ソロス【さざ波の槍】
概要
呼称 | さざ波の槍 |
陣営 | ヴェルディア連盟 |
身長 | 172㎝ |
好きなもの |
・浜辺 ・焼き魚 |
嫌いなもの |
・黒魔術 ・鉄の檻 |
故郷 | ユグドラシル |
現在地 | 不明 |
現在の身分 | 流浪者 |
関連人物 |
【ライバル】 ・エルロン 【仇敵】 ・ソニア |
ストーリー
ヴェルディア連盟で『天賦の才』を
持つ者と言われているエルロンはこう語る……。
「長い年月が過ぎ、再びソロスに出会った時、
彼はすっかりと変わっていた。
勝敗は今の彼にとって重要ではない、
彼はもっと大事なものを探しているのだ」
勝負にこだわっていたソロスに
いったい何があったというのかーー
何年も前のこと……。
ソロスは自分がこんなにも早く負けるとは
まったく思ってもみなかった。
相手は剣術の天才と言われているとはいえ、
自分よりも若い男に敗北するとは……。
少し傲慢気味だったソロスは、
この結果を認めようとせず、
見苦しく暴れまわる。
だが、ここラスティ―アンカーでは
勝者には名誉が与えられ、
敗者には奴隷の烙印が押されるという決まりだ。
『ブラッディ・マリー』は
ソロスのような人気商品にはいつも残忍だ。
海トカゲのウロコと血液は、
黒魔法の絶好の材料ゆえに
逃すわけにはいかない。
すぐにソロスは捕らえられ、牢に入れられた。
そうして、ソロスは
生きる意欲を失ってしまったのだった。
ラスティ―アンカーでは、
ソロスのように才能はあるが
それを発揮できずに埋もれている者が
ごまんといる。
失意のどん底へと叩き落とされたソロスは、
牢の中でただひたすら
『死』という時が来るのを待っていた……。
そこに、ディアという貧民の少女が
ソロスの前に現れた。
少女は犯罪の温床でもある、
このラスティ―アンカーという
過酷な環境の中でも必死に生きていた。
少女は囚われたソロスを心配そうに見つめながら
牢の前で黙って立っていた。
そんなディアに、
ソロスは冷たく見返すことしかなかった。
少女もまた『ブラッディ・マリー』に
一生こき使われる運命だと思っていたからだ。
だが、ソロスは自分の考えが
間違っていたことに気づく……。
『ブラッディ・マリー』は、
ディアにこれまでにないほどの
高額な金額を要求したが……。
他の子ども達のように、
ディアは素直にお金を差し出さなかった。
殴り倒され、踏みつけられるも、
少女は屈せず鋭い目で睨みつけたのだ。
ディアから、
恐怖心は微塵も感じられなかった。
ディアの強い意志に心を打たれたソロスは、
かつてあの若い剣士と戦った事を思い出す……。
「承認欲求の塊だ」
自分を認めてほしいがゆえに、
他人を認められない。
そして、見捨てられ、惨めに成り下がる。
ソロスが大事にしてきた他人からの称賛は、
誇りでもなんでもなかったと、
ディアを見て気づかされたのだった。
次の瞬間ーー
ソロスは自分を縛っていた鎖を断ち切り、
牢を打ち破って倒れているディアを抱き上げた。
そして、『ブラッディ・マリー』の攻撃を一掃し、
二人でその場を逃げ出したのだった。
逃亡中、ソロスはディアのくじけない、
それでいて楽観的な性格に癒された。
どんなにちっぽけな人生でも、
たやすく諦めるべきではないと……。
しかしそんな日々は長く続かず、
ソロスとディアはついに
『ブラッディ・マリー』の手下どもに
見つかってしまう。
ソロスはディアを逃がすために、
一人で立ち向かっていく。
心配そうに見つめるディアに、
彼はこう叫んだ。
「生きるために逃げるのだ。
いつか必ず会おう。約束だ!」
多数の敵に囲まれながらも
ディアが無事に逃げたのを確認すると、
手にしていた槍で敵をなぎ払った。
多勢の無勢だが、
ここで諦めるソロスではなかった。
幼い頃から浜辺で荒波を相手に訓練してきた
槍の技術で、次々と敵をなぎ倒していく。
内側から溢れ出る、
少女を守りたいという強い意志で、
ソロスは戦いに勝つことができた。
彼はもう他人の目を気にしたりしない。
昔のソロスではないのだ。
そして今……。
ソロスは希望と自信を取り戻してくれた
少女を探しにエスペリア大陸を旅しているーー
ドリーのコーナー
ソロスはとても自尊心の高い槍使いだ。
その傲り高さの一部は、海トカゲ族の血筋に流れる生まれ持ったものだと言える。
もちろん、アリーナでの素晴らしい戦績も一因だろう。
そのため、エルロンに負けたソロスは翼を折られた鷹のような精神状態になってしまった。
泥沼の中に深く深く落ちてしまったのだ。
己の自尊心が引き裂かれる思いにさいなまれたソロスにとって、相手への喝采は自分に対する嘲笑に他ならない。
そうして彼は、自暴自棄の深淵に囚われてしまった。
現実を受け入れられなかったソロスは、己を追放することにした。
自らブラッディー・マリーに囚われに行ったのだ。
長きにわたる拘束生活の中でソロスは己の失敗を噛みしめ、この苦痛から解き放たれるために、自らの意志と魂が少しずつ腐りゆく毎日をただ黙って過ごしていた。
しかし、そんな死にゆく静寂をディアという女の子が打ち破ってくれた。
現状から抜け出したいと願う彼女のことをソロスは当初滑稽だと思っていた。
自分のような強気者でさえ、挫折を前にすれば運命を受け入れるしかないというのに、虫けら同然の力しか持たない子どもがブラッディー・マリーに抗おうなど、なんという身の程知らずか。
しかし、ディアはひどい挫折を前にしてもなお、その瞳は揺るがず、そんな彼女の姿にソロスは己を恥じた。
そして、自分の心がいかに弱かったのかを悟る。
彼の持つ傲り高さの底にあったのは、自分を卑下する心に過ぎない。
ソロスは天才という虚ろな名声に沈み、一度の挫折にこだわり過ぎていたのだ。
それゆえに最終的には、ただ生きているだけの臆病者と成り果ててしまった。
ソロスは唐突にすべてを理解した。
弱さと強さの違いは、永遠に勝ち続けられるかではない。
己の心に揺るがぬ決意を抱けるかどうかなのだ。
ディアの持つ決してくじけない心と楽観的な人柄がソロスの心の奥深くに根付いていた闇を払拭し、彼はようやくもう一度立ち上がることができた。
牢獄から出たソロスは落ちていた木の棒を手に取り、ブラッディー・マリーの悪人めがけて振り下ろした。
かつて、ブルー海岸で日の光を浴びながら、疲れを知ることもなく荒波に向けて槍を突き刺していた少年時代と同じように。
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