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テンプレート:RedirectlistザクまたはザクII(ザク・ツー)は、『ガンダムシリーズ』に登場する有人巨大人型ロボット兵器。初出は1979年のテレビアニメ『機動戦士ガンダム』。 アニメ本編内ではザクと呼ばれるが、劇中に旧式のザク(旧ザク)が登場することと、放送終了後の設定の追加・変遷によりザクIIと呼ばれることがある(注:「II」は、ローマ数字の2)。
劇中では、敵国「ジオン公国」の人型機動兵器「モビルスーツ (MS)」として現れ、主役機であるガンダムと戦った。当時のロボットアニメとしてはまだ珍しかった量産された兵器としての設定がされており、同型の機体が作中に多数登場した。量産型のザクは緑色で、敵役のシャア・アズナブルが搭乗するザクは赤い。
玩具メーカーのタイアップ企画『モビルスーツバリエーション (MSV)』で、バリエーションが多数発表、プラモ化された。『機動戦士ガンダム』の続編や関連作品においても、設定やデザインを継承した機体が数多く登場した。
アニメ『機動戦士ガンダム』本編中では、ザクとのみ呼ばれる。『MS IGLOO 1年戦争秘録』第3話ではザクIIと呼ばれた。
放送終了後の『ガンダムセンチュリー』や『MSV』の展開により、アニメ本編に登場した「ザク」を「C型」「F型」「J型」と細かく分類し、「シャア専用ザク」を「S型」「指揮官型」とする、また本編未登場の機体を設定し、画稿が描かれるなどして「ザク」に多くのバリエーションが生み出され、「MS-06」をザクIIと記述されることもある。しかしながら現在の『機動戦士ガンダム』公式ページでは「ザク」、「MS-06 ZAKU II」が併記[1]、シャアの機体は「シャア専用ザク」[2]と記載[3]、『第08MS小隊』公式サイトでも「ザク」「MS-06ザクII」と併記されている[4]ように、記述の統一はされていない。
ザクのメカニックデザインは大河原邦男、設定書のフィニッシュワークは安彦良和によるテンプレート:要出典。当時は敵側のメカが玩具化されることはなかった為、スポンサーの制約を受けず、自由にデザインすることができたテンプレート:要出典(ただし、頭部のモノアイは監督からの指示によるテンプレート:要出典)。大河原は当時の他のアニメと同じく、1話で消えるやられメカだと思ってデザインしたというテンプレート:要出典。名称は「雑魚」と、軍隊の「ザクッザクッ」といういわゆる軍靴の音を組み合わせたものテンプレート:要出典。シールドが右肩にある理由は、大河原邦男のインタビューによると、当初シールドは左肩につくようにデザインをした。しかしアニメの設定画は左斜めから見たものが、当時の形式となっていたため、それだと盾の影に腕が隠れてしまうから、反転して描いた。だがスタッフへの説明不足により、そのまま描かれてしまったという事らしいテンプレート:要出典。この情報伝達事故による影響は大きく、『機動戦士ガンダムUC』のギラ・ズールに至るまで、ザク系のMSは右肩にシールドがつくというデザインが続いている[5]。
アニメ『機動戦士ガンダム』では、第1話からほぼ全編にわたって登場している。宇宙世紀史上初めて実戦でMS同士が相対したのが、ガンダムとザク[1]である[6]。しかし、序盤でこそ圧倒的な力を見せるも、そのザク[1]を遥かに上回る高性能MSを有するホワイトベース隊に中盤まではやられ役となり、終盤では連邦軍MS隊によって次々に撃破されていった。テム・レイが住み込むジャンク屋に放置されたザク[1]の頭部が哀愁を漂わせている。
アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』では、ネオ・ジオンが自軍の戦力として使用している。この時点ではかなりのロートル機であり、敵機と遭遇する確率の低い哨戒などの任務に使用されていた。第39話で運悪くガンダム・チームと交戦することを余儀なくされた部隊は新鋭機のΖΖガンダムの前にことごとく撃墜されてしまう。基本性能に変化はないが、コクピットはリニアシートに換装されている。また一方で、第12話ではマニアに人気があり、高く売ることができることが描写されている。宇宙空間に放棄されて浮遊していたザク[7]がアーガマに回収され、その当時破損していたΖガンダムの頭部の代わりに、緊急的に先に回収したザク[7]の頭部を取り付けて出撃した場面もある。この時の機体は便宜上「Ζザク」と呼ばれる。なお、当機の視界映像はザク[7]のモノアイラインそのままにしか映らなかった。支柱の影すら映っている。
アニメ『∀ガンダム』では、ルジャーナ・ミリシャによってザクIIとザクIに容姿が大変似ている機械人形が多数発掘され[8]、「ボルジャーノン」(一部の登場人物からは「ザク」とも)[9]と呼ばれ活躍している。また、そのボルジャーノンのパイロットたちは「黒歴史」の記録映像に登場したジオン公国のザクを見て歓声を上げ、ボルジャーノンと同一視している。
宇宙暦0074年、ジオン公国軍はMS-05 ザクI(開発時の名称はザク)を初の制式MSと決定し[10]、量産を開始した。だがザクIはジェネレーター出力の低さなどの問題を抱えた機体であり、このザクIの構造を抜本的変更により[11]性能をさらに向上させた後継機「ザクII」が開発された[12]。一年戦争の序盤戦において大艦巨砲主義を引きずる連邦軍に壊滅的な打撃を与え、ジオン軍の快進撃の立役者となり、宇宙世紀の戦争におけるMSの優位性を決定づけた機体である。
