ダミア

ページ名:ダミア

ダミア【真夏の女神】

概要

呼称 真夏の女神
陣営 セレスチアル
身長 169㎝
趣味 世界各地を巡ること
好きなもの

・フラワーティー

・アイスクリーム

嫌いなもの 乱暴な言葉遣い
現在地 エスペリア
現在の身分 エスペリアのセレスチアル
関連人物

【親友】

ティベリウス

ストーリー

焼けつくような陽射しが

生い茂る枝葉の間を抜けて

ダミアのきめ細かい肌に木漏れ日となって

降り注ぐ。

ダミアは、自身の羽を使って

『小さな使者』を作り出していた。

数日後には、

この『小さな使者』が暖かい風に乗って、

真夏の暑いビーチから

雪に覆われた群山の頂に向かい、

やがて女神デューラの神殿を守っている

ティベリウスの肩に止まることだろう。

「今年もすべてが順調ですね。

人々は友好的で、

私がもたらす日差しを

歓迎してくれる……

もうすぐ、また会えますね」

ダミアは『小さな使者』が

飛び立っていく姿を見送りながら

遠くで帆船が行き来しているのを眺める。

彼女の言葉に返事をする者は

誰もいなかった……。

ダミアは毎年ティベリウスに使者を

送っているが、

まだ一度も伝えていないことがある。

人間という種は、

実はそれほど素晴らしい存在では

ないものだということだ。

数千年前ーー

ダミアはデューラが群山の頂から

旅立つのをよく見送っていた。

そしてデューラが銀白色の神殿に

帰ってくると、

いつも夏の煌く太陽と鮮やかな花々を

添えていたのだ。

ダミアはデューラが人間たちを

見守ることに対して特に興味はなかった。

だから思いもしなかったのだ。

デューラが脆弱な人間たちを哀れみ

魔法の秘密を教えた後、

まさか人間が神々と肩を並べようと

するとは……。

それだけではない。

人間たちが傲慢になり

自らの力に溺れた時代に、

デューラが命を落としてしまうだなんて

予想もしていなかった。

悲しみに打ちひしがれながらも、

ダミアはデューラが命を捧げた人間たちの

世界とはどんなものなのか、

それだけの価値があったのかを見るため

群山の頂を離れた。

旅立ちの少し前、

彼女はデューラの神殿を訪れる。

神殿を離れることができない

テンプルガーディアンのひとり、

ティベリウスはダミアに頼み事をした。

「ダミア、私に人間の世界で見たことを

教えてくれないか」

それから数千年にわたり、

彼女はエスペリアを旅する。

ダミアが収穫を待ち望む農夫に

盛夏をもたらすと、

彼らは干ばつを呪った。

花々の満開を願う庭師に

その願いを叶えてあげると、

彼は豪雨を罵った。

重い毛皮の服を脱いだ貴族たちも

暑さにうんざりし、

ホタルを追いかける子どもたちも

蝉の鳴き声に文句を言った……。

「これが人間の世界ですか」

そうして何度も人間の不満を

聞いているうちに

ダミアは彼らの愚かさ、欲深さ、無礼さ、

分別のなさに慣れてしまった。

「デューラ様は……

なぜこんなどうしようもない種に

尽くされたのでしょうか」

ダミアの疑問は深まるばかりだったが、

それ以上考えることをやめた。

「これ以上見ても意味がありませんわ」

彼女はソトロン大陸に向かう

3本のマストの帆船に乗り、

群山の頂に帰ることを決意したのだった。

ダミアは甲板で遠くを眺めていた。

その日は季節風が強く、船は満帆。

周囲の船員たちは夏を讃える歌を

歌っていた。

だが、おそらく2時間後には

船員たちが暑さを感じ、

夏を呪い始めるだろうとダミアは予想する。

その時だった。

濃い霧が船を襲ったのだ。

白一色の霧に包まれ、

船員たちは歌をやめて船長の指示を待つ。

ふと、遠くから角笛の音が鳴り響いてきた。

ダミアはその音の方向に目を向けると、

海中に住む亜人であるラッコ族が

海面に浮かんできて、

巻き貝を吹いたり海藻で編んだ旗を

振ったりしている。

この船に何かを伝えようとしている

ようだった。

ダミアが隣の船員に声をかけようとしたが、

その答えはすぐ目の前に現れた。

巨大な氷山だ。

「なぜ……? 

