ホジキン【死の海の船長】
概要
呼称 | 死の海の船長 |
陣営 | グレイヴボーン |
ストーリー
「よぉ、みんな!
このラスティーアンカーに
とある船長が来るらしいぜ。
噂じゃあ無数の財宝を持ってるって話だ!」
ホーウィックが垂れた髪をかきあげながら
話し始めた。
「無数の財宝だと?
じゃあ、そいつをやっちまえば……
借金はすべてチャラにできそうだーー
いや……待て。その船長、なんて名前だ?」
『財宝』の2文字を聞いたポーターが答えたが、
すぐ何かに気づいたように聞き返した。
「確か……ホジなんとかだったような」
「ホジなんとか? ホジキン?
ホジキンのことなのか!?
ああ、ちくしょう!!!!!」
大喜びもつかの間、
体中の血が一瞬にして凍りついたかのように
ポーターは震え上がった。
「まさかお前ら、
ホジキンのこと知らねぇのか?
エスペリアで一番恐れられている
船長だぞ!? お前らバカか!?」
「聞いたこと……ねぇ」
ホーウィックとトールは
お互いを見つめ合いながらそう答えた。
「ホジキンを知らねぇとは……
お前らそれでも海賊か?
教えてやるから、耳の穴をかっぽじって
よーーーく聞け!」
そう言うとポーターは
手に持っていたラム酒を一気に飲み干した。
「いいか……
エスペリアの海賊の中で一番の金持ちが
誰かって聞くと、
いくつか名前が上がってくるだろうが……
最も悪名高いのは誰かって言えば、
ホジキンの右に出るヤツはいない。
ヤツも最初はただのしがない
下っ端船乗りだった。
だが、大胆な強奪、残忍性が買われてな。
俺ら3人がラスティーアンカーに到着する
ずっと前から、ここで名を挙げてんだ。
ヤツは自分の船……『イモータル号』より
数倍大きい船でもぜんぜん怯まずに
攻撃を仕掛けるんだぜ。
ほかの船長だったら
一目散に逃げてるとこだろうが、
ヤツの場合は強い敵を相手にするほど、
自分も超人的なパワーを発揮するんだ。
俺たちみてぇな海賊は、
毎日食って飲んで遊んで、
借金を全部返せれば満足するんだろうが……
ホジキンはエスペリアで一番崇められる
海賊になることが目的だったのさ」
一通り話し終わると、
ポーターはふと思いに耽り始め、
ぼーっと手に持っている酒を眺めた。
「約束された成功なんてねぇ……
あるのは目の前の現実と失敗だけだ」
話を聞き終わったトールが
口を開いたかと思えば、
どこかで聞いたような……
哲学じみた言葉のようなことを言い出した。
おそらく、トールもホジキンと同じく
大海賊を目指していると言いたいようだが……
ポーターにもホーウィックにも伝わっていない。
特に思いに耽っているポーターには
聞こえなかったのか、
はたまた聞こえないフリをしていたのか。
ポーターは再び話し始める。
「ホジキンが帰るべきとこは……
こんな寂れたラスティーアンカーじゃねぇ。
エスペリアの全海域なんだ!
俺だって最初はーー」
「おいおい! お前のその話はもういい!
耳にタコができるほど聞いたぜ!」
そんな話はどうでもいいからと言わんばかりに
ホーウィックが話を遮る。
「ったく……人の話は遮るもんじゃねぇぞ。
まあ、いいか。
それで……
ラスティーアンカーで
一番有名な海賊になったホジキンは、
堂々と『イモータル号』とほかの船員を
率いて果てしない海を目指したんだ。
それ以来、
ホジキンは鎖から解き放たれた獣みてぇに
自由気ままに強奪を繰り返した。
どんな船も『イモータル号』の前じゃ
無事ではいられねぇって話だ。
残忍なホジキンは船を乗っ取ると、
手始めに何人かの船乗りを
自分とこの船員として選ぶらしい。
そのあとはもう、皆殺しだ。
殺し方もむごいんだぜ……
船長の首をマストに吊るして見せしめにして、
相手の戦意を喪失させてから全員処刑だ。
あとは、同盟のフリして
ほかの船に近づいたかと思えば、
用がなくなったら皆殺し。
『イモータル号』の真っ赤なマストは、
常にホジキンに殺されたヤツらの血で
ひでぇ臭いらしいぜ……」
ポーターは一息ついて、
またラム酒を大きく一口飲んだ。
「……ホジキンには、
もうひとつ残酷な趣味があるんだ。
それは……綱渡りならぬ板渡りってやつだ。
これは捕虜を処刑する方法のひとつで、
目隠しされた状態で海のほうに伸びた
板の上を歩かされるんだ。
ちょっとでも踏み外せば……
海に落ちてサメのエサよ。
板の上を歩かされた捕虜が、
どんだけ恐怖で怯えてたか……!
考えるだけで震えが止まらねぇ!!」
想像したホーウィックは、思わず固唾を呑んだ。
「あと……ヤツの財宝の話だが、
狡猾なホジキンは、自分以外の人には
何ひとつ手がかりを与えなかったらしいぜ。
ホジキンは、数え切れないくらい
財宝を蓄えていた。
だが、船には置かず、
すべて人知れずの島に隠しているそうだ。
噂によると、財宝を隠すのを手伝った船乗りたちは、
そのあとホジキンに殺されたって話だぜ。
だからヤツは敵の船を奪うたびに
足りなくなった船乗りを補充していたんだ」
「やっぱ俺は今のまま小さい海賊でいいや。
肉が食えて酒が飲めればそれでいい」
トールはさっき自分が話した
哲学じみた言葉を撤回しているようだった。
「ホジキンの手下になったら、
いつ殺されるかわからねぇって怯えながら
生きていかなきゃならねぇからな……」
ポーターもトールに賛同していた。
「俺たちは……大丈夫だよな!?
まさか、ホジキンの手下に
選ばれたりしねぇよな!? なぁ!?」
ホーウィックがポーターに迫り、まくしたてる。
彼の不安を増幅させるように、
ポーターは眉をひそめて難しい顔をした。
「ホジキンが今回、
ラスティーアンカーに立ち寄ったのは、
『嘆きの海岸』に向かうために
船員が必要だからだ。
ここで、大勢の船員を補充するらしい。
グレイヴボーンの間で聖物とされてる
『魂のるつぼ』を手に入れるために……
ただ、心配するな。これもただの噂だからな。
ああ……でも、もしかしたら……」
「おい!! それを早く言えよ!」
不安を顕にしたトールは、ポーターを責めた。
「最悪だ!
ホジキンも来てるし、
『嘆きの海岸』に向かうって言ってるし!
探索中に殺されるか、
躊躇してるうちに殺されるか。
どっちかしかねぇじゃねぇか!
くそ……無法者め……!
『嘆きの海岸』に行くだと!?
とにかく巻き込まれるのはゴメンだ。
その情報が本当であれ嘘であれ、
俺はここから逃げるぞ!」
すべてを話し終えたポーターたちは、
すぐにその場を離れたのだったーー
「宝の在処を知っているのは
俺と死んだヤツらだけだ」ーーホジキン
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