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重機動メカ(じゅうきどうメカ)とは、スーパーロボットアニメ『伝説巨神イデオン』に登場する、架空の兵器。敵対勢力「バッフ・クラン」が主に使用するリアルロボットに分類されるロボット兵器である。基本的にデザインはラフが富野喜幸、フィニッシュワークが湖川友謙で、一部はサブマリンによる。
テンプレート:ネタバレ
「重機動メカ」はバッフ・クラン軍が使用する機動力に優れた大型戦闘用機械であり、基本的に有人制御の機体である。最小のもので40メートル前後、最大では150メートル以上と、リアルロボットの中ではそれまで前例の無い巨大さである。例えばガンダムシリーズの中で巨大とされるサイコガンダムやビグ・ザムでも約40~60メートル級の規模であり、桁違いのサイズと言える。
性能も作中に出てくるほかの兵器よりも群を抜いていた。ただし稼働時間は戦闘機並とされており、作戦行動には母艦を必要とした。もっとも、搭載する母艦は数百メートルクラスが主流となっており、大型の重機動メカは1隻あたり数機の搭載が限界だったようである。母艦内には手足を折り畳んで搭載する。
バッフ・クランは、いわゆる人型のロボットという概念が存在しないとされる。このため、イデオンを指して「巨神」と表現していた。重機動メカは戦闘ロボットというよりも、建設用の大型機械の延長、あるいは戦闘機の大型化など、さまざまなデザインコンセプトの機械を戦闘用に発展させたものである。番組後半に登場した対イデオン用の機体などは特殊ビームの発射用として特化したりと、従来のロボットデザインの概念に縛られない柔軟な発想が見てとれる。
デザインコンセプトとしては、いわゆる純粋な人型が一切存在しない。イメージ的には海洋軟体生物(クラゲ・ヒトデ)や、古典的なタコ型火星人の侵略兵器である「トライポッド」の影響が大きいのも特徴である。特に三脚型のデザインは、『ヤマトよ永遠に』の掃討三脚戦車のような例はあるが日本アニメでは珍しく、画期的だった。
異星で発見された古代文明の遺した超絶的なパワーを持つ「イデオン」、そのイデオン奪取のためにバッフ・クランが送り込む多数の重機動メカとの死闘は、それまでのロボットアニメ史で1、2を争うスケールのバックグラウンドに彩られた物語だった。また、いわゆるスーパーロボットの範疇に入る「イデオン」とリアルロボットである重機動メカとが戦闘するという、「スーパーロボットvsリアルロボット」の構図を描いた初の作品である。
このような巨大ロボット群をことごとく撃破、時には惑星ごと殲滅するため、イデオンがどれだけ超越したロボットか、わかりやすく描写されている。その代償として、スケールが巨大すぎてジオラマにしにくい、人型メカでないのでヒーロー性に乏しいなど、プラモデルをはじめとするキャラクターグッズの売れ行きが伸びず、『ガンダム』のような商業的成功を収めることができなかった。
因みにこれら重機動メカの異形のデザインの他、バッフ・クランメカにはビームやミサイルの他、ワイヤー誘導のクローやハーケンという武器の使用例が多く、こういったメカ描写と戦闘描写には『聖戦士ダンバイン』のメカ戦に受け継がれていったという解釈もある。また、無数のミサイルとともに俊敏に動くさまは、板野サーカスと呼ばれ『マクロス』で完成している。
全長 | 48m |
重量 | 3215t |
エンジン出力 | 63000t/df |
乗員 | 1名 |
主な搭乗者 | コドモン・ムロン |
武装 | 大型加粒子ランチャー 小型加粒子ランチャー×2 8連装ミサイルランチャー 3連装ミサイルランチャー×2 ハーケンランチャー |
登場話数 | 29~34、36、38、39話 |
第29話「閃光の剣」で初登場。通常の重機動メカより小型で、高い機動力を誇る。テレビシリーズ放映当時に発売されたプラモデルでは重機動メカにカテゴライズされているが、後の書籍では重機動メカとは区別し「機動メカ」もしくは「高機動メカ」としている場合が多い。
