ラーク【森の小腕白】
概要
呼称 |
・森の小腕白 ・フサフサモンスター(ペギーの彼に対する呼称) |
陣営 | ヴェルディア連盟 |
種族 | アライグマ亜人 |
年齢 | 12歳 |
身長 | 120㎝ |
趣味 |
・かくれんぼ ・食べること |
好きなもの | すべての美味しい食べ物 |
嫌いなもの |
・寂しい事 ・つまらない事 |
故郷 | ナッツシェル |
現在地 | ユグドラシル |
現在の身分 |
・ペギー姫の旅の仲間 ・退屈生活の解決者(自称) |
関連人物 |
【一番のお友達】 ・ピッパー 【仲良し】 ・ペギー |
ストーリー
『エスペリア童話選集』
ーー小わんぱく冒険記
むかしむかし、
とてもわんぱくな子どもが住んでいました。
その子の名前はラーク。
森の中の『ナッツシェル』という
洞窟で暮らしていました。
ラークはいたずらが大好き。
そのせいか、周りの子どもたちは
彼と遊びたがりません。
唯一、ピッパーという小さな魔女が
彼のお友だちでした。
ピッパーはちょっとドジ。
いつもわんぱくなラークに振り回されています。
気がつけば海賊船に乗せられていた、
なんてことも。
でもピッパーはラークと遊ぶのが
とっても楽しいみたい。
2人はいつも平和に森の中で
仲良く遊んでいました。
しばらくすると、
ピッパーはお勉強をするために、
森を出ていってしまいます。
残されたラークは、ピッパーがいなくなって
とっても寂しくなりました。
ピッパーとの楽しかった時を思い出すたび、
悲しくてしかたありません。
そんなある日、
ラークは森の外に出ることを決意するのです。
ピッパーを探すために!
誰にも言わず、こっそりと森を出たラーク。
だけど、勢いで出てきたため、
ピッパーがどこに行ったのかわかりません。
人間がいっぱいいるところに行った、
ということしか知りませんでした。
その情報だけを頼りに、
ラークは人間がたくさんいる場所へと
旅立ちます。
生まれてはじめての、大冒険です!
この日、ラークはとある町にやってきました。
ピッパーを探してキョロキョロしていると、
ラークの目にとある物が飛び込んできました。
窓辺に飾ってあった、2つの『透明な檻』です。
その中になんと、
魚たちが閉じ込められていました。
可哀想に思ったラークは、
2つの『透明な檻』を盗み出します。
しかし、その家の主人である、
痩せたおじいさんに見つかってしまい……。
「物を盗む悪い奴め、必ず捕まえて、
犬小屋に閉じ込めてやる!」
痩せたおじいさんは、そう叫びながら
ラークを追いかけます。
だけど、ラークは走るのが得意なので、
捕まる気配はぜんぜんありません。
「おととい来やがれってんだ~!」
あっかんべーをしながら、
ラークは走り去っていきました。
(魚は川の中で自由に泳いで暮らすべきなんだ!
人間はどうして閉じ込めるのが好きなんだよ)
ラークには人間の心が理解できません。
おじいさんを振り切ったラークは、
近くの小川に魚たちを逃がしてやりました。
「ほら! 魚たちが川で楽しく泳いでる」
元気に泳いでいる魚たちを見て、
得意げです。
ラークは空いた2つの『透明な檻』に水を入れて
持っていた紐でくくり、肩から下げました。
これでいつでも食べ物を洗うことができます。
さあ、冒険の続きです。
ラークはピッパーを探すために、
いろんな町に訪れます。
なかなかピッパーは見つかりません。
そんなある時、近くからパンを焼くいい匂いが
してきました。
すると、ラークのお腹がグ~と鳴ります。
匂いに釣られて、彼はどんどん歩き出し、
気づけばとても高い壁に囲まれた
大きな家にたどり着いたのです。
石の家の周りには、
鉄の服を着た人間が忙しそうに
あちこち走り回っていました。
人間たちに気づかれないように、
ラークはこっそり窓から忍び込みます。
目に飛び込んできたのは、
とても大きくて美味しそうなパンでした。
喜びを隠せないラークは、パンに駆け寄り
『透明な檻』の水で洗い、食べ始めました。
「むしゃむしゃ……ん~! うまい!!」
こんなに美味しいパンを食べたのは
初めてでした。
パンを食べるのに夢中になっていると、
ドアの外から足音が近づいてきます。
ガチャリ、とドアが開くと、
キラキラ光るスカートを履いた人間の女の子が
1人部屋に入ってきました。
女の子はラークを見ると、
宝物でも見つけたように
目を光らせながら言いました。
「わぁぁぁ! 毛がフサフサの怪物だ!!!」
『怪物』という言葉にラークはちょっと
カチンときてしまいます。
「お前こそ怪物だ!
