ジャングルガーディアン

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ストーリー

ユグドラシルの奥には、

翡翠のようにキラキラと輝いている

巨大な木が

鎮座している。

根がむき出しになって絡み合い、

幻想的な世界を作り出しているようだ......。

 

森の賢者アルドンが木々との交流を終え、

ゆっくりと目を開け、木の幹から手を離す。

普段は穏やかなアルドンが、

いつになく白い眉を潜めていた。

千年も生きてきた古木から悲痛な叫び声が

聴こえる。

それは、不吉な兆しだったーー

 

茂みからガサガサと、

全身が真っ白な半人半馬の女性が現れた。

 

「ネモラ、どうしたのじゃ?」

 

何かがあったようで、

ネモラの表情は不安でいっぱいな様子だった。

 

「『ヴィジランツ』の斥候が湖の近くで

怪しい痕跡を見つけたの。

もしかしたら......」

 

ネモラはさらに顔を曇らせる。

 

「もしかしたら、

カタストロフの跡なんじゃないかなって。

ネモラは判断できない......。

先生、お願いしたいの」

 

アルドンは頷いて、

杖をついてネモラと湖に向かった......。

 

湖に近づくと、腐敗の臭いが周囲に漂っている。

植物は枯れ果て、地面にも焦げ跡が見えた。

これは......カタストロフの仕業に違いない。

 

「カタストロフがユグドラシルの幻術を

破ったようじゃな」

 

アルドンはため息をつきながら、

次なる策を考え......。

 

「ネモラ、『ヴィジランツ』全員に伝令じゃ!

この辺りをくまなく捜索し、警備を固めよと。

戦争は......既に始まっておる」

 

ネモラが頷き一歩踏み出した瞬間だった。

突然、木々が震えるほどの雄叫びが

森中に響き渡ったのだ。

森の住民たちはこの叫びの意味を知っている。

 

そう......オーギーが怒り出したのだ。

 

「ネモラ、行ってみるぞ!」

 

ネモラとアルドンは走り出し、

雄叫びの方向へと向かった。

 

ネモラが先に到着すると、

森の空き地で凶暴そうな巨人が

立ちはだかっている。

 

やはりオーギーだった。

 

彼の前には、

2匹のカタストロフが歪んだ嘲笑を浮かべている。

オーギーの周りには、

木の枝がいくつも落ちていて、

本当だったら枝の上にあるはずの鳥の巣も

無残に落ちている。

そして、その隣で小鳥が血に染められ、

死にかけていたのだ......。

 

罪もない小動物が傷つけられ、

ネモラも激怒した。

しかし、彼女の怒りはオーギーのものとは

比べ物にならなかった。

彼の顔がどんどん歪んでいき、

2匹のカタストロフを睨みつけると......。

 

「オーギー......おごっだぁ!」

 

怒りが爆発したオーギーは、

カタストロフへ突進していく。

重い足音が鳴り響き、大地が振動していた。

彼の怒りを目の当たりにしたカタストロフたちは、

恐怖で顔がこわばり、

必死に羽ばたいて空へ逃げようとしたのだ。

それを見たオーギーは、

立ち止まって巨大な石を拾い上げる。

そして......。

カタストロフに投げつけたのだった。

轟音とともに、巨大な石がカタストロフに当たり、

その瞬間、跡形もなく粉砕した。

瞬殺された仲間を見たもう片方のカタストロフは、

さらに恐怖に駆られ加速したが、

突如......矛が胸を突き抜け、地に落ちていった。

 

怒りが収まらないオーギーだったが、

足元で横たわっている怪我した小鳥を目にして、

怒りから一転、悲しみが募り......。

優しく小鳥を手のひらに乗せ、

指一本でゆっくりとなでていた。

まるでこの行動で小鳥の苦痛を

取り除けると思っているかのように......。

 

「そんなに悲しい顔しないで。

ネモラが助けるの」

 

そう言いながら近づくと、

緑色の暖かいオーラが放たれる。

治癒魔法が小鳥を覆い、

傷が徐々に癒えていった。

そこへ、やっとアルドンがたどり着き、

杖を木に振りかざすと新たな枝が生えてきたのだ。

蔓も枝に纏っていき、新しい鳥の巣になった。

オーギーがそっと小鳥を巣に戻すと......。

 

「あ......ありが、と」

 

不器用ながらに二人にお礼を伝えたのだった。

 

「オーギーよ、ついてきてはくれないかの。

戦争はもう始まった。

おぬしの力が必要なのじゃ」

 

オーギーが一人でいることを好きなのは

百も承知だった。

しかし、敵の勢力を前に、

ヴェルディア連盟全員の力が必要だったのだ。

アルドンはその思いを込めて

オーギーに伝えると......。

 

「オーギー......一緒。森......守る!」

 

オーギーは仲間達と協力して

戦うことを決意したのだったーー

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