オルク【メガトンフィスト】
概要
呼称 |
・メガトンフィスト ・お人好しオルク ・茨の清算者 |
陣営 | ヴェルディア連盟 |
外見年齢 | 55歳 |
身長 | 210㎝ |
趣味 | 弱者を助ける事 |
好きなもの |
・ユグドラシルを守護すること ・娘の面倒(今はミサカの面倒を見ること) |
嫌いなもの | 森を破壊するすべて |
現在地 | ユグドラシル |
関連人物 |
【弟子】 ・ミサカ |
ストーリー
外の世界の住人からしてみれば、
ユグドラシルで暮らすヴェルディアの民は
温和な性格をしていて、
たとえ森に迷い込んだとしても
やんわりと追い返されるぐらいで済むと
思っていることだろう……
だが、熟練の狩人たちはよく知っている。
怒らせると命が危ない、
そんな恐るべき存在がこの森の中に
いるということをーー
『茨の清算者』
ユグドラシルには、
そう呼ばれる恐ろしい者たちがいる。
オルクもそのひとりだ。
かつて……
オルクはほかのヴェルディアの民と
同じように森の中で穏やかに暮らしていた。
巨大な体躯に似合わず、
誰に対しても優しく、困っている住民には
積極的に手を差し伸べていた。
そうしているうちに、
ヴェルディアの民たちは彼のことを
『お人好しのオルク』と呼ぶようになる。
オルクは妻と娘の3人暮らしだったが、
妻は何年も前に病気で他界した。
それゆえ、唯一の肉親である娘は、
彼にとってかけがえのない存在だった。
力持ちのオルクは、
住民たちが家を建てる作業を手伝ったり、
重い荷物を運んだりして生計を立てていた。
父親として家族を養うために、
全力を尽くしていたのだ。
娘は成長するにつれ、
どんどん好奇心が湧いてきて、
なんでも父親に聞くようになる。
娘の質問にはいつも笑顔で答えていたが、
この質問だけは返答に困ってしまった。
「ユグドラシルの外はどんな世界なの?」
オルクは言葉をつまらせた。
ユグドラシルのことなら
なんでも知っている。
どこに行けば美味しい果物が採れるのか、
小屋を建てるには
どの木材を使えばいいのか、
服を作るのに最も適している樹皮は
どれなのか……
だが生まれてこの方、
一度も森の外に出たことがないオルクは
外の世界について何も知らなかったのだ。
今まで娘の質問には
なんでも答えてきたのに、
ここで答えられなかったら
娘に失望されてしまうかもしれない。
どうやって伝えるべきか、
考えあぐねていた時だった。
とある人間がオルクの代わりに
答えたのだった。
オルクたちの前に現れたのは、
各地を旅しながら商売をしているという
旅商人だった。
人間の手で作られた精巧な玩具や、
森の中では見たことがない
お菓子などを売ったり、
子どもたちに森の外の世界について
話を聞かせてくれたりした。
旅商人は瞬く間に
子どもたちの人気者となっていく。
旅商人が姿を見せれば、
すぐに子どもたちが集まり、
商人を囲んで大はしゃぎをする日々だった。
オルクの娘もそうだった。
彼は娘の嬉しそうな顔を見て、
この商人にお礼をしなければならないと
強く思うようになっていく。
ある日、旅商人は大慌てで
オルクの家に飛び込んできた。
商人の話を聞いてみると、
どうやら話の行き違いから
『茨の清算者』と口論になったようで、
追いかけられていると言う。
商人はオルクに匿ってほしいと
頼み込んできた。
『茨の清算者』ーー
オルクも噂で聞いたことがある名前だった。
その集団は、ユグドラシルの中でも
異端とされている。
極端に人間のことを嫌い、
何かと言いがかりをつけては、
森に迷い込んだ人間を排除するのだ。
オルクはしばらく考える。
この旅商人は、
ヴェルディアの子どもたちに玩具や
外の世界の話を提供してくれた。
娘も含め、皆とても喜んでいた。
(今こそこの商人にお礼をする時では
ないのか……?)
