登録日:2022/12/11 Sun 18:57:08
更新日:2024/06/28 Fri 13:26:39NEW!
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プラモデルメーカーの一覧は、プラモデルを製造している、あるいは過去に製造していたメーカーの一部*1を纏めたものである。
●目次
【主な国内のメーカー】
・タミヤ
「世界中どこへ行っても、赤と青のスターマークがあればそこは模型店なのだ」の言葉で知られる世界のタミヤ。1990年までは田宮模型の名前を用いていた。
ロゴの赤い星は情熱を、青い星は精密を意味している。
製材の加工販売業者として1946年に創業。1948年からは木製ソリッドモデルのメーカーとして活動していたが、ソリッドモデルへのプラパーツの導入を経て、1960年5月に発売した「1/800 大和」にてプラモデルに参入。以後は戦車(AFV)、飛行機、艦船、車など主にスケールモデルの製作を行っている。
AFVでは「ミリタリーミニチュアシリーズ」、艦船ではハセガワ、アオシマ、フジミを巻き込んでスタートさせた「ウォーターラインシリーズ」が有名で、これらのシリーズで採用したスケール(1/35と1/700)は後に国際的な標準スケールとして定着している。
ミリタリーミニチュアシリーズのクオリティや製品バリエーションの多さと情熱から、後述の「空のハセガワ」と並んで「陸のタミヤ」と言わしめるほど。ただし、他のジャンルの製品でもクオリティが高いのが基本で、日本国内のスケールモデルメーカーの中でも、嵌め合い精度と組み立てやすい設計では頭ひとつ抜けている。
それ以外のジャンルでも、大ブームを巻き起こした「ミニ四駆」が有名な他、「楽しい工作シリーズ」などの科学工作を楽しめるキットやRCカーキットなども手がけている。
タミヤのプラモデルにかける情熱はすさまじく、
- 最新ソ連戦車の図面が欲しくてソ連大使館に凸した挙句に公安にマークされる。
- 戦車博物館で戦車に登ったり中に入ったり車体下に潜ってまで取材写真を撮りまくり、警備員がすっ飛んでくるも隙をついて撮影を続行。
- モデル化のためポルシェ911を完全分解して元に戻せなくなった。
- ソ連戦車が鹵獲されて一般公開されたとの話を聞いて、すぐに取材のために社員を中東へ送り込む。
などのぶっ飛んだ逸話も多い。その熱意はキット化対象を詳細に解説した説明書の内容にも表れている。
現状、「キャラクターモデルはやらない」「美少女とかロボットは他社に任せる」というスタンスを取っている。これは、1969年に手を出してみた『ジョー90』のプラモデルの売上が鳴かず飛ばずだったことも影響しているらしい。
とはいえ、ミニ四駆のメディアミックス作品である『ダッシュ!四駆郎』や『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』が大ヒットしたり、1981年という早い時点で「プラモのモ子ちゃん」という萌え系マスコットキャラクターを生み出していたりと、キャラクタービジネス自体に疎いわけではない。
実際、近年では漫画『空母いぶき』に登場する護衛艦いぶきを1/700スケールでモデル化し、販売した実績もある。
また、『ガールズ&パンツァー』のブームではここぞというタイミングで各戦車模型を再販し、世の時流に乗ったりもしている。
プラモデル用工具や各種素材も安定のタミヤ。とりあえず困ったらここの工具や素材を買っておけばまず間違いない。塗料もタミヤカラーのブランドでラッカー、アクリル、エナメルと各種取り揃えて開発販売しており、自社製品の塗装指示もすべてタミヤカラーが指定されている。
また、直営店である「タミヤプラモデルファクトリー」も経営しており、自社製品の直販のみならず、ミニ四駆レース場や、持ち込んだプラモデルを作れる制作スペースの提供などのサービスも行っている。
・ハセガワ
「飛行機のハセガワ」「空のハセガワ」の異名の通り、特に航空機模型に優れたメーカー。2000年までの旧社名は長谷川製作所。細かなモールド(パーツ表面の溝)にこだわっている。
こちらも木製ソリッドモデルをその始まりとするメーカーで、創業から20年経った1961年にプラモデルに参入した。なお、初のプラモデルは「飛行機のハセガワ」のイメージに反してヨットで、初めて飛行機のプラモデルを送り出したのは翌1962年。題材は当時日本で用いられていた3種類のグライダーだった。
特に1/48と1/72スケールの飛行機のラインナップが充実しており、デカールなどのバリエーションも含めると商品数はそれぞれ1000を超える。また、ウォーターラインシリーズをはじめとする艦船や1/72スケールの軍用車両なども手がけている。
デフォルメ飛行機モデル「たまごひこーき」も有名で、海外では同種のデフォルメプラモデルを指して「1/egg」という縮尺表記が使われているほど。
長年スケールモデル専門だったが、1990年代に「アクトハセガワ」というブランドでキャラクターモデルに参入。この時点では既存のスケールモデルを特定の作品仕様にリデコしたキットが主だったが、2000年代に入ると飛行機つながりでマクロスシリーズのVF-1 バルキリーをキット化し本格参戦。以後も「クリエイターワークスシリーズ」と銘打って充足を図っている。過去には『電脳戦機バーチャロン』のVRなどもリリースしていた。
ディテールの面では非常に優れている一方で、ロボットプラモデルであってもスケールモデルに近い方向性で設計されているため、ガンプラのようなものだと思って買うと可動や関節保持力についてのギャップに驚くことになる。関節パーツに関しては他メーカーのもので代替する手段が有名だが、そういった需要もあってかコトブキヤのプラユニットは常に品薄気味である。
キャラクターモデル開発の積極化や「MODEMO」ブランドでの鉄道模型への参入*2に加え、最近はスケールモデルの分野でも自動車や1/12スケールの情景、レジン製人物フィギュアなどの比重を高めており、「飛行機のハセガワ」からは少しづつ変質しつつある。
・青島文化教材社(アオシマ)
もうなんというか、異端を地で行く会社。誰が呼んだか「静岡の狂犬」。本来のキャッチコピーは「創造のプラモデル」なのだが。
1924年に航空会社として設立された青島飛行機研究所を前身として、1932年より動力付き模型飛行機を製造しており、1961年に青島文化教材社と改名するとともにプラモデル業界に参入した。
痛車シリーズはカーモデル業界に衝撃を走らせたとか、ないとか。
他にも、
- 尖閣諸島モデルのミサイル艇を出す。
- 該当キットの艦船が撃沈されている箱絵を製品化。
- 自衛艦のキットに「不審船」や「領海侵犯船」、「某国弾道ロケット」といったオマケパーツを入れる。
- 箱絵の隅っこで某国海軍の空母が沈められている自衛艦のキットをリリースし、某国マスメディアにバッシング記事を書かれる。
- 『東方紅魔郷』ネタの痛車の箱絵が、なぜか中身のデカールとは似ても似つかぬまったく萌えない昭和レトロ仕様。
- 「バーニラ、バニラ、バーニラ求人!」の宣伝トラックをプラモデル化。さらに件の歌を流すべく、音声ユニットを組み込めるよう改修を加える。
- 1/12スケールでトイレを出す。しかも洋式と和式両方。
- 雑誌付録限定とはいえ「中華キャノン」のキットを発売する。
など、別の意味で変態。
その他、狂犬とは行かないまでも、デコトラや移動販売車や漁船といった、他社とは目の付け所が違う製品をシリーズ化することも多い。