機体のほとんどを大口径の加粒子砲とエンジンが占め、突き出した有視界のキャノピー付きコックピット、そして本体に比較すると非常に細く延びた脚部を付けたような構造であり、高出力、高機動、高火力をイメージするデザインである。実際劇中でも、その軽量と高機動力を活かし、一門ではあるが大口径の加粒子砲による一撃離脱を主戦法としていた。また、加粒子砲の砲門にはワイヤークローが装備されており、電撃攻撃も可能である。
ガンガ・ルブなどの重機動メカと比べ、一機当たりの戦闘力は低い。ただし、兵器としての完成度・洗練度は数段上で、一戦場に数十機から数百機が投入されている。その意味でも、一対一が多かった重機動メカとは扱いが違う、と言える。その圧倒的な数と、高機動を生かして対象物に肉薄しての加粒子砲による攻撃はイデオンを苦しめた。第32話ではモエラ、第38話ではギジェと、共にBメカのパイロットを戦死させている。
劇中、バッフ・クランのカララ・アジバが「テストを見たことがある」と発言していることから、イデオン出現前に開発が開始されたものと推測される。機体の色は緑主体。
他の重機動メカと比較して小型で俊敏な機体として描かれているが、一体あたりはおよそ『機動戦士ガンダム』のビグロ(約45メートル)相当の大きさを誇る。
戦闘シーンの作画は、当時は原画として駆け出しだった板野一郎が担当し、多数の機体が画面を縦横に飛び回るシーンを圧倒的な迫力で描き出した。イデオンから多数発射されて各々がホーミング機動を行うミサイルと、それらを紙一重でかわしつつイデオンに肉薄するアディゴの図は非常に印象的で、イデオンの「ミサイル一斉発射」と共に、後に華麗な機動描写で知られる「板野サーカス」の原点ともいえるメカである。因みに加粒子砲の発射音は、ジオングのメガ粒子砲のそれと同じである。
全長 | 83.7m |
重量 | 12340t |
エンジン出力 | 175000t/df |
乗員 | 不明 |
主な搭乗者 | 不明 |
武装 | 吸盤付ワイヤー×6 バリアー発生装置 |
登場話数 | 31話 |
第31話「故郷は燃えて」に登場。ルクク・キルの艦隊に補給・配備され、イデオンに対して使用された。機体に手足および目立った武装はなく、前面にある6基の吸盤+ワイヤー状の装置を発射、目標に吸着させることができる。その装置で目標のエネルギーを吸収して、機体後方にある4基の装置から放出、相手にエネルギー切れを起こさせる兵器である。イデオンに対して装置を使用した結果、イデオンはパワーダウンを起こして行動不能に陥り、危うくバッフ・クランに捕獲されかけた。しかし、カララ・アジバおよびギジェ・ザラルによるジョーダン・ベスおよびユウキ・コスモ救出作戦の成功に喜んだ(?)イデオンは、その無限力をいかんなく発揮、アブゾノールはオーバーフローを起こして爆発した。なお、機体全面にバリアーを発生させて、イデオンのミサイル攻撃を防いでいた。機体の色は淡褐色主体。
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全長 | 124m(合体時) 42m(1、3号機) 65m(2号機) |
重量 | 11000t |
エンジン出力 | 180000t/df |
乗員 | 3~9名 |
主な搭乗者 | ギジェ・ザラル ダラム・ズバ |
武装 | ゲル結界発振機 速射加粒子ランチャー×6 10連装ミサイルランチャー ワイヤー付きクロー2基(1、3号機) |
登場話数 | 26〜28、30、34、37話 |
第26話「死闘・ゲルの恐怖」で初登場。対イデオン用に開発された機体で、ダラム艦隊に三機が配備された。上中下の三体に分離する事ができ、合体形態では生物の脳細胞を破壊するゲル結界を発生する事が出来る。ゲル結界は、イデオンと正面から闘うのではなく、パイロット達を直接攻撃するもので、コスモたちはこの機体を「頭痛メカ」などと呼んでいた。機体には手足のようなものはなく、あたかもモビルアーマーの様な戦法を取ったことなどからも、他の重機動メカとは一線を画している。後に量産型も登場している。コックピット部分は脱出用内火艇となっていた。後にイデオンにゲル結界に対するバリアが生じ始め、前線から消えていった。
サブマリンのラフでは、1号機(もしくは3号機)に腰と二本足がくっついたようなデザインだったが、富野により大幅にシルエットを変更されての登場となった。
