シルヴィン

ページ名:シルヴィン

シルヴィン【ブラッドフレイム】

概要

呼称 ブラッドフレイム
陣営 竜族
種族 ブラッドリッジ族
身長 210㎝
趣味

・瞑想

・歴史の研究

好きなもの

・人間界の逸話

・ごちそう

・新たな生命の誕生

嫌いなもの

・古いしきたりに固執する同胞

・カタストロフに関する予言

現在地 竜の島
現在の身分 竜族の長老
関連人物

【同族の後輩】

グウィネス

ストーリー

「長老、西海岸に人間の死体が漂着したそうです」

竜族の長老であるシルヴィンは、思考の邪魔をされたことに不快感を覚え、顔をしかめた。

はるか沖合に位置する竜の島であったが、海流は時折、人間界の産物を運んでくる。

壊れた甲板、折れたマスト、そして今回のように船乗りの死体などだ。

しかし、普段なら衛兵自身が処理するような些細なことを、今回に限ってなぜ長老に報告したのだろうか?

「実は死体の着衣から手紙が見つかったのですが…それが長老宛で」

さらに、その手紙は竜言で書かれており、青と白の鱗が付着していた。

この竜の鱗は、カーティスという若い竜族のもので、シルヴィンの最も有能な助手だった。

シルヴィンは、この若者を高く評価しており、一時は後継者として育てることも考えていた。

カーティスは彼の期待に違わぬ素晴らしいパフォーマンスを見せ、他の長老たちからも一目置かれる存在となる。

だからこそ、竜族の隠された秘密をも知り得たのだった。

数千年前、竜族は世を逃れひっそりと暮らすために、人間が住む大陸から竜の島への移住を果たした。

その移住に協力したのが女神デューラであり、その女神は別れ際にある予言を残していた。

「七度目に星界が交わる時、星々は光を失い、黒い星が迫り来る。大地を歩く人間、大空を翔けるドラゴン、そして夜空に瞬く残光は、悪から身を守るため一体となるだろう」

予言の日までは、すでに100年を切っているが、竜族の人間に対する理解は遠い過去のまま。

竜族はカタストロフの動きを注視し、黒い星到来の前触れを警戒しつつ人間界に赴き、現在の人間が信頼に値するのかを調査をする必要があった。

これは、十分な資質と忠誠心を兼ね備えたドラゴンでなければ引き受けることができない任務であり、カーティスが適任であることに誰も異論はなかった。

そして、当時の彼は新婚だったにもかかわらず、この任務に自ら志願した。

夫妻で人間の姿に変装し、二人は人間の街で暮らすようになった。

カーティス夫妻は10年ごとに竜の島に帰任し、人間の観察記録を長老院に報告した。

そして報告を終えると、カーティスは竜の島の外で起こったこぼれ話を、私的にシルヴィンと共有していた。

竜の島を出た当初は、人間社会をほとんど理解していなかったため、数々の失敗を笑い話として話していたが、それでも正体がバレなかったのは、彼ら夫妻が世間知らずの大富豪を演じていたからだった。

