黒瀬街道
広と郷原・黒瀬を結んでいた旧道
二級峡からもわかるように、かつて沿岸部の広から内陸部の盆地である郷原に行くためには非常に狭く急な山道(旧黒瀬街道)しかありませんでした。
明治16年に地元の豪家が馬車も通れるようにと山沿いに『黒瀬街道』を作り交通を改善させました。
明治32年にはバスも通れるように道幅が増幅されましたが、それでも道が狭いためバスが転落する事故が起こりトンネルを作る必要性がでてきました。
太平洋戦争終戦から3年後の昭和23年、ようやく念願のトンネル『黒瀬隧道(黒瀬トンネル)』が開通しました。それと同時に黒瀬街道を利用する人は減り幹線道路としての役目を終えました。
さらに、平成6年に『二級峡トンネル』と新国道が開通したため黒瀬隧道も廃止されこの道は「旧道の旧道」となりました。現在この道を通る人はほとんどいません。
新道は建築技術の発達により一直線に広に下るような造りになっていますが、かつての旧道は山肌に沿って曲がりくねった昔ながらの道になっています。
江戸時代から数えて旧黒瀬街道→黒瀬街道→黒瀬隧道と旧国道→新トンネルと新国道と時代と共に使われる道も変化してゆきます。
旧黒瀬街道の石畳
大根峠にある江戸時代に作られた一番最初の街道
この旧街道の下を現在のトンネルが通っていますが、江戸時代にはそんな長いトンネルを掘る技術は無かったため、この大根坂峠を登り切ってからまた降って広や郷原に行くしかありませんでした。
つまり、江戸時には今より高い場所にある峠を人力で超えてさらに降っていく道しか無かったことになりますので、当時の苦労が偲ばれます。
また、石畳が使われているのは大根坂峠の頂上のごく一部でほとんどは山登りをするような山道です。
かつてこの峠が広村と郷原村の境界でした。また、街道筋にあたるため交易も盛んで天保年間のころは年に2回牛馬市が開かれ賑わっていたそうです。
しかし、広島文化学園大学(旧呉大学)を作るため旧街道の一部を壊してしまい現在は街道の一部のみ現存しています。
黒瀬街道の常夜燈
明治16年に黒瀬街道が開通した際に作られたもの
全部で2つあり黒瀬街道に1つと六角堂に1つあります。
この常夜燈は夜間に旅人の目印になるようにと作られ「往来安全」の文字が彫られています。また、北風で灯が消えないように火袋の窓は南側しかない造りになっています。
六角堂
こちらも明治16年の黒瀬街道開通の際に作られたものです。
詳細不明ですが常夜燈と同じく往来安全を祈願して作られたものと思われます。
黒瀬隧道跡と旧国道
二級ダム入口近くにあるトンネル跡
位置的には黒瀬街道の下に作られたトンネルで昭和23年に開通し高度経済成長期を含め46年間使われました。
それまでの登りきってから降っていた道と違い山の中をショートカットするため、距離が短縮され利便性が向上し昭和50年には県道から国道へ昇格しました。
しかし、作られた時期が戦後すぐであったためモータリゼーションの発達と共に自動車も大型化し、通行できないトラックやバス等が増えたため新トンネル開通に伴い廃止されました。
ちなみに、『黒瀬トンネル』という別名もあり今でも旧道の標識に名前が書いてあります。
また、広側の入口に工事の際に命を落とした殉職者の慰霊碑があります。
黒瀬隧道の横穴
二級峡自然遊歩道にある黒瀬隧道の非常口
戦後すぐに作られたトンネルの非常口とあってまるで防空壕のようです。
なお、昭和20年3月の広海軍工廠への大空襲では「作りかけの二級滝隧道へ避難して助かった人々がいた」という記録が残っていますが、黒瀬隧道のことを指しているのか不明です。
二級峡トンネルと新道
平成6年に開通した現在のトンネル
モータリゼーションの発達により交通量の増加と自動車の大型化により、老朽化した黒瀬隧道では大型車の離合が困難になったため新しいトンネルとして建設されました。
「大型車が天井を擦るトンネル」として評判の悪かった旧トンネルはを意識してか天井が高い造りになっています。
備考 |
・常夜燈と六角堂は黒瀬街道沿いにある ・旧黒瀬街道の石畳は少し離れた場所にある(大根峠の観音堂の近く) ・国道375号線と二級峡自然遊歩道のどちらからでも行ける ・黒瀬隧道は使われていないトンネルであり危険なので絶対に入らないように ・黒瀬街道は道幅が狭く離合が難しいため自動車で行く場合は注意 ・近くに二級ダムと二級水源地がある 2項目の写真は呉市フォトバンクより引用 |
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住所 |
黒瀬街道/黒瀬隧道:広島県呉市広町828 旧黒瀬街道の石畳:広島県呉市郷原町5820 |
駐車場 | なし |
トイレ | 二級峡自然遊歩道、広島文化学園大学バス停にあり |
竣工 | - |
公開 | 常時 |
登山難易度 | - |
サイト |
- |
分類 | インフラ、市区町村指定史跡 |
アクセス |
旧黒瀬街道以外:JRバス、広島電鉄バス「広二級峡」バス停から徒歩10分 旧黒瀬街道:JRバス「下高」バス停より徒歩10分、JRバス「広島文化学園大学」バス停より徒歩8分 |
常夜燈
六角堂
旧黒瀬街道の石畳
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黒瀬隧道跡
二級峡トンネル
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