ルクレティア【憎悪の魔女】
概要
呼称 |
・憎悪の魔女 ・善良な看護師(昔の呼称) |
陣営 | カタストロフ |
外見年齢 | 30歳 |
身長 | 168㎝ |
趣味 | 夫のために奉仕すること |
好きなもの | 夫と息子が好きな事全て |
嫌いなもの | 無視されること |
故郷 | ブライト王国のとある小さな村 |
現在地 | カタストロフの戦場 |
現在の身分 | 憎悪の魔女 |
関連人物 |
【人間だった頃の夫】 |
ストーリー
憎しみに取り込まれてしまった
ルクレティアーー
彼女に救いの手は差し伸べられなかった……。
ルクレティアは、
とある貧しい家庭で生まれた。
幼い弟と妹、母の4人家族だった。
女手一つで育ててくれる母を
少しでも楽にさせてあげようと、
彼女は物心ついた時から
仕事で忙しくしている母の代わりに、
弟たちの世話をしていた。
それでも、母がルクレティアにかまう時間は
まったくなかった……。
彼女が初めてザフラエルに出会ったのは、
雷雨の夜だった。
ルクレティアの住んでいる場所は
カタストロフによって荒らされ、
母と弟、妹、全員殺されてしまったのだ。
薄ら笑いを浮かべているカタストロフは、
徐々にルクレティアに近づいてくる。
悲惨な光景を目の当たりにしたルクレティアは、
恐怖と絶望に陥り、立ち上がることができない。
だが、その時ーー
暗闇の中に希望の光が差し込んだように、
ザフラエルが兵士を連れてやってきて、
彼女をカタストロフから救い出したのだった。
13歳のルクレティアは
まさに英雄に憧れを抱く年頃……。
彼女の目には、
キラキラとまぶしく輝く、
魅力に溢れた理想の男性のように映ったのだ。
帰る家もなくなり、
家族も殺されてしまったルクレティアは
憧れの英雄に近づくため、
ザフラエルが指揮する軍隊に
加入することを決意する。
ルクレティアが軍隊に入ってしばらくしてーー
カタストロフとの苛烈な戦いが続き、
負傷兵が増していった。
そのため、
兵士たちの黒く焼け焦げた傷や、
四肢が切断されている悲惨な光景に
彼女も慣れていったのだった。
そして……。
ザフラエルへの憧憬も募りーー
彼が戦闘で傷つくと、
ルクレティアは他の兵士たちよりも丁寧に
傷の手当てをしてあげた。
この勇敢な指揮官は、
最前線で数え切れないほどのカタストロフを
討伐しているため、
傷が癒えないうちにまた新たな傷を
作り出すということを繰り返していたのだった。
そんなある時ーー
ザフラエルが重傷を負って、
ルクレティアのもとに
担がれてきた時のことだった。
傷の酷さに恐怖を覚えたルクレティアは、
懸命に手当てを施し、
ザフラエルが目を覚ますまで、
ずっとそばにいた。
ザフラエルはいつも戦争に赴いているため、
なかなか近くにいることができない。
ルクレティアは、眠っているザフラエルに
自分の気持ちを告白すると、
ザフラエルの目が覚めて……。
この機を逃さないと意気込んだルクレティアは、
勇気を出してもう一度、
みんなの前で告白をする。
身分の違いから、
ルクレティアはいつも遠くから
ザフラエルを見ているだけだった。
それゆえ、そばで彼を見守る妻になれるなど
露ほど思ってもいなかった。
だけど、ルクレティアは、
少しでも可能性があるのなら、
せめてザフラエルと恋人同士になりたいと
考えていた。
長年戦いに身を投じてきたことで、
恋人を作るなど
想像したこともなかったザフラエルは、
彼女の突然の告白を断り切れず、
受け入れてしまったのだった。
そしてーー
流れに身を任せるように、
そのまま結婚することとなるが……。
結婚しても
2人の距離が縮まることはなかった……。
ザフラエルは1日の大部分を
カタストロフとの戦争に費やしていた。
そのため、ルクレティアは
夫と一緒にいる時間がほとんどなく、
昔と変わらず、ただただザフラエルの帰りを
待つだけだった。
しかし、彼女はそんな夫のことを
不満に思ったことは一度もなく、
毎晩神に夫の無事と終戦を祈っていた。
この戦争が終われば、
夫が家に帰ってきてくれる。
そして、自分とお腹の中にいる子どものそばに
いてくれる。
そう思っていた。
しかしーー
無情にも、夫がもうすぐ神になるということを
知らされるのだった。
神になどならず、この地に残ってほしい……。
私とお腹の子のために……。
口を開いて、本心を告げようとするも、
夫の敬虔な眼差しを見た瞬間、
ルクレティアはその言葉を
口にすることはできなかった。
神はなんて無慈悲なのだろうか……。
彼女の願いを聞き入れなかっただけでなく、
最愛の夫を永遠に切り離して
しまうのだからーー
その後ーー
2人の間にできた息子を
出産したルクレティアは、
夫に対する愛をすべて息子に注いだのだった。
さらに数年後ーー
収まる兆しのない戦争から逃れるため、
ルクレティアは子どもを連れて村を離れ、
今よりも安全な村に避難した。
だが、彼女にふりかかる不幸の連鎖は
止まらず……。
その土地に、子どもの生き血を吸う
邪悪なカタストロフが潜んでいるとは
夢にも思っていなかっただろう。
しばらくしてーー
カタストロフがこの世に誕生するための
最期の生贄として、
息子が連れ去られてしまい……。
ルクレティアが絶望に落ちたその時だった。
彼女は懐かしい面影を見つける。
十数年前の、あの雷雨の夜のように、
ザフラエルが彼女の目の前に現れたのである。
涙ながらに助けを求めるルクレティアに対し、
ザフラエルは、カタストロフの誕生を
阻止するため、いかずちの槍を振り上げたのだ。
夫が息子に手をかけようとしているのを見て、
ルクレティアは全身に衝撃が走り、
必死に懇願する。
「私たちの子どもなのよ!?
