安浦港防波堤(武智丸)

ページ名:安浦港防波堤(武智丸)

安浦港防波堤(武智丸)

武智丸は太平洋戦争末期に建造されたコンクリート製輸送船。建造された造船所の名前を取って武智丸と命名されました。

日本は太平洋戦争開戦直前の昭和16年にすでに金属類の輸入禁止を受けていましたが、戦争末期になると鋼材不足が深刻化し軍需物資を輸送する船の建材が尽き始めました。そのため窮余の策としてコンクリートで輸送船が建造されました。

コンクリート製輸送船の建造は戦争末期の技術・人手不足もあって困難を極めました。また鋼鉄製の船と違って速度はかなり遅く、強度も不足していたため戦時輸送に使うには非常に危険な船でした。

昭和19年3月から計3隻が建造され呉鎮守府・横須賀鎮守府・佐世保鎮守府にそれぞれ配備されました。さらに4隻目を建造中に終戦を迎えましたが、うち1隻は戦没し終戦時は2隻が残存していました。

太平洋戦争終戦後、ここ安浦港には防波堤がなく台風の度に被害を受けており、特に昭和20年9月の枕崎台風では甚大な被害が被ったため、残存している武智丸2隻を払い下げて防波堤代わりに据え付けて沈設しました。

船内は完全に水没していますが甲板部分は70年経ってもまだ健在で船の形をしっかり保っています。

また、武智丸と同じ武智造船所で建造された曳航式コンクリート製輸送船が倉橋島音戸漁港に防波堤として沈設されています。

余談ですが、「強度が脆く危険」といわれていた武智丸ですが、吃水が上がらず乗り心地が良く、コンクリート製ゆえに磁気反応機雷だらけであった当時の瀬戸内海でも航行でき、鋼製船に追突されても逆に相手の船が沈没するなど案外頑丈であったという逸話が残っています。

船上

甲板

船内

 

備考

・船上、甲板、船内は立入禁止のため許可を得て入ること

・写真を撮るときは港手前の龍宮神社から撮ると綺麗に撮れる

・呉市生活バスは便数が非常に少ないため安浦駅から歩いた方が早い

・同じコンクリート製輸送船の防波堤として音戸漁港のコンクリート船がある

・近くに安浦海兵団跡之碑がある

住所

広島県呉市安浦町三津口2丁目1-2329

駐車場 安浦漁港にあり
トイレ 近くの月見公園にあり
竣工 昭和19年/昭和24年
公開 非公開
登山難易度
サイト

http://www.yasuura-yumekobo.com/

分類 艦艇終焉の地、インフラ、広島県建物100選
アクセス

・安浦駅から徒歩15分

・呉市生活バス「三津口桟橋」バス停から徒歩3分


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