吉松山防空砲台跡
吉松山は広市街地の北東(船津神社の裏)にある山
ここには太平洋戦争末期の昭和20年に広海軍工廠防衛のため呉鎮守府所属の防空砲台が作られました。
広の大抵の高い山には広海軍工廠を守るための防空砲台が多く作られましたが、ここもその1つです。
砲台床
砲台床は全部で4つあります。
太平洋戦争中に作られた砲台で石垣でできた土塁はめずらしいですが、これは南の白岳山と南東の旧軍道に石切り場があったためその石を使って地産地消で作られました。
吉松山防空砲台は昭和19年8月に着工し、昭和20年1月に『四〇口径一〇式12cm単装高角砲』4門と探照灯が配備されました。
四〇口径一〇式12cm単装高角砲は昭和初期に艦艇に搭載された高角砲で、太平洋戦争時ではすでに旧式となっていました。しかし。生産性に優れていたためこのような陸上砲台や海防艦では終戦まで使用されました。
昭和20年3月と5月の広海軍航空廠への空襲では実際に交戦したと記録が残っています。
砲弾置き場
吉松山砲台の砲弾置き場は奥が深いものと浅いものが交互に作られています。
同時期に作られた螺山砲台と同じ構造で、昭和以降に作られた防空砲台はこういう造りなのかもしれません。
砲員待避所
砲台床からのびる窪地は砲員待避所です。
砲員待避所とは高角砲発射の爆風と爆音から兵士を守るための場所です。
吉松山防空砲台の待避所はかなり大型で待避所というより大型通路です。元から大きいサイズだったのか風化によって大きくなったのは不明です。
砲員待避所の中に四角型のコンクリートに金属板が貼り付けてある遺構がゴロンと転がっていますが、何をするものなのか不明です。
この砲員待避所から砲台床にいく連絡通路が伸びています。
砲員待避所から砲台床までの連絡通路
砲員待避所から3つの砲台床へつながる通路
1つは平成30年の西日本豪雨災害の影響で崩落しています。
北の砲台に続く通路の切石
1基だけ少し離れた場所に砲台床がありそこに続く通路に置かれた切石です。
この通路も切石で統一されています。
北の砲台床
1つだけ離れた北端にある砲台床
ここは砲弾置き場に穴が空いてますが風化で空いたのか人工的に開けたのか不明です。
指揮所跡
最西にある遺構
上にある平坦地が指揮所の跡ですが現在は指揮所の石垣が残っています。
西側登山道で登山してくると最初に見える遺構でもあります。
探照灯跡
北端の砲台床からさらに北に行くとある窪地
ここには探照灯が設置されていましたが遺構は残っていません。
東登山道の境界標石
こちらは吉松山東登山口にある境界標石
境界標石とは民間地と軍用地の境界を示す石で日本各地に点在します。
吉松山には大型の境界標石が2つ現存します。1つは白石と仁方の間にある仁方隧道の上、もう1つは東南から吉松山に登る登山道の途中にあります。
それぞれ「呉軍港境域標」「大正十五年十一月」「海軍省」「第二十六號」と「呉要塞第三區地帯標」「大正十五年八月」「海軍省」「第二十六號」と記されています。
第三區地帯とは「250間(約4km)先に国防に関する重要な防御営造物がある」という意味の注意書きです。また、戦前戦中は要塞地帯の中で測量・撮影・模写などを禁止する要塞地帯法という法律がありました。
1つめの境界標石の近くにコンクリートと鉄でできた案内板のような物もあります。詳細は不明ですが、材質から見るに後年作られたものと思われます。
境界標石
砲台跡と東登山道境界標石の間に小さな境界標石が数点残っています。
備考 |
・仁方墓苑側(東側)の登山道は不鮮明で危険なため登山に慣れていない人は西側の登山道を往復するルートを推奨 ・砲台跡までの登山ルートはいくつかあるが最短でも50分くらい登山をするので登山装備は必須 ・境界標石は東登山口から仁方隧道上のものまでが8分ほど、東登山道中のものまでが18分ほどかかる ・砲台跡と境界標石はかなり離れているため2つとも見たい場合は一度下山した方が無難 ・砲台跡だけ見たい場合は西側登山口から登り、境界標石だけ見たい場合は東側登山口から登って同じ道を帰ると安全 ・西側登山口は呉市生活バスは便数が少ないので広駅から歩いた方が早いかも ・東側登山口は一番近いのは「白石」バス停だが「東のりば」バス停の方が便数が多く距離はさほど変わらないのでどちらでもいいかも ・吉松山と稜線がつながっている白岳山にも境界標石がある |
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住所 |
広島県呉市広町4025 |
駐車場 | なし |
トイレ | なし |
竣工 | 昭和20年 |
公開 | 常時 |
登山難易度 |
西側登山口から砲台跡まで:普通 東側登山口から境界標石まで:易しい 仁方墓苑側登山口から砲台跡まで:難しい 西側登山口から東登山口まで:難しい |
サイト |
- |
分類 | 砲台跡 |
アクセス |
西側登山口: ・広駅から徒歩20分 ・呉市生活バス「広高校前」バス停から徒歩8分 東側登山口 ・広島電鉄バス「東のりば」バス停から徒歩10分 ・広島電鉄バス「白石」バス停から徒歩8分 |
砲台跡
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仁方隧道上の境界標石
東登山道の境界標石
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