本庄水源地(本庄ダム)

ページ名:本庄水源地(本庄ダム)

本庄水源地(本庄ダム)

呉市北部の焼山にある『呉鎮守府水道』の1つ

呉に鎮守府が開庁された翌年に軍用水道である呉鎮守府水道が整備されました。

しかし、日露戦争後、近代化を続ける呉海軍工廠への水道供給は不足しており、また呉に入港する海軍船舶に対する給水量も増加傾向にあったため海軍は新たな水源を確保するためここ本庄に水源地を作りました。

本庄は呉湾にそそぐ二河川の上流にありダムを作りやすい峡谷であったため、明治39年より海軍は測量と土地買収に乗り出し明治44年から建設が始まりました。

大正7年に竣工した本庄水源地は、当時、東洋一の大きさといわれ呉海軍工廠や海軍船舶への送水はもちろん、余剰分が市民へ給水され呉市民は念願の上水道を手に入れました。

ここで取水された水は宮原浄水場平原浄水場を経て呉海軍工廠や市街地へ送水されます。

また、太平洋戦争末期の昭和19年6月になると応急防空機銃砲台も設置されました。

太平洋戦争終戦後は昭和25年の旧軍港市転換法により呉市に移管され、現在でも呉市上水道の水源地として取水されています。

余談ですが、「本庄ダム」と呼ばれることがありますが、厳密にはダムではなく本流と支流に分かれており本流からのみ取水する『水源地』となります。

本庄水源地堰堤

本庄水源地堰堤は、その外観から花崗岩で作られたダムと誤解されることがありますが実際はコンクリート製です。

明治44年には当時の最新の建築技術としてすでにコンクリートが使われおり、本庄水源地も長さは97m、幅3.64m、高さ25mの重力式コンクリートダムです。

花崗岩は切石としてコンクリートの表面に装飾として張り付けられており、コンクリートのつなぎ目(コントロールジョイント)も美しく装飾されています。そのため明治時代の建築物らしい洗練された美しさを持っています。

堰堤の最下部には3本の水道管があり、これらは宮原浄水場平原浄水場とつながっています。

取水堰

本庄水源地の上流にある施設

水源地の水を安定して確保するために設置された可動式の取水堰です。この取水堰によって本流(水源地に行く流れ)と支流の二股に分かれます。

通常時は可動板を閉じて水源地に水を流し、洪水やオーバーフローした場合は可動板を倒してあふれた水が支流に流れる仕組みになっています。この仕組みは海軍によって作られました。

丸井戸

丸井戸は本庄水源地のバックアップ施設

堰堤側のトラブルによって本来の方法で送水できなくなった場合に使用されます。

支流に堰止板を立てて流れを止め支流から丸井戸に取水し、丸井戸から直接宮原浄水場平原浄水場へ送水できるようになっています。

木製の堰止板やそれを差し込む川の中の枠、支流から取水する取水口も残っています。「川に木の板を差して取水する」という非常にアナログな方法ですが、緊急時にはこのような方法が有効です。

また、本庄水源地は宮原浄水場平原浄水場よりも高い場所に作られており、高低差を利用したサイフォン式自然流下方式で送水するため送水に電力は必要ありません。

そこまで考えてここに水源地を作った海軍の先見の明は素晴らしいと言えます。

支流

海軍によって作られた支流

元は川でないところに川を作ったため川底に石が敷き詰められていたり人工的な勾配が作られています。

送水管

水源地と取水堰の間にある送水管

ここにも見事な花崗岩の装飾が施されています。

押込郷紀念碑

水源地にある記念碑

本庄水源地は日露戦争後に近代化を続ける呉海軍工廠への水道供給量は不足を受けて作られたダムで、記念碑にも「海軍鎮守府」や「戦艦建造船廠経営遂行之為」という文字があります。

海上自衛隊呉通信隊焼山送信所跡(旧呉海軍無線電信所焼山送信所)

本庄水源地のとなりにあります。

大正5年に海軍が水源地のとなりの接地ということで土地を買収し呉海軍通信隊の遠隔送信所として『焼山海軍無線電信所』を開設しました。

大正15年にはさらに敷地を拡張買収し昭和6年に『呉海軍無線電信所焼山送信所』と改称します。

戦後は海上自衛隊が同じく通信所として使用していましたが平成22年に閉鎖され今は建物すらありません。

 

備考

・敷地内の見学は要予約

・桜の季節の開放期間のみ予約なしで見学できる

・堰堤を正面から見たい場合は「水源地前」バス停で降りるのがおすすめ

・取水堰は水源地のかなり北にある

・呉鎮守府水道については二河峡取水口(呉鎮守府水道)のページへ

住所

広島県呉市押込1丁目1-1

駐車場 なし
トイレ 近くのレイクパーク本庄にあり
竣工 大正7年
公開

限定(許可制/特別公開のみ)

登山難易度
サイト

https://www.city.kure.lg.jp/

分類 軍用水道、日本遺産、重要文化財、ダム湖百選
アクセス

・広島電鉄バス「本庄」バス停から徒歩すぐ

・広島電鉄バス「水源地前」バス停から徒歩3分


本庄水源地

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取水堰

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