マルトゥ

ページ名:マルトゥ

1.アモリ人の神

 男神。マルトゥ、アムル(アッカド語でメソポタミアの「西方」、シリア方向を指す)は、西セム系遊牧民であるアモリ人の神であり、当初からシュメル人達の神であったわけではない。シュメル語の称号は「ルフルサッガ」で「草原の人」を意味する。ウル第3王朝以降に盛んに信仰され、バビロン、ニップルなどで祀られた。


2.神話『マルトゥの結婚』と、その神話的解釈について

 マルトゥについて、神話『マルトゥの結婚』が有名。同神話において、彼は一人の若者として現れる。遊牧民であり、都市的な文化を持たない男だが、祭礼で行われた相撲大会では無双を誇った。彼は、お祭りに出席していたヌムシュダ神に、娘であるアドゥガルキドゥグ女神との結婚を申し出て、これを認められる。
 マルトゥは、すなわちアモリ人(あるいはアムル人)を指す言葉であり、同神話中での様子は、町の周辺に住む野蛮な異民族をイメージさせる。その一方で、シュメルの神統譜によれば、マルトゥ神はアン神やニンフルサグ女神の子で、戦士、南からの暴風を司る神とされる。
 『マルトゥの結婚』は、若者マルトゥがヌムシュダ神に命じられ文化的な牧畜を実行して、アドゥガルキドゥグと結ばれる顛末となるが、これは、蛮族である異民族がシュメル人と接触していき、同地に定着していく様子を神話的に解釈した物語と考えられている。


3.シンボルについて

 マルトゥ神のシンボルは、曲杖。


(主な参考文献)
 「シュメル神話の世界」、「古代メソポタミアの神々」、「古代オリエント事典」、「メソポタミアの神々と空想動物」
(出典神話等)
 『マルトゥの結婚』

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