ランドル

ページ名:ランドル

ランドル【慰魂の使者】

概要

呼称 慰魂の使者
陣営 グレイヴボーン
身長 172㎝
趣味

・古書集め

・夜空の観察

好きなもの 自由
嫌いなもの

・ニルによる使役と支配

・休みのない労働

現在地 ボーングレイヴ
現在の身分 ボーングレイヴの慰魂の使者
関連人物

【仇敵】

ニル

ストーリー

ボーングレイヴの上空はいつも鉛色で、骨灰の混じった雲が重たげに垂れ込めているせいで、人々は息の詰まる思いをしている。

幸いにも、ここにいる「人」は呼吸をする必要がないのだ。

ここはグレイヴボーンの領土。

慰魂の使者たちは日々、ここで魂の欠片を集めて魂杯に入れ、領土の中央にあるソウルタワーへと送っている。

グレイヴボーン兵士を製造するのに必要な原料として。

魂の欠片集めは、決して安全な仕事ではない。

現世をさまよう孤独な魂というのは、計り知れないほど強い怨念を抱えているものだ。

凶暴で調教が難しいどころか、近づく者を攻撃することもある。

領土の周囲で、ある慰魂の使者が骨の山に向かって鉄製のフックを伸ばしている。

そこには凶暴な魂の欠片が身を隠しており、無防備な慰魂の使者に攻撃を仕掛けようとしていた。

鉄製のフックが骨の山をかき分けたその瞬間、魂の欠片が猛然と襲いかかった。

突如として、薄緑色の蛇の魂が使者の魂杯から飛び出した。

そして襲いかかってきた魂の欠片に噛みつき、魂杯の中に引きずり込んだ。

間一髪で助かった使者だが、こうしたことには慣れっこだった。

彼は魂杯を軽く叩いてこう言った。

「スネイク、俺にも少し取っておいてくれよ。じゃなきゃ報告に困る」

 

...

 

使者が身を休めるのは、ソウルタワーの最下層だ。

魂の欠片を集めて戻ってくると、ここで深い眠りにつく。

そうして翌日、再び出発するのだ。

静寂の中、慰魂の使者はハッと目を覚ますと、大きく息をついて平静を取り戻した。

スネイクは静かに魂杯から這い出て、彼の肩にもたれた。

彼はスネイクが心配してくれていることに気づき、その頭をそっと撫でて軽やかな声でなだめた。

「スネイク、大丈夫だ。ちょっと悪夢を見ただけだから」

そう言うと、彼はやや緊張した様子でスネイクを魂杯に戻した。

「お前は、絶対に奴らに見つかるなよ」

慰魂の使者とスネイクは数ヵ月前に知り合った。

その日、彼はボーングレイヴでほとんど収穫を得られず、この蛇のような魂の欠片のみを拾い上げた。

慰魂の使者の持つ鉄製のフックと対峙した蛇は、ほかの魂の欠片のように逃げたりせず、猛然と襲いかかることもなく、人懐っこい様子で彼に近づいてその手にそっと身を寄せた。

「俺と一緒に行きたいのか?」

そうして、慰魂の使者の魂杯に新たな住民が住みついた。

ソウルタワーに戻った彼は、その魂の欠片を捧げることはしなかった。

彼はその魂の欠片に言い知れない親しみを覚え、スネイクという名前までつけた。

それ以来、慰魂の使者は何の気なしにスネイクと「交流」するようになった。

スネイクが本当に彼の指示を理解しているかは分からなかったが、彼が危険に晒されるといつも、スネイクが魂杯から飛び出してきて助けてくれた。

仕事を終えると、慰魂の使者はソウルタワーに戻って熟睡し、スネイクは静かに魂杯の中で過ごしていた。

だが今日のように特殊な事態が起こった時は、見つかる危険を冒して魂杯から飛び出してくる。

「そうだ。なぁ、ランドルって知ってるか?」

慰魂の使者は夢に現れたバラバラの情報を細かく思い返しながら、ふいにスネイクに問いかけた。

魂杯が激しく振動した。

 

...

 

ソウルタワー内部の通路は、永遠に続く迷宮のように曲がりくねっている。

慰魂の使者は黙って歩いていたが、心の内に抱いた疑念は、重々しく彼を悩ませていた。

その頃、彼はよく同じ夢を見ていた。

夢の中の彼はソウルタワーの高層に立ち、背後では慰魂の使者たちが群れをなしていた。

彼らの目には消えることのない魂火が燃え、覚悟を決めた顔立ちをしていた。

「ランドル、このまま俺たちを率いて頂上へ向かうんだ!」

と、高らかに叫ぶ者も、静かにささやく者もいた。

すると、巨大な鎌が振り下ろされ、慰魂の使者たちは次々となぎ倒された。

彼はその悪夢を無視できなくなり、ソウルタワーの頂上に潜入することを決めた。

散り散りになった記憶の奥底にある秘密を暴くために。

慰魂の使者は死霊の釜の曲がりくねったパイプをたどり、グレイヴボーン兵士の製造エリアを通り抜けて、隠された資料室へとやって来た。

彼の記憶は、次第に戻り始めていた。

かつて、ソウルタワー内部で謀反が起こった。

日々重労働を強いられていた慰魂の使者たちの中で、ランドルというグレイヴボーンが仲間を率いて頂上に押しかけ、ニルの支配を転覆しようとした。

だが、反乱はすぐさま鎮圧された。

参加していた者たちは記憶と感情を奪われ、罪を償うためにソウルタワーの最下層で永遠に働かされることになった。

資料に書かれていた情報だけでは慰魂の使者の疑念は晴れず、彼とスネイクの過去は依然として霧の中だ。

魂杯の中にいるスネイクは、彼を先へと急かすようにかすかな音を立てた。

慰魂の使者は震え続ける魂杯を撫でてこう言った。

「スネイク、お前は俺と共に戦った仲間だったのか?」

 

...

