ミサカ

ページ名:ミサカ

ミサカ【野生児】

概要

呼称 野生児
陣営 ヴェルディア連盟

ストーリー

ユグドラシルの広場で、

1匹の巨大な熊と2匹の狼が遊んでいる。

追いかけっこをしたり、じゃれ合ったり、

草むらを転がったりしていた。

やがて傾き始めた陽の光が、

3匹を優しく包んでいくと……

 

「ミサカ、訓練の時間じゃ」

 

老人の声が森の中から聞こえた。

熊が耳に付いた葉っぱを払うと、

だんだん体型がが縮小し、体中の毛も消え、

1人の少女に姿を変える。

少女の名前はミサカ。

変身能力を持つ少女だった。

呼びに来た老人を見て、

ミサカは元気な声で駆け出し、

老人に飛びついた。

 

「先生ーー抱っこして!」

 

その瞬間、老人の顔色が真っ青に変わった。

これから何が起きるかわかっているからだ。

ミサカは空中で一回転をすると、

瞬時に熊の姿に変化した。

大きな影が老人を覆った直後、

巨体の熊がのしかかった。

そのはずみで土埃が舞い、

木にとまっていた鳥たちが飛び上がった。

よく見てみると、

老人はしっかりとミサカを抱っこしていたが、

両足は土の中にすっぽりとはまった。

 

「なんてことをするんじゃ! 

お前はもう子どもじゃないんじゃぞ」

 

ミサカは老人の震える両肩から飛び降り、

無邪気に笑った。

この調子だと、次もまたやる気だ……

 

ーー10年前。

老人はユグドラシルの辺境で

ミサカと出会った。

その時ミサカは、密猟者と対峙していたのだ。

少女の後ろには2匹の幼い狼が

母親の死体の傍らでうずくまっていた。

密猟者を睨みつける少女の瞳から、

力強さとたくましさを感じた老人は、

心を打たれこの子を救いたいと思ったのだ。

密猟者の銃口がミサカに向けられ、

老人が助け出そうと足を踏み込んだ時ーー

目の前の光景に次の一歩が出なくなった。

少女が低い唸り声を上げると、

なんと巨大な熊に変身したのだ。

そして、密猟者に向かって

突進していったのだ。

なぜ少女がそのような能力を

持っているかというと、

『夢の森』で育ったからだ。

 

物質世界と夢の世界の狭間にある

『夢の森』には、物理法則を歪曲させる

魔力が満ちている。

何度も『夢の森』に出入りしている

ヴェルディア連盟の者の中には、

森の魔力を吸収したことにより、

一定の時間、体の構造を変化させ、

動物に変身することができる者がいる。

こうした能力がある者を

『スキンシフター』と呼んでいた。

 

密猟者を追い払った老人は、

力を使い果たしてその場に倒れ込んでいる

ミサカに近づき、優しく語りかけた。

 

「わしのもとに来ないか? 

戦い方を教えてやるぞ」

 

ミサカは何も言わず、

ただ2匹の幼い狼を心配そうに見つめた。

 

「あの子たちも一緒に連れて行っていいぞ」

 

その言葉を聞いて、

ようやく少女の顔に笑みがこぼれた。

この日、老人は弟子を取った。

同時に、物心ついた時から

1人きりだったウルサスの少女は、

新しい家族ができたのだった。

 

ーー新しい家族ができたミサカは、

厳しい訓練にも歯を食いしばって耐えていた。

訓練が終わると、

ミサカは解放された喜びを表現するように、

嬉しそうに老人に抱きつき、

老人も優しくそれを受け止めていた。

 

……ミサカが空中で

熊に変身する特技を会得するまでは。

 

あれは命の危機を感じた瞬間だった。

翌日の太陽を見ることができないのでは……

と、老人は本気で思ったのだ。

ミサカは日を追うごとに成長していく。

それに合わせるかのように、

老人の腕もたくましくなっていった。

森で助けた2匹の幼い狼も、

立派な牙を持つまで育っていったのだった。

 

雛鳥がいつかは巣立つように、

ミサカにも旅立つ時がやってきた。

 

荷物をまとめ終わると、

ミサカは老人を強く強く抱きしめ、

別れの挨拶を告げる。

2匹の狼は別れの挨拶と言わんばかりに

しっぽを振って、少女を追いかけていった。

1人の少女と2匹の狼の影が、

夕日に照らされて長く伸びていく。

そして、少女の声が風に乗って聞こえてきた。

 

「先生! きっと戻ってくるから、

それまでに腕を鍛えておいてね!」

 

スキン【雪と戯れる漁師】

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