ディセラ【冥界の使者】
概要
呼称 | 冥界の使者 |
陣営 | グレイヴボーン |
外見年齢 | 22歳 |
身長 | 尻尾の長さも合わせて210㎝ |
趣味 |
・嵐が来る前の真夜中 ・嵐の中で思い切り歌うこと |
好きなもの | いいことが起こりうるすべて |
嫌いなもの |
・裏切り ・欺瞞 |
故郷 | ラスティーアンカー |
現在地 | 廃棄された港 |
現在の身分 | 冥界の使者 |
関連人物 |
【首領】 ・ホジキン |
ストーリー
私は親友であったライアと一緒に
過ごした日々を忘れたことがない。
あれは私の短い生涯で
一番楽しかった日々だったーー
春は森の中を冒険、夏は海辺で泳ぎ、
秋は落ち葉の中ではしゃぐ。
そして、冬には雪だるまを作っていた。
彼女と私はいつも一緒で、
お互い秘密なんてなかったのだ。
私たちが必死に生きていた
ラスティーアンカーは酷い所だった。
ここは嘘や暴力、流血、犯罪が
日常茶飯事のように起きている。
こんな場所で愛が生まれるなど、
誰が思うだろうか。
ありとあらゆるものは
時間とともに変化していくが、
2人の友情は永遠に続くと確信していた。
そうーーヘルマンに出会うまでは。
ヘルマンは、人生のほとんどを
海で過ごす船乗りだ。
彼と知り合ったのは酒場だった。
ヘルマンは海で起きた様々な出来事を
面白おかしく教えてくれた。
私はいつも彼の話を聞くのが楽しみだった。
彼の話を聞くたびに、
私は彼自身にも興味を持つようになり……。
気づけば、恋に落ちていたのだ。
ヘルマンとの距離は急速に近づき、
私たちは愛し合う関係となっていった。
私はヘルマンとの出会いから、彼の仕草まで
事細かく親友のライアに話していた。
強靭な体、ロマンチックな性格……すべてを。
恋は盲目とはよく言ったもので、私はあの時、
ほかのことがまるで目に入らなかったのだ。
3人で一緒に歩いていた時、
ライアとヘルマンが何をしていたのか、
ライアがヘルマンにどんな視線を
送っていたのか、そして……
ヘルマンがどう応えていたのかなんて……。
あの日の夜ーー
ライアは慌てて私のところにやって来た。
「ディセラ、私、妊娠したみたい……」
そう言いながら、少し膨らんだお腹を
優しく触れていたのを覚えている。
慌てているように見えても、
少し頬を紅潮させている表情は、
初々しさと母なる女神のような慈愛に
満ちていた。
私はすぐに祝福の言葉を言おうとしたが、
ライアの物言いたげな様子に、
言葉をつまらせる。
なんとも言えない不安がよぎり、沈黙が流れる。
ふと、私はあることに疑問を抱く。
「ねぇ、誰の子?」
私は必死に冷静を保っていたが、
それでも声が震えているのがわかる。
ライアはわずかに眉をひそめた。
そしてゆっくり口を開きーー
「ヘルマンの子なの……。
あなたには教えるなって言われたけど、
でもあなたを騙すわけには
いかなかったのよ……ディセラ!」
突然、ライアは恐ろしい形相をしながら
手を伸ばし、私を掴んだ。
「彼は……ヘルマンは、
あなたなんか好きじゃない。
本気で愛し合っているのは私たちなのよーー!」
蒸し暑い夏の夜なのに、まるで氷水を
体にかけられたような感覚に襲われる。
幼い頃から私とライアとは親友で、
唯一無二の存在だと思っていた。
しかし親友は私を裏切り、
私の最も愛する男と一緒に騙し続けていた!
「ダメよ、ライア。
誰が私を騙そうと、傷つけようとしても
かまわないけど……あなたたちはダメ!
あなたたちだけは!」
怒りで我を忘れた私は、
言葉にならない叫び声を上げながら
手が届く範囲にあるものすべてを
彼女のお腹に投げつけたのだ。
私は頭が混乱し、理性を失っていた。
それゆえに、2人が私を裏切った証拠を
この世から消し去りたかったのだ。
しかし、彼女はお腹を守るように抱えて
私からの攻撃をすべて防いだ。
そして、ライアは自分の身を守るため、いや、
ほかの『何か』のためだったのかもしれない。
私に反撃を始めたのだった。
先に刃物を掴んだのはどちらだったのかは
わからない。
だが、私は痛みによって目を覚ます。
その時だった。
ライアは目を真っ赤にしながら、
私の体めがけて何度も何度も
斧を振り下ろしたのだった。
「ライ、ア……」
私は最後の力を振り絞って彼女の名前を呼んだ。
すると彼女は我に返ったように、
手に持っていた斧をその場に落とした。
「わ、私なんてことを……!?」
彼女は目の前に起こっている現実に驚き、
両目を大きく開いて、血で濡れた手で
自分の口を塞いだ。
「ヘルマン、ヘルマンーー」
彼女は愛する彼の名前を叫びながら、
私の家を飛び出していった。
窓の外は嵐が吹き荒れ、雷が鳴り響いた。
血だらけの床に倒れ込んだ私は
すでに虫の息だった。
人生で最も大事にしていた2人が今、
死んだ私の体を海の中に投げ捨てようと
している。
まるで2人にとって私のことなど、
人生にあってはいけない存在のように。
私は恨んだ。
自分の無邪気さに、
そして自分の愛していた者の無情さに。
もし、できることならーー
「それですべてか?」
私の周りを飛び回る怨念が魂に囁く。
その声に焚きつけられた私は、
混沌と虚無の中から両目を開いた。
切り刻まれた私の体は海によって洗われ、
綺麗になった。
腰骨から下は魚の化石のように伸びていき、
尻尾が形成される。
そして、怒りや悲しみを含んだ涙は、
真っ白な真珠になった。
「これからお前は死ぬことも
生きることもできない。
だが、今まで以上に強力な力を持つことになる。
お前が望みさえすれば……」
「ライア、ヘルマン……!