この航路に氷山が現れるはずは

ありませんわ……」

可能性としては、

遠くにある氷山が猛暑によって溶かされ、

季節風に乗って霧に隠れて

航路の真ん中あたりまで流れ着いたと

いったところだろう。

船長はすぐに副船長と船員を呼び、

舵と帆を操って針路を変えようとした。

だが、3本マストの帆船は小舟とは違い、

簡単に向きを変えることはできない。

彼らが制御できる範囲は限られていた。

時間は刻一刻と過ぎ、

季節風は船をさらに前へと押し続けた。

このまま何もしなければ、

間違いなく船は氷山に衝突し沈没する。

この船に乗っている200人以上が

ほとんど救助されることなく

海の藻屑となり、

生き残ることができるのは

1割にも満たないだろう。

かといって、

今ここで急に舵を切れば、

サンゴ礁に斜めに衝突するだろう。

船はなんとか航行を

続けられるかもしれないが、

おそらく半数以上の船員が落水し、

ラッコ族も壊滅的な被害を

受けることになる……。

ましてや、このことを教えてくれたのは

ラッコ族だ。

1人でも多くの船員を救うために

全力を尽くすべきか、

それとも避けられない運命を受け入れ、

罪のない命を巻き込まないよう

突き進むべきか……。

全員が舵を握っている船長の手を見つめる。

「くそったれ! 

なんなんだよ、この夏の風は!」

絶望の涙が船長の頬を伝って流れ落ちた。

さっきまでの順風満帆な航行は

とっくに過去のものとなり、

船長はただただ恐怖と無力感に

支配されていた。

その時、ダミアはデューラの考えを

少し理解した。

2つの死の航路。

どちらを選ぶか決断できずにもがく船長は、

かつて夏を待ち望みながらも

夏を恨んでいた人間たちと、

本質的には同じなのだと悟った。

この命を選択する重みは、

人間たちには到底背負うことができない。

干ばつや豪雨による被害が受け入れられず、

夏を逆恨みするのは、

欲深さや無知ではなく、

ただ弱いだけなのだ。

デューラは人間の弱さを

知っているからこそ、

厳しく責めたりしなかった。

「ふぅー……」

長く深いため息をついた後、

ダミアの杖から燃えるような熱い光が

放たれた。

すると、風向きが変わり、

海流もそれに伴って変動する。

バサバサと帆が風に煽られ、

船が大きく揺れ動いた。

そうして……船は氷山を避けて、

無事に安全な海域へと

進んでいったのだった。

1年後ーー

ダミアの『小さな使者』は再び飛び立った。

「今年もたくさんの場所に行きました。

大地は生命力に満ちあふれていますが、

人間はとことん不器用で、

導くのはいささか大変です……

私たちが再開するのは、

おそらく数百年後になるでしょう……」

 

ドリーのコーナー

春には復活の歌が、秋には豊作の喜びがある。

雪にまみれた寒い冬でさえ、冬祭りの賛歌がある。

それらに比べると、エスペリアの夏は確かに地味である。

人間界に来た当初、夏の神であるダミアは困惑していた。

人間は夏の到来を讃えたかと思ったら、なぜ次の瞬間には暑さを呪い始めるのだろう。

長い年月の間には、神としての矜持を捨て、人間に自らの能力と善意を与えたこともあった。

しかし、人間の欲望には限りがなかった。

ダミアは与えるほど、人間の耐えがたさと悲しさを知ることになった。

ダミアにはデューラが人間のために払った犠牲に価値があるとは思えなかった。

人間と付き合うほど、その思いは強くなっていった。

ダミアは失望と共にこの旅を終えることにした。

この旅の収穫は、群山の頂のティベリウスに人間界の土産話を届けられることくらいだった。

ところが、ある船の上で、ダミアは人間の立場からその弱さを見た。

人間の命がどれだけもろいかを知った。

神の力がなければ、物事の発展を左右することができない。

当然、変化の結果を受け止めることもできない。

農民は暑さが収穫をもたらしてくれることを願いつつ、干ばつを懸念する。

船乗りは帆船を後押ししてくれる季節風を望みつつ、巨大な波を恐れる。

ダミアは人間の苦しみを知り、デューラの思いを理解した。

ダミアは人間界に留まることにした。

依然として人間の愚かさを嫌ってはいるが、いつの間にかずいぶん寛容になっていた。

またもや暑い季節がやってくる。

人々は恐れを抱きつつ、真夏の到来を待ち望んでいる。

 

スキン【真夏の竜の声】

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