SPソリス

ページ名:SPソリス

SPソリス【緑と新雨】

概要

呼称 緑と新雨
陣営 ヴェルディア連盟

ストーリー

ユグドラシルから外へ出ることなど、

一度も考えたことがなかった。

ソリスは子どもの頃、

森の外の危険性を教えられた。

「森の外に出てはいけないよ」

何度も何度も大人たちに言われていた。

幸い、ユグドラシルは広い。

ソリスの探求心は、

森の外に向けられることはなく、

すべて植物へ向けられたのだった。

そして花語りでもあるソリスは、

植物と心を通わせることもできる。

森の外に興味が向かずとも、

花木の精と仲良くなり楽しく過ごしていた。

彼女はいつも深緑のマントを身にまとい、

森の中を駆け巡る。

ピンと立った耳に聞こえるのは、

風に吹かれる木々の声と、

露を結ぶ花の囁き。

ユグドラシルは彼女にとって、

庭のようなものだった。

だが……

そんな平和な日常は突然失われる。

気がつくと、

森の木々がいつの間にか枯れていたのだ。

樹木は悲鳴を上げ、

苦痛の声がソリスの耳に刺さる。

苦しむ森を治そうと、

急いで薬草を配合し植物たちに使うも、

まったく症状は回復しなかった。

その時だった。

苦痛の中、花木の精がソリスに教える。

『月渓の泉』に植物の苦痛を緩和する

秘められた不思議な力が

あるということを……

『幻夜の森』の奥深くに位置する

『月渓の泉』までの道は危険だが、

森を救うためソリスは駆け出した。

初めてユグドラシルの外に出たソリスに、

容赦なく敵が襲いかかる。

『月渓の泉』へ向かう途中、

ソリスは見たこともない怪物に出くわした。

戦いが苦手な彼女は、すぐに怪物に囲まれ、

逃げ場を失ってしまう。

その時、エレンという若者が現れ、

怪物たちを撃退してくれたのだ。

だが、その戦いで

エレンは力を使い果たしてしまい、

その場に倒れ込んだ。

驚いたソリスは、

いつも薬草を配合している

自分の薬草小屋にエレンを運び

傷の手当てをする。

話せるようになるまで回復したエレンは、

彼女に怪物の正体……

『侵食する者』について話した。

「元素の乱れから生まれた

『侵食する者』は、

暴走した元素と共に森を侵食している。

ユグドラシルだけでなく、

森全体が危険な状況だ。

私がユグドラシルに来たのも、

侵食を止める方法を見つけるためだ」

植物たちの叫びの原因を知ったソリスは、

動揺を隠せなかった。

ソリスたちがこれからどうすべきか

話し合った。

エレンの力が回復し傷が治り次第、

2人で『月渓の泉』へ行き、

侵食を止める方法を探すことにした。

薬草小屋で療養している間、

エレンは自身のことをソリスに語った。

幼い頃、家族と過ごした時間。

旅の中で見てきた風景。

外の世界の話は、

どれもソリスにとって魅力的なものだった。

エレンの見識の広さに圧倒されながらも、

瞳の奥に隠された苦しみに気づいた。

外の世界を旅する経験が、

目の前の青年を作り上げたのだろうか……

ソリスはエレンの話を聞いて、

初めて外の世界へ行ってみたいと

考えるようになった。

「ソリス。

土の中の種は、いつか外へ出るものだ。

森の危機が去ったら、

私と一緒に外へ出てみないか?」

数日後ーー

回復したエレンと共に、

ソリスは『月渓の泉』を目指した。

2人は豪雨の中、森を突き進んでいく。

『侵食する者』が潜む洞窟を突破し、

なんとも不思議な光景を見せる

『幻夜の森』を歩いていった。

数々の苦難を乗り越えた2人は、

ついに『月渓の泉』にたどり着く。

泉の底に神秘的な光を放つ紋章が見えた。

一歩、泉に近づいたエレンが口を開く。

「あれが……水の元素の紋章か? 