また、「アオシマ鎮守府」と称してウォーターラインシリーズと『艦隊これくしょん -艦これ-』とのコラボを主導していたりもした。その影響か、近年では2020年末までウォーターラインシリーズを牽引する勢いで精力的に新製品をリリースしていた。
「あおこ」というマスコットキャラクターもおり、こちらも「模型界の狂犬」を擬人化したかのような言動で公式Twitterアカウントで暴れ回っていたが、社内外での情勢の変化を受けてか2022年2月を以て活動を一時休止している。あくまで一時と信じたい。
往年のファンは筆舌に尽くしがたい仕様の『伝説巨神イデオン』のプラモデル、あるいはオリジナルロボット「アトランジャー」や大胆に輪切りにされた「合体カウンタック」をはじめとする『合体シリーズ』の印象が強いのではないだろうか。
スケールモデルの分野でも、日本メーカーとは思えないレベルのマイナーな軍用機のキットを連発したり、ラジカセやカラオケセットまでプラモデル化したりと以前から狂犬っぷりを発揮していた。
昔からスケールモデルとキャラクターモデルをバランスよく手がけていたメーカーでもあり、2017年からは「ACKS」というシリーズを立ち上げて改めてキャラクターモデルに本腰を入れている。
その流れで、「V.F.G.」や「新・合体シリーズ」と称して、とうとうマクロスのバルキリーや合体シリーズまで美少女化してしまった。
かつては成形がいい加減だったりマニュアルが無茶苦茶だったりと技術力が怪しく、サブブランド「スカイネット」に至っては簡易金型を用いた難物で名を馳せていたが、傑作3式機龍など改善の兆しは大きい。上記イデオンも完全新規キットとしてリベンジに挑戦している。
また、近年では「楽プラ」と称してカーモデルのスナップキット化にも力を入れていたり、美少女ものなどの完成品フィギュアにも手を広げていたりする。
・フジミ模型(FUJIMI)
自動車や艦船をメインに、その他のミリタリー系や著名な建物などのキットも取り扱う老舗メーカー。1948年の創業からしばらくの間は木製キットを出しており、1961年になってプラモデルに手をつけた。
かつてはタミヤ・ハセガワ・アオシマと組んでいたのだが、俊作会長に嫌気が差して喧嘩別れした経緯がある。
その際にウォーターラインシリーズからも手を引き、現在は「シーウェイモデルシリーズ」(特シリーズ)として1社単独でラインナップを充実させている。
近年はミリタリーやゴジラなどを可愛らしくデフォルメした「ちび丸シリーズ」、恐竜や昆虫などを扱った「自由研究シリーズ」なども手がける他、「艦NEXT」「車NEXT」などでスケールモデルへのスナップフィットの導入にも力を入れている。地味に初音ミクを最初にプラモデルにしたのもフジミだったり。一方で、スケールモデルではパーツの細分化や小パーツによる細部の再現へのこだわりを見せることも少なくない。
過去に痛車ブームが起こった際は、何をトチ狂ったのか甲板にアニメキャラのイラストを貼った「痛空母」をリリースしたことがある。
自由研究シリーズでも『新世紀エヴァンゲリオン』『仮面ライダーカブト』『デビルマン』『ポプテピピック』などとのコラボも行っているが、リアルなカブトムシやクワガタ、ザリガニなどにキャラのカラーリングとデカールを施した強烈な外見は見る者に絶大なインパクトを与える。日本ワーストプラモデルグレートマイトガインや、近年稀に見るどうしてこうなった枠の1/72 バトルスカイシリーズF-15Eを作ったのは黒歴史。
最近では新製品や再販品などはカーモデル、艦船模型、キャラクター・昆虫プラモデルなどに絞られており、かつての陸海空すべてのスケールモデルを網羅していた製品ラインナップからは変容しつつある。
・ピットロード(PIT-ROAD)
艦船模型がメインのメーカーで、主に1/700と1/350スケールで展開されている「スカイウェーブシリーズ」が有名。
元は1981年開店の個人経営の模型店で、レジンキットメーカーとしての活動を経て1985年にプラモデルの自社開発に乗り出した。
シャープで細かな作りが売りで、艦船模型では静岡3社のウォーターラインシリーズに匹敵するクオリティを持つ。また、基本的に喫水線下を省略しているウォーターラインシリーズに対し、船体全体を象ったフルハルモデルが多いことも特徴。
ラインナップも幅広く、ウォーターラインシリーズで出ていなくてもここなら出ている、というケースも少なくない。日本の一等駆逐艦や水雷艇、新造海防艦などは第二次大戦に参加したほぼすべての形式をカバーしている。海外艦艇にも力を入れており、日本以外の国の艦が作りたいというモデラーにとっても、まさに渡りに船のメーカーと言える。
スカイウェーブシリーズでは艦船のみならず、同じスケールで各国の航空機や軍用車両もキット化しており、艦船模型の「添え物」に止まらない幅広いラインナップもあってかこちらも好調らしい。また、軍用車両や航空機は1/35から1/144にかけてのより大きなスケールでもカバーしている。
変わったところでは、かつてタカラが展開していた半完成品の食玩・浴玩「世界の艦船キット」の開発に協力しており、後にピットロードからも「七つの海の物語り」として再販されている*3。
なお、トランペッターやフライホーク、グレートウォールホビーといった中国メーカーとの共同開発品や、自社製品の金型が大人の事情で売却され、ウォーターラインシリーズなどの他社製品として装いも新たに発売されているケースもいくつかある。
また、「ぺあどっと」というブランドで『ガールズ&パンツァー』などのキャラクターモデルも展開している。
「ノースポート」という直営店も構えており、ピットロードではなくこちら名義で発売された限定品も存在する。
・ファインモールド
ミリタリー系が得意なメーカーで、航空機に関してはハセガワ・タミヤに並ぶ国内3強といって差し支えないだろう。日本戦車や艦艇の艤装にも強い。
模型サークル「無限軌道の会」のメンバーが立ち上げる形で1987年に創業。他社のプラモデルの金型の下請け製造などを経て、1989年に初めて自社開発のプラモデルを送り出した*4。
キットの精度の高さに加え、取材の綿密さもタミヤに勝るとも劣らぬほどで、社屋には趣味と実益を兼ねてたまに本物の兵器が届くらしい。説明書の解説文もタミヤに負けぬレベルで濃く、1/72スケールで「超重戦車[オイ]」を発売した際には、自社で発掘した新資料の内容を説明書で初めて世に出すという芸当に及んでいる。
「自分が欲しいもののプラモデルを作るためにメーカーになった」という社長の意思を反映してかニッチな題材をキット化することが多く、初期には他メーカーが手をつけていなかったマイナーな日本機のキットを連発していた。
その後も工場用の工作機械や日本陸軍の輜重車(荷馬車)などもプラモにしつつ、その技術力を以てメジャーな機体のキット化にも乗り出している。
また、飛行機の金属外皮の波打ちを再現したり、スケールモデルでも実機のパネルライン通りのパーツ分割を採用していたり、成形色による色分け再現を試してみたりと、挑戦的な要素を盛り込んだキットも送り出している。
宮崎駿監督との飛行機談義の末にプラモ化を快諾された『紅の豚』の登場機を皮切りに、『天空の城ラピュタ』のロボット兵や『スター・ウォーズ』などのキャラクターモデルも展開している。
『スター・ウォーズ』のキットは、版権の都合で日本国内にしか流通させないことになっていたにも関わらず、なぜかドイツの模型誌でその年の傑作模型に選ばれたこともある。
