1.豊穣神、冥界神、治癒神
ニンギシュジダ、ギズジダ。「佳き樹木の主人」を意味する男神。ラガシュ市、あるいはギシュバンダ市の神とされ、豊穣神、復活神、冥界神、卜占神、また治癒医薬の神。バビロニア語の呪文では、地下世界に住む悪霊を支配する神として登場するほか、ユーフラテス下流域では異形の神とされる。
2.葡萄樹の神の側面…?
第一義ではないが、葡萄樹の神としての側面を備えるという。
葡萄樹の女神としてゲシュティンアンナがいるものの、ニンギシュジダにもその要素がある。居酒屋に入り浸る患者に対して、酒場へ行くときはビール瓶に触れつつ「シリス(ビールの女神ニンカスィ)かニンギシュジダ(葡萄樹の神)が私を開放したまうように!」と唱えるよう指示する文言がある。
彼がアルコール中毒者なのかは不明だが、酒類を遠ざける呪文であったらしい。
3.神統譜
神統譜では、ニンアズ神とニンギルダ女神の子、配偶女神はアズィムア女神(『シュメルとウルの滅亡哀歌』では、アジムアと共にギシュバンダ神殿を去る)、息子はダム神。
妻も子も植物に関係するため、ニンギシュジダも植物神であるという説が有力である。まら、葡萄樹の関連性から、ゲシュティンアンナを配偶女神とする場合もある。
4.ドゥムジ神との接近性
豊穣や冥府と関連するため、立ち位置の近いドゥムジ神との接近性が見られる。
『アダパ物語』では、「ギズジダ」(ニンギシュジダ)とドゥムジの二人組が天上でアダパを待ち受けている(…本来冥界神である彼らが、天上のアヌ神のそばで門番として侍っていることは、それはそれで疑問であり興味深い…)。
後代、その神格はドゥムジ(タンムズ)と同一視されていく。
5.ラガシュでの崇拝
都市国家ラガシュでの崇拝例が多く、ラガシュ王グデアの個人神であった。図像においては、角冠の蛇頭が両肩から飛び出した姿として描かれている(※『グデアの神殿賛歌』や、円筒印章の図像を参照のこと)。
(出典神話)
『エンキとニンフルサグ』、『ネルガルとエレシュキガル』、『アダパ物語』、
『グデアの神殿讃歌』、『シュメルとウルの滅亡哀歌』
(参考)
「最古の料理」、「メソポタミアの神々と空想動物」、「古代メソポタミアの神々」
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