毛も生えてない子どもが!」
ラークが話したことに驚いた女の子は、
興奮して近づいてきました。
「すごい! あなた話せるんだ!?
よ~し、私が捕まえてあげる!」
「は!? なんだお前!
やめろ、近づくなよ!」
そうして、部屋の中で2人の追いかけっこが
始まりました。
カーテンをつたったり、
テーブルの上に飛び乗ったり
ラークは必死に女の子の手から逃げます。
だけど、女の子も負けじとラークを
追いかけ回すのです。
部屋の中はめちゃくちゃで、
まるで泥棒でも入ったかのようでした。
そして、いろんな物にぶつかったり、
転んだりしたせいで、2人ともいたるところに
たんこぶを作っていました。
それでも女の子はずっと笑っていて、
とてもとても楽しそうでした。
ラークはなんだかムズムズします。
ピッパーがいなくなってから、
ずっと悲しい気持ちだったラーク。
だけど、女の子と追いかけっこをして、
とても嬉しかったのです。
こんなに楽しいって思うのは、
いつぶりでしょうか。
でも、ラークはまだピッパーを探す冒険の途中。
こんなところで遊んでいる場合じゃないと、
窓の外に出ようとしましたが、
女の子にしっぽを掴まれてしまいます。
「ぎゃ!」
「行かないで! もっと一緒に遊ぼうよ!」
「ボクはいま、友だちを探す旅の途中なんだ。
だからもう行かなくちゃいけないんだよ~。
ピッパーっていうんだけど、知らないか?」
「ううん、知らない。
でも、ここに残って一緒に遊んでくれたら、
探してあげてもいいけど!」
「ダメダメ! お前たち人間は、
ボクを檻の中に閉じ込めちゃうんだろ!?」
「そんなことは、絶対しない! 約束するから!」
女の子はラークに強くお願いします。
「それに、ここにはおいし~~~~お菓子も
いーーーっぱいあるんだから!」
美味しいお菓子と聞いて、
ラークはよだれが出てきました。
「みんな私と遊んでくれないんだ。
だから、お願い!
ちょっとのあいだでいいから、私と遊んでよ!」
「む~。じゃあ、ちょっとだけな!」
おやつに釣られたのか、
それとも女の子を同情したのか、
ラークは数日だけ遊んでから
ピッパーを探すことにしました。
ラークは人目を避けるために、
昼間は見つからないように女の子の部屋の
クローゼットで眠っていて、
夜になるとこっそり出てきて、
外の花壇で女の子とかくれんぼをしていました。
そうそう。
女の子の名前は『ペギー』というみたいです。
「パパはこの国の王様なんだぞ~」
と言っていました。
でも、いつもお仕事で忙しく、
相手をしてくれないそうです。
だから、ペギーはイタズラをして王様の気を
引こうとします。
最初は、寂しい子どもの可愛いおねだりと
言われていましたが、
時間が経つにつれて、
イタズラでワガママの悪い子だって
言われるようになったようです。
その話を聞いたラークは、
自分と同じだと思いました。
ペギーの気持ちが痛いほどわかります。
女の子の寂しさを紛らわしてあげるように、
森のことや森の中でしかできないことなど、
楽しい話をいっぱいしました。
元素の地にある、歩く大岩のことや、
幻夜の森にある呼吸するキノコ、
それからアジュールリーフ湾にある
色鮮やかでキラキラ光る巻貝のこと。
ラークの話は、どれもペギーの興味を
そそるものばかりでした。
その中でも特に巻貝の話が大好きなペギー。
巻貝にまつわる話を何度も何度も
ラークにねだっては楽しそうに聞いていました。
気づけば『ちょっとのあいだ』は
とっくに過ぎていて、
何日も何日もペギーと一緒に遊んでいました。
おいしいお菓子を食べたり、
かくれんぼをしたり、森の話をしたり……。
なんと、ペギーの誕生日も一緒に
過ごしたのです。
ラークはそこで初めてケーキというものを
食べて感動しました。
そう……楽しすぎてピッパー探しのことを
すっかり忘れていたのです。
