ペギー【王国の宝珠】
概要
呼称 |
・王国の宝珠 ・お姫様 |
陣営 | ブライト王国 |
種族 | ヒューマン |
年齢 | 13歳 |
身長 | 140㎝ |
趣味 | 注目を浴びること |
好きなもの |
・キラキラ光る巻き貝(ラークからのプレゼント) ・何でも話し合える友達 |
嫌いなもの |
・孤独 ・断られること |
故郷 | 王国の王宮 |
現在地 | 世界各地を旅行中 |
現在の身分 | ブライト王国で最も幼いお姫様 |
関連人物 |
【婚約者だったチビ助】 ・ロワン 【お友達】 ・ラーク 【親友】 |
ストーリー
『エスペリア童話選集』
ーー第10章 お姫様の冒険記
むかしむかし、
とてもわんぱくな子どもが住んでいました。
その子の名前はラーク。
森の中の『ナッツシェル』という
洞窟で暮らしてーー
「パパ、そのお話はもう聞き飽きたわ!」
おもしろいお話を期待していた女の子は、
頬を膨らませて不満げに言う。
女の子は両脇に年をとった猫を抱えながら
ウトウトとしていた。
「よしよし、わかった。
それじゃあ、新しいお話をしてあげよう」
男は優しく女の子のほっぺをつねると、
『とあるお姫様の話』を始めたのだった。
ーーむかしむかし、
ペギーというお姫様がいました。
そう、ラークのお話に出てくるあのお姫様です。
この日、誕生日を迎えたペギーは、
お城で盛大にパーティが開かれていました。
だけど、ペギーはずっとソワソワしていて、
あまり楽しそうではありません。
パーティが終わると同時に、
ペギーは急いで部屋へと戻っていきました。
ドアに鍵をかけたペギーは、
さっそく動き出します。
物音を立てないように部屋中のベットシーツと
カーテンを結んで長いロープを作り、
窓の外に放り投げました。
そして、しばらく部屋の中で
時がくるのを待っていたのです。
「行くわよ!」
ペギーはクローゼットの中で眠っていたラークを
起こして言いました。
「みんな眠っているはずだから、
今のうちにここを離れるの!」
「離れるって? どこに?」
ラークはまだまだ夢心地のようで、
寝ぼけ眼のまま引っ張り出されました。
「あんたの家で遊ぶのよ!
森の中で大岩とかけっこ競争して、
きのこのスープを飲んで、ロワンのやつを
ぶん殴ってやるんだから!」ーー
「パパ!」
女の子は男のお話を中断させた。
「ロワンって、ロワンおじさんのこと?」
「ははは。そんなことは気にしなくていいんだ」
男は優しく笑いながら話した。
「このお話に出てくるロワンが誰であろうと、
彼はこの物語の主人公じゃないんだから。
それじゃあ、お話の続きをするよ」
ーーペギーはラークが贈ってくれた巻貝を
腰に付けていました。
だけど、ロープをつたって降りるため、
落としてしまうのではないかと心配でした。
大事な贈り物を落とすわけにはいきません。
ペギーは巻貝を結んでいた紐を締め直しました。
「海に行くのもいいわね、
私、まだ海を見たことないし!」
ようやく目を覚ましたラークは、
ペギーの話を聞きながらお腹をなでました。
実を言うと、ラークはこのお城が
かなり気に入ってたのです。
たくさんの美味しい食べ物があるし、
クローゼットの中には、
ふわふわで暖かい服もある。
自分で食べ物を見つけたり、
草むらで眠ったりすることもないので、
とても心地よかったのです。
ラークは頭を抱えて考えました。
だけど、友だちが自分の故郷で
遊びたいと願っている。
友だち思いのラークは、
ペギーの願いを叶えようと思い直しました。
「よし、一緒に行こう! でもその前に……」
ラークは舌を伸ばして鼻を舐めて……。
「誕生日に食べた、
あの柔らかい物ってなんだっけ?」
……ーー
キッチンにやってきたラークは
お腹いっぱいクリームケーキを食べて、
透明な檻にいっぱい詰め込み、
最後に1ピース頬張り、
ペギーと一緒に城の外に脱出しました。
時は夜。
城は静まり返っていて、
見張り兵士の足音だけが
