テルミン

ページ名:テルミン

テルミン【悲愴の瞳】

概要

呼称

・悲愴の瞳

・バンティスの姫

陣営 グレイヴボーン
身長 161㎝
趣味 散歩
好きなもの

・紫色のアクセサリー

・クラシック音楽

嫌いなもの 利用されること
現在地 バンティス
現在の身分 悲愴の瞳
関連人物

【兄】

エドウィン

トーラン

ストーリー

かつて栄えていたバンティス帝国ーー

その中心にある宮廷には、

後の賢帝となるトーランと弟のエドウィン、

そして末妹のテルミン姫が仲良く暮らしていた。

テルミンは生まれつき身体が弱く、

同年代の子どもたちと一緒に

外で遊ぶことができなかった。

そのため、姫は成長するにつれ、

部屋に閉じこもるようになってしまう。

優しい2人の兄は、

テルミンを元気づけようと姫の部屋に通い、

色んな話をしたという……。

特にエドウィンとテルミンは、

性格が似ているせいか、

どんどん仲良くなっていった。

エドウィンが遠征から戻ってくるたび、

テルミンにお土産をプレゼントしていた。

紫色の宝石や紫色のバラなど……。

テルミンが見たこともないような

珍しい物をいつも持って帰ってきていた。

常に蒼白な顔色をしていた彼女が、

エドウィンが帰ってくる日だけ、

顔色がとてもよかった。

こうした穏やかな日々が続き、

テルミンはだんだんとエドウィンに

憧れるようになっていった。

いつかはエドウィンのような、

たくましく優しい男性と結婚しようと

心に決めるのだった……。

だが、そんなテルミンの気持ちは、

報われることがなかったーー

トーランが帝位を継いだ時のこと......。

長年の戦争により国家財政は

既に傾き始めていた。

このまま国民に負担をかけるわけには

いかないと考えたトーランは、

戦争をなくすためバンティスと周辺国との

関係の修復に力を注ぎ始めた。

そしてその一環として、

テルミンを近隣の強国であるセロニアに

嫁がせたのだった……。

そう、これは政略結婚。

ここには愛や恋といった温かい感情はない。

淡々と手続きが進み、婚儀が執り行われた。

しばらくしてーー

セロニアとの関係を修復することができ、

トーランは安堵する。

しかし、国を救うためとはいえ、

一国の姫君を政治の道具に使ったことに

トーランは心を痛めていた。

国のために尽くすというのは、

貴族の定めである。

テルミンは頭ではわかっているのだ。

しかし……

心が納得いかなかったテルミンは、

婚姻相手を受け入れることができなかった。

精悍な顔つきで強く優しいエドウィンとは違い、

セロニアの王子はあまりにも平凡で、

意気地なしだった。

王子はテルミンに少しでも

セロニアに慣れてもらおうと優しく接するも、

彼女が興味を示すことはなかった……。

平凡で退屈な日々が続くにつれ、

テルミンはますます兄のエドウィンを

恋しく思うのだった。

窓の外を見ながら、

テルミンは子どもの頃を思い出す……。

エドウィンが自分をつれて庭で遊んでいると、

トーランはその隣で微笑みながら

弟と妹の遊ぶ姿を優しく見守っていた。

遊び疲れると、大きな樹の下で一休み。

そして、ごろんと寝そべりながら、

エドウィンが遠征中にあった面白い話を

テルミンに聞かせていた。

幸せそうに、目を輝かせながら

夢中に話を聞いていた……。

何の悩みもなく、何の束縛もない幸せな日々。

こんな時間が永遠に続くんだ……と、

あの頃の無知な少女は思っていたーー

テルミンがセロニアに嫁いでからというもの、

エドウィンから連絡がぱったり途絶えていた。

はじめは、遠征が長引いているだけだと

思っていたが……。

ある日、彼女の元にエドウィンからの手紙が届く。

久しぶりの兄からの知らせに、

心がはやるテルミンは急いで封を切る。

読んでみると……。

トーランと政治的な争いが発展してしまい、

外出禁止令を出されてしまった。

事実上の軟禁状態にあると書かれている。

そして、この手紙の最後には、

皇帝トーランとの和解の仲介役を

テルミンにしてほしいと、

力強い文字で締めていた。

手紙を読み終えたテルミンは、

2人の兄の関係を修復しようと決意する。

彼女は夫に事情を話し、

一度バンティスを訪れたいと伝えると、

快く承諾してくれた。

テルミンとその夫が宮廷に到着すると、

