イヴァン【彫骨師】
概要
呼称 |
・彫骨師 ・傀儡師 |
陣営 | グレイヴボーン |
身長 | 200㎝ |
趣味 | 色んな生物の骨で傀儡を作ること |
好きなもの |
・綺麗な形の骨格 ・美をわかっている目 |
嫌いなもの | 見る目がない人間 |
故郷 | ブライト王国にある小さな町 |
現在地 | バンティス |
現在の身分 | バンティスの首席メカニック |
関連人物 |
【敵】 |
ストーリー
バンティス最高の機械職人が
話題になるたびに、
グレイヴボーンたちは彼を
『彫骨師』と呼び、畏怖している。
だが、彼の本棚の片隅に
古い手記があることは
あまり知られていない。
表紙には、
時が経ちインクがかすれているも、
『イヴァン』とサインされているのが
わかる。
なんとか読み取れるページには、
次の内容が記されている。
【作品#1】
1日目:
今日、俺はこの小さな村に住むことにした。
本当に素晴らしい場所だ!
子供は多く、風習も素朴で、
一人前の傀儡師になったばかりの俺に
みんな親切にしてくれる。
長年にわたる修行を経て、
ようやく自分の傀儡工房を開くことが
できた。
粗末な工房だが、腕には自信がある。
村の子供たちは近い将来、
きっとお気に入りの人形を
持つようになるだろう。
もちろん、俺が造り出したものでな。
ははは。
【作品#117】
12日目:
今日、子犬のルーがどこからか
羊の足の骨を持ってきた。
その骨を見て、俺はひらめいた!
羊の大腿骨の球状構造を
関節に取り入れたら、
長いこと頭を悩ませていた問題を
簡単に解決できるかもしれない。
よくやったぞ、ルー!
まさか羊の骨格がこんなに巧妙だったとは
知らなかった。
人の体もそうなのだろうか?
いやそれ以上なのだろうか……?
…………ははっ、俺は何を考えているんだ。
【作品#524】
2日目:
今日、聖堂の牧師が訪ねて来た。
俺に村の聖堂の裏にある墓地に
近づくなと言ってきたんだ。
根も葉もない噂を本気にしているとは!
アンディの両親は、俺と牧師のやり取りを
遠くから恨めしそうに見ていた。
アンディは埋葬された後も
俺が作った人形を抱いていたというのに。
ああ、そういえばルーはもう
役に立たなくなった。
もっと多くの材料を手に入れなくては。
【作品#1744】
41日目:
師匠が俺のやり方を
どう思っているのかは想像したくない。
墓地をうろついている亡霊どもが
教えてくれた秘術で
師匠が作ったものよりも精巧で
生き生きとした人形を作り出すことが
できたんだ。
ナイフとノミでコツコツ彫刻するのと
なんら変わりはない。
たとえその方法が世間一般的に
異端だとしてもな。
俺は村から出ていくことを
余儀なくされたが、気にはしていない。
傀儡作りになんら影響はないからだ。
むしろ俺の腕はより上達したし、
作品はどんどん完璧に近づいている。
それに俺が必要としているのは、
人間が二度と必要としないものだ。
【作品#2589】
1日目:
最後に食事をしたのはいつだったか……?
忌々しいデビルハンターめ。
やつらがつけた傷のせいで、
俺の左足は感覚を失ってしまった。
やつらは生贄の儀式の途中で突然現れ、
子供たちを俺たちから奪っていった。
もう少しだったのに……。
異端裁判所が下した俺への処刑命令は
すぐ『粛清の修女』に伝わるだろう。
あまり時間はないようだ。
あの構想を前倒しで進めるしかない。
もし成功したら、
世界で類を見ない最高傑作となるだろう。
だが、この古い慣習にとらわれた
ブライト王国に、
俺の作品を理解できる者など
いないことはわかっている。
運を天に任せるしかない。
【作品#2589】
397日目:
『粛清の修女』を始末するたびに、
俺は彼女たちの武器である
カタールを集めるようになった。
この神聖な刃は、
バンティスの暗い国境地帯を歩く時、
リンリンと音を出し、
亡者の国の民に俺の到来を告げるのだ。
俺の行く手を阻むグレイヴボーンはいない。
グレイヴボーンたちは俺に道を譲り、
畏敬の気持ちを込めた眼差しで
俺を見つめる。
こそこそと話している死霊魔術師がいるが、
ふふふ……俺は知っているぞ。
俺の至高の傑作ーー
俺に再び命を与えてくれた
この傀儡の体に興味津々なのだろう?
フォールンキングは
俺が到着したことを知って、
案内に伝令係をよこしてくれた。
バンティスの宮廷で
俺の技術と美学は終着点になるのだ。
「俺の作品を理解できなかった者たちは、
最後に全員俺の作品となったのだ」
ドリーのコーナー
イヴァンはかつて、町中の子どもから一番好かれている存在だった。
始めは、子どもたちも無口な傀儡師に対して警戒心を抱いていたが、すぐにイヴァンには不思議なものを作り出せる手があることに気がついたのだ。
物言わぬ木の板も彼の手にかかれば、まるで生きているかのような傀儡へと生まれ変わる。
イヴァンは学生時代から非凡な才能を見せていた。
傀儡を扱う時は、まるで命あるものに接するかのようにしてきたのだ。
彼にとって、作り出された作品はすべて神聖な芸術品であり、イヴァンは己の技術を更なる高みへと向かわせることを渇望していたのだ。
足をとどめることなど、あってはならない。
しかし、更なる技術を追い求めるイヴァンは、すぐに壁にぶつかった。
温度を持たぬ、冷たい木材では満足できなくなってしまったのだ。
そして、骨の持つ柔軟性は彼にとって抗えない誘惑となった。
ついにある日、イヴァンは闇夜に紛れて墓地へと足を踏み入れた。
思いをはせていたものに向けて行動を起こしたのだ。
自分がプレゼントをした人形を抱きかかえたまま棺に眠る小さなアンディを見た時、心苦しさと後ろめたさでどうしても手を出せずにいたが、数秒のためらいの後...
イヴァンはついに心を決めた。
傀儡という至高の芸術にその身を捧げることができるのは、この小さな体にとっても光栄なことだろう。
作業台を前に、なじみ深い者の顔を見ていると、恐れも少しずつ消えていく。
それに取って代わるように現れたのは、徐々にあらわとなる骨を前にした快感。
そして、思うがままに作品を作り出せるという自由だ。
なんの意外性もなく、イヴァンは当たり前であるかのように人体の骨格に魅せられた。
優れた技術と最高の材料を手にした彼には、もはやなんの問題もありはしない。
イヴァンの作品は日に日に完成度が上がり、完璧なものへと進化を遂げていった。
しかし、これではまるで足りない。
残念なことに、小さな町の墓地には、近づけなくなってしまったのだ。
こうなってしまっては、誰も気にかけたりはしない孤児に目を向けるしかないだろう。
彼らの命は、自分の作品として永遠に生き永らえることとなる。
イヴァンは、そう思っていた。
究極の傀儡という芸術品を完成させるため、イヴァンはこの世に二つとない作品を作り出そうとしている。
重々しい「正義」という障碍を取り除いた彼は、心を込めて作り出した「体」と共にバンティスの城へとやって来た。
この地で究極の技術と芸術を披露するために。
長年の時を経てもなお、帝国にある小さな町では傀儡師に対する恐怖が渦巻いていた。
傀儡たちも、かつてほど子どもたちに歓迎されてはいないようだ。
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