ガシャガシャと聞こえていました。
シーツとカーテンをつなぎ合わせたロープを
しっかりつかみながら、
ゆっくり、ゆっくりと降りていきます。
ギシギシと音を立てながらも、
なんとかロープは2人の重さに耐えていました。
だけど、出発前にラークは
ケーキをたくさん食べています。
ラークの重さのせいか、
結び目がだんだんと解けていくのが
ペギーの目に入ってしまいました。
「げっ! ゆっくり降りてたら
ロープが解けてしまうわ!」
「い、いそげぇ~~~」
ペギーの足がもう少しで地面に届きそうな
その瞬間、
2人が焦って急に動き出したためか、
ロープの結び目が解けてしまったのです。
「ぎゃっ!」
ドスンという尻もちをついた音と、
思わず出てしまった声に、
見張りの兵士が気づいてこちらに走ってきます。
2人は慌てて起き上がり、城の外壁を越えて
外の世界へと逃げていきました。
……ーー
城の外はペギーの想像よりも
遥かに広い世界でした。
ユグドラシルとの境には、
まるで白いシルクのような濃い霧が
行く手を阻むように広がっています。
この森に住む者たちは外の人間のことが
あまり好きではありません。
だから、森に入ったものは幻を見せられ、
いつの間にか森の外に追い出されると、
ラークはペギーに教えてあげました。
でも、ラークはどんと胸を叩きます。
「ペギーはボクの友だちだ。
ユグドラシルは友だちが好きなんだぜ!
ボクのあとをついてくれば、きっと大丈夫!
だけど気をつけろ~!
勝手に何か拾って食べたらダメだぞ!
特にキノコは絶対ダメ!」
「わかったわ!」
そう言って2人は森の中に入っていきました。
だけど……しばらくすると、
ラークの後ろを歩いていたはずのペギーが
道に迷ってしまったのです。
周りは真っ白な霧で何も見えず、
どこに行けばいいのかわかりません。
「ここで何をしているの? 僕のフィアンセ」
なんと、ペギーの元から逃げ出した
婚約者のロワンが濃霧の中から
突然現れたのです。
そして、ペギーの前に片足で跪き、
花束を手渡しました。
「一緒に家に帰ろう。
僕たちはまだ結婚式を挙げてないじゃないか」
ロワンの姿を見たペギーは、
ためらいなくロワンの頬をひっぱたきました。
「あんたよくも逃げ出したわね!?
私のほうがあんたなんかお断りよ!
しかもなんなの、そのくさ~いセリフ!
会ったこともないくせに! このチビ助!
あんたなんかこうしてやるわ!」
勝手に婚約者を決められて許せないのは
ペギーだって同じでした。
だけど、ロワンのほうが先に逃げ出したので、
絶対にとっ捕まえて、
ひっぱたいてやろうと思っていたのです。
ペギーがロワンを叩き続けると、
すぅっと霧のように消えていきました。
すると、ペギーの周りはひまわりが
たくさん倒れていました。
どうやら森に幻を見せられていたようで、
ペギーが叩き続けていたのは、
ロワンではなくひまわりだったのです。
ペギーの手のひらは、赤く腫れていました。
「姫様、品がありませんよ!」
濃い霧の中からまた人が現れました。
姿を見せた、とても品のある老婦人は、
ペギーのマナー講師でした。
「スカートを上げてはなりません。
すぐに怒る性格も直さないといけません。
それから小股でゆっくり歩いてください」
「そんなの知らないわよ!」
ペギーは舌を出し、変な顔をしてみせます。
そして、足元は泥だらけでぬかるんでいて、
野草も伸び放題だったので、
ペギーはスカートの裾を結び上げました。
「これなら動きやすいわね!」
勢いよく駆け出したペギーは、
マナー講師の幻を突き抜け、
さらに濃い霧の奥へと走っていきました。
すると、目の前に大きくて
まん丸なお腹が現れて、
避けきれなかったペギーは
ぶつかって尻もちをついてしまいました。
「人々は端正で聡明な姫様を望んでいるのです。
あなたにはそれができますかな?」
目の前に現れたのは大臣でした。
大臣は張り付いたような笑顔で話しかけました。
