ラハム(男神)

ページ名:ラハム(男神)

1.悪霊を払う善性

 ラハム、ラフム、ラハマ。巻毛を蓄えた恵みの神(男神)。円筒印章の図像的において、巻き毛の長い頭髪を垂らし、上半身裸で獅子と戦うものが図像されている。また、「水が流れ出る壺」はエンキを象徴するものだが、後代にはラハムが持つこともある。
 悪霊を払う存在とされており、長い髪と髭を蓄えたラハムの像が鎮檀具として建物に埋蔵されていた。同様の捉え方として、ニップールのエクル神殿やギルスのエニンヌ神殿に安置された「門衛像」をラフムとする説もある。
 なおラハム(女神)とは別の神格である。(書籍によっては、男神をラフム、女神をラハムと区別して表記しているものもある)


2.神話上でのラハム

 バビロニア神話『エヌマ・エリシュ』では、原初の水アプスーと太古の海ティアマトの混合から男神ラハムが生じ、女神ラハムと対をなしている。次世代のアンシャルとキシャルの親世代にあたる。
 また神話『イナンナ女神とエンキ神』での登場。イナンナから「メ」を取り返すために、エンキは、エリドゥの50人の巨人たちや、地下の水に棲むラハム神たち50柱を差し向ける。


3.エンキとの距離感

 エンキ神と関連づけされることが多い。上記神話において、ラハムはエンキの使いとしてイナンナを追ったほか、「水が流れ出る壺」はエンキを象徴するものだったが、後代にはラハムが持つこともある。
 ラフムそのものがエンキ、エア神と同一視されることもあったが、のちにはマルドゥク神の別名ともされる。


(出典神話等)
 『イナンナ女神とエンキ神』、『エヌマ・エリシュ』
(参考文献)
 「古代メソポタミアの神々」、「メソポタミアの神々と空想動物」、「メソポタミアの神々と空想動物」

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