主にザクIでは内装されていた動力伝達系統の改良や稼働時間の向上がなされ、この機体が完成したことでジオン公国軍は地球連邦軍に戦争を挑む事を決意したテンプレート:要出典。この機体は汎用性が高く、オプション武器・装備も多彩で、様々な作戦環境に合わせてカスタマイズされた機体のバリエーションも多く作られている。
主要武装は専用の120mmマシンガン(ザク・マシンガン)もしくは280mmバズーカ(ザク・バズーカ)を装備し、また対艦船用近接兵器のヒートホークも装備する。さらに左肩に棘(スパイク)付きのショルダーアーマーを装備しており、格闘時にタックルなどに利用することができる。なお、標準機ではスパイクは3本。稀に右肩の防御シールドにもスパイクを装着した機体も見ることができる[13]。
一年戦争中の生産機数は、ザクIを含めて約8,000機と言われ[14]、これは両軍を通して最高の生産数である。一説に約3,000機とするものもあるが、これはF型のシリーズ全体の生産数と同じである為、誤認であると考えられる。ただし、ジオン公国軍が生産したMSの総数を約4,000機とする資料もあるテンプレート:要出典。
その優れた設計と絶大な戦果によって後のMSに多大な影響を与える事になる。特に機動性を重視した設計や、固定兵装を持たず様々なオプション装備で汎用性を確保する等のコンセプトは後のMSのスタンダードとして定着してゆく事となる。また、人型の兵器による白兵戦が宇宙世紀の戦争形態となる事を決定付けた機種でもある。
戦争序盤は連邦軍を圧倒したザク系列だったが、後に連邦軍がガンダムとその廉価版であるジムを開発して実戦投入すると旧式化が否めなくなり、戦争終盤では連邦のMSに圧倒されるようになってしまった。
主兵装として120mmマシンガンを携行する。主にザク系列が使用していたことから通称「ザク・マシンガン」と呼ばれる。ザク系列の専用武装ではなく、他機種でも使用可能[15]。弾薬は薬室上部の円盤型弾倉(設定上の呼称はドラムマガジン)から給弾される。ザクI登場時に開発されていた105mmザク・マシンガン(型式番号:ZMP-47D 内部のわずかな改造により120mm弾を使用した物もある)や120mmザク・マシンガン(型式番号:ZMP-50B)の発展型でありドラムマガジンは水平型に改められているテンプレート:要出典。ひとくくりにザク・マシンガンと総称されるが、ドラムマガジンを横に装備し、ストックが簡略化された仕様の異なる物などがいくつか存在しており、細部の仕様もそれぞれ異なり、生産会社や工場によるバリエーションもあるとされるテンプレート:要出典。開発時には敵機として宇宙艦艇や宇宙戦闘機を想定していたためテンプレート:要出典、破壊力を重視した榴弾や徹甲榴弾を使用するテンプレート:要出典。また、宇宙での運用が前提となっていたため、射撃時の反動を軽減するように砲弾の初速は比較的抑えられているテンプレート:要出典。砲弾速度の不足はMS自体と目標物の相対速度を高める事で補う事ができ、そのため「通常の3倍の速度」とされるシャアが戦果をあげテンプレート:要出典、連邦からも恐れられる事となった。初速が遅いとされる一方で、ホワイトベースやサラミスが発射したミサイルをシャア専用機やヅダがザク・マシンガンを使用して迎撃・撃墜するなど、CIWS的な使用も可能である[16]。
M-120A1[17]ジオン兵からは「ライフル」とも呼ばれている[18]。開発を請け負ったジオニック社の社内開発コードは「ZMC38III」で[17]、「ZMC38III M-120A1」と併記されることもある[17]。単発と連射を切り替えることが出来る。レシーバーは巨大なネジで留められており、ザク自身の手で分解や応急修理が可能になっているテンプレート:要出典。装弾数は332発テンプレート:要出典。後にザク・デザートタイプの「M120AS」に発展したテンプレート:要出典。地球連邦軍がMSを実戦投入すると、貫通力の低さが問題視されるようになった[19]。特にガンダムに対しては威力不足だったが[20]、『機動戦士ガンダム MS IGLOO』などの映像作品では、連邦量産MSは数発の直撃、61式戦車5型に対しては一撃でそれぞれ破壊可能な性能を有した[21]。またパイロットによっては、ザク・マシンガンの台尻で敵MSや戦闘機に格闘戦を挑んだ者もいた[22]。M-120AC[23]。銃身部に銃剣タイプのヒート剣を装備したもの。06S型のマッシュ機が運用試験を兼ね実戦使用し、その後少数生産され、06S型のジョニー・ライデン機も使用している。ZMP-50D[24]ザクIのザク・マシンガン(型式番号:ZMP-47D)の直系タイプ。ドラムマガジンが右にオフセットされている。装弾数は100発テンプレート:要出典。ZMPとはザク・マシン・ピストルの略。MMP-78連邦軍のV計画により、対MS戦の必要性に迫られ貫通力が強化された新型マシンガン。前期型と後期型があり、後期型ではグリップの取り付け位置とグレネードランチャー、オプションで対空弾と下から装填される専用箱型マガジンが追加されている点が異なる。MMPとはモビルスーツ・マシンピストルの略である。『0083』で登場する後期型は、M16系のXM177をプロップガン風にアレンジしたような外見になっているのが特徴。劇中では、キンバライド基地防衛隊の後期量産型ザクIIがジム・カスタム(ベイト中尉機)の脚部を破壊する。その一方、月面ではクルトが搭乗する後期量産型ザクIIがヴァル・ヴァロに発砲したが、効果がなかった。MMP-80MMP-78ザク・マシンガンに代わる新型。大きく前期型と後期型に分かれる。以前より小口径 (90mm) になっており、速射性と命中率がアップしている。給弾方式が下部からの箱型弾倉に変更され、小型化により持ち運びが容易になった。