どうやらあの紋章のおかげで泉の水に

侵食に対抗できる力が宿っているようだ」

植物たちが教えてくれた不思議な力の

ことだと確信したソリスは、

泉の水を掬ってユグドラシルに

戻ろうとした。

だが、エレンはその場から動かない。

彼の名前を呼んでも返事がない。

そっとエレンの顔を覗くと、

水の元素の紋章を見つめる彼の瞳は、

どこか禍々しさを感じるような異様な

光を漂わせていた。

「やはりここにあったのか。

水の元素の紋章……

この力は、『茨の清算者』が管理すべきだ」

『茨の清算者』の一員である

エレンの真の目的は、

水元素の紋章を入手することだったのだ。

『茨の清算者』たちは、

ヴェルディア連盟のドリュアス議会を

軽蔑する集まりだ。

彼らはヴェルディア連盟も大自然の叡智も、

自身が持つ力をうまく利用できない

愚か者だと考えている。

「元素の紋章も……元素の台座も……

武器として扱う覚悟がある

『茨の清算者』こそ森を守ることが

できるんだ……

森の危機が去った後、

私たちは外の世界に向かうつもりだ。

森に手を出した不届き者に制裁を与える。

ヴェルディアの民だけじゃなく、

他の勢力も吸収してヴェルディア連盟を

大きくしてやるんだ」

『茨の清算者』の考えを聞いたソリスは、

だんだんと怖くなってくる。

「ただ耐え忍ぶだけじゃ……

ヴェルディア連盟は他の勢力に

蹂躙されてしまう……

私の、家族のようにな……」

ソリスはエレンの過去の話を思い出す。

彼は家族と幸せに過ごしていた時間を、

森を侵略した外の世界の者によって

壊されたのだ。

「森の外へ出てみればわかるはずだ、

ソリス。

私たちの同胞は、

いつも異族の者たちに虐げられている! 

ヴェルディアのヤツらはタスタン砂漠の

ダチョウのように、

頭を砂の中に埋めるだけで、

迫りくる危険を見ようともしないだろ! 

どんなに頑丈な雑草も、所詮は雑草だ。

踏みにじられる運命からは逃れられない。

侵入者に対抗するには、茨の棘が必要だ。

だからこそ……

元素の紋章が私たちの棘……

私たちの武器になるんだ」

ソリスは花木の精から聞いた話を思い出す。

『月渓の泉』は

元素の紋章を奪われると、

侵食に対抗する力を失うらしい。

エレンにそのことを伝えるも、

彼は話を聞こうともしなかった。

それどころか、エレンはソリスを拘束し、

ひとりで泉に飛び込んだのだ。

「エレン!!」

水の元素の紋章にエレンは手を伸ばす。

だが、水に映る影のように揺れるだけで

掴むことはできなかった。

エレンは信じられないといった様子で、

紋章を見つめていた。

運命を変えられる力が目の前にあるのに、

どんなに手を伸ばしても届かないからだ。

泉から出てきたエレンは、

深く絶望していた。

「エレン……

元素の紋章は戦いを起こすための

力じゃないのよ。

その力はーー」

言葉を続けようとしたが、

森がざわめき出しソリスは息を飲んだ。

エレンの動きが『侵食する者』に察知され、

元素の紋章の力も気づかれたのだ。

無数の『侵食する者』が湧き出し、

2人を囲い始める。

エレンは苦笑いを浮かべて、

ソリスの拘束を解いた。

そして、彼女を包囲網の外へ投げ出す。

「エレン!?」

立ち上がってエレンのほうを見るも、

彼の姿はもうなかった。

ソリスは地形を読んで『侵食する者』の

追跡を振り切る。

そのまま逃げるという選択もあった。

だが、彼女は遠くから聞こえる

『侵食する者』の叫び声を聞いて、

足を止めた。

ソリスは幻惑の粉末を使って

『侵食するもの』たちを行動不能にしながら、

『月渓の泉』に戻る。

そこには、満身創痍のエレンの姿があった。

彼の瞳からは光が消え、

死を待っているように見えた。

『侵食する者』たちはエレンを囲みながら、

元素の紋章に近づいている。

元素の紋章が奴らの手に渡ったら、

森は二度と回復できない。

森の助けを求める声が、

ソリスの心に伝わってくる。

友だちである植物たちが枯れて

苦しんでいるのだ。

ただ見ているわけにはいかない。

ソリスは最後の薬を握りしめて、

『侵食する者』の群れの中に

突入しようとした。

水の元素の紋章は、

『侵食する者』からの危機感を抱いたのか、

ソリスの森を守る決意に反応したのかーー

『月渓の泉』の中から光り輝きながら

実態を現した。

ソリスは薬を振りまきながら泉の中へ

飛び込むと、

彼女の姿と紋章が重なっていく。

「元素の紋章は、守護の力。

生命を元素の乱れから

守るためにある力です。

元素の乱れがまだ拡大しています。

森は不安の色に染められ、

悲鳴を上げています。

無数の生き物が今、

悶え苦しんでいるのです。

流れる水よ、

私の祈りを聞いてください。

この力で……

耳元で囁いてくれるものたちを、

守りましょう!」

透き通る水が湧き上がり、

ソリスが泉の中から現れる。

彼女は水の元素の紋章でできた杖を振り、

空中に舞う水を雨に変えた。

大雨は『月渓の泉』を包み、

『侵食する者』を追い払った。

そして森の植物たちは、

潤いの雨によって生気を取り戻していく。

だが、森の危機はまだ去っていない。

この異変を完全に解決できる方法を

探すため、ソリスはユグドラシルから離れ、

森の外へ出ることを決めたのだったーー

 

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