しく関連付けられていること自体、その神様(この場合はシャラ)の戦闘性を強調している(※顕著な例は『イナンナ女神の歌』におけるドゥムジ(アマウシュムガルアンナ))。また、『ルガルバンダ叙事詩』において、ルガルバンダ王にアンズーが力を授けるようとする時、「シャラ神のように投げ矢を陽光のごとく、弓矢を月光のごとく真っ直ぐに飛ばせるように」というたとえをしており、ここでもシャラ神の神性が垣間見える


3.ウンマでの信仰

 ウンマ市での信仰例としては、ウンマの王ギシュシャキドゥの王碑文がある。ギシュシャキドゥ王の妻であるバライルヌンが、エマフ神殿の主であるシャラ神のために玉座を作り、奉納したことが記されている。


(出典神話等)
 『イナンナの冥界下り』、『ウルの滅亡哀歌』、『ズーの神話』、『ルガルバンダ叙事詩』
(参考文献)
 「古代メソポタミアの神々」

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