曖昧さ回避 この項目では
機動戦士ガンダムに登場する
モビルスーツについて記述しています。サッカー選手についてはアサモア・ギャンをご覧ください。
ギャン(GYAN)は、アニメ『機動戦士ガンダム』を始めとするガンダムシリーズに登場する架空の兵器。
ジオン公国軍の試作型モビルスーツ (MS) である。
本項では、バリエーション機についても併せて記述する。テンプレート:ネタバレ
機体解説[]
テンプレート:機動兵器マ・クベの為に開発された専用MS[1]。
またはゲルググと同時期に次期主力量産機の座を争う形で開発された機体。
主武装として高出力の試作ビームサーベルを携行し、シールドに内蔵されたニードルミサイルはテンプレート:要出典範囲白兵戦に特化した開発コンセプトを持つ。また、アクチュエーターの機能を増強させる「流体パルスアクセラレーター」を試験的に導入したとする設定もある[2]。そのため、白兵戦(近距離戦闘)においてはかなり高性能であったが、ビームライフルやビームナギナタを装備した汎用性の高いゲルググに対しその運用の難しさがネックとなり(空間戦闘能力の低さも指摘される)、次期主力機トライアウトに敗れ量産化や以降のバージョン展開はされなかった。このような特殊なシールドが作られたのは、ツィマッド社がビームライフルの開発に失敗したからだといわれている。なお、次期主力MSは既にゲルググに内定しており、次期主力機のコンペティション自体が形式的なものに過ぎなかったともいわれている。
他方、ギャンのロールアウトが一年戦争初期のように対艦隊戦を想定した戦局であったなら、ゲルググと比較して重武装で白兵戦能力に秀でたギャンに制式採用の可能性があったが、時局は既に対MS戦を想定せざるを得ず、対MS戦に秀でたゲルググが制式採用されたという説もある。
テンプレート:要出典範囲。テンプレート:要出典範囲。
ただし、マ・クベはこの戦闘の際に、ギャンが自分の為に作られたMSであると発言している[3]。シャア・アズナブルの副官であるマリガン少尉も、シャアに対しマ・クベがホワイトベース隊を倒すために自分用のMS(ギャン)を開発させていたことを報告している[4]。
武装[]
試作ビームサーベルテンプレート:要出典範囲。多くの解説本がギャンを「ジオン初の試作ビームサーベル装備機とするが、劇中ランバ・ラル専用グフの白兵戦武器がビーム状の刀身を形成し[5]、さらに放送時発行の書籍で「ビームサーベル」を装備と明記されているために設定の整合性が合わなくなっている。ランバ・ラルのグフがビームサーベルを所持していた場合にはジオニック社製では初のビームサーベルをランバ・ラルのグフが所持した機体になる。そしてギャンはツィマイッド社製で初のビームサーベルを所持した機体となる。ミサイルシールドシールドにはハイドボンブと呼ばれる機雷を25基(12基とする資料あり)テンプレート:要出典、ニードルミサイルを60基(56基とする資料あり)テンプレート:要出典内蔵している。ただし、攻撃を防ぐ盾にミサイルを仕込む仕様から、「敵の攻撃で誘爆するのでは」「実は盾ではなく携行ミサイルランチャーなのでは」との説もある[6]。劇中ではガンダムのビーム・サーベルによって損傷したが、誘爆していない。また、プラモデルでのミサイルシールドのハイドボンブ射出口は旧キットでは12箇所あるが、HGUCやMGでは10箇所となっている。劇場版にはギャンは登場しないが、テキサスコロニー内にハイドボンブのみがジオン軍の浮遊機雷として登場する。通常の携行武器を運用できたかは不明である。テンプレート:要出典範囲。設定の変遷[]
型式番号はYMS-15であるが、テレビアニメ放映後の第1次ガンダムブーム時に付けられた設定上の型式番号は MS-X10 であった(MS-15 と表記されることも多い[7])テンプレート:要出典。試作機を意味するYが付けられたまま実戦参加する事はないため、これも誤りではないとする説があるテンプレート:誰2。また、テレビアニメ企画時の名称はハクジ(白磁)であり、ギャンはゲルググの名前だった。
