タリー

ページ名:タリー

タリー【真紅の焔】

概要

呼称 真紅の焔
陣営 ババリア部族

ストーリー

ウォーターソルトの牢獄に

ぶちこまれたことのあるヤツだけ、

ここがどれくらい厳重に守られているかわかる。

隣の金庫に金塊がなけりゃ、

こんなところに閉じ込められるなんてゴメンだ。

 

ーーいま俺は、全身武装の2人の看守に

首枷と両手両足に黒い鉄の手錠を

かけられている。

これはスゲー危険な罪人だけが処される、

贅沢でハデな入獄儀式ってやつだ。

向かい側に座ってるヤツは、

『カミソリウッディー』と呼ばれる獄長。

この牢獄に収容される囚人連中は

みんなアイツの尋問を受けることになるんだぜ。

 

「おいおい、何度も言ってんだろ!? 

タリーはもう相棒じゃねぇ! 

あんな頭がイカれてる女とは

こっちからサヨナラしてやったんだ。

アイツの居場所なんて知らねぇよ!」

 

獄長は俺の口からタリーの居場所を

聞き出そうとしてるみてぇだが、

そう簡単に口を割るわけにはいかねぇ。

って言っても、アイツと喧嘩別れしたのは

嘘じゃない。

いくら俺がイカれてても、

タリーとは比べもんにならねぇ。

俺にだって限界ってもんがあるんだぜ。

なんていうか、俺たちは似た者同士で、

ルールに縛られんのが嫌いだ。

でもよ、限度ってもんがあるだろ? 

あの女にはそれがなかったんだ。

 

「ではその経緯を詳しく話してもらおうか。

クレイン」

 

獄長は手に持っているメリケンを撫でながら

口を開いた。

このメリケンは俺の顔をすでに数カ所

傷つけている。

ここから脱出したら、

お前も同じように傷つけてやるぜぇ。

キィーッキッキッキ!

 

「まぁ、そう焦るな、話してやる」

 

俺にはこれからの計画がある。

こんな茶番早く終わらせねぇとな!

 

「ミスリル商会のキャラバン強盗事件を

知ってるだろ? 

そこには俺とタリーがいたんだ! 

けどよ……」

 

興奮と恐怖が入り交じった

あの夜の記憶が蘇り始めるーー

 

俺たちの計画は完璧だった。

キャラバンのルート上に爆薬を仕掛け、

タリーは谷間で待ち伏せしてたんだが……。

 

「こんな面倒なことをしなくても、

直接襲ってお目当ての物を

奪えばいいじゃないか!」

 

タリーは待ち伏せの時間が気に食わねぇらしい。

魔法で手のひらに火種を起こしては消しを

繰り返してた。

 

「おいおい、お前わかってんのかぁ? 

今回はレグニッツのブツを奪うんだぜぇ。

強行突破なんて得策じゃねぇだろぉ! 

前みたいに爆発で金をぜーんぶ川の底に

沈めちまって、ノールに奪われるのだけは

ゴメンだぜぇ!」

 

「あの時はお互いカナヅチだってこと

知らなかったからな。

拾いに行けなかった。

だが、あれは私のせいじゃない。

お前の計画に問題があったんだろ。

あのタイミングで『サンドクロー』の

ノールたちが現れるだなんて聞いてない」

 

「…………とにかくだ! 今回は完璧なんだ! 

計画通りにやるからな! 

おい、キャラバンがもう来る。

火を消せ! 位置がバレちまうだろ!」

 

俺の予想通り、

ミスリル商会のキャラバンが見えてきた。

高い金をつぎ込んだが、

情報に間違いはなかったみたいだぜぇ。

俺の合図を見て、

タリーは爆薬の導火線に火をつけた。

キィーッキッキッキ! 

計画は順調だぜぇ。あとはキャラバンが

爆弾のところまで来れば……。

 

その時だった。

 

キャラバンが爆弾の位置にたどり着く前に、

何者かがキャラバンを奇襲しやがったんだ。

 

クソッ! 

また『サンドクロー』のノールかよ! 

どうやらヤツらも目をつけてたみてぇだ。

 

「どこが完璧な計画だって? 

はぁ……これは急がないと

楽しみがなくなってしまうな!!!!」

 

タリーは興奮して狂ったように叫びながら

キャラバンに突っ込んでいっちまった。

 

「チッ! こうなりゃヤケクソだぜぇ!!!」

 

しょーがねぇから俺も武器を構えて

キャラバンに向かって行ったんだが……

あの女、キャラバンのことなんて

微塵も気にしてねぇ! 

ドデカイ魔法をぶっ放しやがったんだ!

 

「おいおいおいおい!! 

