ファリオ【ドゥームウィスパー】
概要
呼称 | ドゥームウィスパー |
陣営 | グレイヴボーン |
身長 | 178㎝ |
趣味 | 弓の腕を磨くこと |
好きなもの |
・狩り ・特訓 |
嫌いなもの |
・裏切り ・鏡 |
現在地 | バンティス |
現在の身分 |
・墓守議会に仕える者 ・荒塚の影の暗殺者 |
ストーリー
ブライト王国一美しい青年、ファリオーー
純粋でひたむきな彼に闇を落としたのは……。
王国の親衛隊の中には、
飛び抜けて優れた弓の使い手がいた。
その名もファリオ。
彼がどこにいようとも、
多くの女性達からひっきりなしに声がかかる。
お茶会に誘われたり、
舞踏会のパートナーをお願いされたり……。
遠目からファリオを見るだけのために、
大枚をはたく貴族の女性も、少なくなかった。
しかしファリオは、
男女間の恋愛などといったものには疎く、
とにかく一日でも早く弓の使い手として、
親衛隊として、頭角を現したいと願っていた。
そんなある日ーー
ババリア部族との戦いで、
軍を先導していたファリオは
敵の猛攻撃を食らい、重傷を負う。
そして……昏睡状態に陥ってしまったのだった。
長い眠りの間……。
ファリオはずっと夢を見ていた。
その夢では、美しい少女がいつも
優しく呼びかけてくれるのだが、
彼女に近づくことができなかった。
「ああ、君とのこの距離がもどかしい。
どうすれば縮めることができるのだ」
夢を見るたびにそう思っていたが、
ついにそれが現実となる。
ファリオは意識を取り戻し、
重い瞼をゆっくりと開けると……。
「もう目を醒まさないんじゃないかと
思いました……」
夢では触れることのできなかった彼女が
自分の手を握りしめ涙を浮かべていたのだ。
この時、何かが音を立てて崩れ落ちていった。
それは理性ーー
弓の使い手として活躍したいと
あれほどまでに強く願っていたものが、
いとも簡単に薄れていく。
そして、決して後戻りはできないであろう
恋という深みへ進んで堕ちていったのだった。
まるで人が変わったかのように、
ファリオはジーラという少女を想い、
穏やかで甘い生活を送っていた。
しかし、その幸せな時間は
そう長くは続かなかったのだーー
ジーラがファリオの前に現れたのは
偶然ではない。
彼女は死霊血陣を完成させるために
足りない材料を探していた。
その材料とは……。
『真に愛する者の心』
どうせ手に入れるのであれば、
ブライト王国一の注目の的である、
ファリオの心がほしい。
彼の心こそ、この死霊血陣にふさわしい。
そう思ったジーラは、
恋を知らない昏睡状態のファリオに近づき、
眠っている間、
ずっと暗示をかけ続けていたのだ。
ジーラを信じ、愛してしまったファリオは
そんなことなど知るすべもなかった……。
そして、時は来たーー
「ねえ、ファリオ。
あなたは私のために、
全て捨てる覚悟はあるのでしょうか?」
うるうると涙目になりながら、
ジーラはファリオに問いかけた。
「ああ、君と共にいられるのなら、
他には何も要らない」
彼女の頬に手を差し伸べ、
柔らかく微笑んでファリオが答えた
その瞬間だった……。
ファリオは、自身の血液が
何かよからぬものに掴まれた感じがしたのだ。
ささやくような声で、
奇妙な呪いの言葉が聞こえる。
ふと、ジーラを見れば、
氷のような目つきで歪んだ笑みを
浮かべていたのだ。
その直後ーー
ファリオは最愛の人に喉を切り裂かれ、
辺り一面に血しぶきが飛んだ。
意識がゆっくりと遠ざかっていく中で、
ジーラの声が聞こえてきた。
「ファリオ……私が憎い?」
その言葉を耳にしたファリオは、
なんとか自分の思いを伝えようと、
