SPライカ

ページ名:SPライカ

SPライカ【明けの明星】

概要

呼称 明けの明星
陣営 ヴェルディア連盟
関連人物

【弟】

クイン

【部下】

アイラ

キャット

ストーリー

これほど厄介な状況に直面したのは、

ライカが『ヴィジランツ』の

指揮官になってからは初めてのことだった。

星の精霊との繋がりが消え、

頼りにしていた星々の力も

奪われてしまった。

彼女が暗闇に取り込まれた瞬間、

まるで示し合わせたかのように、

嘲笑と囁きが四方八方から聞こえてくる。

「ふん……星々の力もないのに

なにが指揮官だ」

「早く諦めて、もっと有能な者に

指揮官を譲るべきだ」

果てしなく続く暗い幻想の中で、

ライカが逃げ出そうとすればするほど、

嘲笑は大きくなるばかりだった。

四方八方から聞こえる囁きが

彼女に絡みつき、

まるで泥のように体にまとわりついて

深淵へと引きずり込んでいく。

少し前、

不吉な流れ星がユグドラシルに落ちて

黒い炎が燃え上がった。

カタストロフはその隙を狙って侵入し、

一族の心を闇で支配したのだ。

ライカはその原因である

『暗星の欠片』を探すべく、

神鹿に乗って湖畔の草むらを駆け抜け、

任務に当たっている。

『ヴィジランツ』たちと合流しようと

していた。

だがその時、

草むらに潜んでいた不吉な気配が

まるで生きている蔦のように飛び出し、

疾走していた神鹿の脚に絡みついたのだ。

ライカは衝撃で地面に落ち、

瞬く間にドロドロとした闇に飲み込まれる。

体を起こしてあたりを見渡しても

神鹿の姿がない。

行方がわからなくなってしまったようだ。

ライカは1人でどこまでも続く闇の中を

必死に走り続けた。

彼女を縛り付けようとまとわりつくものを

蹴り落とそうとしても、

その闇は自分の影のようについて離れない。

だんだんと走る力がなくなり、

ついに足を止めた。

ライカの脳裏に森の一族の顔が

浮かんでいた。

彼女は今までずっと、

最前線でカタストロフ退治をすることが

できたのは、

星の精霊から与えられた力の

おかげだと思っていた。

だが、星々の力を失った今、

ここから逃げ出すことができたとしても、

もう一族の信頼を受けることはできないと

感じている。

(こんな私が……

指揮官としてこれからも一族を守るために、

戦い続けることができるのでしょうか?)

「星々の力を失った私には、

もう何もできないのでしょうか……」

呟くライカの顔に、

闇がゆっくりと這い上っていく。

ふと、

星の精霊の加護を受けた時に言われた、

森の賢者からの言葉を思い出した。

「ライカよ。

眩い星の光の下で、

自分の進む道を見失ってはいけないよ」

その当時の彼女は、この言葉の意味を

星という強大な力があるからこそ、

一族から信頼され

指揮官の資格があると解釈していた。

だが、星の精霊が降臨する前から、

ライカは一族から信頼され、

指揮官という重責を担っていた。

彼女はその使命を全うするべく、

日々過酷な訓練と勉学に励み、

『ヴィジランツ』たちが最大限に力を

発揮できるよう、

能力に合わせて編成し統率していたのだ。

どんなに強大な敵を相手にしたとしても、

全員が無事家に帰れるようにと……。

仲間たちの信頼を勝ち取ったのは、

星々の力ではなく、

みんなの力を集結させ、

どんな困難も打ち破って導いてきた

ライカ自身の力だ。

不吉な流れ星がユグドラシルに落ちた後、

ライカは即座に部下たちに

任務を言い渡した。

燃え広がる炎の阻止、カタストロフの撃退、

仲間の治療……。

ライカの見事な采配ぶりで、

部下たちがすぐさま行動を開始する。

森を覆う闇が晴れるのも時間の問題だろう。

「……光を灯す力を失ったとしても、

私は自分の力で、

みんなを光へと導いてみせる!」

カッと目を見開いたライカは、

怒りに満ちた声を上げながら、

自分を飲み込もうとしていた泥の束縛を

引き剥がした。

同時に、失っていた星の精霊との繋がりが

彼女の力強い鼓動と共鳴するかのように

再び結ばれていく。

ライカを覆っていた闇が収束して

霧の塊となったかと思えば、

巨大なカタストロフの目が現れた。

次の瞬間、

カタストロフが生み出した幻影に

いくつもの亀裂が走り、

そこから雪のように白い牡鹿が飛び出して

軽やかにライカのそばに降り立った。

そして、優しく彼女の傷を舐めてくれた。

先ほどまで蠢いていた闇は、

神鹿の放つ光に触れると

たちまち蜘蛛の子を散らすように

逃げていく。

星の精霊が放つ微かな光に包まれた

ライカの瞳は、

固く揺るがないものとなった。

「もう星の精霊の力だけに

頼ることはしません。

私はこれから、

自分が選んだ道を歩んでいきます」

嘆き声、怒号、悲鳴がカタストロフの

霧のような体からほとばしる。

新たに生まれ変わったライカに向かって

黒い触手が襲いかかり、

再び彼女を絡め取ろうとした。

「救世主になれると思うな! 

この星はいずれ闇に帰り、

お前たちは滅ぶ運命なのだ!」

だが、ライカの呼びかけに応えた

いくつかの星が、

亀裂の中から長い尾を引きながら

降りてきて、

彼女の手に巨大な弓を形作ったのだ。

「私は『ヴィジランツ』の指揮官です」

そう言ってライカが長弓を引くと、

無数の星々の光が矢の先端に集まっていく。

「もし誰かが光を失っても、

私が希望をもたらす明けの明星になります!」

眩い光が『暗星の欠片』がもたらす

不吉な気配を貫き、

湖の中心から空へ真っすぐ延びていった。

しばらくの間、

その光は周囲を照らし続けた。

闇が消え去り、

湖面に降り注ぐ穏やかな星の光が、

波紋と共に広がっていったのだった。

森の中で、

ライカに任務を言い渡された仲間たちは

今も互いに励まし合いながら、

黒い炎を食い止めている。

徐々に弱まっていく火の向こうで、

一筋の朝日が

空を照らし出したのだったーー

 

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