アルナ

ページ名:アルナ

アルナ【冬の戦乙女】

概要

呼称

・冬の戦乙女

・氷風の歌姫

・群山の守護者

・永久凍土の母

陣営 セレスチアル
種族
身長 190㎝
趣味 武芸の腕を磨く
好きなもの 戦士の精神を持つ者
嫌いなもの 弱い者
現在地 カタストロフが群山を汚した後、戦地を転々としており、住所は定まっていない
現在の身分 エスペリアのセレスチアル
関連人物

【戦友】

ゲニッツ

ストーリー

ーー美しく気高きアルナよ。

我が敬愛する戦友よ……。

ワシが君のことを、こんなふうに呼ぶことを

どうか許してくれんかーー

 

ゲニッツはたどたどしくも1文字ずつ丁寧に

パピルス紙の上に記していく。

 

ドワーフは常日頃、ハンマーを握っている。

ゴツゴツとした手には最適だ。

だが、ペンを持つとなると話は違う。

細々とした作業が苦手なドワーフの手で

手紙を書くというのは、

なかなか難しいものだった。

 

ーー君には多くの呼び名がある。

スノーソング、

マウンテンガーディアンなど……。

さらには、『冬の戦乙女』とも呼ばれている。

ワシは幼い頃から、

君のことを聞かされていたんじゃ。

山の上には孤高で勇敢な戦士である神がいて、

常に吹雪を纏っているという。

季節がその神の声に反応すると、

エスペリア大陸に冬が訪れるのだ、とーー

 

テントの外から聞こえる、吹雪の音。

この音を聞くと、

まるでアルナが叫んでいるのではないかと

錯覚を覚える。

 

ーー山々が闇の影に覆われたある日。

カタストロフは大軍となって

ワシの故郷を荒らしにやってきたんじゃ。

あの時ワシは、

『アイアンフロウ』の一兵卒じゃった。

偉大なドワーフ王セングリアン指揮のもと

カタストロフの侵略を食い止め、

ワシは必死に同胞たちを守り抜いていた。

 

だが、あの日……ワシは死を予感したんじゃ。

 

カタストロフとの戦いは、激しくなるばかりで、

苦戦を強いられていた。

戦友たちが次々と死んでいっても、

ワシたちは最後まで諦めず、

三日三晩戦い続けたんじゃ……。

だが、ついに国王までもが

命を落としてしまったーー

 

ここまで書いたゲニッツは一度ペンを止める。

そして、あの時の戦いを思い出す。

……真っ白な雪に覆われた雪原は、

ドワーフとカタストロフの血で

真っ赤に染まっていたのだった。

 

ーー気づけば戦場にはワシ1人だけ。

カタストロフに囲まれておった。

ヤツらが一斉に襲ってきて、

死を覚悟したその時じゃった……。

天を貫く怒号のような声が響き渡り、

目の前に君が現れた。

ワシを囲んでいたカタストロフたちの

心臓を長い槍で貫くその姿は、

まさに戦神そのものじゃった。

 

「死にたくなくば、武器を手に抗い続けろ」

 

君は地面に転がっているバトルハンマーを

ワシに向かって蹴り、精悍な目つきで言った。

死を覚悟したワシの心に

再び火がついたのがわかる。

そして、ワシたち2人は戦い続けたんじゃ。

 

……君はあそこへ来る前から

ずっと戦っていたんじゃろう? 

言わんでもわかる。

君は血だらけじゃった。

相手の血ではなく、君の血でーー

 

その時ゲニッツは初めて知った。

神も疲れを知り、傷つき、血を流すのだと。

ゲニッツたちは戦い続けていくが、

どんなに倒しても、

カタストロフの勢いは止まらない。

これ以上、ゲニッツは戦うことができないと

判断したアルナは、吹雪を起こし、

カタストロフの視野を遮った。

その隙に傷ついたゲニッツを担ぎ、

谷底に身を隠したのだった。

ゲニッツはペンに墨をつけ、

さらに書き続けた……。

 

