フレミング

ページ名:フレミング

フレミング【火を貪る者】

概要

呼称 火を貪る者
陣営 カタストロフ
関連人物

【敵】

タレン

ストーリー

火ーー

それは人間が初めて闇に対抗するための

手段であった。

人間は火を扱う術を身につけてから、

夜を恐れなくなった。

暗闇に明かりを灯し、寒さをしのぎ、

野獣を退けるため、エスペリアの人々は

家の外に篝火を燃やした。

こうすることで、

暗闇に潜むカタストロフが

近づくことができないと信じていたのだ。

しかしすべてのカタストロフが

火を恐れるわけではない。

 

ーーフレミングがそうだった。

 

カタストロフを司る存在である

破壊神ロカンは、

封印されながらも少しずつエスペリアに

浸透させていた意識で、

人々の負の感情を利用していた。

災いをもたらしたり、

カタストロフを生み出したり……

その中でもフレミングは、

ありとあらゆる生物が少なからず持つ、

火に対する欲望を凝縮させて生まれた

カタストロフだった。

つまり、この世に誕生した時から

フレミングは火を渇望していたのだった。

そのせいか、彼の目には火が刻々と

姿を変えているように見える。

火が揺れる瞬間の変化と、

その本質に魅了されていた。

火に心を奪われているフレミングは、

時折手を伸ばし、目の前の火を

捕まえようとする。

だが、誕生して間もないこの時は、

まだ火を自由に操れなかったため、

触れるたびに火傷を負っていた。

それでも渇望がとまらない。

次第に火傷の痛みが快感へと

変わっていった。

焼け爛れていく指先に絡みつく

火を見つめていると、もっともっと

欲しくてたまらない気持ちになる。

ついにフレミングは本能に従い、

目の前の火を飲み込んでしまった。

火傷の痛みが口から喉を伝って、

全身に広がっていく。

火とひとつになれたような感覚が

たまらなく気持ちよかった。

それ以来、フレミングは常に火を求め、

貪り食っていった。

火に対する貪欲さと執着心は、

取り込むごとに増していったのだった。

自然の火、魔法による火……

ありとあらゆる火を取り込むと同時に、

内から力が湧いてくるのを感じた。

食べれば食べるほど、力がみなぎる。

フレミングは喜びを嚙み締めた。

そして新しい火を手に入れるたびに、

自身を燃やして好みの火であるかどうか

判断するようになっていった。

フレミングは、

だんだんと自分の好みの火が

どういうものか理解していく。

ただ単に強くなれるだけの火ではなく、

純粋な火であればあるほど、

心が満たされていった。

そのうちに、この世で最も純粋な火を

求めるようになっていく。

 

長い時を経てーー

フレミングはようやく求めていたものに

たどり着いた。

この世で最も純粋な火を生み出すことが

できる存在がいるということを。

『曜雀』

この種族は生まれながらにして、

純粋な火種を持っている。

それは非常に稀で、特別な火だった。

伝説では、曜雀の祖先は

『炎陽の炉心』と呼ばれる地中深くにある

烈火の中で生まれ、その場所では常に

『紅炎』という純粋な火が

燃え盛っているという。

 

「なんとしてでも、手に入れたい……」

 

火を渇望するカタストロフである

フレミングは、曜雀を殺して

その火を取り込みたいと強く思った。

 

何十年にもわたり、

フレミングは火への執着心と

驚異的な忍耐力で、

エスペリアの隅々まで曜雀を探した。

そして、やっとの思いで見つけ出し、

1羽ずつ殺していったのだ。

その中にはタレンの母親もいたという。

究極の火が目の前に転がり、

フレミングは喜びで笑いがこみ上げた。

じっくりと味わうように、

指に絡めた火を恍惚と見つめてから、

体に取り込んだ。

だが、体の中から何も

湧き上がってこなかった。

 

「これが本当に、

伝説の『紅炎の火』なのか?」

 

期待を裏切られたフレミングは、

手当たり次第転がっている曜雀の火を

取り込むも、何も感じない。

長年の苦労が水の泡になることを

恐れたフレミングは、

『紅炎の火』を徹底的に探し回ったが、

なんの成果も得られなかった。

 

「なぜだ……なぜ見つからない!」

 

苛立ちがピークに達したフレミングは、

通る場所すべてを火の海にしていった。

 

とある夜ーー

燃え盛るフレミングの火が、

ユグドラシルの隅にある村を襲う。

家屋は炎に包まれ、

空は不気味な紫色に染まった。

住民の声などすでに消え去り、

村のすべてが灰になった。

燃やすものがなくなり、

その場を立ち去ろうとしたその時だった。

フレミングは火の気配を感じて、

周囲を見渡す。

フレミングが放った残り火の傍らで、

小さく静かに揺れている炎が

あるではないか。

その不思議な炎には、

わずかに魔力が宿っていて、

ほかの火に飲み込まれずにいたのだ。

まるで道端に咲く花のように、

儚くも強い生命力を感じる。

ゴクリと喉を鳴らし、

フレミングは不思議な炎に手を伸ばす。

おそるおそる体に取り込むと、

全身が脈打つような感覚に襲われた。

 

「これだ……」

 

取り込んだ時に感じた馴染みのある匂いに

フレミングは興奮して震えた。

わずかではあったが、

たしかに『紅炎の火』の匂いだった。

この世にはもう、残されていないと

諦めかけていたが、

『紅炎の火』に対する欲望が再燃する。

 

ここに火があるということは、

もっと奥にいけば、より多くの

『紅炎の火』があるかもしれない。

フレミングは火を手に入れるため、

ユグドラシルの奥へと

向っていったのだったーー

 

「俺はただこの世で一番純粋な火を

眺めていたいだけだ。

美しいと思わないか?」

 

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