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ザクレロ (ZAKRELLO) は、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』に登場する架空の兵器。
ジオン公国の宇宙戦用試作型MA(モビルアーマー)。
この記事では、そのバリエーション機についても記述する。
テンプレート:ネタバレ
テンプレート:機動兵器MIP社により、キャリフォルニアベースにおいてビグロやグラブロに先駆けて開発された宇宙戦用MAである。数度に渡る設計変更や開発メーカーの不手際などが重なり、大幅に遅れて完成した。高速で移動し、拡散メガ粒子砲で敵機を撃破、および敵の視程外から強力な加速力で勢いをつけ、大質量と相対速度を利用してすれ違いざまに巨大なヒート・ナタで敵機を叩き切る(要領としてはプロレス技のラリアットのように)というコンセプトで開発に着手した。そのため機体下部の2基の大型バーニアユニットにより推進し、そのバーニアユニットの前部と機体後部に2基ずつ設けられた姿勢制御バーニアで機体を制御する。推進力はあったが機体の運動性能の向上は望めなかったため制式採用には至らず、宇宙空間でのテストを前に開発途中で放棄された。軍が機体性能に疑問を持ったため型式番号を与えなかったとも言われていたが、その後MA-04Xという型式番号の存在が広く知られている。なお、一年戦争当時のビグロ等の標準的なMAに較べれば小型であり、後記する外見も含め異彩を放つ存在である。
機体中央に拡散メガ粒子砲を装備し、射角が大きいため命中率は高いが射程が短いという欠点を持つ。拡散(偏向)型を採用したのは収束型メガ粒子砲を実用化する前の段階で開発されたためと考えられる。なお、搭載されたパワーコンデンサーにより連射が可能だった。この技術は後に移動砲座スキウレに流用されている。偏向器の形状と合わせ、複眼式のメインカメラによって顔面のような奇怪な形状となっている。しかし、側面及び上側からみると、あたかも20〜21世紀の戦闘機から翼を外したような精錬されたスタイルをしており、メインカメラも機体後部付近まで延びており全方向の視界が期待できる(「ガンダムFACT FILE」より)。
腕部はAMBACとして機能するとともに先端に格闘戦用のヒート・ナタを装備する。これはヒート・ホークの技術を応用したものである。また、機体側部には4連装ミサイルランチャーを2基装備する。
開発放棄後は各種武装のテストベースに用いられ、キャリフォルニアベース第3テストセンターで拡散メガ粒子砲のテストが4回行われている。その後、ザンジバル級機動巡洋艦に搭載され、フロリダのケープカナベラル宇宙基地からジオン本国へ送られることになったが、その途中で無断出撃により失われている。大気圏外でのテストを行う予定だったが、搭載後に急遽廃棄が決定したとも言われている。
ホワイトベースが再び宇宙へ上がった第31話にて、トクワン大尉がシャアにビグロを披露した際、彼の説明の中に「ザンジバルに搭載されている、試作段階で放棄されたMA」の存在についての言及があった後、32話の冒頭にて遂にその全貌を現した。ザクレロのテストパイロットでもあったジオン軍兵士のデミトリー曹長が、先にビグロに搭乗して戦死した上司トクワンの敵討ちのため、指揮官であるシャア・アズナブルに無断で搭乗し単機で出撃。黄色のボディーカラーで、デミトリーのパーソナルマークである射抜かれたハートが左肩を飾っていた。その個性的なフォルムと機動性を生かし、ヒート・ナタでハヤトのガンタンクの胴体中央付近にダメージを与え、GファイターのBパーツ(後部パーツ)を装着したガンダムのヒジ関節部を破壊するなど善戦したが、結局はアムロに動きを読まれ、メインエンジンにビームサーベルを突き刺されてあっけなく撃破されている。
シャアはトクワンの報告を聞いていたにもかかわらず、デミトリーの出撃をとりなすマリガン少尉へのザクレロの存在を聞いていないという台詞があり、撃破された後も惜しむ素振りすら見せなかった。これらシャアの劇中での対応に加え、劇場版では登場シーンが全てカットされた。TVアニメ『機動戦士Ζガンダム』では、地球降下作戦時の未確認機(メッサーラ)の照合の際、一瞬モニターにワイヤーフレーム図面が表示されている。
メカデザインが変更されて登場する作品もあり、劇場アトラクション『GUNDAM THE RIDE』では、ア・バオア・クー宙域に出現するメデューサ隊機(大河原による描き下ろしデザイン)にはレーザー発射口にシャッターが付いていた。また、漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、量産MAとして多数ソロモン宙域に配備されている。背中とブースター前面の小型ミサイルランチャー(設定では姿勢制御バーニア)、普段は閉じている口に装備された拡散ビーム砲によって、ジム部隊と互角以上にわたり合った。「オデッサ編」では、核弾頭を搭載した当機に酷似した爆撃機も登場している。ゲーム『SDガンダム GGENERATION SPIRITS』『GGENERATION WARS』では、「ガンダムFACT FILE」にて掲載された鋭角的なリファイン版のデザインで登場している。
短編小説集『ガンダムNOVELS―閃光となった戦士たち』に収載されている『道化師たちの夜』では、ザクレロ開発に多額の援助をしていたジオン公国の名家ヨッフム家の様子が描かれている。
漫画『Gの影忍』では、戦いの虚しさに気付き世捨て人となった元兵士が搭乗、両腕の鎌を用いて小惑星に仏像を彫っていた。