誕生日が過ぎたある日、
ペギーはピッパーの居場所がわかったと、
話してくれました。
ペギーはちゃんと覚えていて、
ずっとラークのために探していたのです。
『一緒に遊んでくれたら探す』という
約束を忘れていませんでした。
でも、本当のことを言うと、
誕生日前には侍女から聞いていたので
知っていました。
ペギーは言えなかったのです。
だって、ラークと一緒に
誕生日を過ごしたかったから。
ラークともっと一緒にいたかったから。
でも、このままラークを騙したまま
遊んで暮らすことなんて
ペギーにはできませんでした。
ピッパーの居場所を教えてもらったラークは、
嬉しくて飛び跳ねます。
ペギーの話によると、
なんとピッパーは森に戻っていたようでした。
ラークは森に帰る準備をして、
ペギーに別れの挨拶をします。
「ボク必ずまたここに戻るから、
また一緒に遊ぼうぜ~!」
そう言って笑顔で去っていく
ラークの姿が見えなくなっても、
ペギーはずっとずっと見送っていたのでした。
ラークがいなくなった後、ペギーはすっかり
おとなしくなってしまいました。
ラークと一緒に過ごした楽しかった時間を、
毎日毎日思い出しては
寂しい気持ちになっていたのです。
それからまた1年が過ぎーー
ペギーの誕生日が訪れました。
だけど、王様は国の仕事が忙しく、
一緒に誕生日を過ごすことができませんでした。
(去年はあんなに楽しかったのに……)
ラークと過ごした誕生日を思い出し、
寂しい気持ちになっていると、
侍女からとんでもないことを告げられます。
「こ、婚約者ですってぇ~~~~!?」
なんと王様は、ペギーの誕生日に合わせて、
勝手に婚約者を決めていたのです。
「なによ、それ~!
誕生日プレゼントのつもり!?
許せな~~~い!!」
ペギーは王様に文句を言ってやろうと
書斎に駆け込みます。
だけど、ドアの前にいた衛兵に
とめられてしまいました。
「姫様、いけません!
国王陛下は今、とても大事な政務を
行っている最中です。
この部屋には誰もいれるな、
と仰せつかっています」
「うううう……」
渋々ペギーは部屋に戻りました。
だけど、王様に対する怒りは収まりません。
「うわああああああああああ!!!
あんにゃろ~~~~~~~~~~~~~~」
王様への怒りが爆発したペギーは
部屋の中で大暴れ。
国の大臣たちが贈ってくれた
誕生日プレゼントを、次から次へと
窓の外に投げ捨てます。
メイドたちはみんな手がつけられず、
逃げ出してしまいました。
「私がほしいのは、こんなものじゃない!」
物でもなく、婚約者でもなく、
自分と一緒に遊んでくれることが
ペギーにとって1番のプレゼントなのに、
誰もわかってくれません。
「うわああああん!!!」
ペギーはテーブルにうつ伏せになって
泣き始めました。
すると、部屋のどこからか、
音が聞こえてきました。
瞳から流れていた大粒の涙が
ピタリととまります。
部屋の中をぐるりと見渡すと、
どうやらその音はクローゼットから
聞こえてくるようです。
おそるおそる近づいてみると、
その音の正体はイビキのようで……。
そっとクローゼットを開けたその時でした。
ペギーの泣き顔は、
キラキラとした満面の笑みに変わるのです。
クローゼットの中にいたのは?
そう。毛がフサフサの怪物だったのです!
そして、怪物のお腹には色鮮やかに光る巻貝が
イビキの声に合わせて揺れ動いていました。
ドリーのコーナー
いたずら好きな寂しがり屋で、すべての面白くて楽しいことが大好き。
ピッパーに出会うまではひとりでも別に良かったと思ったけど、ピッパーと一緒に過ごしてからはひとりでいることが嫌いになった。
学院を通っているピッパーを探すため、幼い頃から暮らしていたユグドラシルを離れた。
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