標準装備のシングルカラム32連装ボックスマガジンの他にトリプルカラム100連装バナナマガジンも用意され、大幅な火力増強が図られていた。ただし、前期型には120mmのものもあったようである。『0080』でFZ型が装備する前期型はワルサーMPLに似た無骨な外見だったが、『0083』でF2型やリック・ドムII、ゲルググMが装備する後期型は、現実世界の銃であるMP40サブマシンガンを映画プロップ風に改造したようなコンパクトな外見になった。『0080』劇中ではジム・コマンド地上用を撃破している。その他の武器[]ザク・バズーカ口径280㎜のバズーカ[17]。口径240mmとする資料もある[25]。ザクI用バズーカの発展型とされるテンプレート:要出典。元々対艦用に開発されたバズーカでありテンプレート:要出典、核弾頭の使用が前提であったテンプレート:要出典。最初のTVシリーズ劇中での対艦戦闘における核兵器発射の明確な描写は無いが、ムック「ガンダムセンチュリー」では、時限作動にセットした核弾頭で戦艦を一撃で沈めた、とある。連邦の戦艦もまた、核ミサイルでザクを迎撃したとも記されている。ただし映像作品『MS IGLOO一年戦争秘録』のルウム戦役では、核バズーカの使用描写はなく、通常のバズーカ弾頭であった。連邦軍宇宙艦隊も対空機銃でザクを迎撃している。南極条約の締結後は核兵器の使用ができなくなり威力が落ちたため、さまざまな改良型が開発されることとなり、試作型ザクバズーカを経てドムのジャイアントバズに発展したテンプレート:要出典。ザクII以外のMSでは、ヅダ、『0083』第4話のドム・トローペン、オッゴ(モビルポッド)等がザク・バズーカを装備している。装弾数は単発説と5発説[26]がある。劇中ではバズーカへ再装填する描写はない。『機動戦士ガンダム MS IGLOO 2 重力戦線』第2話に登場したエルマー・スネル大尉の陸戦型ザクIIは、左の腰アーマーに筒状の予備弾倉をぶらさげている。劇中に装填シーンはないが、スネル大尉は1回の戦闘でザクバズーカを6発以上発射した。『第08MS小隊』では、5発入りボックスマガジン式のバズーカも登場した[27]。シャア少佐は対ガンダム戦でもザク・バズーカを用い、大気圏突入直前の戦闘ではガンダムの盾を貫通する威力を示している(TV版第5話)。ア・バオア・クーではザク[1]がガンキャノンに向け発砲し、ガンキャノンの膝から下を吹き飛ばしている。ヒートホークTV版第4話でシャアが使用し、TV版第5話で名称が明らかとなった[28]。斧の刃部分から高温を発し敵の装甲を溶断する格闘兵器である。ザクI用ヒートホーク(型式番号:HEAT HAWK Type3)の発展型とされる[29]。当初は対艦船用近接兵器であったテンプレート:要出典が、後に地球連邦軍がMSを開発すると、対MS用にも転用された。グフやヅダも装備している姿が見られる[30]。ルナチタニウム製のガンダムのシールドを叩き割り[31]、ガンダムNT-1を大破させるなど、まともに食らえばガンダムといえど無事では済まない威力を持つ。第10話のザクが使用した動力パイプのないタイプや、両刃にした「ヒートトマホーク」等、生産形態は明確ではない。一般的なザクII用ヒートホークの型式番号は、HEAT HAWK Type5[29]。後のグリプス戦役で地球連邦軍のハイザックが改良型ヒートホークを使用している事から、ビーム兵器主体の時代になってもある程度の有効性は認められていたようである。実体刃がないビームサーベルと刃を打ち合わせ、鍔迫り合いすることが可能だった[32]。この原理については諸説があるが、IH説「刃の加熱に電磁誘導を用いているため、周囲に強力な磁場が発生している。その為ビームを磁力で封じ込めているビームサーベルとは反発しあう」というものが有力となっている[29]。もっとも、斬撃ではなく溶断を目的とするこの兵器ならば鋭利な刃は必ずしも必要ではなく、むしろ細身のアイロンのような形状が理想的とも思われ、その説に沿った設計図[33]も描かれてはいるのだが、その後これに準ずる設定改変は行なわれてはいない。ただし、溶断というよりも装甲を叩き折る、引き裂く、といった表現が相応しい使い方もされる。そうした使用のためか、刃は4、5回の戦闘で駄目になってしまう使い捨て兵器とされているテンプレート:要出典。クラッカーMS用の投擲兵器。手榴弾としてMSのマニピュレーターによって、目標に直接投げつける。クラッカーの本体には計6つの突起が付いており、それが各々の方向に爆散することで広範囲に威力を発揮する。爆風と弾片効果で相手を殺傷する榴弾 (HE) なので、直撃以外はMSに対する効果は低いものの、牽制用として多用された。初出はTV版第12話で、ランバ・ラル配下のアコース少尉とコズン少尉が使用した。シュツルムファウスト宇宙及び重力下空間の双方で使用可能な使い捨ての大型弾頭ロケットランチャー。名前を直訳すると「突撃鉄拳」。F2型とFZ型、また『機動戦士ガンダム MS IGLOO』第1話のルウム戦役ではシャア専用機が使用したが、それぞれ形状が異なる。シャア専用機やヅダが装備したタイプはMark VIIIとされる[17]。特にザク専用という訳ではなく、ドム・トローペンやケンプファーなど他のMSでも使用できた。基本的には第二次世界大戦でドイツ軍歩兵の使用した携帯無反動砲パンツァーファウストを大型化したような形状で、弾頭にロケットブースターがついている。直撃すればマゼラン級宇宙戦艦を一発で撃沈可能だが、無誘導兵器であるため、MSのような機動性の高い標的に命中させることは基本的に難しい。それでも『0080』や『0083』ではジオン軍熟練パイロットがシュツルムファウストを用いて連邦MSを撃破している。