プリニー【迅影の竜】
概要
呼称 | 迅影の竜 |
陣営 | 竜族 |
身長 | 172㎝ |
趣味 |
・訓練 ・戦利品の収集 |
好きなもの | 長老たちから認められること |
嫌いなもの | 竜族が奴隷にされていた歴史を言及する人 |
現在地 | タスタン砂漠 |
現在の身分 | シルヴィンの密偵 |
関連人物 |
【指導者】 |
ストーリー
バン!
廃棄された貨物倉庫の壊れた扉が乱暴に蹴破られ、屈強な4人のババリアの男たちが突入した。
「プリニー、ここに隠れてるのは分かってるぞ」
リーダーの男は大声で叫ぶと同時に、地面の血痕にも目を走らせ、不気味な笑みを浮かべた。
「懲りずに追いかけてくるとはな、胴元よ。足音からして、他に独眼とカカト、ヤケドがいるのか?」
プリニーの声が貨物倉庫の奥から聞こえてくる。
胴元はカカトに目くばせし、カカトを抜き足差し足で先に進ませ、彼は残りの2人と共に、ゆっくり貨物倉庫の中へ入っていった。
「長いこと一緒に仕事をしたが、聞いたことがなかったな。プリニー、なぜ流浪の地へ来たのだ?」
胴元は首を伸ばして、空気のにおいを嗅いだ。
「何だ、ここのルールは英雄に出身を聞かないんじゃないのか?」
プリニーは飄々と答えた。
胴元はある方向に指を向ける。
独眼は、その方向に寄った。
「初めてお前を見た時のことを覚えているぞ。角をバカにされたことなんかで剣を抜いたな。カード仲間はお前が酒場から出られないほうに賭けたが、私は一目でお前の潜在能力に気づいた」
胴元とヤケドは進み続けた。
他の2人の仲間は陰に隠れている。
「しかしあの頃、お前はカードテーブルでイカサマをする、ただの落ちぶれたブローカーにすぎなかった。今は打って変わって、この谷随一の大人物になり、多くの殺し屋がお前のところで働いている」
プリニーの声が再び向こうから聞こえてきた。
胴元は驚いて足を止め、手を振ってヤケドをその場で待機させた。
「皆、お前に及ばないよ。今の私があるのは、すべてお前のおかげだ。お前の武術は確かに素晴らしいし、いつも邪魔者を片付けるのを助けてくれた。私たちは完璧なパートナーだ。いずれこの地を制覇できるだろう」
胴元は腐った穀物の後ろに隠れ、注意深く観察した。
ヤケドだけが見えるところで、緊張した面持ちで周囲を見回している。
「完璧なパートナー? グルになって悪事を働いてきただけでは?」
プリニーの声が聞こえてくる。
突然、『ぎゃあ!』という絶叫が貨物倉庫の中に響いた。
胴元はまだ落ち着いていた。
声を頼りに近くを探すと、カカトが朽ちた商品棚に押しつぶされ、絶望したように助けを求めていた。
胴元はカカトの視線から目をそらして、別の障害物の後ろに入り、辺りを見回しながら罵った。
「プリニー、最初から、お前が骨の髄まで傲慢なのが好きになれなかった。ここまで落ちぶれ、あんなに汚い仕事をしておいて、まだ高潔を気取っているのか。何様のつもりだ?」
「私がここに来たのは、高貴な同族の引き立て役になりたくなかったからだ。ここでは出身を気にする者がいない。誰でも自分の腕次第で名声を上げ、功績を立てられる。ここでしばらく夢中になっていたことは認めよう。危うく一線を超えるところだった」
プリニーの声は入り口の外から聞こえてきたようだった。
胴元は眉をひそめてヤケドを呼び、入り口を見張らせた。
彼は貨物の山の上に登り、ムッとして言った。
「一線だと? それがお前の裏切った理由か? お前の放ったガキ共がお前と接触したのを、私が知らないとでも?奴らは誰の手紙を持ってきた? ロドリー、スケーリアス、誰がお前の新しい主だ?」
胴元はこの時、やっとカカトが暗い一角でぐったりと座っているのを見つけた。
その胸には彼のナイフが刺さっている。
「新しい主? ハハッ、私の主はずっと変わらない。私はシルヴィン長老の召集を受け、この黄砂の地へ潜入していたのだ。あの子たちが持ってきたのも長老の命令だ。お前は私の主などではない。先ほどの待ち伏せで、確かに私はいささか血を流した。それで、私を始末できると錯覚したのか?」
胴元はこの時、再びプリニーの声を聞いた。
少し背筋が寒くなってきていた。
「チッ、厄介だな。しかしお前を始末するつもりはない」
胴元はわざと壁に向かって言った。
彼の声は貨物倉庫の中で複雑にエコーする。