全長 | 128m |
重量 | 7080t(ガンガ・ルブ) 7090t(ガンガ・ルブ・リブ) |
メインエンジン出力 | 98000t/df |
サブエンジン出力 | 46000t/df |
乗員 | 1~3名 |
主な搭乗者 | ギジェ・ザラル ダラム・ズバ |
武装 | 加粒子ランチャー×6 速射加粒子ランチャー×12 格闘用クロー 5連装パワードランチャー バリヤー |
登場話数 | 21、23〜25、34、36、39話 |
第21話「敵戦艦を撃沈せよ」で初登場。オーメ財団によって開発され、財団のダラム・ズバ率いる私設軍に三機が配備された。機体の大きさがイデオンを超えた最初の重機動メカ。バッフ・クランではじめてバリアーを装備した機体でもある。右がクロー、左がハーケンや実体弾を発射する多目的ランチャーを装備した計2本の腕と、3本の脚を持つ、ドグ・マック以来の重機動メカとしてはオーソドックスなレイアウトを採用している。
一方で、正規軍開発の重機動メカが曲線を多用したどこか有機的なデザインなのに比較し、同様にオーメ財団が開発した戦艦ガブロ・ザンと共通する平面基調のメタリックなイメージのデザインである。大きさに相応しくジグ・マックの1.5倍という高出力を誇り、格闘戦においてはイデオンを蹴り飛ばしている。
第23話「戦慄・囮の星」では、バリアーを崩す素粒子「ドノ・バン」のビームを使用してイデオンを苦しめたが、その後の話では使用されなかった。機体の色は紫主体。
コックピットは脱出ポッド(兼作業ポッド)を兼ねていたが、劇中で2つの形状が確認されている。さらに別形状の、脱出用内火艇もあった(第25話に登場)。後にバッフ・クラン軍に正式採用された量産型ガンガ・ルブ・リブが登場している。外見上はガンガ・ルブと差違はみられない。
本作で、他のメカと比較して圧倒的な存在感を持っていたため、以降イデオンに対する事実上のライバルメカのような扱いを受ける事になる。サブマリンによるデザイン準備稿もあったが採用されていない。
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全長 | 137m |
重量 | 9230t |
エンジン出力 | 183000t/df |
乗員 | 3名 |
主な搭乗者 | ハンニバル・ゲン メバルル・クオウ |
武装 | 対空速射加粒子ランチャー×24 21連装ミサイルランチャー×30 ワイヤー付きクロー4基 |
登場話数 | 33〜35話 |
第33話「ワフト空域の賭け」で初登場。二体一組で合体することができ、合体形態をギド・マック・ドゥという。マニピュレータはなく、大型2基、中型2基のワイヤー付きクローを装備。イデオンと互角のパワーを持っていたらしく、クローで掴んで引きずりまわす、という戦法をとっていた。機体の色は緑主体。
高い機動性が武器であり、その素早い動きでイデオンを翻弄し、35話ではイデオン側のミサイルに追尾されてもそれを振り切り、逆にそのミサイルをイデオンに送り返すといった離れ業も見せた。
全長 | 71m |
重量 | 5820t |
エンジン出力 | 84000t/df |
乗員 | 2名 |
主な搭乗者 | ギジェ・ザラル ナブロ ダミド・ペッチ |
武装 | 加粒子ランチャー×3 高速ミサイルランチャー×2 |
登場話数 | 7、9、21話 |
第7話「亜空間脱走」で初登場。劇中初めて登場した重機動メカであり、イデオン出現以前から存在した。亜空間戦闘を想定して建造されており、旧式ながら亜空間戦闘に不慣れなイデオンを苦しめた。21話「敵戦艦を撃沈せよ」で登場した際、パワーアップしたイデオンに対抗できず、簡単に撃墜されている。ミサイルランチャーを備えた2本の腕と、3本の脚を持つ。機体の色は薄緑色主体。デザインはサブマリンによる。
全長 | 156.6m |
重量 | 8661.9t |
エンジン出力 | 不明 |
乗員 | 2〜3名 |
主な搭乗者 | ハルル・アジバ キラルル トロロフ |
武装 | 高速加粒子ランチャー×2 速射加粒子ランチャー×6 ミサイルポッド 格闘用クロー×2 |
登場話数 | 伝説巨神イデオン 発動篇 |