なお、後世のギラ・ドーガも同名の武装を装備しており、こちらは実際に旧ドイツ陸軍のパンツァーファウストをMSサイズにスケールアップしたもの、と設定されている[34]。脚部3連装ミサイル・ポッド初出はTV版第19話。ランバ・ラル隊のステッチ伍長の搭乗機に装備された。劇中ではガンタンクのキャタピラを破壊して行動不能にしている。このポッドは3発のミサイルを内蔵した3連装式で、脚部のウェポンラッチに装着され手持ち武器を持ったまま使用が出来た。副武装としてザク系列だけでなくグフやイフリートなど幅広く使用された。時系列的には比較的早く登場した武器であり、0079年4月に連邦軍が鹵獲使用する陸戦型ザクIIへの装備が確認できる[35]。ZIM/M.T-K175C無反動砲[36](マゼラ・トップ砲)ジオン軍の主力戦車であるマゼラ・アタックの175mm砲[37]を取り外し、MS用の手持ち武器として改造した火砲。本来は現地改修の非公式兵器であったが、マシンガンとバズーカの中間的用途の遠距離射撃用兵器として、多くの地上部隊で使用されていたテンプレート:要出典。初出はTV版第21話で、ランバ・ラル隊のタチ中尉が装備した。後に『第08MS小隊』第8話にも登場した。Sマイン対人近接防御兵器。機体各所から発射され空中で爆発、小型鉄球の雨を降らせて至近に迫った敵兵を駆逐する。『第08MS小隊』第8話ではMS-05が、『MS IGLOO2重力戦線』第1話ではMS-06が使用。モデルになったのは第二次大戦でドイツ軍が使用した跳躍地雷・S-マインで、これを戦車内から射出する装置もあった。デック・キャリア小型宇宙機雷デック。これを3発を束ねてキャリングした運搬状態をデック・キャリアと称する。シャアによるルナ・ツー攻撃に用いられ、マゼラン級戦艦を擱坐させている。ハンドグレネードFZ型が装備しているクラッカーに代わる投擲兵器。腰部右側に3つ取り付けられている。『0080』最終話ではバーニィは機体には装備せず、森林の中にトラップとして設置していた。テンプレート:機動兵器最初のTVシリーズに登場するMSの公式設定は非常に少なく、特にジオン側のMSで当初から具体的なカタログデータが設定されていたのはザクだけであった(右表参照)。従っていわゆる「リアルな設定」の大半は、後に書かれたムックの記事や模型化・商品化の際に設定された、アニメのスタッフが直接関わっていない非公式のものである。ただし、「作品中で映像化された段階で公式」とするサンライズのルールによりテンプレート:要出典、後に公式となった設定もある(ムックのタイトルに『公式〜』とあっても、実際は外部の編集スタジオにより公式・非公式設定が混同されて書かれたものもあり、注意が必要である)。例えば「ザクII」という名称は『ガンダムセンチュリー』(1981年発行)が初出であり、1980年代にCMなどに使われたことはあるが、映像本編での使用はOVA『MS IGLOO一年戦争秘録』第3話が初めてで、それまでは非公式設定だった。同様に「MS-06」という設定も『MS IGLOO一年戦争秘録』第1話終盤で「06」と言及され、公式設定となった。またジオニック社がザクを製作したという設定も『ガンダムセンチュリー』が初出であるが、映像では同じく『MS IGLOO』第3話で使用され公式設定となっている。
ザク・マシンガンの水平な円盤型弾倉はデグチャレフDTやルイス軽機関銃といった現実世界の銃を思わせるが、デザインに特定のモチーフは無い。しかし雑誌企画『ガンダム・センチネル0079』でデザインの大幅なリファインが行われ、現実世界の銃であるXM-177サブマシンガンをモチーフにしたような形状となった。また、プラモデル「1/100 マスターグレード ザクII」商品化の際にもリファインが行われたが、この時は微妙な形状やパーツのレイアウトの変更に止まっている。後にそれぞれMMP-78、ZMP-50、そして『機動戦士ガンダム』第1話からほぼ全編に渡って登場するオリジナルのものにM-120A1の型式番号が与えられ、全て「ザクマシンガン」と呼ばれるが別形式であると設定された。これらの詳細は「U.C. ARMS GALLERY」商品化の際に追加されたものである。テンプレート:機動兵器なお今のところ、ザクマシンガンの公式設定はTVアニメ放映時からあった口径が120mmであること、砲弾の装薬が薬莢式であること、フルオート射撃が可能なこと、また『0083』登場のMMP-78でグレネードランチャーや箱型弾倉の使用が可能になったことくらいであり、後は全て後付の非公式設定である。
テンプレート:機動兵器また、『機動戦士ガンダム』劇中で地上のみに登場したクラッカー及び3連装ミサイルポッドは『MSV』において陸戦型ザクIIの武装であると設定されている。
装甲材質は『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の1/144HGキット(1998年発売)の説明書では超高張力鋼となっている。この表記は1985年の月刊ニュータイプ付録にあったMSカタログが初出で、それまで「馬力」と表現されていた一年戦争時のMSの「出力」に関する数値設定も「kw」という単位で再創作された。これらはシリーズ第2作『機動戦士Zガンダム』が長いブランクをおいて制作された為に、第1作の諸情報が失伝してしまっていたことによる(「ルナチタニウム」が「ガンダリウム合金」の前身、という後付け説明も同様の理由である)。
その後2000年代以降、TVシリーズ以来のアニメの設定やHGUCキット(2003年発売)では超硬スチール合金という名称に再統一された。