「この2日、私はお前の正体を苦労して調べた。実は、ある盲目の者がいるのだ。そいつはブードゥー神殿の経典を盗み見て、目をえぐり取られて捨てられたから、いつも面白いことを知っている。そいつに聞いたところ、ババリアが現れる以前に、長い角と鱗に覆われた種族があり、空飛ぶドラゴンに変身できたという」
胴元は岩壁に沿って、入り口に向かってゆっくりと後退する。
「ドラゴンがどのようなものかは知らん。だが帝国のコレクターや、錬金術師はお前たちのような珍しい種族を好むだろう。お前はきっと高値で売れるはずだ」
「ボス、後ろ!」
ヤケドが叫び声を上げた。
プリニーの流星錘が胴元の後頭部をかすめていった。
胴元はよろめき、貨物の山から転げ落ちた。
もう一度這い上がったとき、彼はプリニーが妖怪のように、ヤケドの頭上の梁に着地するのが見えた。
1本の鎖が彼女の手から静かに落ちて、ヤケドの首にしっかりと巻き付く。
ヤケドは地上から吊り上げられて、足をばたつかせたり、もがいたり、ムダな抵抗をした。
腐った梁がギシギシと鳴り、折れ曲がって変形し、貨物倉庫全体がグラグラ揺れた。
「私を売るだと?」
プリニーは貨物倉庫の入り口に立っていた。
背後から砂漠の太陽が、彼女を黒い影のように映し出している。
ぞっとするような梁のきしむ音がますます激しくなる。
胴元はほとんど理性を失っていた。
彼は刀を振り回し、雄叫びを上げながらプリニーを攻撃した。
「そうだ!お前を柱に縛り付け、オークションにかける。入札者たちにお前の曲がった角や奇怪な鱗をじっくり鑑賞させてやる。最後は一番高い値段をつけた買い手の籠の中にお前をぶちこむんだ。お前は家畜、奴隷にーー」
胴元の悪意に満ちた口は最後まで言葉を発することなく、プリニーの手を離れた流星錘によって砕かれた。
彼はフラフラと地に倒れ込む。
「シルヴィン長老が帰ってくるよう言っているからな。元々、こっそりいなくなるつもりだったが、古い友人に記念の置き土産を残すのも悪くない」
プリニーのベールは、彼女の冷たい表情を隠せていなかった。
胴元はもがきながら、入り口まで這い上がろうとした。
その途中に、ぽたぽたと血痕が残っている。
プリニーは胴元の背中を踏み、ナイフを彼の頭に突き刺し、ババリア部族で奴隷を表す刻印を刻んだ。
「お前の新たな身分なら、さらに説得力があるだろう。私の話を砂漠と大陸じゅうに広めるのだ。お前たち薄汚い亡命者であろうと、宮殿や都市の奥深くにいる者であろうと、誰も竜族を奴隷にすることはできないのだ」
ドリーのコーナー
天賦の才に恵まれたプリニーであったが、純血竜族との間には埋めがたい溝が存在する。
竜族の社会構造の中では、悠久の歴史と強力な血脈を持つ純血竜が、常に力と栄光の象徴とみなされてきた。
そのような貴族がいとも簡単に評価や尊敬を得られるのとは対照的に、自分がどれだけ優秀で、どれだけ努力を重ねても、同様の待遇を受けられないことにプリニーは気づいていた。
このような不公平感が彼女の心に劣等感を植え付け、変えられない血統の差を心の底で理解しつつも、認められることを切望していた。
そしてプリニーはその差を埋めるため、さらに自分を追い込んだ。
最も危険なタスタン砂漠での任務を志願し、その困難な任務を完遂することで自分の価値を証明しようとした。
彼女は功績と忠誠心によってのみ、血統の欠如を埋め合わせられると考えたのだ。
そしてそのような劣等感は、部外の者を前にしたときの傲慢さという一種の自己防衛機制を生む。
心を偽りの優越感で満たすことで、メンタルバランスを保とうとしているのだ。
また、プリニーは竜族が至高の種族だと考えているため、竜族の奴隷化を望んできた人間に強い怒りを覚えている。
彼女にとって、それは屈辱的なだけでなく、自身の信念や希望が揺らぐことでもあった。
彼女は竜族の栄光が汚されたことを許せず、自分が崇拝する種族がそのような屈辱的な過去を経験したことを受け入れることができなかった。
シルヴィンに指名され、ソトロン大陸に旅立ってからというもの、プリニーは常に竜族が唯一無二の存在であることを証明しようと努めてきた。
自らの力で竜族の栄光と尊厳を守り、屈辱的な歴史を二度と繰り返さないことを心に誓った。
そしていつか、竜族から真に認められる日が来ることを夢見ている。
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