お願い……殺さないで!!! 助けて!!」
ザフラエルは踏みとどまるも、
カタストロフの誕生が近づいている。
そして、ついにーー
ザフラエルは、
カタストロフと融合してしまった
息子にめがけて、いかずちの槍を投げつけた。
カタストロフの誕生は阻止したが、
同時に自分たちの息子も灰と化してしまった。
それは、一瞬の出来事だった。
ルクレティアは、息子が最期に「お父さん」
とつぶやいた声を聞いたような気がした。
かつて、ルクレティアは
すべてをザフラエルに捧げ、尽くしてきたが、
彼は自分のそばを離れていった。
それでも彼女は、
2人の間に生まれた息子を支えに
生きてきたのだ。
だがーー
神はまたもや正義と言う名のもと、
大切な人を奪い去っていった。
ルクレティアの家族、夫、
そして……愛する息子。
神は彼女からすべてを奪い去ったのである。
ザフラエルの放ったいかずちによって
虫の息となったカタストロフは、
このチャンスを見逃さなかった。
ルクレティアの内心から溢れ出る憎しみを
感じ取ったカタストロフは、彼女の耳元で囁く。
「可哀想なルクレティアよ。
神にとってお前や家族は
そこらの塵の存在でしかないようだ……」
双生魔と呼ばれるこのカタストロフは、
人の心を読み取り、誘惑させるのが得意だった。
「奴らは虫けらの絶望など関心を持たぬ。
だが……お前が魂を私に捧げるなら、
神にも匹敵する力を与えてやろう」
息子を生贄にした憎きカタストロフが、
代わりの宿主を探していることに気づいた
ザフラエルは、空を雷雲で覆い始めて……。
彼が再びいかずちの槍を
構えているのを知りながらも、
神に対して憎しみが止まらないルクレティアは、
カタストロフの誘いに乗るとーー
次の瞬間、
カタストロフと1つになったルクレティアは、
みるみるうちに皮膚が硬い角質に覆われていき、
悪魔そのものの姿に変わっていった。
彼女は身体の内側から憎しみの力が
みなぎってくるのを感じている。
特に、息子とともに生活した頃を
思えば思うほど、
力がどんどん強くなっていくようだった。
出産時の痛み、
息子とともに暮らした苦しい記憶、
そして息子の死ぬ間際の蒼白な顔……。
これらを思い出すたび、
際限なく身体から力が溢れ出てくるのだ。
ルクレティアは復讐の刃を握った。
そしてかつて自分が最も愛した者に
その刃を向けてーー
「神は我の絶望に対して見て見ぬ振りをした。
でも今回はどうかしら……?
ドリーのコーナー
ルクレティアはかつて小さな村に住むごく一般の少女だったが、英雄の姿で目の前に現れたザフラエルに一目惚れしてしまう。
自分が一人の英雄を愛する事以外、何も持っていないことを彼女はよく知っていたが、それでも英雄の後を追い求めた。
しかし彼女が心から愛していた英雄は神という存在に近づきすぎていた。
神は人間と違い一切の欲望を持たず、より大きく崇高な目的のために存在する。
人間の愛情など、彼にとっては取るに足らないものであった。
このような人を愛してしまったことが、悲劇の始まりだった。
ルクレティアにとってザフラエルの妻になることはこの上ない名誉なことだった。
ザフラエルがいかなる崇高な目的や理想を持っていても、自分はただ後ろで夫の支えになればいいと思っていた。
しかし彼女が求めていたのは求められ、大切にされ、愛されたいという人間の愛情であり、ザフラエルはルクレティアにそんな愛を与えることはできなかった。
夫が神になると、その感情は息子に移り、息子を一人で6年間育てた彼女にとって息子は人生のすべてであり、唯一の支えであった。
神となって帰ってきた夫に希望をすべて打ち砕かれて初めて、ルクレティアは悲しみの中、自分はザフラエルと相容れない存在であると悟った。
神となったザフラエルとは家庭、地位、生い立ち、さらには考え方までが自分とまるで違うことに気づいた。
はじめから自分が一方的にザフラエルを追い求めていただけで、ザフラエルにははじめから自分に対する感情などなかったのだ。
ルクレティアはカタストロフの囁きに惑わされてしまう。
いや、或いは目が覚めたというべきか。
私が人間だった頃、誰も私の感情など気にしていなかった。
それならば、私は神々の敵となり、ザフラエルの正義を恨み、誰もが無視できない存在となろう!
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