今すぐに見つけてやる!」
「そう急ぐな。2人には必ず会う日が来る。
お前の願いも叶うことだろう。
ようこそバンティスへーー」
笑いながら話す声の主は、ほかの誰でもない、
死の世界を支配する、ケハディマン様だった。
私はケハディマン様の命令に従い、
『嘆きの海岸』に住むようになった。
怒りこそは私の最大の武器だ。
私はミストを呼び出し、近くを通る船を
バンティスの領域におびき寄せたのだ。
船上には船乗りがたくさん乗っている。
船乗り……そう、ヘルマンだ。
誰も彼もがヘルマンにしか見えない。
私を騙したあの男にーー
だが、まさか本当に
彼がいるとは思ってもいなかった。
この男もまた、ほかの愚か者たちと同じく、
死者の国の財宝目当てに、『イモータル号』で
『嘆きの海岸』にやってきたのである。
ヘルマンは私の姿を見ると、
恐ろしさのあまりに甲板から海に飛び込んだ。
「そう簡単に死なせはしない」
私は何度も彼を海からすくい上げては沈めて、
絶望に苦しむ様子を眺めていた。
「ライアは? 彼女をどこに隠した?」
彼女の名前を口にした瞬間、
急に懐かしさがこみ上げてきて、
思わず声が優しくなってしまう。
「か……彼女は……知ら、ない……」
ヘルマンの唇は震えがとまらず、
まともに話すことさえできなかった。
その情けない姿に、私は大声を出して笑った。
そして鋭利な牙をあらわにして叫んだ。
「見ているか、ライア!
お前が私から奪っていったクズだ!」
その朽ち果てた港町には、
束の間の休息で船乗りたちが船から降りてくる。
そして、出航の準備が整うまで、
快楽に身を任せるのだ。
船出の時が近付くと、男たちは女と約束する。
「また、必ずここに帰ってくる」
愚かな女たちは、果たされない約束を信じ、
海に戻っていった男といつか会える日を
永遠に待ち続けているのだ。
私は彼から離れられなかった。
そしてライアもまた、
ヘルマンから離れることができなかった。
私たち2人は、彼のせいで大きな傷を
負うことになったが、
コイツは何もなかったように
その後の人生を楽しんでいる。
私は手を伸ばして彼の眉、鼻を撫で、
最後は首を締め上げた。
「愛しのヘルマン。あっちの世界でも、
私の代わりに彼女を大事にしてあげて」
彼の恐怖に満ちた目を見た私は、
大声を上げて笑った。
狂ったような笑い声は
湾全体に響き渡ったのだったーー
夢の中でさえも、
あの刻まれるような感覚を覚えている。
だが、亡霊は夢もなければ、
生きていた時に感じていた、痛みを含む
すべての感覚がなくなってしまうのだ。
名もない船が近づき、
海はだんだん霧に覆われていく……
今日もまた海の底から獲物に近づき、
ヘルマンの背骨で作った骨笛で
合図を鳴らすーー
「姉妹たちよ! 復讐の時がきた!」
ドリーのコーナー
幼い頃からラスティーアンカーに育っていながらも、ディセラはいつも明るい未来に憧れていた。
彼女とライアは薄汚い街中でいつも闇取引をしにやってきた富豪やその家族をこっそり眺め、いつか自分たちも家族と一緒に暖かく綺麗な部屋で愛する人たちと過ごすことを夢見ていた。
綺麗な顔のおかげで、ディセラはとある岸辺の酒場で仕事ができるようになった。
彼女はいつか自分の夢を叶えるため、必死に仕事をして、お金を稼いだ。
しかしヘルマンとの出会いにより、すべてが壊されてしまった。
確かに最初の頃はディセラに喜びと希望を与えたが、彼とライアの裏切りにより、ディセラは悲しみの深淵へと蹴落とされてしまった。
冥界の使者になってまもない頃、復讐に燃えたディセラはヘルマンとライアに容姿が似た人すべてを切り刻んだ。
無数の船乗りと女たちがディセラの復讐心によって命を落とした。
そんなある日、ついにあの男が目の前に姿を現した...
ディセラはヘルマンの首を絞め、かつての滲めな自分に、そして自分が憎しみを燃やしていたライアを浮かべ、狂ったように高笑いした。
愛情?
いや、薄情な船乗りと愚かな女にそんな言葉は似合わない!
それどころか、そんな二人のためにこんな姿にされた自分を嘲笑っていた。
二人をズタズタに切り刻み、魂を使役して、永遠に安息をえられないようにしてやる。
ディセラは死の海の艦隊を護衛しており、嵐がやってくる夜になると、嵐の中から彼女の歌声が聞こえてくる。
船乗りを誘惑したディセラ、彼女は欺瞞と裏切りを憎みながらも、明るい未来に憧れている。
しかし彼女にそんな日々が訪れることはもはやないだろう。
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