唇を動かすも声が出ない。
(憎い……君が憎い……)
心の中でそう強く思った瞬間ーー
ファリオの存在は消滅し、
血陣より召喚された太古の亡霊
ドゥームウィスパーと一つになった。
彼は血を得て復活を果たし、
元は美しかったであろう顔を
おぞましいくちばしの面で覆い隠したのだ。
計画が成功し喜ぶジーラだったが……。
あらゆる手段を講じて完成させた
血陣が生み出したモノは、
あろう事か自分の命を奪いにきたのだ。
そして、ファリオはかつては甘く重ね合った
自分の唇を針と糸で縫い付け、
瞬時に抜き取った彼女の骨を
腰回りの装飾品にしたのだったーー
最愛の人に裏切られ命を落としたファリオは、
憎しみの力で亡霊となってしまったのだ。
ファリオの周囲には悪霊が漂っていて、
撃ち出される憎悪の矢は
瞬く間に死者を亡霊へと変貌させ、
生ける者に苦痛を与える。
「死の静寂を受け入れよ」
ドリーのコーナー
ジーラが現れた瞬間、ファリオの心臓は激しく鼓動し、眩暈に襲われた。
初めて感じる奇妙な気持ちに、感情などまったく知らなかったファリオは、これこそ愛だと信じて疑わなかった。
そんなものは、ジーラが入念に用意をした罠だとも思わずに...
心が揺れ動いた代償が、まさか太古の亡霊の生贄となることだとは、その時のファリオはまだ知らずにいたのだ。
しかし、すべてがジーラの思い通りにはならなかった。
彼女の裏切りにより、ファリオの赤裸々な愛は、尽きることのない憎しみへと変貌を遂げ、天を貫かんばかりの憎悪により、ファリオと太古の亡霊は一つになったのだ。
ファリオはかつて、すべてをなげうったとしても彼女への愛を貫いた。
しかし、今の彼が望むのは、手段を選ばぬ復讐のみ。
ジーラの姿がファリオの瞳に映り込む。
一度は愛する者に温もりに溢れた視線を注いだその瞳が、ただ悲痛な叫び声をあげながら白骨と化したジーラの惨状を冷たく見つめていた。
ファリオの気持ちを言葉にするのは難しい。
憎き相手を手にかけた快感、そして愛する者を殺してしまった苦しみが入り混じっているのだから。
愛が深いほど、憎しみも深くなっていく。
ファリオはジーラの遺骨で装飾品を作り、腰につけた。
鮮烈なこの憎しみが風化していかないために...
しかし、冷たい骨に幾度も触れていれば、ほんの一瞬だけジーラの穏やかな笑顔が脳裏をよぎることもある。
そして、抑えきれないほどの羞恥心と共に、心の底からあの問いが浮き上がってくるのだ。
「果たして彼女は、一度でも自分に真心を向けてくれたことがあるのだろうか」
そのような愚かな考えが浮かぶたびに、ファリオは己への果てしない嫌悪感に包まれる。
自分を騙した者に、まだそのような現実味のない期待を抱いて答えを追い求めるなど、自分自身でさえ許せることではないのだ。
そして次の瞬間、今でも鮮明に覚えている苦痛に襲われる。
あの日、ファリオの喉元は切り裂かれ、焼けるような熱い鮮血がドクドクとあふれ出した。
冷たい刃と無情な詐欺師、そして残酷な真実がファリオから体温を奪う。
だが、まさに拭いきれないその苦痛と憎しみこそ、何度も彼を「生まれ変わらせて」くれるものなのだ。
ファリオは仮面をつけた。
美しいと言われていたその顔のせいで、不相応な野望を抱いたジーラに目を付けられたに違いない。
そして、詐欺師への誠実な口づけを捧げた己の唇を固く閉ざした。
惜しみなくすべてを捧げた純粋な愛は、最終的に裏切りを招いた。
感情に疎かったファリオは、本当の愛を得る前に憎しみを知ってしまったのだ。
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