パロディ作品では恰好のネタキャラクターとして重宝される傾向にあり、「SDガンダムシリーズ」では、関連コミック等でオチとして登場する機会も多い。『SD戦国伝』シリーズの「千生将軍」「うっかりざくれろ」、『SDガンダム外伝 ジークジオン編』の「ザクレロキャット」等、一目でそれとわかる特徴的なビジュアルを生かしたバリエーションキャラクターも多数生み出された。また、漫画『トニーたけざきのガンダム漫画』では、カラーリングが赤でツノの付いたシャア専用ザクレロが登場(搭乗者はデミトリー)。シャアには「作った人間の顔が見てみたい」と馬鹿にされ、セイラには「ジオン軍のびっくりどっきりメカ」と驚かれた。劇場版準拠のブライトたちにザクレロの存在自体を否定され、デミトリーは「俺はこの世にいない人間なのさ」と言って涙している。
また『模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG』第3話にて、量産型ザクをコアユニットに、ガンダム0083に登場したガンダム試作3号機の追加装備であるオーキスの様な形態で登場した。
ザクレロは、監督の富野由悠季がスポンサーと喧嘩して、「モデル化するならやってみろ」と、このようなデザインになったという説がある。ただし、『機動戦士ガンダム』の敵メカの商品化は放映終了から半年後の事で、ザクなども商品化を前提とせずにデザインされている。なお、登場回の脚本を手がけた松崎健一は、無理矢理この機体の活躍シーンを富野に書き加えられた怒りから、のちに「どうしようもないオモチャ」と酷評している。
ザクレロの型式番号は、劇場版では登場しないためかつけられることはなく、アニメ雑誌ではMA-04という番号がつけられていた。直後の『MSV』においては型式番号がなかったことにされていたが、1980年代後半頃に試作機のXを入れた型式番号「MA-04X」が再度設定されている。また両腕の鎌は、元々はアイアンネイルのような通常の刃物という設定だったため、劇中で鎌が高熱化及び発光する描写は見られないが、後にヒートナタという設定になっている。
書籍『MS ERA 0001〜0080 ガンダム戦場写真集』に登場するジオン公国軍が開発した試作MA。
MA-04X ザクレロに比べ大幅な改良が施された機体で、ツインアイならびに牙は単なるマーキングとして処理されており、新たにモノアイシステムが搭載されている。また、両手の武装はヒートナタからヒートホークへと変更されている。機体色は白にカラーリングされ、左肩には射抜かれたハートに「HEART BREAKER」の文字が入ったエンブレムが施されている。
本来は、『0080』当初のコンセプトの「当時の時代性に合わせてのリファイン」に基づいて再デザインされたもの。
ゲーム『SDガンダム GGENERATION』シリーズに登場するアクシズが開発したニュータイプ専用試作MA。
アクシズへ逃れたフラナガン機関スタッフが開発した機体で、MA-04X ザクレロの流れを汲んでいる。メガ粒子砲やオールレンジ兵器ビット、それを運ぶトランスポーター・ビットが搭載しており遠距離攻撃性能に優れている。しかし計画プランの段階でキュベレイに敗れ、製造には至らなかった。
美術展『GUNDAM―来たるべき未来のために―』にて設定されたMA。フラナガン機関がニュータイプの戦闘能力を確認するために試作を提案した、ザクレロの改造機である。型式番号MSN-00Xと「バチザード」の愛称が与えられたが真偽は不明で、機体が実際に製作されたかどうかも定かではない。
MSパイロットの反応速度に関する研究の過程でニュータイプらしき兆候を示す者が見出されたことから、フラナガン機関では彼らの軍事利用についても研究するようになり、そのための実験機の開発が計画された。対象者の多くがまだ若く、軍人としての訓練を受けていなかったため、機体の操縦は本職のパイロットに任せ、攻撃のみを担当させる複座式とすることが考えられた。なお、この設定ではザクレロはもともと複座式だったとしている。
本来ならば専用機を一から開発するのが望ましかったが、戦況と研究予算の両面で余裕がないため、未完成のザクレロ型試作機をベースに改造することになった。主な改造点は以下の通りである。
前述の美術展の展示物に「フラナガン機関の実験施設を再現した」と称するものがあり、そこに置かれている実験結果に関するレポートの中でこの機体の開発コンセプトが紹介されている。また、この展示物では実験自体も再現しており、見学者が被験者として参加することができた。なお、会場で販売されたカタログは、フラナガン機関研究員のカンカンゼ・ソルベウンムがキシリアに提出した論文という設定で本機の設計についての詳細が解説されている。
メカニックデザイン企画『MSV-R』で登場。形式番号はMAN-00X-2。
ニュータイプ専用MA・ブラウ・ブロの小型量産機を目的とした機体で、MS-06ザクIIをベースとしたMS-06Zサイコミュ試験用ザクと並行してわずか1ヶ月ほどでザクレロの試作機より改造された。運動性・加速性能に難があり正式採用が見送られたザクレロであるが、サイコミュ機のベース機として選ばれたのは、サイコミュ機にはそれほどの高機動性が要求されないことと、本機のパワーコンデンサーの性能が良好だったためとされている。完成した機体はフラナガン機関においてニュータイプパイロットのサイコミュ練習機として運用された。複座式で、ニュータイプパイロットでなくとも複数名での武装使用が可能であることから、一年戦争末期にはア・バオア・クーの防衛部隊に配置転換され、一般兵による運用がなされた。
武装は、ベース機であるザクレロにあった口部の拡散粒子砲と腕部のヒートナタに加え、後部にブラウ・ブロの有線ビーム砲を小型化したものを2門装備している。更に、ア・バオア・クーに配備される際に腕部ヒートナタはMS-16ジオングと同様の有線アーム式のヒートナタへと改造された。公開された画稿は改造後のものだけで、フラナガン時代の詳細は戦後も長く明らかにならず、謎が多い機体とされている
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