 

階段の突き当りに、暗くジメジメした部屋があった。

部屋の中には、不思議な機器が置かれていた。

そこにはルーンがびっしりと刻まれていて、見ただけで魂が引き裂かれそうだ。

慰魂の使者がゆっくりと機器に近づいて触れた瞬間、堤防が決壊して洪水が起きたかのように、記憶が脳内に流れ込んできた。

彼は、この秘密の部屋に引きずり込まれ、守衛に無理やり機器の中に押し込まれる自分の姿を見た。

守衛たちのあざける声が周囲から聞こえてくるようだ。

「ランドル、これがお前の起こした反乱の結末だ。バカみたいに、永遠に落ちぶれてろよ」

鎌が振り下ろされ、残忍な儀式によって彼の霊魂は二つに分けられて、感情を持たない肉体だけが残った。

薄れゆく意識の中で、彼はソウルタワーの主であるニルの声を聞いた。

「さて、何が抽出されたかな? 蛇のような魂の欠片か、珍しい。よし、私のコレクションがまた1つ増えたな」

 

...

 

追憶から目覚めたランドルの拳は、きつく握られていた。

彼は全てを思い出した。

スネイクは彼の霊魂で最も重要な部分ーー意志であり、勇気であり、自由に対する渇望だったのだ。

記憶や感情を奪われ、魂の欠片になろうと、抵抗を諦めることなくニルのもとから逃げ出し、そして懸命に生き延びていたところ、ようやく自分と再会できたのだった。

ランドルがスネイクをしっかりと抱きしめると、心の内に力と意志が戻ってくるのを感じた。

ソウルタワーの頂上まであと一歩だ。

最後の扉を開けると、ソウルタワーの主と対峙することになる。

かつてのランドルはここで倒れ、泥沼へと打ち捨てられて、運命をもてあそばれる抜け殻となった。

今、彼は再びここへやって来た。

霊魂の炎は彼の目に灯っている。

ランドルは、力いっぱい扉を押し開けた。

「行こう、スネイク。魂が壊されていようと、もう奴隷にはならないぞ」

 

ドリーのコーナー

慰魂の使者であるランドルも、初めはソウルタワーの最下層で、散らばった魂の欠片を集めてタワーへと送る仕事を機械のように繰り返しこなしていた。

魂の欠片はグレイヴボーン兵士の原料となるのだ。

ソウルタワーには、ランドルのような労働者がほかにも大勢いた。

彼らには思考も感情もなく、終わりなき循環の中に生きているようだった。

しかし時間が経つにつれ、ランドルの心の奥深くにある意識が静かに目覚め、何の意味もない生活に疑問を抱くようになった。

なんで俺たちグレイヴボーンが永遠にこき使われなきゃいけないんだ?

なんで俺たちはこの果てしないボーングレイヴに閉じ込められてるんだ?

ランドルは自らの霊魂がこの荒れ地に閉じ込められている生活を耐え忍ぶことも、仲間たちが苦しめられているを無視することもできなかった。

心の中に抱いていた自由へのかすかな渇望は次第に抑えきれないほど大きくなり、心の奥底に燃える炎となった。

彼は周囲の仲間たちにこの不満と渇望を伝えようと、こう囁いた。

「なんで俺たちは従わなきゃならないんだ? 昔は俺たちにだって自由意志があったはずだ。なんでニルの支配に屈しなきゃいけないんだ?」

彼のこうした言葉は、慰魂の使者たちの間に少しずつ広まっていった。

それまで絶望していたグレイヴボーンたちも、ランドルの勇気と固い信念に触発された。

彼らは輝く希望の光をランドルから見出し、再び自由を渇望するようになった。

そうしてランドル主導のもと、再び希望を宿したグレイヴボーンたちは、ソウルタワーの頂上へと攻め入る反乱計画を秘密裏に立てた。

ニルの統治を転覆させ、グレイヴボーンたちの終わりなき奴隷生活に終止符を打ち、かつてあった自由を取り戻すと誓ったのだ。

結局、この反乱は目も当てられない失敗に終わった。

ニルは彼らに慈悲をかけることもなく、ランドルは「裂魂」の儀式を受けてすべての記憶や意志、抵抗の精神を失った。

彼の貴重な資質を持った魂の欠片は「スネイク」という魂の蛇と化した。

スネイクは自らの機転と執念を頼りに、すべてを投げ打ってニルのコレクションの中から逃げ出した。

そうして数々の障害を乗り越え、ついに記憶を失ったランドルを見つけた。

スネイクがランドルと再会を果たすと、ランドルの心の奥深くで不完全な記憶とかつて抱いていた信念が、弱々しく息を吹き返し始めた。

スネイクと出会ったばかりのランドルは、なぜこの魂の蛇が自分に懐くのか理解できなかったが、共に日々を過ごすうちに説明しようのない絆を感じるようになった。

ランドルの記憶の欠片が少しずつ繋ぎ合わされ、彼はついにスネイクの正体に気づいた。

ランドルの意志が完全に打ち砕かれたことなどなかったのだ。

彼の抵抗の精神は再び燃え上がり、自由への渇望と覚悟はこれまでよりもいっそう強烈なものとなった...

 

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