番組の視聴率低迷の原因を「毎週違う敵ロボットが出ないからだ」とするTV局の要請に応じ、当時のロボットアニメに頻出する「大幹部専用のロボット」に倣った「マ・クベのために作られた機体」として登場した経緯を持つ。前述の設定については劇中で、マ・クベが自ら出撃する理由にキシリアがギャンを自分のため開発してくれたことに対する面子とする発言や、シャアの副官マリガンがマ・クベ自身「打倒木馬」のために専用MSを造らせたとの発言から理解できるが、それらに対するフォローが近年の派生作戦には少ない。テンプレート:要出典範囲。公式サイト「機動戦士ガンダム公式Web」においては映像中の発言に準じ、マ・クベ用に開発されたと解説している[1]。漫画『機動戦士ガンダム0079』12巻メカニックファイルには「ゲルググと競作された機体を、マ・クベ自身が自分なりにチューンナップした物」という、既存の説を総合したような説明がある。
「マ・クベ専用機ではなく、ゲルググとの競合に敗れた試作機」「素人でも操縦が易しい」という設定は、書籍「ガンダムセンチュリー」で放映後につけ加えられた設定である。それを元に「ゲルググはジオニック、ギャンはツィマッド」がつけ加えられ、「ジオンのガンダム」などの設定は00年代に入ってからつけ加えられた。
ギャンが他のジオン軍MSと同様、流体内パルス・システムで駆動すると明言した資料がなかったため、フィールドモーター駆動であるという説が生まれ、小説や模型誌などでも引用されていた。一方、プラモデル「MG ギャン」の解説書では流体内パルス駆動と設定している。いずれも、映像作品中で言及されない非公式設定である。
備考近年の「ホビージャパン」「電撃ホビーマガジン」などの模型誌では、ゲルググと比べて非常に機体が細い[8]事から、本機はフィールドモーター駆動の試験のために開発されたのではないか、あるいは鹵獲した連邦製MSを元に開発されたのではないか、白兵戦重視のコンセプトからもジオン版ガンダムとして作成されたのではないか、果てにはコア・ブロック・システムを搭載していたのではないか…など、さまざまな架空の設定に基づいた作例が製作されている。また、当初の型式番号からMS-10 ペズン・ドワッジとの関係も指摘されているテンプレート:誰2。
劇中での活躍・登場作品[]
テレビアニメ『機動戦士ガンダム』では、ホワイトベースがテキサスコロニーに寄港する第37話に登場。パイロットは、これまで指揮官として登場していたマ・クベ。マ・クベはギャンが彼の専用機であると発言し、シャアやマリガンもマ・クベがギャンを開発させたとを述べている。本機は、配下のリック・ドムを使ってガンダムをおびき出し、小惑星の上に仁王立ちで立ちはだかるという演出で登場した。
ガンダムが接近すると小惑星を爆破し、逃げ込んだテキサスのゲートにも爆薬を仕掛けておき、テキサス内部には(あらかじめ散布しておいた)ハイドボンブと、三段構えのブービートラップでダメージを与えた。さらにガンダムの主力兵装であるビームライフルの弾切れを誘った上に、そこからニードルミサイルの乱射でシールドを破壊してひるませてから、白兵戦に持ち込んで先制するという、周到かつ執拗な策でガンダムに挑んだ。しかしニュータイプとしての能力を見せ始めていたアムロ・レイのガンダムの敵ではなく、作戦の小賢さに憤りを覚えた彼の猛反撃を受け、撃破された。
劇場版には登場しなかったが、劇場版を元にしている漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』に登場。マ・クベが搭乗するがア・バオア・クー脱出時に艦載砲によって撃破されている。
短編小説集『ガンダムNOVELS―閃光となった戦士たち』に収載されている『月光の夢 宇宙の魂』では、ギャンとゲルググの次期主力機コンペティションの様子が語られている。ここではギャンがフィールドモーター駆動とされているほか、ドラマを成立させるため一部設定に独自の解釈が見られる。
雑誌「MJ(模型情報)」で連載されたメカニックデザイン企画『F.M.S』では、オデッサ戦の2週間後、マ・クベ師団残存勢力からMS-15と技術陣を回収するというエピソードがある。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、オデッサ戦撤退時にマ・クベ自らが搭乗し、迫りくる連邦軍の前に堂々と立ちふさがり、抜刀したグフ部隊の先頭に立って敵軍に斬り込む活躍をする。しかしマ・クベは「量産はさせるな、マ・クベの名はギャンと共に記憶されるべき」と豪語し、兵の後退を確認した後黒海に入水。連邦水上艦隊を道連れに自爆した。なおシールドにはハイドボンブとニードルミサイルの両方が装備されている。
