アウレリア【豊穣の化身】
概要
呼称 | 豊穣の化身 |
陣営 | セレスチアル |
身長 | 165㎝ |
趣味 | 収穫祭に参加すること |
好きなもの |
・黄金色の穂波 ・涼しい秋風 |
嫌いなもの |
・害虫や荒れ地 ・怠惰な人 |
現在地 | エスペリア |
関連人物 |
【親友】 ・フレイラ |
ストーリー
その日、アウレリアは盛装をして群山の頂に現れた。
聖なる山の住民たちは、それが彼女が地上の収穫祭に参加するときの衣装であることを知っていた。
当然その知らせはフレイラの耳にも入る。
彼女がそんな楽しそうな祭典のことを聞き逃すはずはなく、自分も一緒に連れていってほしいと、すぐアウレリアに頼み込んだ。
そんなフレイラの頼みを、アウレリアは優しく微笑んで承諾した。
しかし荒野から深い森へ、渓谷から川岸へと地上までの道のりは険しく、フレイラは足の痛みと疲労を訴え続けている。
「収穫祭まであとどのくらいかかるの?」
力尽きたフレイラが思わず尋ねた。
するとアウレリアは、後ろを見てみるようにと答えた。
フレイラは言われた通りに振り返る。
二人が足を踏み入れた場所には、春雷が空を破り、潮が豊かに押し寄せ始め、枝には新芽が芽吹いていた。
そしてアウレリアは言う。
春の暖かさが予定通りに訪れてこそ、秋の豊作を勤勉な人々とともに祝えるのだと。
その時になって初めて、フレイラは自分の責務を思い出した。
春の到来はすっかり遅れてしまっていた。
しかしアウレリアのちょっとした工夫で、大地は豊作の希望を取り戻した。
「何かを与えて初めて、何かを得ることができる」
王国では、ほとんどの親がこの物語を読み聞かせ、子供に教訓を学ばせていた。
秋の収穫と枯れゆく季節を司るアウレリアは、穏やかで博愛の精神に満ち溢れながら、鋭い洞察力も持った女神として、人々の心に記憶されてきた。
まるで最初からそうだったかのように。
そしてあまり知られていないが、ソトロン大陸を最初に訪れた吟遊詩人が口伝したとされる『古事録』があり、そこには、アウレリアが初めてデューラからその責務を与えられたときの物語が記されていた。
アウレリアが初めて豊穣の角笛を携えて地上に降り立ったとき、大地の農民はちょうど凶作に苦しんでいた。
しかし彼女が角笛を鳴らすと、畑の作物は豊かに実り始め、一年の労苦が報われた村人たちはみな笑顔になった。
一転して豊作に恵まれた彼らは、女神に感謝の気持ちを伝えるために、賑やかな収穫祭を催すことにした。
アウレリアはすぐにこの活気あふれる祭典を気に入り、村人とともに歌い踊り、美味しい料理に舌鼓を打った。
そして、このような幸せな責務を与えてくれたデューラに心から感謝した。
翌年、再び大地に豊作をもたらすときが来た。
アウレリアは決して怠慢にならず、山から川へと丁寧に豊穣の角笛を鳴らしていった。
しかし田畑に到着したとき、悲惨な顔をしている農民たちを見て、今年は害虫の大量発生があったことが判明した。
村人たちは懸命に働くも作物はまばらで、冬を乗り切られる収穫があるかも怪しかった。
飢えへの不安に苦しむ村人たちの姿を見て、アウレリアも懸命に豊穣の角笛を鳴らし続けた。
そしてデューラの魔法が込められた角笛の音がゆっくり広がり始めると、奇跡が起こった。
萎れていた稲が立ち上がり、穂が実り始め、やがて畑は黄金色に輝いた。
予想外の豊作に村人たちは狂喜乱舞、再び収穫祭を開催し、このような災害をものともせず豊作をもたらしてくれたアウレリアに、村人総出で感謝した。
アウレリアもとても喜んでいる。
彼女は一年中、この収穫祭を楽しみにしていたのだ。
地上の人々の愛と賞賛を享受し、群山の頂ではめったに味わえない喜びに浸った。
帰り際、アウレリアは村人たちに、来年また戻ってくることを約束した。
「再び祭典を開いていただいたことに心から感謝します。今後もあなたたちの作物は、ずっしりと重い実をつけ続けるでしょう」
そして3年目の秋、アウレリアは再び地上に降り立った。
遠目からでも、賑やかに飾り付けられた村の様子が伺える。
彼女を歓迎する準備は整っているようだ。
「でも、今年の祭典は前倒しになったのかしら?」
疑問を胸に村へとたどり着くと、温かく迎え入れてくれる村人全員が、ボロボロの服を着ていることに気がついた。
祭典の設営には多くの家の梁が使いまわされ、料理を盛るための皿はほとんどが空だった。
「何かあったのですか?」
アウレリアが村人たちに尋ねると、彼らは媚びへつらうように答えた。
「アウレリア様、収穫祭の準備は整っております。どうぞ豊穣の角笛を鳴らしてください」
確かにそれが彼女の義務だ。
収穫の詩を奏でるために彼女が田畑に向かうと、そこにはなんと、荒れ果てた光景が広がっているではないか!