超高張力鋼は現実に存在するもので、自衛隊の新型潜水艦に使われているNS110等がそれにあたるが、引っ張り強度や水圧に対する強度は高いものの、耐弾性の高い硬化処理が成された防弾鋼というわけではない。
詳細はザクシリーズのバリエーションを参照
『MSV』に設定上存在する、ジオン公国軍の量産型MS。第一次量産型、初期生産型[38]とも呼ばれるほか、型式番号からA型とも呼ばれる(型式番号:MS-06A)。
機体解説ザクIの問題点を改修し、最初に完成したザクである。元々はザクIの改良型の「MS-05C」として設計されていたが[11]、大幅な改良が行われたために新たに「MS-06」の型式番号が与えられることになった。宇宙世紀0077年8月に試作機が完成したが、キシリア・ザビの提言により連邦軍のMSとの交戦を想定して近接戦用武装が取り入れられることとなり[39]、宇宙世紀0077年9月からはC型に移行した。ただし初期量産型の生産が一定の軌道に乗るまでの半年間は同時に生産されていたという[40]。初期量産型との大きな違いは、右肩のシールドと左肩のスパイクアーマーがなく、ザクIと同じ球形のアーマーを両肩に装備していたことである[40]。また、コクピットの開閉方式も異なっていたようである(旧型は中央正面にハッチがあり、パイロットがコンソールを乗り越えて乗り降りするため、モニターが汚れやすかった)テンプレート:要出典。機体の塗装パターンは当初ザクIのものと同様のものをデモンストレーション用として施されていたが、後にグリーン2色のものに変更された[41]。また白と青の2色に塗装された機体も存在する[41]。劇中での活躍漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』では、宇宙世紀0090年に研究材料として回収された教導機動大隊の実習訓練機が登場した。備考初出は『ガンダムセンチュリー』。その後『MSV』で詳しく設定され、SDガンダムのガチャポンシリーズにおいて初めて画稿が起こされた。その後『MSV-R』でリアル等身の画稿が起こされた。『ガンダムセンチュリー』や『MSV』で設定されたジオン公国軍の量産型MS[40]。先行量産型、初期生産型、初期型、前期型、核武装型とも呼ばれる他、型式番号からC型とも呼ばれる(型式番号:MS-06C)。
機体解説先行量産型(A型)に次いで宇宙世紀0077年9月に試作機が完成。直ちに量産が開始されたザクIIであり、ジオン公国軍の一年戦争開戦時点における主力であった[39]。いずれは連邦軍もMSを配備する可能性を想定し、A型に近接戦能力がないことを不安に思ったキシリア・ザビの提言により、右肩のシールドと左肩のスパイクアーマーが装備された。さらに、携行武装としてヒートホークが追加されることとなった[39]。核攻撃で併用されることを前提とした機体で、コクピット周辺の装甲裏側に放射線遮蔽液が注入され、全備重量は90トンを越えていたがテンプレート:要出典、後に南極条約によって核兵器の使用が禁止されるとデッドウエイトとなると判断され、耐核装備を外した量産型(F型)に移行していった[42]。頭部に隊長機を表すブレードアンテナが装備されている機体もあるが、通信機能が付加されている場合と、単なる飾りである場合がある。劇中での活躍一年戦争開始時にはまだF型はほとんど前線に出ていないという設定であるテンプレート:要出典為、アニメ『機動戦士ガンダム』冒頭のコロニー落としの場面に登場するザクはC型ということになる。漫画『MS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝』では、フレデリック・ブラウン搭乗機が登場。ただし、劇中ではF型と呼ばれている。左肩のスパイクアーマーが黄色で塗装されている。SDガンダムのガチャポンのシールに描かれているのはこの機体である。備考設定の初出は『ガンダムセンチュリー』。その後『MSV』で詳しく設定された。パーソナルカスタム機[]シャア・アズナブル(中尉)専用機一週間戦争で搭乗した機体。カラーリングは赤(淡いピンクとワインレッド)で、頭部のブレードアンテナは付属しない。これはシャアがこの色に塗らせたのではなく、士官学校を首席で卒業したシャアを妬んだ上官が、下塗り処理までしか済んでいない欠陥品のザクをあてがったためであるテンプレート:要出典。当機はゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』オリジナルMSであり、OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO』など史実作品においてシャアは一年戦争開戦最初からS型のザクに搭乗している。また、サンライズの公式設定では、ブレードアンテナの無いシャア・アズナブル専用機は存在しないとされているテンプレート:要出典。ジョニー・ライデン(曹長)専用機一週間戦争で搭乗した機体。塗装パターンはほとんど量産機と同じだが、右肩のシールド、左肩のスパイクアーマー、コクピットハッチ、背部のランドセルは赤(クリムゾンレッド)。本当は全身を真っ赤にしたかったらしいが、ペンキの量が足りなかった。なお、頭部にはブレードアンテナは無い。テンプレート:機動兵器
アニメ『機動戦士ガンダム』に登場[43]した「ザク」に『ガンダムセンチュリー』や『MSV』などで設定を付記された機体。その後OVA『MS IGLOO』[44]などに登場している。前期型、中期型とも呼ばれる他、型式番号からF型とも呼ばれる。単純にザク、あるいはザクIIと言った場合は本機の事を指すことが多い[40](名称に関しては#機体名を参照)。