手厚いもてなしを受ける。

久しぶりにトーランの顔を見たテルミンは、

懐かしさで心が震えるのだった。

そして、兄エドウィンとの和解を求めた。

トーランは最愛の妹の願いを聞き入れ、

エドウィンの軟禁状態を解き、

外交の宴会に参席することを許した。

しかし、このことが悲劇を招くことになるとは

この時は誰も知る由もなかったーー

その日の夜ーー

煌びやかなパーティも終わろうとしていた

時だった……。

憎しみに支配されたエドウィンは、

手下たちに命令して会場を包囲したのだ。

それだけではない。

テルミンの夫であるセロニアの王子を

彼女の目の前で殺したかと思えば、

その血塗られた剣先を

トーランに向けている。

テルミンはこの事実を受け入れられず、

震える手で自分の口元を抑えた。

ずっと憧れていたエドウィンが今、

一緒に育ってきたこの宮廷で

殺人を犯している。

兄エドウィンの顔は、テルミンが知っている

優しくて強い兄ではない。

権力に溺れた悪魔だった。

時間で言えば、それはもう一瞬に、

この会場が殺戮の舞台となった。

兄のトーランがエドウィンに殺害されると、

殺されたはずの近衛兵団最高指揮官が

不死者として蘇り、

裏切り者達を皆殺しにしていった。

恐怖で足がすくみ、

テルミンは一歩も動くことができなかった。

直後、背中に激痛が走ったテルミンは、

その場に倒れ込む。

温かい血がだんだんと冷えていくのを

感じながら、

自分を利用して反乱を起こし、

トーランと夫を殺したエドウィンを

命が燃え尽きるその時まで憎んでいた。

そして……。

事の発端である自分自身をも憎んでいた。

トーランにエドウィンの軟禁状態を解いてほしい

などと頼まなければ、

こんな悲劇も起きなかったはず……。

トーランは正しかったのに、

自分がそれを曲げさせてしまった……。

その後、

命を落とした皇族たちは皇家の墓に埋葬された。

しかし、その中にはトーラン、

エドウィンの死体はなかったーー

しばらくすると、

トーランが姿を変えて蘇り、

フォールンキングの名の下に

再びバンティスを支配したのだった。

人々はテルミンの墓の前で、

救いを求めるように祈る。

しかし……。

気づいたときにはテルミンの墓も

空になっていたのだった。

テルミンは人ではない、

亡霊になってしまった……。

彼女の亡霊を見た皇家の墓守が

こう言っていた。

「テルミン姫はアメジストのような

美しい瞳を持っていたが、

今ではその瞳から悲しみしか感じられない」

孤独に空を漂っている彼女は、

いつも泣いているという。

生前から美しい瞳を持っていたが、

その目にはもう何も映らない。

常に涙が流れ落ち、永遠の悲しみに満ちている。

上品で綺麗だった姫君はもういないーー

 

ドリーのコーナー

テルミンは自分の人生を幸福で幸運なものだと信じていた。

病弱でも二人の兄が愛してくれていたからだ。

しかし彼女は結婚という現実を突きつけられる。

夫はとても優しかったものの、弱気でつまらない男である。

尊敬もできなければ、愛情も湧かなかったのだ。

だからこそ、エドウィンから助けを求める手紙が届いた時はどれほど胸が躍ったことか。

きっと二人の兄の関係を修復してみせて、また子供の頃のように三人で楽しく暮らそう。

そんなことを夢見た。

しかし、テルミンを待ち受けていたのは狂気じみたエドウィンだった。

彼は皆の信頼を裏切り、国王の胸元に剣を刺した。

あの笑顔が絶えなかった宮殿には、今や兵士の剣戟と逃げ惑う音だけが響き渡り、阿鼻叫喚と化してしまった。

テルミンはその場に固まり、逃げることすら忘れていた。

目の前のおぞましい悪夢を早く終わらせたいのに、目覚めることができない。

気づけば名もなき剣がテルミンの胸に突き刺さっていた。

激痛の中、彼女は涙を流した。

エドウィンの残虐な顔が歪み、そしてボロ布の人形のように倒れた。

彼女はあの頃の美しい思い出が自分の血と涙で穢されていくのを感じた。

そうしてテルミンはグレイヴボーンとなり、世を徘徊するようになった。

彼女の涙が乾いたことはなく、その紫色の瞳にも、残っているのは満ち溢れる哀愁だけだろう。

 

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