雑草が生い茂り、バッタやヘビ、それにネズミまでが駆けずり回っている。
肥沃な農地には、一本の稲さえ見当たらなかった。
「できません...豊穣の角笛といえども、存在しない作物を実らせることはできないのです」
アウレリアが悲しそうに言った。
しかし村人たちは作物に少しの労力も投じず、一年をダラダラと過ごしていたことが判明した。
女神を喜ばせるための祭典さえ開催すれば、アウレリアが豊作をもたらしてくれると信じていたのだ。
アウレリアにはどうすることもできないと分かると、収穫祭の会場に絶望の叫び声が響き渡った。
そしてアウレリアは、村人を助けられなかったことにひどく心を痛めた。
群山の頂に戻ったアウレリアは、母なるデューラにこの悲劇を泣きながら伝えた。
デューラは彼女の涙を拭って
「アウレリア、この教訓を忘れてはなりませんよ。神々といえども人間と同じ私の子供、間違いを犯すこともあるでしょう。しかしあなたには、より重大な責務があるのです。『何かを与えて初めて、何かを得ることができる』これはこの世で最も基本的かつ複雑なルール。人々の苦しみを減らすためには、あなたがうまく導かなくてはなりません」
神々といえども、生まれながらにして完璧ではない。
その日以来アウレリアは、単純な誠意と親切心だけでは十分でないことを理解した。
複雑な人間性に注意を払い、神々の気質とともに配慮することを覚えた。
母なるデューラの言葉を一日たりとも忘れた日はない。
そして今日に至るまで、アウレリアだけではないすべての神が、人間や後世の神々を賢明な方法で導き、デューラの遺産を守り続けている。
「物事の因果は千緒万端、アウレリア以上にその奥秘を理解した者はいないだろう」
ーーオセロス
ドリーのコーナー
エスペリアの秋の神であるアウレリアの職務は、季節の移り変わり同様、永遠に変わることはない。
彼女は温厚かつ冷静で行動力にあふれ、豊穣の角笛の音が世界に響き渡ると、見えざる手で大地に広がる緑を黄金色の秋の繁栄へと変えていく。
駆け出しの頃のアウレリアは、単純な思いで豊穣の角笛を鳴らしていたが、収穫祭の熱気に酔いしれていくにつれて、人々からの感謝や敬愛を楽しむようになっていった。
そう、まるでその楽しみを見届けるために存在しているかのように。
1年目、アウレリアは喜んで自身の使命を受け入れた。
角笛を鳴らすと田畑は瞬時に黄金色に変わり、収穫が始まった。
村人は彼女への感謝を込めて、盛大な収穫祭を開いた。
彼女はこの上ない幸せを感じ、角笛を鳴らすだけで豊かな実りを得られるのだと考えた。
2年目は、虫害のせいで田畑が荒れてしまった。
アウレリアは再び神力を使い、なんとかして村人が収穫できるようにした。
彼女は祭典の歓声に浸っていて、この収穫が自身の過度な干渉によるものだということは気にも留めなかった。
だが、収穫に必要なのは神力だけではないということは、彼女も気づき始めていた。
3年目、彼女が村を訪れると、村人は祭典に向けて忙しなく働いていたが、田畑は荒廃していた。
アウレリアがどんなに努力しても、荒れ果てた地に実りはなかった。
その時、彼女は無力感を覚えながら、人の怠惰な面や依存心を思い知った。
この静寞とした光景が、人間に対する彼女の単純な信頼を打ち砕き、自らの使命を見直すきっかけになった。
アウレリアは、人間の複雑さと脆さを少しずつ理解していった。
母であるデューラの教えから、かつて彼女を信じていた村人たちは、怠惰な心と貪欲さをもっていたために、彼女の善意をふいにしていたのだと知った。
それを契機に、彼女は人間に対する考えを改めた。
村人たちが勤勉に耕作に励むよう導くことこそが、彼女の本当の責務なのだ。
彼女はもはや実りをもたらす神ではなく、人の心に寄り添い、努力と収穫の均衡をとる指導者となった。
今や、収穫は神力の現れではなく、努力と神の恵みが折り重なった美しい産物となった。
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