ヴィジランツ

ページ名:ヴィジランツ

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ストーリー

グサッーー

カタストロフの心臓に漆黒のナイフが突き刺さり、

恐怖で歪んだ表情をしながら地面に倒れ込んだ。

キャットは死体に刺さったナイフを抜き、

血を拭き取りながら、

キョロキョロと辺りを見渡す。

誰もいないことを確認し、

ズルズルと死体を隅へ引きずっていった。

人目につかないところまで運んでくると、

キャットはさっそく死体の懐を探り始めた......。

 

今回の任務は、

カタストロフが陣営を張っているこの地へ潜入し、

要人の暗殺と情報収集をすることだった。

キャットが殺した相手は、

カタストロフ陣の副官の一人......。

こいつが持っている情報をなんとか盗み出そうと

ゴソゴソと漁る。

 

その時だったーー

 

キャットの尖った耳がピクリと動く。

ここに近寄ってくる足音に気づいたのである。

音を注意深く聞けば、

相手は三人の衛兵のようだった。

だが、キャットは気にせず

情報を手に入れようとして......。

足音がピタリと止む。

暗闇の中で衛兵達の目が不気味に光り、

キャットの気配に気づいたのだ。

すぐさま仲間を呼ぼうと

口を大きく開けようとした瞬間ーー

 

ドサリ......。

声を出すこともなく、衛兵達の首が転がった。

3本の矢が鎧の隙間を正確に通って

衛兵の首を貫いたのだった。

キャットは振り向き、

遠くの巨木に向かってペロッと舌を出した。

木の上にいる相棒アイラへの挨拶だった。

 

(まったく......。

キャットはいつもヒヤヒヤさせるんだから)

 

アイラの任務は偵察とキャットの援護だった。

 

死体からようやく一本の巻物を見つけた

キャットは、足音を立てることなく、

カタストロフ陣営を去って行った。

巨木の下にたどり着くと、

深緑のマントを纏った少女が跳んで降りてきた。

 

「見事な射撃だったニャ、アイラ」

 

キャットがヘラヘラと笑いながら言うと、

それを制するようにピシャリとアイラが忠告する。

 

「もうすぐ夜が明ける。早く戻って報告しよう」

 

「死体が発見されたら、

あいつら全員で追って来る」

 

アイラの予想通り、先程までいた場所が騒ぎ出す。

そして、あっという間に無数のカタストロフが

陣営から飛び出し、周りを捜索し始めたのだった。

キャットとアイラの速さでも、

空を飛べるカタストロフには到底敵わない。

まだ見つかっていないとはいえ、

全ての退路は既に狡猾なカタストロフに

塞がれていたのだ。

夜に乗じていくつかの敵軍を通り抜けてきたが、

空がだんだんと白み始め、

カタストロフを搔い潜ることが難しくなってくる。

戦わずして済む道を選んでいる間に、

その先で敵の小隊が集まり始めたのだった。

アイラは岩の陰からしばらく観察し、

強行突破を決意する。

キャットは自分が合図を出すと、

先に行動に移っていった。

そろりそろりと岩の陰から

カタストロフの背後へ近づいていく。

アイラの位置を確認したキャットは、

タイミングを逃すことなく

カタストロフの首にナイフをグサリと刺した。

同時に、アイラの矢が

もう一匹のカタストロフに命中する。

二匹が同時に倒れ込むと、

残りの敵がキャットたちに気づき、

甲高い雄叫びで仲間を呼び寄せて......。

 

キャットとアイラは、

次から次へとカタストロフを倒していくが、

カタストロフの援軍はみるみると増えていき、

二人を囲んでいった。

 

「ぐっ......!」

 

「アイラ!?」

 

攻撃をしようと手を伸ばした先に矢がなく、

カタストロフの攻撃を肩に食らってしまう。

キャットが余ったナイフを渡し、

互いに背中を預けて戦っていた。

二人とも覚悟を決め、

死ぬまで全力で戦おうとした瞬間ーー

 

「『ヴィジランツ』部隊、かかれーー!!」

 

叫び声と共に、森の中からレンジャーの小隊が

飛び出してきたのだ。

 

「ライカだ!

リーダーが助けに来てくれたニャ!」

 

白い鹿に乗った少女ライカが現れ、

死ぬ覚悟をしていたキャットは、

希望を抱き始める。

圧倒的な敵軍の前でもライカは怯まず、

光を帯びた矢を連射し、包囲網に突破口を開いた。

その勢いでさらに突撃し、

キャットたちと合流を果たしたのだった。

 

しかし、カタストロフの大軍は一歩も譲らない。

すぐに突破口を埋め、今度は三人を囲み始めた。

ライカは再び矢を放ち、

一番近くにいた敵を撃退する。

その隙に鹿から降りて、

代わりに怪我をしているアイラを乗せたのだ。

 

「あなた達の帰りを待っている間、

大量のカタストロフが飛んでいるのを見て、

きっと何かあったんだと思いました」

 

「ここは私に任せてください」

 

ライカがそう強く言うと、

出血が止まらず顔色が青白くなっているアイラが

弱々しく話し出す。

 

「ライカさんはヴィジランツのリーダー......。

こんな危険なところに......来るべきでは

ありません......」

 

すると、ライカはアイラの目を見つめながら、

諭すように告げる。

 

「『ヴィジランツ』の指揮官だからこそ、

あなた達を連れ戻す義務があります!」

 

「さあ、帰りましょう!」

 

矢を弓に番えて、カタストロフめがけて放つ。

勇敢に戦う『ヴィジランツ』指揮官の姿は、

とても強く、頼もしかったというーー

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