機体解説初期量産型(C型)は耐核装備が施されているため重量が重く、機動性に難があった。そのため耐核装備を外したF型の研究・開発が行われており、一年戦争以前から一定数が生産されていた。一年戦争初期は主に後方支援として配備されていたが、南極条約によって核兵器が使用禁止となった為本機が主力となった。OVA『MS IGLOO一年戦争秘録』では、宇宙暦0079年1月15日に生起したルウム戦役に参加した機体は「MS-06F ザクIIF型」としている[45]。ただし同海戦に参加した全てのザクIIがF型とする明確な描写はない。一年戦争中はジオン、地球連邦両軍を通じて最も多く量産されたMSである。その完成度の高さから、後に誕生する全てのMSの基本となっている。生産時期や工場の違いによりさまざまなマイナーバージョンがあり、また、さまざまなパーソナルカスタム機も存在する。さらに、多くのバリエーションのベースとしても使用されており、サブタイプは枚挙にいとまがない。初期量産型同様に、頭部に隊長機を表すブレードアンテナが装備されている機体もあるが、通信機能が付加されている場合と、単なる飾りである場合がある。詳細は後述の#指揮官用ザクIIを参照されたい。備考設定の初出は『ガンダムセンチュリー』。その後『MSV』で詳しく設定された。元々は南極条約の締結後に開発されたという設定であったが、バリエーションが増えるに従い、前述のように徐々に前倒しされていった。『MSV』ではF型は後期生産型と記述されているが、これはA型、C型に対して後期に生産されたタイプという意味であり、当時は後期量産型ザクII (MS-06F-2) 及び最終生産型ザクII (MS-06FZ) が存在しなかったため、この様な名称となっている。『MSV』に登場するジオン公国軍の量産型MS。指揮官用カスタムタイプ・ザクIIカスタムなどとも呼ばれる。(型式番号:MS-06FS)
機体解説ガルマ・ザビ専用機としてよく知られる機体である。従来のF型と大きく異なる点は頭部に4門のバルカン砲を装備したことで、S型が開発されるまでは主に中隊長に配備されていたテンプレート:要出典(S型を扱える技量の無い指揮官が代用していたとの説もある)。ブレードアンテナは標準装備であり、通信機能も強化されている。また、F型ではあるが陸上用ザクII並の地上適性能力もある。なお、ガルマ専用機はパーソナルカラーのブラウンで塗装されていた。備考元は大河原邦男による劇場版のポスターなどのイラストから。『MSV』ではバリエーションとして扱われているが、元々のイラストではシャア専用機にもバルカン砲が描かれており、単なるイラスト上の演出でしかなかった。当時は、「ザクII」の呼称はこのタイプを指し、「初期量産型ザクII」および「量産型ザクII」は、単に「ザク」と呼ばれていた。HGUCシリーズでプラモデル化された際に、設定もいくつか追加されている。漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』において、「ニューヤーク市解放10周年記念展」にグフ複合試験型と共に展示されている。ゲーム『第3次スーパーロボット大戦』や『ヒーロー戦記』ではアニメ本編に登場していないにも拘らず、ガルマの搭乗機として登場する。テンプレート:機動兵器OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場する、ジオン公国軍の量産型MS。後期型、後期生産型とも呼ばれるほか、型式番号からF-2型(F2型)とも呼ばれる。
機体解説統合整備計画の影響を受けたザクIIの後期生産型で、対MS戦を考慮され再設計されているテンプレート:要出典。完全に統合整備計画に則っているわけではないが、細部が改修され、一年戦争終結後も地球連邦軍やジオン公国軍の残党によく用いられた。劇中での活躍OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では、一年戦争の勝利によって、ジオン公国軍から地球連邦軍に押収された機体が砂漠専用のベージュに機体色を変更され、仮想敵機として模擬戦に用いられたりしていた。アナベル・ガトーによるトリントン基地奇襲に対し、チャック・キース等がこの機体に搭乗し応戦した。キース少尉はヒートホークを装備した本機でドム・トローペンを撃破している。デラーズ・フリートを始めとするジオン残党軍でも主力として用いられ、自らの性能を上回るジム・カスタムとも互角以上の戦闘を行った。キンバライトでのHLV打ち上げ作戦においては背面にロケットブースターを装備した機体が作戦に参加し、アルビオンを撃沈する一歩手前まで追い詰めている。キンバライド基地指令のノイエン・ビッターがアルビオン隊との交戦にて搭乗した。本機の胴体と腕部を利用した機体、ドラッツェも存在する。漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』では、アクシズ配備機として外宇宙用に変更された当機が登場。脚部の大型スラスターの追加や上下に4基のバーニアを付属したランドセルなど、改良されていたが旧式化は否めなかった。のちにアンディ機が地球圏に持ちこまれ機動性などの強化向上が施された。備考メカニックデザインはカトキハジメ。雑誌企画『ガンダム・センチネル0079』に登場するカトキ版ザクIIをアニメ用に線を減らしたもの。F型とFZ型の中間になるようデザインされている。テンプレート:機動兵器OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場する、ジオン公国軍の量産型MS。ザクII改(ザクツーかい)、ザク改(ザクかい)、最終型とも呼ばれるほか、型式番号からFZ型とも呼ばれる。