マスコットキャラクターは「五式犬」。本社工場に配備された四足歩行式偵察警戒デバイス兼取締役警備部長……つまりは番犬である。地味に鳥山明先生デザインで、イベント限定品としてキット化もされている。
・プラッツ(PLATZ)
スケールモデルが中心のメーカー。
2000年にNゲージ鉄道模型から模型メーカーとしての活動をスタートさせ、2001年にプラモデルに参入した。
プラモデルの自社開発品としては自衛隊機を中心とする1/72スケールの飛行機や1/24および1/32スケールの車を得意としている他、様々な海外メーカーの輸入代理店としても精力的に活動しており、新たに日本仕様の説明書やパッケージを作り起こすこともある。
『戦闘妖精雪風』といったキャラクターモデルの枠に入る製品もある他、他メーカーからのOEM品などに『ガールズ&パンツァー』などの萌えミリ作品仕様のパッケージやデカールをセットしたキットも色々とリリースしている。
また、MONOという関連メーカーも存在し、こちらではカーモデルの他にカプセルトイやツールなども取り扱っている。
・童友社
スケールモデルが中心のメーカー。紙製玩具のメーカーとして1935年に創業し、1951年の法人化を経て1962年にプラモデルの製作を開始した。
車や飛行機なども展開しているが、それ以上に日本の城や甲冑などのプラモデルが有名。『鎧伝サムライトルーパー』などのキャラクターモデルも手がけている他、RCの分野でも活動している。
一部商品は、塗装が苦手な(または面倒な)人でも作りやすい彩色済みとなっている。
自社開発のキットの他に、相原模型や山田模型、大滝製作所や緑商会などの倒産したメーカーや、マルサン商店や日東科学教材、タカラやトミーといったプラモデルから撤退したメーカーより引き継いだ金型を用いた製品も多い。
また、中国のホビーボスや韓国のアカデミー科学といった海外メーカーの製品に日本語説明書・パッケージをつけて自社製品として売り出したり、中国メーカーの美少女プラモデルの輸入代理店を務めていたりもする。
・マイクロエース
完成品のNゲージ鉄道模型で有名なメーカーだが、親会社である有井製作所(アリイ)から2004年に移管されたプラモデル事業も展開している。
アリイは元々、1963年の設立以来他社のプラモデルの金型を製作する下請けメーカーとして活動していたが、1967年にプラモデルの自社生産・開発に乗り出した。
LSや大滝製作所、河合商会や永大といった倒産したメーカーから引き継いだ金型を用いた往年のスケールモデルが主力商品だが、かつてはそれに加えて艦船や車などのスケールモデルや『超時空要塞マクロス』といったキャラクターモデルなど、自社開発のキットも色々と送り出していた。
ガンダムやダグラムのコレジャナイを目指した『太陽系戦隊ガルダン』『ザ★アニメージ』や、「ロリコンを採り入れたボディ」で有名な『超時空騎団サザンクロス*5』、タモさんそっくりのキャラクターが箱を飾った「鹿のフン」など、過去の製品には色物として有名な代物も少なくない。
なお、2023年現在のアリイは不動産賃貸業者となっているが、マイクロエース製品として新たに出荷されているプラモデルの中には、アリイのロゴが箱や説明書に描かれたままのものが混じっていたりする。
・クラウンモデル
マルサンの元社員によって1966年に設立されたメーカー。ただし、1964年には既にプラモデルを送り出していたとの資料も残っている。
プラモデルメーカーとして精力的に活動していたのは1990年代まで。『鉄人28号』や『機甲界ガリアン』などのキャラクターモデルも手がけてはいたが、メインは陸海空のスケールモデルである。
自動車や飛行機などとともに実物大の銃器を得意としており、その後はモデルガンメーカーとして成長。2022年現在はエアソフトガンを主力商品としている。
一方で、プラモデルの方面では長らく活動を停滞させており、過去に生み出した数あるキットの中から、なぜか人体構造モデルと小便小僧*6だけを商品リストに留めさせている、という状態が続いていた。2024年になってプラモデルシリーズを復活させ、過去の作風を引き継いだオリジナルSFキットの開発を進めている。
また、かつての主力商品のひとつだった1/144スケールの飛行機の金型はその多くがアメリカのミニクラフトの手に渡っており、メーカーこそ変わったがこちらもいまだに再販されている。
・モデラーズ
カーモデルを得意とするメーカー。元は「ミスタークラフト」という個人模型店*7が立ち上げたオリジナルブランドで、1980年代にレジンキットのリリースを始め、1990年に初のプラモデルを送り出した。
プラモデルとしては、「車好きのための車の模型」というこだわりの強いコンセプトに基づき、1/20や1/24スケールでF1を中心とするレーシングカーをキット化していた。
また、レジンをはじめとするガレージキット枠の開発も継続しており、車本体に加えて各種ディテールアップパーツや人物のフィギュア、さらにはオリジナルのデカールや塗料なども手がけている。
2008年にミスタークラフトが倒産した後は、模型輸入販売業者のインターアライド社にブランドが継承され、2009年より活動を再開。その後はレジンキットやプラモデル用ツールなどを送り出しており、プラモデルそのものの開発からは遠ざかっていたが、2023年になって1/32スケールのスナップキットの開発を発表し、カープラモの世界にカムバックを果たした。
また、ミスタークラフト時代に開発したプラモデルも、フジミに金型が引き継がれ再販されている。
・モデルカステン
「モデルグラフィックス」などの模型雑誌の編集を担うアートボックス社が、1990年頃から抱えている模型ブランド。
各種スケールの人物フィギュアや、他社の1/35スケール戦車キットに組み込んで使う連結可動履帯など、他のキットと組み合わせて楽しめるアフターパーツ的なプラモデルを主に送り出している。
『マシーネンクリーガー』を中心にキャラクターモデルも手がけており、プラ製のオプションパーツに加えて、他メーカーのプラモデルと自社製レジンパーツをセットにしたバリエーションキットを色々とリリースしていた。また、宮崎駿監督の未連載漫画『鉄炮侍』の主人公をキット化したことも。
プラモデルの他にレジンキットなどのガレージキット枠に入るような製品、塗料やツールなども取り揃えている。
・フォーサイト
2000年頃に誕生した艦船模型専門のメーカー。「シールズモデルズ」というブランドを持ち、プラモデルは主にその名義で発売している。
「日本の歴史を後世に伝える」旨をモットーとしており、日露戦争期の艦艇や歴代の南極観測船など、ウォーターラインシリーズなどの他社製品がカバーしていない分野の1/700スケール・プラモデルを主力商品としている。
また、より大きなスケールで小艦艇や艦載艇もキット化している他、同じような傾向の1/700・1/500スケールのレジンキットや、日本の軍人を1/35スケールで立体化したホワイトメタル製フィギュアなどもラインナップしている。
・SWEET
2001年頃から活動している、1/144スケールの飛行機模型を専門とするメーカー。代表者は元タミヤ社員。
送り出すキットは、三共模型製作所の「ピーナツシリーズ」をはじめとする1960年代の駄玩的ミニプラモをオマージュしたものだが、クオリティ自体は組み立てやすくしっかりした現代のスケールモデルのそれである。
一方で、販売形態では昔の駄菓子屋をイメージしているのか、一般的な箱入りのものの他に袋に入った状態で吊るし売りされているキットもある。
