ラマシュトゥ

ページ名:ラマシュトゥ

1.異様な姿の女鬼神

 ラマシュトゥは、古代メソポタミア世界で恐れられた、妊婦や胎児に害をなす女鬼神。獅子頭(あるいはロバ頭)で、胸ははだけ、体毛が濃く、手は血まみれ、長い指に長い爪、脚は鷲や鷹のかぎ爪を持つ図像で表される。さらに後代の魔除け板では、ロバの耳を持ち、乳房に仔豚と仔犬が吸い付き、手に蛇を持つという、いっそう異様な姿で描かれる。
 彼女は自分の船を所有しており、冥界の河を航行するとされる。


2.胎児や妊婦への害

 ラマシュトゥの好むものは、胎児や新生児であり、流産や乳幼児の死、あるいは妊娠・出産に伴う母体の危機的状況はラマシュトゥの仕業と考えられた。


3.ラマシュトゥ除けの魔除け

 人々は、ラマシュトゥから母子を守るために、鬼神であるパズズの頭を魔除けとした。パズズはラマシュトゥと同じく厄災の象徴として恐れられたが、それを魔除けに用いているのは、"毒を以て毒を制す" という考え方からだと推測されている。また、護符にはラマシュトゥの姿のみを描いた小さいものもあり、これは庶民用の安価な護符と見られる


4.凶悪な位置づけ

 ラマシュトゥの特徴として、"良い面が見られない" という点がある。ラマシュトゥは "アヌの娘" とされ、たんなる悪霊とも思えない神格を帯びており、多くの悪霊が神々の命令に基づいて行動するのに対して、ラマシュトゥは自らの意志によって悪行をなすとされた。

memo:「アヌの娘ラマシュトゥ」
 護符には、図像が刻まれたほかに、「怒れる神、アヌの娘ラマシュトゥ」という書き出しのアッカド語の呪文が刻まれている(「古代オリエント カミとヒトのものがたり」)

(参考文献)
 「メソポタミア文明の光芒」、「メソポタミアの神々と空想」、「古代オリエント カミとヒトのものがたり」

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