ーーあの時、

無知なワシは君に怒り散らしたのう。

神ともあろう者が死を恐れ、

戦場から逃げ出すなど、恥を知れと。

だが君は何も言わず、

ただ武器を磨き続けていた。

ワシは歯がゆかったんじゃ……。

カタストロフは追手を差し向け、

我々2人を必死に探し回っている。

本当なら立ち向かって行きたかったんじゃが、

ワシたちが受けた傷は深く、

カタストロフと正面から戦うことが

できなかったんじゃ……。

ワシは、戦いの中で死ぬことは

ドワーフの誇りだと思っていた。

それなのに、しっぽを巻いて逃げる

負け犬に成り下がっている。

ワシは悔しかったんじゃ……。

恥ずかしくて仕方がなかったんじゃ……。

死んでいった仲間たちのため、

ワシはカタストロフに立ち向かっていった。

そんな死を急ぐワシを

君は何度も救ってくれたのう。

だが、ついに君は堪忍袋の緒が切れた。

 

「お前だけがすべてを失ったわけではない!」

 

そう言って、ワシを一発殴ってくれたのう。

後から知ったことじゃが、

君も家族をカタストロフに奪われたと……。

そして、セレスチアルに

堕ちてしまったのだと……。

 

あの一発で目が覚めたわい。

逆境の中であっても、

それを耐え抜くのが戦士の品格。

自己犠牲ではなく、

まずは自分を大切にしなきゃならん。

その後、異郷に流れ着いたワシは

君の言葉を胸に生きてきたーー

 

ゲニッツは結んだヒゲを軽く撫でた。

ドワーフは感情には多少疎い種族だが、

この言葉だけはいつまでも

忘れることはなかったのだった。

 

それから数カ月後、

ゲニッツとアルナの傷は癒え、

自分たちを追い詰めたカタストロフたちへ

反撃に出る。

2人の間にはほとんど会話はなかったが、

戦闘中は息がピッタリ合っていた。

 

ーー君と共に戦うことができて、

光栄じゃった。

君は感情を顕にすることはなかったが、

魂がいつも熱く燃え上がっていたのは

感じておったぞ。

いつも誇らしげな表情を

浮かべているように見えた。

それは君が神だからとかそんなものではなく、

内側から溢れ出る強さからくるものじゃった。

共に戦う日々の中でも、

君は神としての奢りを出すことなく、

自分のことを戦士として語っておったなーー

 

ブォーン……

 

テントの外から

『アイアンフロウ』集合の合図が鳴り響き、

ゲニッツはペンを置いた。

 

数年前……。

カタストロフの侵攻を断つ任務についた

『アイアンフロウ』は全滅し、

ゲニッツのみになった。

だが、戦友たちの犠牲は無駄ではなかった。

ドワーフの同胞たちは、

『アイアンフロウ』に援護されながら北上し、

ブライト王国へ逃げ切ることができた。

さらに、『アイアンフロウ』も再結成することが

できたのだ。

カタストロフとの戦いが一段落着いた頃、

ゲニッツはブライト王国にいる同胞を尋ねるため

アルナに別れを告げる。

そして、再結成された『アイアンフロウ』の

同胞たちと合流するのだった。

 

ゲニッツはまだアルナと別れた時のことを

はっきりと覚えている。

 

「また会おうぞ、冬の戦乙女」

 

すると、アルナはこう答えた。

 

「わたしにはアルナという名がある」

 

ゲニッツは手紙の最後に、

もう少し何かを書き留めたいと思い、

ペンを手に取る……。

 

ーー勇敢な戦士アルナよ。

君は今もどこかで戦い続けているのであろうな。

『アイアンフロウ』は、もうまもなく南征する。

今度こそ、カタストロフどもから

我が領土を奪い返してみせる。

だがな……戦士としてのカンなんじゃろう。

この遠征はワシの最後であると感じるのだ。

決して命を粗末にしようとは思っておらんぞ。

ワシの犠牲は無駄にはならん。

かつての戦友たちのようにな……。

ただ、君を思い出し、また君の声を聞けたらと

心から願ってしまうのう。

最後に……。

君の声が永遠と山々に響き渡りますように。

戦士ゲニッツーー

 

ゲニッツは手紙を丁寧に折りたたみ、

箱に大事にしまった。

 

その直後、

テントの外からドワーフの兵士が入ってきて、

ゲニッツに敬礼をする。

 

「軍団長、

『アイアンフロウ』南征の準備が整いました!」

 

長文をしたためたせいで手が疲れたのか、

ゲニッツは指をほぐしている。

そしてテーブルの横に掛けておいた

ハンマーを肩に乗せて兵士に告げた。

 

「皆に伝えよ。

南へ向けて、出発じゃ!!」

 

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