また、かつてモ子ちゃんを手がけた藤田幸久氏によるコミカルなボックスアートも特徴で、「NASAちゃんと黒ネコのラッキー」というマスコットキャラクターもいる。
・アスカモデル
こちらも元タミヤ社員によって立ち上げられたメーカー。
2003年にタスカモデリズモという名前で活動を開始し、2013年にアスカモデルと改名して現在に至る。また、1993年頃から活動していたスケール工房ベゴというメーカーとも繋がりがあり、こちらが前身と見なされることも多い。
ベゴともども、1/35スケールを中心とした軍用車両のキットが主力商品。特に、代表作と言えるであろうM4中戦車のキットは精密さやサスペンションの可動、バリエーション再現の幅広さなどに定評があり、タミヤやプラッツ(サンダース大学付属高校仕様)からもOEM販売されていたりする。
また、ベゴはプラッツと共同開発する形で1/144スケールの飛行機も複数手がけていたが、2023年現在はプラッツ単独での再販こそ続けられているものの、新規開発からは遠ざかっている。
その他、版権許諾に厳しいとされる宮崎駿作品より悪役1号をキット化している他、「えとプラモ」や「あそび組み」と称したマスコット的なプラモデルに加えて、サブブランド「オレンジホイール」などで1/24スケールのカーモデル用のカスタムパーツも手がけている。
ちなみに、近所にあるスタジオユーワというメーカーの製品の製造・販売代理も行っている。こちらは接着剤使用のマスコット的なミニキット「チョトプラモ」が主力商品。
なお、1980年代に活動していたレジンキットメーカーにもアスカモデルという名前のもの*8があるが、無関係である。
・モノクローム
2000年代初頭に誕生したスケールモデル専門のメーカー(ブランド)。
元は個人模型店「モケイラッキー」のオリジナル模型ブランドとして立ち上げられたもので、中国のトランペッターとの共同開発という形を取り、国内他社が手をつけていないニッチな機種選択で1/72や1/144スケールなどの飛行機を発売していた。
2013年のモケイラッキー閉店を経て、2023年現在はモデラーズと同様にインターアライドの自社プラモデルブランドとなっており、2023年時点で現行の大和型戦艦のプラモデルとしては最大の「1/200 大和」といった艦船や、軍用車両などにも手を広げている。また、一部の初期キットは販売元がトランペッターに移っている。
・つね矢
だんじり祭などの祭禮関連商品を手がける小メーカー。
代表者のだんじり*9好きと「だんじりはプラモデルになっていなければならない」という想いが高じて、2006年から1/30スケールでだんじりのプラモデルを送り出している。
実物の緻密な彫刻を再現したディテールや、いくつかのだんじりの仕様を選択式で組み立てられる凝り具合などは、他に例の無い題材のキットであることも相まって独特な迫力を醸し出している。
ご当地プラモデル色が強く、地元である大阪府岸和田市では取り扱っている家電量販店もあるが、全国への販路は通販かふるさと納税しかない。
・スタジオミド
主にゴム動力模型飛行機などを手がける模型メーカー。1994年設立。2007年に廃業したユニオンモデルの製品とブランドを継承した後は、それを主力商品としている。
その傍らで、ミツワモデルから金型を引き継いだゴム動力潜水艦のプラモデルを再販する形で2010年にプラモデル業界に参入。2017年には1/80スケール(16番ゲージ)でA1200形路面電車をディスプレイモデル化し、プラモデルの自社開発にも手をつけた。
2023年現在、プラモデル方面では潜水艦に加えて鉄道模型のストラクチャー系キットを主に手がけている他、模型飛行機用のパーツにもプラキット形式を採用したものが存在している。
・タートル
2010年頃に活動を開始した、個人模型店「模型のタートル」のオリジナルブランド。
ミリタリーモデルではあまり類例のない1/144スケールの兵士フィギュアが主力商品で、ラインナップの数こそ少ないものの、ジオラマ製作などの際に1/144の戦車や飛行機を人間と絡ませたい、というモデラーにとっては貴重な選択肢となっている。
また、自社のマスコットキャラクター「カメさん」のプラモデルや、東北ずん子をあしらったオリジナルデカールなどもリリースしている。
・アミュージングホビー(Amusing Hobby)
2011年頃から活動しているミリタリー専門のメーカー。ユナイトジャパン社が抱える模型ブランド。
1/35スケールの戦車や1/48スケールの航空機など、スケールモデルの王道とも言えるジャンルで活動しているが、ラインナップのほとんどは試作あるいは計画止まりのマイナーメカで占められている。お値段もマイナーさを鑑みれば比較的リーズナブル。
本社の所在地こそ岡山県だが、キットの製造などメーカーとしての実際の活動はほぼほぼ中国で行っているようで、公式サイトの言語選択が中国語と英語のみな点からもその実態が窺える。
・ヤマシタホビー
元アオシマの設計者が起業する形で2012年頃から活動を開始した、新進気鋭の1/700スケール専門艦船模型メーカー。艦船モデラールーム「駿河船渠」という顔も持つ。
最初はプラやエッチングなどの素材を用いた他社キット用のディティールアップパーツを販売していたが、その後2015年リリースの特型駆逐艦を皮切りに、「第二次大戦期の日本駆逐艦」という各社が群雄割拠するレッドオーシャンに高クオリティかつ手に取りやすいキットを引っさげて乗り込んでいる。
製品は緻密ではあるが、組み立てが難儀になるほどの繊細さは避けられている。1/700の駆逐艦のプラモとは思えないランナー数も特徴。
・ラウペンモデル
2013年に初めてプラモデルを送り出したメーカー。タミヤやタスカで活躍した開発者が代表を務める。
1/35スケールのアフターパーツ的なスケールモデルを得意としており、ドイツ語で芋虫を意味する「ラウペン」(英語ではキャタピラー)を社名に冠しているだけあって、他社の戦車模型用の可動式連結履帯を取り揃えている他、ドラム缶などの小物も手がけている。
他メーカーのマルチマテリアルキットに履帯パーツを提供していることも。
・モデリウム
2014年に模型業界での活動を開始したメーカー。それ以前は、ウィングという社名で1994年の設立から企業向けコンサルティングを生業としていたという異色の経歴を持つ。
兵士フィギュアや艦船といった題材の小サイズのレジンキットを主力商品とする中で、2016年にフィギュアに持たせられる1/35スケールの89式5.56mm小銃をプラモ化し、これが最初のプラモデルとなった。
その後、2018年には海上自衛隊の260t型曳船(タグボート)でもって初のフルキットもリリースしており、1/700スケールのタグボートとしては類を見ない精密さでモデラーを喜ばせている。
社名の意味は「模型の元素」を意味する造語とのこと。
・ヘルメッツ
2015年の創業より、レトロなゲームやPC関連のグッズを手がけているメーカー。その一環として、2018年から1/4スケールのレトロPCや1/12スケールのアーケードゲーム筐体のプラモデルを順次リリースしている。
送り出したキットは、単に実物の外見を再現しただけではなくRaspberry Piを内蔵できる機能を備えており、ゲーム筐体のキットの場合は実際にゲーム画面を表示可能。将来的には「ゲームをプレイできるプラモデル」の開発も視野に入れているという。
なお、ラインナップの中にはプラモデル以外に木製キットも存在する。