彼はその人間界での生活を通して一人の船乗りと出会っていた。

その船乗りは、貧弱な身体で数々の荒波を越えていく。

人間の意志は、時にドラゴンをも驚かせたのだった。

数十年にわたり、カーティスが竜の島に戻る時は、いつも妻を伴っていたが、最後の帰任は特別なものだった。

彼はシルヴィンに、妻のお腹に新しい命が授かったことを嬉しそうに話した。

彼は、その子供が人間界で成長することを望んでいた。

そして、任務を終え竜の島に別れを告げる時、カーティスの視線は遠い空にあった。

「シルヴィン様、ドラゴンは人間と共存できると思いますか?」

「お前はすでにしているではないか」

「いや、私が言いたいのは…竜族全体が、竜族と人間が共生する社会が実現できると、私は信じています!」

その後、カーティスは消息を絶ち、再び竜の島に戻ることはなかった。

しだいに、カーティスは人間にそそのかされ、竜族を裏切ったとの噂が流れ始めた。

長老の中には、報告書の内容を再検討し、カーティスに対し反逆罪で審議をかけるよう要求する者までいた。

ある日、シルヴィンの怒りは頂点に達し、その怒りは、その長老の請求を取り下げられたことでやっと鎮まったのだった。

そんなことを思い出しながら、シルヴィンは手紙をゆっくりと開いた。

「シルヴィン長老、これが私の最後の報告になります。私はもう戻ることができません…」

手紙には、カーティスが失踪中に経験したことが書かれていた。

純血竜のような高次な存在にとって、世継ぎを産むことは非常に危険なことだったが、運命は彼らに味方しなかった。

新たな命が産み落とされたその日、彼は妻を失った。

竜の卵は長旅には耐えられない。

カーティスは卵が孵化したら竜の島に戻るつもりだったが、運命はさらに彼をもてあそんだ。

大陸の某所の潜伏していたロックリザードの一団が、街を略奪するため奇襲を仕掛けてきたのだ。

その一団はかなりの大所帯で、純血竜に対する憎悪に満ちていた。

自分の運命を悟ったカーティスは、急いで手紙を書き、自分の鱗を剥がしその手紙に添えた。

そして、竜の召使いに赤ん坊に変身した幼竜を連れて難民と一緒に逃げ、その手紙を船乗りの友人に渡すよう頼み、自分はドラゴンの姿に戻り、敵の大軍を食い止めることにした。

シルヴィンは、手紙を持ってきた船乗りを勇士として埋葬し、直ちに、幼竜の行方を、人間界に潜伏している竜族に調べさせた。

やがて、黒い星が落下し予言が現実のものとなった。

カタストロフの大群が大地を荒らしまわり、奇襲を受けたブライト王都は、ロイヤルガードが応戦するも間に合わない。

カタストロフが王城を突破しようとしたその時、一頭のドラゴンの咆哮が戦場にこだました。

蒼白のドラゴンが王城から飛び出し、襲い来るカタストロフの大群を撃退すると、再び王城の中へと消えていった。

城内にいたシルヴィンは扉を押し開け、たった今竜族の血統が目覚めたばかりの少女を見た。

「迷える血肉よ、今こそ一族に帰る時だ」

 

ドリーのコーナー

竜族の長老であるシルヴィンは、慎み深く賢明なリーダーである。

彼は常に事態の成り行きを洞察し、竜族の未来について遠大な理想を持っている。

そのために、彼は竜の血脈を持つ者を集め、人間と共にカタストロフと戦うという使命を背負っている。

かつて竜族が交わした約束に関係する、黒い星の到来という危機が差し迫っていた。

常に外界との接触に慎重な長老院とは異なり、シルヴィンは竜族の未来を見据え、内部での結束だけに頼るのではなく、広い世界の中に生きる場所を見つけることが必要であることを知っていた。

屈辱はすでに過去のこと。

この災禍動乱の世に終止符を打つためには、人間への憎しみは捨て去り、信頼できる者を見つけて協力すべきだった。

こうしてシルヴィンは、ドラゴンクリスタルの力を人間に与えることを強く主張した。

竜族の長老として、彼は竜の血脈を神聖にして侵すことのできない宝とみなしていた。

なぜなら、それは竜族の力と威厳を象徴するだけでなく、種族の希望と未来を担っているからである。

その血脈の中でも、長い間一族から失われていた活力を、彼はカーティスの中に見出した。

その活力は知識や希望であり、それこそ竜族の未来を意味していた。

それゆえ、カーティスの血を引く少女が目覚めた時、シルヴィンの心の揺れは複雑で深遠なものであった。

彼は数え切れない年月を嵐の中で生き抜き、多くの歴史が変わる瞬間を目の当たりにしてきた。

しかしこの瞬間、それらすべての経験が、言いようのない感情に収束したように思えた。

それは深い安堵感と慰め、過去への反省、そして何より、期待が入り混じった感情だった。

彼女の今後の経験が、竜族に新たな視点と知恵をもたらすだろう。

そしてシルヴィンは、その物語が竜族の未来にとってかけがえのないものとなることをよく知っていた。

 

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