ニンガル

ページ名:ニンガル

1.シン神の配偶女神

 「偉大な女主人」の意である、シュメルの女神の意。聖所はウル。月神ナンナル神の配偶女神。
 『イナンナの冥界下り』では、ウトゥとイナンナの母親、神統譜においてはドゥムジの義母にあたる(神統譜については諸説あるが、『イナンナ女神の歌』でもイナンナの母、『ナンナル神に対する「手をあげる」祈祷文』においてもナンナルの妻、『ルガルバンダ叙事詩』でウトゥの母とされており、矛盾ない)。
 神話『ウル滅亡哀歌』では、ナンナルとともに主役となっており、都市の滅亡に伴ってエガラ神殿を見捨てる。


2.シリアでの信仰「ニッカル」

 シュメルの神話においては、ナンナルの妻としての性質が強いものの、後に独立する動きもある。ニンガルは、前2000年紀にはシリアに入り、シン神とは別に彼女の祭儀が発達している。やがて、ニンガルの名はニッカルと改められて、シリアで定着した(ウガリトにおけるニッカルの配偶神は "Yrh"(参考:「古代オリエント事典」)。


3.その他

 神格に捧げる奉納物として、税が取り立てられることがあるが、ニンガルにおいてその具体例が確認できる。
 ウルのニンガル女神への奉納分が発見されており「ディルムン行き渡航隊より、ニンガル女神に捧げる十分の一税」と記されている。


(出典神話)
 『イナンナの冥界下り』、『ウルの滅亡哀歌』、『イナンナ女神の歌』、『ナンナル神に対する「手をあげる」祈祷文』、『ルガルバンダ叙事詩』
(参考)
 「古代メソポタミアの神々」、「古代オリエント事典」、「メソポタミアとインダスのあいだ」

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