・HMA GARAGE
エイチエムエー社の模型ブランド。
2000年の設立よりキャラクターグッスなどのメーカーとして活動していたが、2020年に1/144スケールのジェット機のキットを主軸に据えてプラモデル業界へと参入した。
ラインナップは、グリペンのような実在機とイーグル・プラスのような架空機が混在しており、どちらも高密度なスケールモデル的な作風でキット化されているため、小売店の店員さんが「これはキャラクターの棚に並べるべきかスケモの棚に並べるべきか」と混乱するケースもあったとかどうとか。
また、よりキャラクターモデルの主流寄りな製品として、1/8000スケールで『銀河英雄伝説』の宇宙戦艦もリリースしている他、スケールモデルの分野でも3Dプリントで成形されたレジン製アフターパーツなども手がけている。
・ホビージャパン
プラモデル界隈では、1969年の創業当時より刊行されている模型雑誌「ホビージャパン」で有名な会社。
かねてより出版事業やテーブルゲームなどに加えて完成品のフィギュアやミニカー、レジンキットも手がけており、その延長で2021年よりプラモデルの自社開発に参入した。
2023年現在は1/35スケールの陸上自衛隊装備に注力しており、ディテール表現に加えて、形態や姿勢の変更といったスケールモデルでは省略されがちな実物同様の可動機構を盛り込むこだわりも見せている。ただし、そのこだわり故にパーツ数が多いこともあってか価格帯は高め。また、1/12スケールのバイクへの参入も計画されている。
キャラクターモデルの分野でも、オリジナルのディテールアップ用プラパーツ「HJモデラーズパーツ」や手持ち武器「HJモデラーズウェポンズ」を送り出しており、2024年にはジェネシックガオガイガーでもってロボットプラモデルへの本格参入も予定している。
スケールモデル側でも、『バトルオーバー北海道』仕様の74式戦車改など、一応はキャラクターモデルの枠に入る製品を開発していたり。
・バンダイ/BANDAI SPIRITS ホビー事業部
ご存知、楽しい時を作る企業。
1950年に萬代屋の名で設立された根っからの玩具メーカーで、プラモデルへの参入はバンダイへの改名を経た1967年。ガンプラなどプラモデルを開発販売するホビー事業部は、2019年に子会社の「BANDAI SPIRITS(バンダイスピリッツ・通称:青バンダイ)」に移管されている。
接着剤不要のスナップフィットや複数の成形色による色分け再現、可動重視など、現代日本のキャラクターモデルのデファクトスタンダードはバンダイによって形作られ定着した、と言っても過言ではない。
ガンプラや幼児向け玩具などによって蓄積された技術による「誰でも手軽に作ることができ、なおかつ精度の高いパーツ」に定評がある。比較的安価なのも特徴。
ただし、その分玩具的な安全基準に即した面に厳しかったり*10玩具的なギミックを優先したりする面は、ソリッドモデラー系の「模型は固定して飾るタイプ」のモデラーには不評。
逆にココのガンプラ系に慣れていると他社の「ギミック(特に可動)無し固定で飾ること第一」「接着や塗装の敷居が高い」に疑問や不満を感じるようになるが。
また、その手に取りやすさと人気製品の分かりやすさ故に、2020年代に入ってからは転売屋の主要な標的のひとつとなってしまっており、コロナ禍における国内外での巣籠もり需要そのものと併せて、一部を除くガンプラや後述の30MSを中心に品薄が続いている。
BANDAI SPIRITSへの移管に前後してバーザムショックを経験した結果、今までは売れ筋とは見なされていなかったマイナーメカのキット化に積極的になり、「青バンダイはヤバい」とモデラーから嬉しい悲鳴が上がっている。
とはいえ、あまりにアグレッシブな題材のキットは公式通販サイト「プレミアムバンダイ」の専売となることが多く、小売店ではほぼ購入できない。
美少女系に関してはすーぱーふみなやフィギュアライズなどをやりつつも他メーカーに比べ一・二歩遅れていたが、『30 MINUTES MISSIONS』(30MM)の姉妹版『30 MINUTES SISTERS』(30MS)で本格参入を果たした。はるか前にもアーマードレディーとかあったけど。
資金力・技術力ともに随一だが、大企業故にコストに縛られたり担当者が異動して残念な結果になってしまうこともしばしば。それでも定期的にトチ狂ったような商品を唐突に出してきたりもする。主にフミナとかフミナとかフミナ。
特に多色成形に関しては他の追随を許さず、最初は1つのランナーに複数色を成形する「いろプラ」から始まり、複数の素材を一体成形する「システムインジェクション」へ進化。
最終的には1つのパーツを最大4色で成形する「レイヤードインジェクション」と、それを利用して素材の厚みをコントロールし内側の層を透かす技術により、塗装ですら出来ない厚みとなめらかなグラデーションを実現している。
現在はガンプラなどのキャラクターモデルが中心だが、第一次ガンプラブーム以前は「1/48機甲師団シリーズ」などのスケールモデルでも積極的に活動していた。
最近は恐竜などの古生物のプラモデルに力を入れている他、地球深部探査船「ちきゅう」など、たまに思い出したかのようにメカもののスケールモデルを送り出すこともある。
一応は「キャラクタープラモデル」に区分されてはいるが、2018年頃まで展開されていたNゲージサイズのデフォルメ鉄道プラモデル「Bトレインショーティー」もこちらの枠に入るだろう。
・バンダイ キャンディトイ事業部
スーパーやコンビニなどで並んでいる「食玩」の担当部署。
ホビー事業部とは同じバンダイだが事業部が違うとほぼ別メーカーで、技術的つながりもないので別記する。
プラキットに手をつけたのは1981年。長らくお菓子のオマケとしてミニプラを手がけており、戦隊ミニプラではオマケとは思えぬ可動範囲や造形で長年人気を博していたが、大人向け高額シリーズであるスーパーミニプラ(SMP)を引っさげて模型業界に本格参戦した。
過去の戦隊や往年のロボットアニメのメカの立体化に定評がある。
ニッチさが過ぎるものはプレバンでリリースすることも多く、「キングジェイダー」「グランドライナー」「バンプレイオス」といった超大型アイテムも販売している。ミニとは……。
スーパーミニプラの好評な点は現行戦隊のミニプラにもフィードバックされている模様。加えて、若年層に向けた『アニマギア』などのオリジナルIPでの活動にも積極的である。
また、「プラキット」などと銘打たれていない場合でも、装動シリーズやEVA-FRAMEなど、プラパーツの多くをランナーから切り離す形の組み立て式食玩は少なくない。スーパーミニプラの成功で勢いづいたのか、SHODOシリーズでもタガが外れたような商品を山ほど出すようになっている。
会社はバンダイだがやってることはむしろ下記のブキヤかグッスマ辺りに近い*11。青バンダイは頭おかしいというのはユーザーの共通認識であろうが、キャンディトイは今でも赤い。
技術的にはホビー事業部ほど洗練されているとは言い難く、使用素材も頑丈さ最優先のABSで塗装などは難易度が高め。
加えて高額な上にパーツ請求に対応していないので、ミス・破損した場合は自前で修復しない限り1セット丸々買い直すことになり、金銭的ダメージもかなりデカい。
また、よほど売れると確信できなければ再生産も難しいらしく、中古価格も高騰しがち。
なお、「本体」であるところのお菓子は基本的にチューインガムだが製造元はバンダイではなく、2023年現在はノザキ製菓製のものが主となっている。