機体解説統合整備計画の適用により生産された機体で、実戦データを元にして武装を含めて全面的に改修してありカタログスペック上はゲルググ並み、実際の性能はドム並みともジム・コマンド並みともといわれるテンプレート:要出典。特にスラスター総推力はF型の70%増しとなっているが、搭載する推進剤の量は変わらない為、稼働時間は逆に半分に減少している[46]。戦争末期の出現であり生産数が少なく、実戦投入されることもあまりなかった。装備する新型銃90mmマシンガンは120mmに比べ口径は小さいが、対MS戦を考慮し装弾数と集弾率の向上が図られている。これらの改良によりこの最終生産型ザクは、連邦のジムに対し「後れを取ることは無くなった」とされているテンプレート:要出典。また、一定時間ではあるが脚部推力を生かしてドムのようなホバリング走行を行うことができた[47]。統合整備計画の実施時期には諸説あるため、FZ型の開発時期もはっきりしていない。一般的には一年戦争末期の生産とされているが、試作機は一年戦争中期の時点で完成していたようである。頭部がドイツ軍ヘルメット風であるBタイプも存在する[48]。俗称はフリッツヘルム。第2話で、被弾したバーナード機を救助するために着陸した指揮官機はブレードアンテナを装着している。劇中での活躍バーナード・ワイズマン(バーニィ)が本機に搭乗。OVA第1話では数機がサイド6のリボーコロニーを襲撃し、連邦軍のジム・コマンド部隊と交戦した。この作戦に参加していたバーニィは被弾・不時着し、アルフレッド・イズルハに出会う。第2話で指揮官機がバーニィを救助し、彼のザク改はリボーコロニーに放置された。第2話終盤の宇宙空間での戦闘にもチベ級重巡洋艦「グラーフ・ツェッペリン」やムサイ級軽巡洋艦2隻から発進した本機が登場し、ジム・コマンド宇宙戦仕様と戦っている。最終話でバーニィが再び本機に搭乗し、クリスチーナ・マッケンジーの搭乗するガンダムNT-1と戦う。最終的に相討ちとなり、本機は搭乗者と共に爆散した。相討ちとはいえ、映像作品としてはガンダムと名の付くMSを撃破した唯一のザクである。この際機体に装備していた武装はヒート・ホークのみだったが、森林地帯に煙幕やハンドグレネード、アドバルーンを利用したダミーバルーン等のトラップを設置しガンダムNT-1を撹乱させていた事も大きかった。劇中では、新兵であるバーニィとアルがコロニー内に不時着したFZ型を、ジム系MSの残骸から調達したジャンクパーツを用いて修理できたことから、統合整備計画の合理性と、地球連邦軍と工業規格が統一されていることが伺える。漫画『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』では、首都防衛大隊機として「フリッツヘルム」と呼ばれたBタイプが配備された。機体は白く塗装され、隊章である「SHIELD OF ZEON」が施された。なお、指揮官機には他のジオン機同様、ブレードアンテナが付いている。備考メカニックデザインは出渕裕。OVAの作品解説に書かれている通り、元々は現代風(作品製作時の1988年頃)にリメイクされたザクIIという設定であり、初代『機動戦士ガンダム』に登場したザクと同じ機体であった。しかしプラモデルの商品展開の都合により別の機体という設定となった。だがOVAのスタッフが製作した画集『MS ERA 0001〜0080 ガンダム戦場写真集』には開戦当時からこの機体が登場している。後に出渕裕は2000年頃のインタビューで、このデザインはさすがにやりすぎだったと発言したことがある[49]。ゲーム『スーパーロボット大戦F完結編』『スーパーロボット大戦α』で登場する「シャア専用ザク」は、設定上では指揮官用ザクIIであるが、グラフィック上では赤い塗装のFZ型にブレードアンテナが付いたものになっている。テンプレート:機動兵器アニメ『機動戦士ガンダム』に登場[50]した「シャア専用ザク[2](シャアザク)」に『ガンダムセンチュリー』や『MSV』などで設定を付記された機体。F型の総合性能向上型[51]。主に中隊長以上の士官に配備されたためにこの名称で呼ばれ、中隊長用、士官用などとも呼ばれるほか、型式番号からS型とも呼ばれる(名称に関しては#機体名を参照)。
機体解説F型を元に指揮官やベテランパイロット用に推力を30%増すなど細部が改修された機体である。ただし、燃料タンクの増設は行われていないため、稼働時間は短くなっている[52] 。また、指揮官用に通信能力を強化するため、ブレードアンテナが標準で装備されている。特に改造も必要なく、宇宙と地上の両方で活動できる。約100機生産されたとされている[53]。
アニメ本編上では量産型(F型やJ型)とS型ではアンテナ以外の識別点がなく、外観から見分けることは難しい[54][55]。さらに通常型にブレードアンテナをつけた指揮官機も存在し、劇中でブレードアンテナを装備したザクIIが全てS型とは限らない[56]。
指揮官はパーソナルカラーに塗装することを許されており[57]、特に有名なのが、シャア・アズナブル少佐が搭乗した機体である。シャア専用機は「赤い彗星」の名の通り全身を赤系統(強めのピンクとワインレッド、ただしHGUCではワインレッドではなく茶色等、模型商品によっては細かな差も見られる)で塗装している。