オルクはこれまでのことを振り返り、
旅商人を匿ってあげることにした。
『茨の清算者』たちが去り、
再び穏やかでのどかな森となる。
数日後ーー
オルクがいつものように仕事を済ませて
家に戻ってくる途中、
悪い知らせが彼の耳に入ってきた。
周辺に住む子どもたちが
行方不明になっていると
親たちが騒いでいたのだ。
胸騒ぎがして家に急いで戻ると、
その予感は的中してしまう。
娘がいないのだ。
家に匿っているはずの旅商人もいなかった。
オルクは必死になって森を探す。
ユグドラシルのすみずみまで探し回るも、
娘を見つけることはできなかった。
毎日、娘を探しては見つからない絶望を
突きつけられる。
そんな1ヵ月が経ったある日ーー
旅商人と再会することができたが、
『茨の清算者』に捕まっていた。
よくよく話を聞いてみると、
なんとこの人間は、
奴隷商人という裏の顔があったのだ。
旅をしながら商売しつつも、
その土地、その土地で異種族を攫い
『商品』として売っているという。
この人間は、ブライト王国で
2番目に大きいと言われる、
港湾都市ラスティーアンカーで悪事を働く
ギャング組織『ブラッディ・マリー』に
雇われていた。
そして、ユグドラシルに潜入し、
ヴェルディアの民たちを攫って闇市に
売り飛ばし莫大な利益を得ていたのだ。
本来ならば、違法な取引に言及すべきだが、
オルクの頭の中は娘のことで
いっぱいだった。
人間に娘の行方を問いただすも、
知らないの一点張りだった。
「なんだと……!」
オルクが巨大な体躯で距離を縮めると、
旅商人は恐怖からかペラペラと喋りだした。
少し前、海トカゲ族の亜人が
ラスティーアンカーで暴動を起こし、
大混乱に見舞われたという。
多くの奴隷たちがその混乱に乗じて
逃げ出そうとするも、
『ブラッディ・マリー』に見つかり、
ほとんどが殺されてしまった。
そのため、今回は奴隷の補充をすべく、
再びこの地に戻ってきたが、
見ての通り、『茨の清算者』に
捕らえられてしまったと話した。
(殺された……? 娘が……?)
それは一瞬のことだった。
怒りと絶望で我を忘れたオルクは、
その大きな拳で目の前の人間の
命を終わらせたのだった。
オルクは膝から崩れ落ち、大粒の涙を零す。
この人間の正体を見抜けず、
子どもたちと引き合わせたこと、
家で匿ってしまったこと、
悔やんでも悔みきれなかった
オルクは自分が許せず、
子どもたちを失った親たちに
合わせる顔がなかった。
そんなオルクを憐れに思ったのか、
『茨の清算者』がオルクを組織に勧誘する。
この集団の中には、
オルクと同じ境遇の者や、
外の世界の住人によって被害を受けた者が
多数所属していると言う。
共に戦おうと差し伸べられた手を取り、
オルクは復讐に燃えた。
残りの人生は『茨の清算者』として、
自分の犯した罪を償いながら、
奴らを一掃すると心に誓ったのだった。
その後数年間ーー
オルクは森の外に出ては、その拳で
ユグドラシルに危害を加えようとする者に
鉄槌を下したり、
ひとりでラスティーアンカーに潜入し、
誘拐された子どもを親の元へ
連れ戻したりしていた。
だが、どんなに時間が経っても
娘を失った悲しみと苦しさは
和らぐことはない。
鉄の檻の中でオルクに助けを求めている
娘の夢を今でも見ている。
毎回この悪夢から目が覚めた時には、
娘を探す果てしない旅に出かけるのだ。
娘を探し出すまで、
オルクは冷酷な復讐の化身として
永遠に旅を続けていくことだろう。
「弱気雑草のままでは、
いつまでも踏まれ続けるだけだ。
鋭い茨となって、
侵入者に血の代償を払わせてやる!」
ドリーのコーナー
オルクは家庭をこよなく愛する男である。
獰猛そうな外見をしているが、実は心優しく、親切な心の持ち主であった。
妻が他界して以来、唯一の肉親である娘だけが精神の支えとなっており、彼の生きていく原動力となっている。
茨の清算者に加入してしばらくの間は、混乱と迷いの中で戸惑う時期があった。
自らの手で仇を殺した時の虚しさと、娘の居場所を見つけられるのかという不安からくるものだった。
娘は必ず生きている、そう自分に言い聞かせるしかなかった。
でなければ、オルクは自分の生きる理由を失うことになった。
しかし、奴隷を救出し、家族が再会する姿を見る都度、心の迷いと苦痛はより強くなっていた。
娘がまだ生きていて、自分を助けてくれるのを待っている。
幾度も失望と苦痛を味わいながらも、それでも諦めず、再び娘探しの旅に出た。
このような失望の苦しみのなかで時は流れ、壮年だった男も老年の入っていった。
ミサカとの出会いは偶然の出来事だった。
ミサカは拉致された時の娘の年とほぼ同じで、彼女の負けず嫌いな性格が、記憶の中にある娘と重なり合った。
この屈強なヴェルディアの子供が、奴隷として悲惨な日々を強いられる姿を見て、同じ境遇に遭わされた娘のことを思い出し、オルクは涙を流しそうになった。
それ以来、オルクはミサカの師となって、彼女に戦いや生活を教え、父親の如く面倒を見てあげた。
こうして身寄りのない二人はお互いに支え合いながら、今でも娘探しの旅を続けている。
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