・バンダイ ベンダー事業部
「ガシャポン」と称してカプセルトイを展開しているバンダイの事業部。1980年からプラキット形式のカプセルトイを送り出しており、2022年現在は「ガシャプラ」の名を冠している。
こちらも、技術的にはホビー事業部やキャンディトイ事業部とは異なる進化を遂げている。キット化する対象はガンダムシリーズなどのキャラクターモデルが主で、オリジナルIPも少なくない。
「カプセルに納めなければならない」という制約故かパーツの少ないミニキットが主力商品で、SDなどのデフォルメキットや可動を省略したキットも多い。他事業部のキットと比べるとディテールがもっさりしがちな傾向もあり、スケールモデルの枠に入る『荒野のコトブキ飛行隊』の隼一型のキットを出した際にはそれが顕著に現れていた。
再販が望み薄だったり、パーツ請求に対応していなかったりする点はキャンディトイ事業部と同様。
また、ランナーからパーツを切り出す方式を取りながらも材質はプラではなくPVC(塩ビ)、というキットも1980年代から手がけており、今日ではABSなどのプラとPVCのパーツを組み合わせた一種のマルチマテリアルキットに進化を遂げている。
SDのMSキット「モビルスーツアンサンブル」やデフォルメ美少女キット『アクアシューターズ!』など、比較的長期に渡って続いている人気シリーズもあり、むしろこちらがベンダー事業部の本領と言えるかもしれない。
なお、モビルスーツアンサンブルなどの一部製品はガシャポンに止まらず、ブラインドボックス形式で店頭で販売されることもある。
なお、バンダイはこれら3つの事業部の製品の他に、玩具第1事業部→BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部と引き継がれた「元祖SDガンダム」のような「組み立て式玩具」に区分されるプラキットも送り出している他、バンプレストやアートプレストといったグループ企業も過去にプラモデルを手がけたことがある。
・トミーテック
「TOMIX」ブランドの完成品鉄道模型や高精度の塗装済みキットで名の通ったタカラトミーの子会社。設立は1996年で、元はトミーグループの一員。プラモデルは2009年より手がけている。
アクションフィギュアの普及に伴い、最近は『リトルアーモリー』シリーズで銃器をはじめとする1/12サイズの小物キットに力を注いでおり、規制により銃パーツが付かなくなったアメトイ(米国玩具)界隈からも注目を集めつつある。
また、トミカリミテッドヴィンテージで培った技術を活かし、1/35スケールのカーモデルにも進出している他、鉄道模型用ストラクチャーのノウハウを1/144スケールのプラモデルに転用した「ジオコレコンバット」も展開している。
過去には食玩ブーム期に食玩で使ったハセガワ監修の金型などを使い、1/144スケールの飛行機を主体とした塗装済みプラモデル「技MIX」にも注力していたが、2016年を最後に展開が停滞*12。イベントで箱なし中身のみの販売が行われた後、公式HPが削除され事実上のシリーズ終了を迎えた。このシリーズのみで販売された商品も少なくなく、現在はプレミアが付いているものも多い。
その他、TOMIXブランドでもプラキット形式のHOゲージ鉄道模型を送り出していたりする。
なお、親会社であるタカラトミー自体も『ZOIDS』などのプラモデル的なオリジナルIPをいくつか擁している他、近年でも『トランスフォーマー』や『サンダーバード ARE GO』などのプラモデルをリリースした例がある。
また、旧タカラおよびトミー時代にはそれぞれスケールモデルを含む本格的なプラモデルを作っており、特にトミーは、まだとみやま商事という名前だった1961年からプラモデルを手がけている古参だったりする(タカラの参入は1977年)。
その他、子会社であるタカラトミーアーツ(旧ユージン)も、カプセルトイとして主にスケールモデルの枠に入るミニキットを送り出すことがある。
・コトブキヤ(壽屋)
我らが立川の変態企業。元はガレージキット屋さん。さらに元は人形店。設立は1953年。愛称は「ブキヤ」。
最初にプラモデルを送り出したのは2003年で、『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATIONS』のキットがプラモデルメーカーとしての第一歩だった。
新たな解釈を付け加えた『ZOIDS』のHMMシリーズや恐ろしく細かい『アーマード・コア』シリーズなど、スタートから今日までロボットのディティールにどこまでもこだわる会社。
尖ったパーツが豊富でバンダイ製キットのように加工がいらないがその分強度が落ちるため、特に組み立て時の破損や作り手の怪我に注意しなくてはいけない。
スナップフィット方式を採用しているが、古いキットを組む場合接着剤は用意しておいた方がいい。
もとよりコアなユーザーから熱烈な支持を受けていたが、ホイホイさんやレイキャシールなどのプラモデル化を経て、オリジナルのロボットプラモ『フレームアームズ』を美少女擬人化した『フレームアームズ・ガール』(FA:G)が近年のプラモデル界隈では異例の大ヒットを記録。
後に別ブランドの美少女プラモデルとして『メガミデバイス』『創彩少女庭園』『アルカナディア』も立ち上げ、美少女プラモメーカーとして盤石の地位を獲得した。さらに、より機械的なロボ娘の需要も『無限邂逅メガロマリア』で拾いつつある。
サイズの近い1/12サイズのアクションフィギュアやドールのファンからも注目を集め、互換性を持たせるためのパーツやコラボ商品も登場している。
ちなみに、コトブキヤには「寿武希子」というマスコットキャラクターも存在するが、こちらも『創彩少女庭園』からキット化されていたりする。
また、完成品の美少女フィギュアも展開している。
もちろんロボ物にも一層力を入れており、『フレームアームズ』以上に組み替えに特化した『ヘキサギア』、若年層の取り込みを図った『エヴォロイド』、巨大ロボに加えて人間が纏うなど身大の強化外骨格にもフォーカスした『ティタノマキア』(グッスマなどと共同展開)、シンプルさを重視しフレーム構造を廃した『フォルムアームズ』、元はガンプラ用のディティールアップパーツとして誕生したが今では単体のオリジナルキャラクターキットもある『モデリングサポートグッズ(M.S.G)』シリーズなど、その歴史の中で様々な商品を送り出している。
なお、『フレームアームズ』より採用されたカスタマイズ用の3mm径ジョイントは、後にバンダイをはじめとする他社にも踏襲された。今日ではキャラクターモデル界隈における一種の共通規格として機能しており、モデラーのカスタマイズの敷居を引き下げている*13。
とにかくオリジナルIPが元気な会社。
一方で、長らくスケールモデルとは距離を置いた状態が続いており、2023年になって送り出した本社ビルのプラモデルが初のスケールモデルとなった。なぜか3mmジョイントによるカスタマイズが可能になっているけど。
・ウェーブ(WAVE)
これまたニッチなキットを出すメーカー。
こちらも元はガレージキット屋さんで、「ラーク吉祥寺」という模型店を前身として1987年に創業。ガレージキットへのインジェクションパーツ導入を経て、1990年代には『ファイブスター物語』のキットなどでプラモデル業界に参入していた。
『攻殻機動隊』に登場した多脚戦車「タチコマ」や、恐らく結構なオタクでない限り存在自体知らない『マシーネンクリーガー』シリーズなどが有名か。