バリエーション[]
ジオン公国軍製[]
- YMS-15(MS-15) ギャン
- MS-15B ギャン量産型ツクダホビーのボードゲーム『ジークジオン』サプリメントセット第2弾『トワイライト オブ ジオン』に登場。ギャンの量産タイプで、ゲルググタイプのビームライフルを装備して遠距離戦闘も行えるようになった。しかし、ゲルググの量産に伴い10機程しか作られなかった。
- カリョーヴィンホビージャパンの雑誌「RPGマガジン」別冊「RPGマガジングレイト」Vol.3に掲載された『機動戦士ガンダムRPG アドバンスドエディション』用シナリオ『マクベの遺産』に登場。キシリア・ザビ専用のカスタムメイド機。インド神話の架空の鳥、迦陵頻伽(迦陵頻迦、カリョービンガ)が名の由来。ギャンのバリエーションという設定はなく、外見にもほとんど類似点は見られないが、マ・クベとの関連からギャンと共に語られることがある。
- MS-17 ガルバルディ(ガルバルディα)ギャンの発展機。外見はゲルググだが、中身はほとんどギャンであるという。ジオン軍の次々期主力機として小惑星ペズンで開発されていた。終戦後は連邦軍に接収され、ガルバルディβとして量産化された。
アクシズ製[]
- MS-15PLUS (MS-15S) ギャンEX雑誌『GUNDAM WEAPONS 2』に収載された漫画『OPERATION TITAN』に登場(単行本『新MS戦記 機動戦士ガンダム短編集』に収載)。雑誌掲載時には MS-15S ギャン という名称であったが、単行本収録時に MS-15PLUS ギャンEX と言う名称に変更された。一年戦争期のギャンの予備パーツをアクシズで組み上げた機体で、ビームライフルが装備されている。シャア・アズナブルが搭乗。
- MS-15K ギャン改ゲーム『SDガンダム GGENERATION(初作)』が初出。ゲルググにおけるMS-14J リゲルグに当たる機体。実は上記のギャンEXをゲーム用にリメイクしたものである。アクシズで開発された機体で、運動性が高く、全体的な性能は同時期に開発されていたバウを上回っていたが、汎用性が低かった為に量産化は見送られた。その後、騎士型MSとして開発が続けられ、R・ジャジャとなったとされる。
- AMX-104 R・ジャジャアニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場。ギャンの発展機で、騎士用MS。
オールズモビル(火星独立ジオン軍)製[]
- OMS-15RF RFギャン漫画『機動戦士ガンダムF90』に登場。ギャンのリメイク機。R・ジャジャの発展機であると思われる。名称はリファイン・ギャンの意。指揮官機なのか非常に装飾的な塗装が施され、武装にヒートロッドを装備している。
その他[]
ギャンは正式採用されなかった機体であるが、ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズでは戦争の流れにおけるif(公式の歴史設定とは異なる架空の流れ)が楽しめるよう作られたため、「ゲルググではなくギャンが正式採用されていたら」という設定で数々のバリエーションが作られている。
- MS-15S ギャン先行量産型『ジオンの系譜』が初出。YMS-14 (MS-14S) ゲルググ先行量産型に当たる機体。
- MS-15S ギャン先行量産型(シャア・アズナブル専用機)『ジオンの系譜』が初出。YMS-14 (MS-14S) ゲルググ先行量産型(シャア・アズナブル専用機)に当たる機体。
- MS-15S ギャン先行量産型(アナベル・ガトー専用機)『ジオンの系譜』が初出。MS-14A (MS-14H) ゲルググ量産型(アナベル・ガトー専用機)に当たる機体。
- MS-15S ギャン先行量産型(ランバ・ラル専用機)『ジオンの系譜』が初出。ランバ・ラルがもし生きていたら…と言う機体。
- MS-15S ギャン先行量産型(マ・クベ専用機)『ジオン独立戦争記』が初出。MS-07B グフ(マ・クベ専用機)をイメージした機体。
- MS-15S ギャン先行量産型(ロバート・ギリアム専用機)『ジオン独立戦争記』が初出。MS-06R-2 高機動型ザクII 後期型(ロバート・ギリアム専用機)をイメージした機体。