ペギーはいろんな決まり事を
他人に押し付けるばかりで
自分は何ひとつ約束を守らない
この大臣が好きではありませんでした。
「父君を失望させないでいただきたいですな」
嫌な顔を浮かべながら話を続ける大臣に、
ペギーはムッとして
文句を言ってやろうと思いました。
だけどその時、
とても見覚えのある人影が
ペギーの目の前に現れました。
それは父であるブライト王国の
国王だったのです。
「パ……パパ……」
国王を見たペギーは黙ってしまいました。
ハッとしたペギーは自分の姿を見て、
慌てて結んでいたスカートを解きます。
「かわいい娘や。
どうして城から逃げ出して
このような危険な場所に来たのだ。
私がなにか悪いことでもしてしまったのか?」
国王は怒ることなく、
優しい声でペギーに話しかけました。
「お前のやっていることに
どんな意味があるというのだ?」
『どんな意味があるのか?』
これは大人たちがよく聞いてくる質問でした。
ペギーはいつもこの質問に答えられません。
それにこの質問に対して
答える必要も感じていませんでした。
ペギーは軽く拳を握り、
ムッとした顔で見上げるとこう話しました。
「意味なんてないわ!
それがどうしたっていうの?」
その言葉に答えるように、
突然強い風が森の中を吹きつけます。
すると、マナー講師も大臣も国王も
みんな吹き飛ばされていきました。
そしてユグドラシルは
本当の姿をペギーの前に現したのです。
歩く大岩、呼吸をするキノコ、
貝殻で一杯の砂浜、そして大きな海!ーー
「パパ、お姫様のパパは悪者よ。
だってお外へ遊びに連れて行かないもの。
それに知らない人と結婚させようとしたりして。
本当に悪いパパね!」
話を聞き終わった女の子は
お姫様がかわいそうだと訴える。
そして、眠そうにあくびをしてから、
男に向かって口を開いた。
「眠いから、私もう寝るね!」
「えっ!? ちょ、ちょっと待って。
話はまだ終わってないよ!」
男は女の子を起こし、話を続ける。
ーー海ではしゃいでいるペギーは
まだ知りませんでした。
近くの森の中から何人かの王国衛兵が
ペギーのことを見守っていることを。
「おい、居眠りなんかするなよ?
国王の命令なんだ。
姫様に気づかれずに彼女を守るんだ!」
「お前のせいだぞ!?
変なキノコのスープを飲ませやがって。
そのせいで気づいたら
羊を抱えて逆さ踊りをしていたんだ!
あんあ恐ろしい幻覚を見るなんて……。
蝶の羽の女の子が助けてくれなかったら、
今頃どうなっていたことか!」
「大声を出すな、姫様に気づかれるだろ!」
「待て、さっきから木の上であのアライグマが
ずっと俺たちを見ているんだが……」ーー
「すやすや……」
女の子は眠気に勝てず、
猫をかかえたまま眠りについてしまった。
男は優しい笑みを浮かべる。
彼はこれまでに英雄の功績を称える詩を
書き続けてきた。
だが、今は楽しくほのぼのとした物語で
愛する娘を眠りにつかせることが
男にとって一番になっている。
ロウソクの火を消し、
男は女の子に毛布をかけると、
静かに部屋を離れていったーー
ドリーのコーナー
幼い頃から家族と過ごす時間が少なかったため、とても寂しがり屋で、家族(特に父親)から注目されることを切望している。
家族の気を引くために、突拍子もない行動やいたずらをすることが多い。
そうしているうちに、外部の人からは、彼女は意志の強い、生意気な子供に見えてしまった。
それに加え、身分の高いお姫様ということもあり、あえて近寄ってくる人は少なく、ますます孤独になり、内心では遊び相手が欲しいと思っていた。
断られることを恐れ、傷つきやすい性格。
しかし、プライドも高く、内面の弱さをカバーするために、意地悪な行動をとることが多い。
これによって、彼女のイメージはさらに悪くなって、誰もが敬遠する小魔女になってしまう。
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