マシーネンクリーガーシリーズはハセガワからも出ているが、あちらは比較的サイズが小さい1/35スケールが混在しているのに対し、こちらはより大きめの1/20スケール専門。なお、1/20は最初にマシーネンのプラモデルを出した日東から引き継いだスケールである。
コトブキヤのM.S.G同様、ガンプラやスクラッチの際のディティールアップ用に開発されたオプションパーツシリーズ「オプションシステム」にも定評がある。
カメラアイやバーニア、プロペラントタンクなどからオリジナル美少女プラモデルの素体まで取り揃えており、扱いやすく大抵の模型店で手に入るためお手軽。
模型誌やSNSなどの作例でジオンMSのモノアイに「Hアイズを使用」と書いてあれば、ウェーブのそれを使ったということである。
また、中国を中心とした海外の新興メーカーのキャラクターモデルも積極的にOEM販売している。
プラ材やパテなどの各種マテリアルについてもタミヤやクレオスと並んで数多くリリースしており、改造の際にはお世話になることが多い。
・マックスファクトリー
こちらも1987年設立の元ガレージキット屋で、代表者は創業以前からプロモデラーとして活躍していた。現在はfigmaをはじめとするフィギュアやアクショントイなどで知られている。
2010年に雑誌付録限定という形でfigmaが乗れる折り畳み自転車のキットを送り出し、プラモデル業界に参入。2014年からは「PLAMAX」というシリーズを展開し、プラモデル事業に本腰を入れている。
やはり元がガレージキット屋だけあってコンバットアーマーやマシンキャリバー、イェーガーなどの立体化に恵まれないニッチメカ系のラインナップが目立つ。
独自の取り組みとして固定ポーズのキットにも注力しており、立像的な、あるいは作中の1シーンを再現した姿のロボットプラモを世に問うている他、日本では珍しいプラモデルを駒とするミニチュアゲーム『ドラゴンギアス』といった変わり種の製品もある。
また、『ギルティプリンセス』や『ゴッズオーダー』、下記グッスマと共同展開する「PLAMATEA」などの一般的な美少女プラモデルも展開している他、固定ポーズキットシリーズ「minimum factory」でも1/20スケールの艦娘からマフィア梶田まで様々な人物をプラモデルにしている。イベント限定品とはいえ、自社の社長をプラモデル化したことのあるメーカーはマックスファクトリーくらいであろう*14。
AV女優をプラモデル化した「Naked Angel」なるシリーズも。もちろん全裸だが18禁ではない。
・グッドスマイルカンパニー
ねんどろいどで知られる、上記マックスファクトリーとは深い繋がりのある企業。「グッスマ」と略されることもある。
2001年の創業当初はタレント事務所やイベントの運営としても活動していたが、その後はねんどろいどなどのフィギュアや食玩を主軸に据える形にシフトしていき、その流れで2018年より「MODEROID」というプラモデルシリーズを展開している。
シンカリオンシリーズが初期の主力商品で、3000円前後という(本家タカラトミー版より安い)比較的リーズナブルな価格と題材がキッズアニメであることから親が間違って買ってしまい子供が泣く惨劇が起きたとか。
実際、一部量販店では「大人向け商品である」旨を警告したりおもちゃ売り場から隔離したりする対策が取られた。一方で、おもちゃ売り場に並べてある店も少なくないが……。
他にも、放送当時にプラモデル化を逃した懐かしのテレビアニメや、プラモ化されるとは誰も思っていなかっただろうマイナーなOVAやゲーム、ライトノベルの登場メカなどのニッチな題材が矢継ぎ早に多数商品化されており、毎年1月の新製品発表会「メカスマインパクト」やたびたび行われる商品化希望アンケートは毎回大きな盛り上がりを見せている。
また、メガミデバイスと同様にマシニーカ素体を採用した美少女プラモデル『chitocerium』は繊細な造形と表情がウリで、美しいと形容するのがピッタリのキットとなっている。
その他にも、1/150スケールのソユーズロケットといったスケールモデルや、美少女アクションフィギュアと武装・支援メカのプラモデルが組み合わさった「ACT MODE」なども手がけている。
・PLUM(プラム)
2009年にプラモデル業界に参入した模型メーカーで、ピーエムオフィスエー社のホビーブランド。元は2000年から活動している工業用のパーツ屋さん。
新興ゆえにまだまだアニメサブカル系への食い込みは浅いが、シューティングゲームの自機などニッチな商品で有名。完成品の美少女フィギュアも手がけている。
「プラアクトシリーズ」という自社製ブランドも持ち、甲冑をイメージしたオリジナルデザインのロボットに加えて、M.S.Gのような各種オプションパーツも展開している。また、これとは別に「プラ・アクセサリー」というシリーズで、美少女プラモデル向けの小物なども取り揃えていたり。
最近は1/80スケール(16番ゲージ)の鉄道のスケールモデルや、「小鉄」や「かんたんプラモデル」といった若年層向けキットなどにも力を入れている。
変わったところでは、コロナ禍到来を受けて開発された、プラモデルとして組み立てるフェイスシールド「キットガード」「イートガード」なんていう商品も。
・ボークス
大元は1972年開店の模型販売店。かねてから原型師チーム「造形村」による『ファイブスター物語』シリーズなどの精密なガレージキットに定評があり、これのインジェクション化を皮切りに1990年代よりプラモデルの自社開発を開始している。
プラモデルも造形は素晴らしいがデファクトスタンダードなど知るかといわんばかりの独自仕様が多く、軸やら色指定に泣かされることもしばしば。
また、流通もボークス店舗や公式通販が主となる。
最近では『ブロッカーズ FIORE』を引っ提げて美少女プラモデルに参入したり、「SWS」と称して緻密な内装再現が売りのスケールモデルを展開したりしてもいる。
また、スペイン製の高性能水性塗料「ファレホ」など、各国の塗料の輸入代理店も務めており、特にファレホは後述するシタデルカラーとともに人気を博しつつある。
・ノスタルジック・ヒーローズ
1991年に活動を開始した、日本のヴィンテージプラモデルを含むレトロ玩具などの専門店。
中古品を取り扱う傍らで、昭和の昔の空気を再現した、あるいは当時の品を復刻したソフビ人形などの玩具も展開しており、その一環として1999年頃より、マルサン商店のゴジラおよびウルトラマン、今井科学や江崎グリコ(食玩キット)の鉄人28号など、1960年代のキャラクターモデルを復刻している。
外観こそ当時のものをそのまま再現しているが、ゴジラではより確実に駆動するよう電動歩行システムが改良されているなど、設計に変更が加えられている場合もある。
なお、このような製品開発は「リプロダクト」とも呼ばれる。アメリカなど海外には得意としているプラモデルメーカーも何社かあるが、日本では他には後述するタスクフォース程度しか例がない。
・秋東精工(SYUTO)
1978年の創業以来、各社の国産プラモデル開発・生産を支えてきた金型メーカー。創業者は日本最初のプラモデルとされるマルサンのノーチラス号の金型製作にも携わったという。
劇場版『SPEC』の小道具として製作した「餃子プラモ」を2012年に一般向けにも売り出したことを契機として、自社オリジナルのプラモデルも展開するようになった。
製品は、シャリの1粒1粒が別パーツになった「寿司プラモ」や、くしゃくしゃに丸めた紙をわざわざ組み立てる「ゴミプラモ」、股間の「アートパーツ」までしっかり再現されたダビデ像などぶっとんだ代物ばかり。