劇中の活躍TV版第2話で初登場。シャア・アズナブルは、そのたぐいまれな操縦能力で機体性能を限界まで引き出し、「通常の3倍のスピード」と恐れられたほどの速さで専用機を乗りこなした。シャアの搭乗したMSの中で、続編も含めて全く損傷しなかったのはこのシャア専用ザクだけである[58]。第10話でガルマ・ザビが戦死して以降登場せず、以後の消息は不明[59]。第11話のドレンに対する発言によれば、シャア専用ザクは損傷なく存在しているようである[60]。なお、グリプス戦役を舞台にしたOVA『GUNDAM EVOLVE-EVOLVE../12 RMS-099 RICK-DIAS』では、クワトロ・バジーナが操縦するリック・ディアスにインストールされた模擬戦用プログラムとしても登場した。
テレビ版にはシャア専用機以外の本機は登場しないが、劇場版IIIのア・バオア・クーの攻防戦において、部下の量産型を退避壕の外に突き飛ばしておきながら自分だけ壕に潜りこみ、直後に流れ弾のミサイルによって壕ごと撃破される本機の姿が確認されている。塗装は量産機と同じグリーンである。他にア・バオア・クー防衛ラインにおいて量産カラーの機体と戦列を組み出撃するシャア専用機に似た赤い機体の姿が見られるが、この機体がS型かは不明である。またOVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO -黙示録0079-』第2話では連邦軍宇宙艦隊を強行偵察する黒い塗装のブレードアンテナ付きザクIIが登場するが、映像中にも設定資料集にも、この機体を指揮官用ザクIIとする明確な証拠はない[61]。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、「ルウム編」にてシャアが受領した機体を赤に染めた後、自分でデザインした角を付けたという経緯が描かれ、ルウム戦役ではノーマルのバックパックで3倍のスピードを出し、一般兵やコズン・グラハムが舌を巻いた。「ガルマ編」の終盤以降、出番が無かったが、オデッサ作戦前夜にジブラルタルにて、ガンダムと決着を着けるべく再登場。廃墟の中でジム二個小隊とスレッガー隊を壊滅させる。ガンダムをおびきだし決闘にのぞむが、シャアが友軍のドダイYSに気を取られた一瞬の隙を突かれて頭部を切断され、バランスを崩し海へと落下。シャアは脱出し、機体は放棄された。なおジャブロー戦では、三日月形のブレードアンテナを装着した指揮官機も確認できる。小説版『機動戦士ガンダム0083』ではノイエン・ビッター少将が同型機に補助ブースターを追加した機体を愛用している描写がある。
『MSV』においては、黒い三連星のMS-06R-1A 高機動型ザクII以前の乗機がS型とされている[62]。指揮官に配備されるS型3機による部隊構成は異例とされている[63]。オルテガ機には予備武装用のコンテナが追加装着されている[64]。また『MSV-R』においてはジョニー・ライデンが大尉時代にS型に搭乗したとされている[65]。
備考劇中ではホワイトベースのオペレーター、オスカが「この速さで迫るザクは存在しない。通常の3倍の速度で迫ってくる」という旨の発言をしているが、劇中ではそれがパイロットであるシャアの操縦技術によるものであるのか、機体性能の違いによるものであるのかは明らかでなかった。後に『ガンダムセンチュリー』では「通常の30%増しの推力」と設定されている。また、高機動型ザクのプロトタイプとも言われている。一方で「通常の3倍の速度を出せる性能を持っている」と解説した書籍・ゲーム・玩具も存在し、設定の統一はされていない。
原作者富野由悠季の小説『機動戦士ガンダム』に登場する「ザク」は、外見は基本的にアニメその他のF型を踏襲するが、以下のような違いがある。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場[66]。大河原邦男が新規にデザインを描き起こしている。
機体解説開発経緯などはTV版と同じだが、新たに固定武装が設定されている。左腕に2連装マシンガンが1基、胸部にバルカン砲が1基(S型は左腕のマシンガンが無く、胸部のバルカン砲は2基)、頭部左側にレーザートーチがそれぞれ装備されている。最大の変更点は主兵装の120mmマシンガンがバックパックからのベルト給弾式になっており、名称も口径140mmのハイパーライフルへと変更されている(第1巻にて薬莢の底に140mmとあり)。破壊力も強化されており、サイド7の宙域でガンダムと交戦した時は一発でガンダムの装甲をボロボロにした。バズーカの給弾も上部から弾倉を装着するようになっており、装弾数は3発となっている。劇中では、シャア専用機はコクピットハッチのデザインがアニメ版と同様の形状に戻され、以後登場する量産型も同様に改められた。前日談が描かれた第12巻では、ザクI用装備としてアニメ版のドラムマガジン式マシンガンが登場し、以後ザクIIでも同様の装備をした機体が登場している。ルウム戦役での黒い三連星機は「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック 2」152ページにおいて「MS-06R-1A 高機動型ザクII[黒い三連星専用機]」と記載されている。ガイア機は両肩にシールドを装備し、バズーカの予備弾倉がマウントされていた。オルテガ機とマッシュ機は通常機と同じだが、オルテガ機はスナイパーライフルを、マッシュ機は両手持ちの大型ヒートホークをそれぞれ装備し、レビル将軍が座乗するアナンケを撃沈した。ア・バオア・クー要塞内では侵入するジムと肉弾戦を繰り広げるが、ヒートホーク以外にモーニングスターと思しき武器を携えた機体も見られた。キシリア旗下には、細い丁髷状の突起が頭部を飾り、三日月とジオン国章を機体に描かれたザクII部隊が存在し、反乱部隊との内部抗争に参入している。
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