- MS-15A ギャン量産型『ギレンの野望』が初出。MS-14A ゲルググ量産型に当たる機体。同作では、形状はYMS-15ギャンと同じで機体色がゴールドとなっていたが、続編の『ジオンの系譜』以降は頭部アンテナが短くなり、機体色もグレーに変更されている。
- MS-15B ギャン高機動型『ジオンの系譜』が初出。MS-14B ゲルググ高機動型に当たる機体。上記のギャンEXのデザインを参考にしている。ノーマルなギャンに比べシャープなデザインになっている。ゲルググのA/B/C型はバックパックを変更するだけで簡単に仕様変更できるが、ギャンのA型(S型)に対し、B型はほぼ完全に外観が異なっている(S・A型とC型は、キャノン関係のパーツ以外は肩など一部が違う程度)。専用のビームランスにより、更に格闘戦能力が向上している。
- MS-15B ギャン高機動型(ジョニー・ライデン専用機)『ジオンの系譜』が初出。MS-14B ゲルググ高機動型(ジョニー・ライデン専用機)に当たる機体。
- MS-15B ギャン高機動型(シン・マツナガ専用機)『ジオンの系譜』が初出。MS-06R-1A 高機動型ザクII(シン・マツナガ専用機)をイメージした機体。
- MS-15B ギャン高機動型(黒い三連星専用機)『ジオンの系譜』が初出。黒い三連星がもし生きていたら…と言う機体。
- MS-15B ギャン高機動型(エリオット・レム専用機)『ジオン独立戦争記』が初出。MS-06R-2P 試製高機動型ザクIIをイメージした機体。
- MS-15B ギャン高機動型(ギャビー・ハザード専用機)『ジオン独立戦争記』が初出。MS-06R-2 高機動型ザクII(ギャビー・ハザード専用機)をイメージした機体。
- MS-15B ギャン高機動型(マサヤ・ナカガワ専用機)『ジオン独立戦争記』が初出。MS-06R-2 高機動型ザクII(マサヤ・ナカガワ専用機)をイメージした機体。
- MS-15C ギャンキャノン『ジオンの系譜』が初出。MS-14C ゲルググキャノンに当たる機体。肩近く(実際はバックパックに装備)に実弾式の大口径短砲身キャノン砲2門を持つため、見た目はギャン+ガンキャノンである。中距離支援用の機体であるが、A型と同じビームサーベルを装備しており、格闘戦能力にも優れる。
- MS-15C ギャンキャノン(トーマス・クルツ専用機)『ジオン独立戦争記』が初出。MS-14C ゲルググキャノン(トーマス・クルツ専用機)に当たる機体。
- MS-15F ギャンM(マリーネ)『ジオン独立戦争記』が初出。MS-14F ゲルググM(マリーネ)に当たる機体。ギャンの海兵隊仕様。
- MS-15Fs ギャンM(マリーネ)指揮官用『ジオン独立戦争記』が初出。MS-14Fs ゲルググM(マリーネ)指揮官用に当たる機体。
- MS-15KG ギャンK(クリーガー)『ジオン独立戦争記』が初出。MS-14JG ゲルググJ(イェーガー)に当たる機体。クリーガーはドイツ語で戦士の事。
- MS-15[EXAM] ギャン(EXAM搭載型)PCゲーム『ガンダムネットワークオペレーション』が初出。MS-08TX[EXAM] イフリート改をイメージした機体。ニムバス・シュターゼンがクルスト博士の逮捕に成功し、ギャンの量産が決定すると生産される。
脚注[]
- ↑ 1.01.1機動戦士ガンダム公式Web「メカ-ジオン軍-ギャン」
- ↑ バンダイ・マスターグレード「ギャン」解説。
- ↑ TV版「機動戦士ガンダム」第37話。出撃前のマ・クベとウラガンの会話より。
- ↑ TV版第37話、テキサスコロニー港湾ドックでの会話より。
- ↑ TV版第19話「ランバ・ラル特攻」終盤の戦闘。『THE ORIGIN』でもビーム状のサーベルを装備している。
- ↑ 別冊宝島『僕たちの好きなガンダム』シリーズのギャンの解説頁より。
- ↑ 講談社「SFプラモブック(1)機動戦士ガンダム」
- ↑ これはHGUCモデルのカトキハジメによるアレンジに由来する誤解であり、大河原邦男による決定稿ではゲルググなみにボリュームがある。このアレンジについて、HGUCモデル発表当時の「ホビージャパン」では「マ・クベのイメージが投影されたためではないか」との説を挙げていた。
参考文献[]
- 機動戦士ガンダム公式Web「メカ-ジオン軍-ギャン」
関連項目[]
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