ヌスク

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1.「宰相ヌスク」

 光の神ヌスク。神々の王とよばれる「エンリル」の従神で「宰相ヌスク」と称される。信仰の中心地はシリアのハラン。光の神であるがゆえに、火神ギビルの父とされる場合がある。
 『アトラ・ハシース神話』では、下位の神々の喧騒に驚くカルカル神によって起こされ、今度はヌスクがエンリルを起こす。神話においては、やはりエンリルの従神という印象が強い。


2.資料に残るヌスクの扱われ方

 シュメール期には際立った強力な神として描かれたことはなかったものの、後のアッシリア時代のものとして、以下の資料が残っている。
 アッシュール・バニパル王にあてた手紙に、「光の神ヌスクが、アッシリア王エサルハドンに信託を与え、その通りエサルハドンがエジプトを征服した」というくだりがある(月本昭男訳『ギルガメシュ叙事詩』解説、P349)。
 また、シャルマネセル3世のオベリスクの中にヌスク神について触れている記述があり、「ヌスク神、清らかな杓を持つ者、注意深き神」と称されている。
 シュメール時代から際立った活躍を続けたとは言えないかもしれないが、息長く崇敬の対象となっていたようである。


(出典神話等)
 『アトラ・ハシース物語』、『エンリル神とニンリル女神』、『エンリル神とスド女神』
(参考文献)
 「ギルガメシュ叙事詩」月本訳、「メソポタミアの神々と空想動物」、
 「メソポタミアにおける「王の業績録」」、「古代メソポタミアの神々」

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