劇場版「伝説巨神イデオン 発動篇」に登場。ガンガ・ルブの発展強化型である。直線的なデザインのガンガ・ルブとは打って変わり、どこか女性的なイメージの曲面のみで構成されたデザインである。2本の腕(左右ともクロー)、3本の脚を持つ。また、腕は橈骨・尺骨に、脚は脛骨・腓骨に分かれるなど有機的で非常に特徴的なデザインである。機体の色は、バッフ・クランでは「徹底抗戦」を表す白。強力な加粒子砲およびクローを持ち、イデオンやソロ・シップを苦しめた。劇中で、バッフ・クランが最後に投入し、イデオンが最後に交戦した重機動メカとなった。前線にはほとんど投入されずその多くがガンド・ロワ周辺に配備された。コックピット部分は脱出用内火艇となっていた。劇中ではハルル自らが侍女二人と共に搭乗してイデオンに挑むも、イデオン・ガンにより破壊された。また終盤の戦闘で一機がイデオンに特攻をかけ、ガンド・ロワの一撃の道連れとすることに成功した。デザインは湖川友謙が手がけた。
全長 | 99m |
重量 | 6230t |
エンジン出力 | 103000t/df |
乗員 | 0〜3名 |
主な搭乗者 | グハバ・ゲバ ジルバル・ドク ダミド・ペッチ ギジェ・ザラル |
武装 | 大型加粒子ランチャー×6 格闘用クロー×2 |
登場話数 | 11〜18、25、27、34、36、37、39話 |
第11話「追撃・遺跡の星」で初登場。バッフ・クラン軍が対イデオン用に開発した汎用重機動メカである。後に脱出カプセルを搭載した量産型が登場し、その汎用性の高さから後継機の登場後も度々使用されている。クローを装備した2本の腕と、2本の脚を持つ。機体の色は薄茶色主体。強力な加粒子砲およびクローでイデオンに何度も大きなダメージを与えており、18話ではイデオンの左足を切断している。第17話「激闘!猿人の星」において、機体下部からソロ星で発見された謎の粒子「ドノバン」の粉末を散布し、イデオンに対する「バリアー崩し」攻撃を行った。第27話「緊迫の月基地潜行」では、自動操縦でイデオンおよび月面基地「ムーンランド」を攻撃した。
劇中登場回の多さから『機動戦士ガンダム』におけるザク的なポジションのメカとも言える。サブマリンによるデザイン準備稿もあったが採用されていない。
全長 | 79m |
重量 | 6210t |
エンジン出力 | 84000t/df |
乗員 | 2名 |
主な搭乗者 | ギジェ・ザラル ナブロ アバデデ・グリマデ |
武装 | 大型加粒子ランチャー×2 ミサイルランチャー 格闘用クロー 電磁ムチ |
登場話数 | 第8話、第10話 |
第8話「対決・大砂塵」で初登場。大気圏内戦闘用に開発された。イデオン出現以前から存在した重機動メカ。右がクロー、左が電磁ムチの計2本の腕と、3本の脚を持つ。コックピットを作業ポッドとして使用することができる。機体の色は青主体。イデオンに比べてかなり小型の重機動メカで、クリスタルスターにおいてバジンを利用した戦法でイデオンを窮地に追い込んだが、それ以外はイデオンに目立った損害を与えられなかった。アバデデ・グリマデの愛機だった。デザインはサブマリンによる。
全長 | 83m |
重量 | 7180t(外殻装備時) |
エンジン出力 | 103000t/df |
乗員 | 1~2名 |
主な搭乗者 | ドッパ・ブフ キヤヤ・ブフ |
武装 | 加粒子ランチャー×12 ミサイルランチャー×27 格闘用クロー×2 |
登場話数 | 第19話、第20話 |
第19話「ギャムス特攻命令」で初登場。大気圏内戦闘用に開発された重機動メカで、球形の外殻を被っているのが特徴。外殻を装着すると、脚部およびメインスラスター以外は外殻の中に隠れる。クロー装備の2本の腕と、2本の脚を持つ。ミサイルランチャーは外殻のコブに装備されていた。劇中では、外殻を装着して、体当たり攻撃を行っていた。19話ではその際、相手に強電磁界攻撃を使用した。機体の色は緑主体。本体頭部にはコックピット兼脱出ポッドが内蔵されていた。サブマリンによるデザイン準備稿もあったが採用されていない。
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