俺らの獲物は荷物だろぉ! 

『サンドクロー』じゃねぇよ!」

 

「いや、前回の復讐をしないとな!」

 

こうなったらもう、

このイカれた女はとまらない。

 

「クソったれ!!!!!!!」

 

ミスリル商会のキャラバンは、

このすきに荷物を持って逃げ出しやがった。

それを見た『サンドクロー』は、

俺たちに対して猛攻撃を加えてきたんだ。

コイツらは俺たちをやっつけてから

キャラバンを襲うつもりらしい。

 

キィーッキッキッキ! 

甘い、甘いぜぇ? 

こっちはキャラバンのために

用意したプレゼントがまだ残ってるんだ。

俺は銃を撃ちながらタリーに近づく。

 

「タリー、爆弾がまだある。

お楽しみはこれからってもんだぜぇ?」

 

そう言ってタリーを計画通りのルートに戻すと、

ノールたちもまんまと俺たちについてくる。

 

「キィーッキッキッキ! バカめ!」

 

爆弾が埋まっているところに銃を向け、

俺は引き金を引いてやった! 

『サンドクロー』は爆発で吹き飛んでいった。

俺とタリーは砲煙が消えたあと、

ヤツらの生き残りがいないか確かめた。

 

「やったー!」

 

タリーは爆発で黒焦げになった死体を

踏みつけて歓声を上げやがった。

 

「なぁにが『やったー』だ!!!!」

 

俺は怒りをぶちまけた。

 

「キャラバンと『サンドクロー』が

揉み合っている間に荷物だけ搔っ攫って

逃げりゃぁよかったんだ!!!」

 

「だが、お前もスッキリしただろう?」

 

「ぐっ……」

 

認めたくないが、コイツの言う通りだった。

あの爆発の瞬間、最高に気持ちよかったぜ。

……いや、ちょっと待てよ。

俺もコイツと同じってことか? 

狂いまくってるってことか?? 

俺も十分イカれたヤローだってことは

わかってんだ。

だけど、この女と一緒にいたら、

俺が俺じゃなくなるんじゃねぇか……? 

この地は、少しでも気を緩めると、

すぐ砂の奥底に埋もれちまう……。

 

ーー「なるほど、だからそれっきり

別れたってことか?」

 

俺が話してる途中で、

獄長がさえぎってきやがった。

 

「……そういうことだ」

 

俺は余計なことはしゃべらず、問にだけ答えた。

正直言うと、タリーは相棒としては

スゲー頼りにしてた。

アイツと喧嘩別れしたことは

少し後悔してるんだ。

 

「では、その後、彼女はどこに行った?」

 

獄長はしつこくあの女の行方を聞いてきた。

 

「知らねぇって言ってんだろぉ?」

 

どこに行ったかは本当に知らねぇ。

だが、あの女がいるだろう場所は

いくつか知っている。

そのうちのどっかにいるのは確かだ。

ま、いくらひでぇことされたって言っても

あの女を売ることはしねぇがな。

獄長はメリケンを指にはめて、

冷たい目で俺を睨みつけた。

はぁ……また拷問が始まるのかよ。

 

ドカーンーーーー!!!!!

 

獄長が拳を振り上げた瞬間、

牢獄の外から突然爆発音がして、

1人の獄卒が拷問室に慌てて入ってきた。

 

「な、何者かがここを襲ってきーー!」

 

獄卒が言い終わる前に、

拷問室の壁が轟音と一緒に吹き飛び、

近くにいた哀れな獄卒たちが

瓦礫の下敷きになっていた。

 

「何者だ!?」

 

獄長は慌てて拷問室から飛び出していく。

壊れた壁の向こうに、

見慣れたシルエットが見えて、

思わず口角が上がっちまった。

 

「ネズミ野郎! 

ウォルクのヤツに捕まったんだって? 

やっぱり私がいないと何もできないんだな」

 

タリーは不敵な笑みを浮かべながら、

やってきた獄卒たちに火球を次々に放っていく。

 

このイカれ女が!! 

またお前のせいで計画が台無しじゃねぇか。

壁の下に埋めておいた爆弾は、

もともと金庫をこじ開けるために

用意したものだったんだぞ!? 

…………キィーッキッキッキ! 

おかしいな、妙に気分がいいぜぇ。

まさかこの女が俺を助けるために

厳重に守られてる牢獄にまで来るとは……。

ちょっと感動しちまったぜ。

 

計画通りにいかなくても、

たまにはこうやってスカッとするのも悪くねぇ。

キィーッキッキッキ! 

あの獄長にはお返しをしないとな! 

今回俺は、準備万端で来てるんだぜぇ?

 

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