広島大学医学部(旧広島陸軍兵器支廠)
広島市の『陸軍三支廠』の1つ。兵器支廠とは陸軍の武器・弾薬を保管する施設です。
陸軍兵器支廠といえば大学病院というイメージが強いですが、実際は現在の広島大学付属病院・段原中学校・中国四国管区警察学校の3つを合わせた敷地が当時の陸軍兵器支廠で、広島陸軍三支廠の中でも最大の面積を有していました。
元々は第五師団に近い現在の基町に『大阪砲兵工廠広島派出所』として設置されました。
その後、明治39年に広島陸軍兵器支廠へ昇格しここ霞町に移転されました。太平洋戦争直前の昭和15年に『広島陸軍兵器補給廠』と改称しました。
兵器庫はイギリス積みの耐火レンガ二階建てで、扉と窓はすべて鉄扉で床は花崗岩という堅牢な造りで全部で11棟ありました。また、火薬庫は1つ1つが土塁で囲まれていて、万が一爆発事故が起きてもすべての弾薬庫に誘爆しないよう設計されていました。
敷地が広いため廠内は軽便鉄道(トロッコ)の線路が敷かれていました。さらに、兵器支廠前には軍用鉄道宇品線が併設されており、ここから出庫した武器弾薬はそのまま宇品線に乗せられ陸軍の兵站拠点である宇品港に運べるようになっていました。
大正10年に廠内の弾薬処理場で大規模な爆発事故が起こり、作業員数名が死亡し付近の民家が全焼する事故がありました。そのため、弾薬の処理場は似島へ移転されました。
昭和20年8月の原子爆弾投下では、爆心地から見て比治山の影になっていたため火災は発生せず、爆風による被害もなかったため負傷者の臨時救護所として利用されました。
太平洋戦争終戦後は広島県庁舎として利用されました。その後、昭和32年に呉市安芸阿賀から広島大学医学部がここに移転し以後は広島大学医学部(広島大学病院)として利用されています。
しかし、昭和45年以降は老朽化と大学の拡大を理由に兵器支廠の建物は次々と取り壊され、残念ながら明治・大正時代の建築物はすべて無くなってしまいました。
医学資料館(旧広島大学医学部11号館/第11兵器庫跡)
ここには陸軍兵器支廠のレンガ倉庫群がありましたが、広島大学医学部に移管された後次々と取り壊されました。
最後の1つとなった第11兵器庫を『広島大学医学部11号館』と改称し、資料館として利用していましたが、平成11年3月の新病棟整備の際に取り壊されました。
現在は第11兵器庫に使われていたレンガや石等の廃材を使って建て直した医学資料館が建てられています。
医学資料館入口付近
医学資料館の入口付近のレンガと石
平成11年3月に建築された医学資料館は、すべてを第11兵器庫の廃材で建てたわけではなく一部分のみに使われてます。
入口付近のレンガと石垣の色が他の面と違うため、恐らくこの部分のみに第11兵器庫のレンガや石が使われていると思われます。
広島大学医学部11号館のモニュメント
広島大学医学部11号館(旧第11兵器庫)の廃材で作られたモニュメント
医学資料館のとなりにあります。
広島大学医学部11号館(旧第11兵器庫)
広島大学医学部11号館(旧第11兵器庫)のイラスト
正面の車寄せを除いては現在の医学資料館にほぼ再現されています。
中国四国管区警察学校の土手(旧広島陸軍兵器支廠火薬庫の土塁)
広島大学医学部のとなりにある中国四国管区警察学校の土手
現在は敷地の境界となっている土手ですがかつては広島陸軍兵器支廠の弾薬庫の土塁でした。
兵器支廠の弾薬庫は1つ1つをこの様な高い土塁で周りを囲い、万が一爆発事故が起きても他の弾薬庫に誘爆しにくくする造りになっていました。
土塁をそのまま警察学校の土手にしているため当時と同じ状態で残っています。また、レンガ造りの階段も残っています。
レンガ階段は中途半端な高さから付いていることから、恐らく石垣は弾薬庫の土塁を削って作ったものと思われます。
備考 |
・中国四国管区警察学校は広島大学病院と隣接しているので広島大学病院を目指して行けば見つけやすい ・医学資料館内部は一般の人でも入館可能 ・医学資料館の展示物は医療器具ばかりだが身幹儀や解体新書など国の重要文化財があるので興味があれば見学してもいいかも ・土手は中国四国管区警察学校の西側にある ・中国四国管区警察学校の敷地内には入れない ・『陸軍三支廠』として他に広島陸軍被服支廠跡と広島市郷土資料館(旧宇品陸軍糧秣支廠)がある |
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住所 |
広島大学医学資料館:広島県広島市南区霞1丁目1-9 中国四国管区警察学校:広島県広島市南区霞1丁目3-73 |
駐車場 | 広島大学付属病院にあり(有料) |
トイレ | 広島大学付属病院にあり |
竣工 | 明治39年/平成17年 |
公開 | 常時(休館日あり) |
登山難易度 | - |
サイト | |
分類 | 陸軍三支廠 |
アクセス |
・広島電鉄バス「大学病院」バス停から徒歩すぐ ・広島バス「大学病院入口」バス停から徒歩すぐ ・広島電鉄バス、JRバス「大学病院南門」バス停から徒歩10分 |
医学資料館
中国四国管区警察学校
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