エドウィン【王殺し】
概要
呼称 |
・王殺し ・バンティスの剣(生前の呼称) |
陣営 | グレイヴボーン |
身長 | 180㎝ |
趣味 |
・軍事演習 ・ガーデニング |
好きなもの |
・極楽銀酒 ・至高の王座 |
嫌いなもの | 権力への道を阻むモノ |
現在地 | バンティス |
現在の身分 | 王殺し |
関連人物 |
【兄】 ・トーラン 【妹】 ・テルミン 【宿敵】 |
ストーリー
バンティスという国は、
本当の意味で1秒たりとも戦争を
中断したことがない。
あったとしても、
それは次の領土拡張のために
準備している時間だけだったーー
エドウィンは、
成人してすぐに最前線の出征を申し出た。
それを聞いた当時の帝位継承者であった
彼の兄、トーランと
最愛の妹、テルミンは
本当に行くのかと何度も彼を心配する。
だがエドウィンは自信に満ち溢れていた。
兄妹の心配をよそに、
彼は死霊術を戦場に持ち込み、
数多くの勝利をおさめたのだった。
エドウィンのグレイヴボーン軍隊の前に、
よそ者たちの侵攻はことごとく阻まれる。
素晴らしい戦功で
バンティス史上最年少の無敗将軍に
上り詰めたエドウィンは、
帝国民たちに
『バンティスの利剣』と呼ばれ、
議会での地位を確立していった。
各重臣たちもこぞって彼の味方をし、
おだてあげた。
権力に酔いしれたエドウィンは、
その力をさらに大きくし、
いつしか自分の軍隊で
ソトロン大陸全体を征服することを
夢見るようになっていったのだった。
だが、好戦的な先帝が亡くなり、
トーランが即位すると、
すべて彼が考える未来とは
真逆に発展していく……
エドウィンが自ら主催した、
犠牲となった兵士たちの名誉を称える
葬儀の時だった。
帝都からはるばるやってきた使者によって
葬儀が中断されたのだ。
使者は新皇帝である
トーランの決定事項を告げる。
「テルミン姫を西の強国セロニア王国と
政略結婚させる。
ただちに辺境から軍隊を撤退させ、
帝都に戻り、慶事に参加せよ」
まさに青天の霹靂だった。
エドウィンの中で沸々と怒りが湧き上がる。
それでなくても、
自分が考える未来と逆行する新皇帝とは
仲違いしているのだ。
彼の考えでは、
死霊術さえあればバンティスはいずれ
世界最強の国となる。
高貴な姫を他国に嫁がせる必要なんて
まったくないのだ。
トーランの罪悪感に拍車をかけるように、
彼は皇帝に対する礼儀を捨てて問い詰めた。
「兄上! あなたは俺たちの妹を
なんだと思ってるんだ!?」
だが、慈悲深い皇帝の答えは、
いつになく冷たかった。
「我が国は長年戦争を続け、
帝国民を危険にさらし多くの命を失った。
今こそ新しい道を選ばなければならない。
これはテルミンが帝国の姫として、
避けて通れない責任と義務だ」
皇帝の強靭な態度に、
エドウィンは言葉を失う。
彼は兄に対抗できるような権力を
持っていなかったのだ。
エドウィンは改めて、
権力こそがすべてを決定できる
重要なものだと悟った。
テルミン姫がセロニアに嫁いだ後、
二国の関係は徐々に改善していき、
皇帝トーランの政策基盤は
より強固になっていった。
そして領土拡大を主張する、
開戦派のイーグル派貴族に対する風当たりが、
さらに強くなっていった。
特に人々を奈落の底に引きずり込む
死霊術の廃止令が布告されてからは、
帝国内の皇帝擁護と賛美の声が
高まっていった。
エドウィンは窮地に追い込まれた。
国の最も強力な力である
死霊術を廃止するということは、
自ら鎧を外してバンティスの弱みを
さらけ出すのと同じだと考えている。
エドウィンは廃止令に大反対した。
だが、いつもは彼に寛容なトーランも、
この国策に関しては
断固として維持する姿勢を貫いたのだ。
戦争と死霊術は民に災いをもたらす。
帝国の存続を思っての決断だった。
トーランは軍備を提案したエドウィンを
大衆の前で叱責しただけでなく、
反省するまで王宮からの外出を禁じた。
後ろ盾も権力も、
何もかも失ったエドウィンは憤怒した。
「何が平和だ、何が繫栄だ!
生きる者の功績を無視し、
死んだ者の犠牲を踏みにじるのは、
臆病者のすることだ!
もし俺が帝権を持っていたら……
無能な政策で臣下が不満を募らせることも、
高貴な姫を政治の道具にすることも、
帝国民が他国のやつらに
蹂躙されることもなかったのに……」
エドウィンは怒りや恨みから目が曇り、
権力への渇望が強くなる。
そして……皇帝に対して殺意を抱き始めた。
権力を完全に掌握するため、
エドウィンはまずテルミンに
兄との関係修復を手伝ってほしいと
妹の優しさにつけ込み手紙を送った。
当然、兄妹が以前のように
仲良く過ごせるならと、
テルミンは二つ返事で引き受ける。
エドウィンは妹の帰国当日に開かれる
晩餐会でトーランを葬ることを計画した。
ついにその時がやってきたーー
エドウィンは鋭い剣を皇帝の胸元に
突き刺したのだった。
彼は後悔するどころか、
かつてないほどの爽快感を覚えたのだ。
(長かった……
この屈辱の日々……
ようやくバンティスを手に入れられた!
今までの理不尽も屈辱も、
俺が即位して新政権のもとで
報われるはず……)
だが、喜びも束の間、
エドウィンもまた命を奪われる運命に
あったのだった。
「くたばれ! この裏切り者め!」
すでに殺されていたトーランの護衛であり
近衛兵団最高指揮官が死霊術で蘇り、
エドウィンを背後から
無情にも剣で突き刺した。
そのまま護衛は
逆臣たちをひとり残らず虐殺し、
宴会場を血の海にしたのだった。
エドウィンは目を見開いたまま倒れ、
死の間際まで床に落ちた王冠に
腕を伸ばしていた。
怨念と怒りに満ちた魂は、
死の世界を支配する恐怖の王は見逃さない。
エドウィンはケハディマンによって蘇り、
新たな機会を得た。
エドウィンが起こしたクーデターは
皇帝と反逆者の共倒れに終わった。
だが、トーランもまた
忠実な護衛によって蘇り、
フォールンキングとなったのだった。
慈悲深い賢王だったトーランは、
残酷な統治を行うようになり、
バンティスを恐ろしき亡者の国に
変貌させた。
しばらくしてーー
生まれ変わったエドウィンは、
長い間失われていた議会の大広間に
足を踏み入れる。
揺れるロウソクの灯りに照らされた
薄暗い大広間には、
バンティスの君主がまるで石のように
黙って玉座に鎮座し、
その傍らには護衛が目を伏せて立っていた。
エドウィンは片手に胸を当て、
王座にいる君主に深い一礼をする。
影に隠れた邪な笑顔は、
計り知れない陰謀が含められていた。
「また昔のように組もうじゃないか。
親愛なる兄上」
ドリーのコーナー
エドウィンは自信家で明るく、正義感のある人物だと、ほとんどの人はそう思っていた...
優しき王の命を奪った彼の、聖人君子な見た目の奥に潜む狂暴な野心を目にするまでは。
兄弟の争いを一回だけで終わらせてしまうのは実にもったいない、なぜならそれは恐怖の王の大好物なのだから。
生き返ったエドウィンが再び議事堂に出向くと、そこでかつての自分の主張と同じく、力で国を治め、積極的に国土を広げているトーランの話を耳にした。
そしてすっかり活気をなくしたバンティスと、物言わぬ王やその家臣を目にし、心にわだかまっていた屈辱は、湧き上がる快感にあっという間にかき消され、危うく冷笑をこぼすところだった。
親愛なる兄よ、辿る結果が同じなら、最初から俺の意見に従っていれば良かったものを...
生前から反抗的だったエドウィンは、生まれ変わったことでより服従を拒むようになり、生前と変わらず権力を欲し続けた。
彼曰く、これほどの権力をトーランのような凡人に与えるのは宝の持ち腐れというもの、自分のような権力の尊さを理解している野心家こそ、正しく使うことができるのだ。
鋭利な刃はその鋭さを隠し、しかるべき時に鞘を抜く。
その「時」が来るまで、しばらく眠らせておくのも悪くない...
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