・メガハウス
1997年に現在の社名になって以来、フィギュアやパーティゲームなどを主力とする会社。原型は1962年創業の科研という科学教材メーカーで、他に玩具メーカーのツクダオリジナルの血も流れ込んでいる。
プラモデル界隈には、武装などがプラキットになったデフォルメ美少女(一部男性キャラあり)可動フィギュア『デスクトップアーミー』(DTA)でもって2016年より食い込んでいる。
また、「ヴァリアブルアクションキット」や「ゲームピースコレクション」などのブランドで純粋なキャラクターモデルも手がけており、後者では国産キャラクターモデルとしては珍しく、後述の『ウォーハンマー』のような非可動ミニチュアキットとなっている。
バンダイナムコグループの一員ではあるが、DTAではむしろコトブキヤやトミーテックといったバンダイのライバルメーカーとコラボで絡む機会が多い。
・ベルファイン
こちらもフィギュアなどのキャラクターグッズを手がけるメーカーだが、その傍らで設立翌年の2016年より『タイムボカン』のメカをリリースしてキャラクターモデル界隈に参入している。
その後のラインナップも『ふしぎの海のナディア』や『トップをねらえ!』、『サンダーバード』といった懐かしめの作品が主だったが、『トップガン マーヴェリック』の「ダークスター」を皮切りに、近年の作品のメカにも手を広げつつある。
ミニサイズのキットが4~5個セットになった「メカニックセレクション」という体裁で販売される製品も多く、この形式でもって従来はプラモデル化が望み薄だった脇役メカたちにも光を当てている。
また、『邪神ちゃんドロップキック』作中に登場した誰得プラモデル「パンダ人間」を誰得な仕様のまま実際に商品化するという奇行に走っていたりもする。
・フレイムトイズ
美少女フィギュアメーカーのウイングを母体として2016年に設立されたメーカー。
完成品アクションフィギュアなどと平行して、「風雷模型」と称して『トランスフォーマー』や『G.I.ジョー』といったアメリカで育まれた作品のキャラクターモデルをリリースしている。
デザインアレンジやプロポーションなどにこだわってキットを開発しているが、その影響もあってかTFの場合は変形機構はオミットされている。
版権周りの大人の事情があるため、海外市場のみに自社製のプラモデルを流通させている。そのため「日本のメーカーでありながら、製品を買うには並行輸入に頼るしかない」という奇妙な状態が生じており、キットの入手難易度は地味に高い。
2022年にはアクションフィギュアの国内販売が開始されているが、今後はプラモデルのほうも日本で簡単に買えるようになるのだろうか。
・ロケットモデルズ
2017年設立の新興メーカー。多脚戦車が闊歩する第二次大戦のifを描いたオリジナルシリーズ『フィスト・オブ・ウォー』のキットを展開している。
一応はキャラクターモデルに分類できるものの、キットの構造は完全にスケールモデルのそれ。現代日本のキャラクターモデルとしては珍しく、製作には接着剤と塗料が必須である。
本社こそ静岡県に置かれているものの、社員は日本のみならず中国や欧州にも散らばっており、リモートで結び付いているというグローバルなメーカー。
また、同じ人物が代表者を勤める事実上の関連メーカーとして「ウォルターソンズジャパン」がある。こちらは香港に本社を置くウォルターソンズの日本法人で、初心者にも優しい1/72のスケールモデル「モデルキット999」などを取り扱っている。
・アゾンインターナショナル
1/12スケールのアクションドール『アサルトリリィ』など、様々なドールを商品展開しているメーカー。1998年設立。
2018年より、ドールと組み合わせて遊べるプラモデルも色々とリリースしており、リリィ用の武器「CHARM」をプラモデルにした「アームズコレクション」シリーズに加え、「あぞプラ」と称して1/6スケールのドールに対応した小物なども手がけている。
さらに、2024年の発売を目指して、リリィ自体の美少女プラモデル化企画「リリィバトルクロス」も進行させている。
また、アクションドールと美少女プラモデルに親和性があることもあって、アゾン製のドール服を美プラに着せるモデラーも少なくない。公式でコトブキヤとコラボすることも。
・エムアイシー(M.I.C.)
元は「S.H.Figuarts」といったフィギュアの原型製作などを生業としてきたメーカー。1979年設立。2018年に「プリプラ」というミニキットのシリーズを立ち上げ、プラモデル業界に参入した。
成形色こそ単色だが、デジタル印刷を用いてあらかじめパーツに繊細な彩色を施してあるのが特徴で、1/12スケールで料理の色合いを食品サンプルの如く再現した「フィギュアのごはん」などでその威力を見せつけている。
また、1/35スケールの登山家フィギュアやノンスケールの昆虫などで本格的なスケールモデルにも参入している。
2023年には、メンバーがエムアイシーから独立する形でディーアイジー(DIG)というメーカーを立ち上げており、こちらも「DIGMODEL」というブランドでオリジナルIPの合体ロボなどをキット化している。
・キャビコ
金型メーカーのエムアイモルデ社が2018年に立ち上げた自社開発によるプラモデルのブランドで、プラモデルメーカーとしては新興。
個人ディーラーがガレージキットとして作っていたオリジナルメカをプラモデル化するのが主な活動。ミニサイズの「チョイプラ」という形でキット化されることが多く、同社の主力商品となっている。
投票で選ばれた優勝作品がプラモデル化されるコンテスト「本気のクリエイター発掘大作戦」を定期的に開催しており、プラモ化を希望するオリジナルメカを募っている。
また、オリジナルデザインのメカをデザイナーがついに独力でプラモデルにした! という出自のキットを、製造・流通担当を買って出て手助けしたこともある。
・でじたみん
フィギュアやプラモデルなどを取り扱うインターネット通販専門のホビーショップ。2000年代中頃に活動を開始した。
2018年にプラモデルの自社開発に乗り出しており、『スターシップ・トゥルーパーズ』に登場する一連の「盛田式ライフル」シリーズを1/12スケールでキット化している。
SF系の美少女プラモデルやアクションフィギュアとの親和性も高い題材ではあるが、販路はほぼ自社の通販サイトのみなためか「知る人ぞ知る」という状態にある。
・プレックス
バンダイナムコグループ傘下の玩具メーカー。後にバンダイと合併するポピーの子会社として1981年に設立された。
バンダイ製玩具の企画・デザインを担当する傍らで自社オリジナル製品も手がけており、そのひとつとして2018年より「ゴトプラ」というプラモデルを送り出している。
ゴトプラは「ご当地プラモデル」の略で、日本各地の地名を象ったパーツを組み立てるとその地名の名物の姿になる、というもの。シリーズ名の通りその土地ごとの限定販売となることが主だが、「日本」の2文字を象った「侍」「龍」のように全国で入手できるキットもある。
また、社内に抱える造形室「KLAMP STUDIO」でも、ランナーを模した壁掛け収納などといった、プラモデルに近いところにあるオリジナル商品を手がけていたりする。
・アルファマックス
2006年より美少女フィギュアをメインとして活動している企業だが、メガミ、チトセリウム同様マシニーカをベースとした『ダークアドヴェント』シリーズを2019年より発売している。
最大の特徴は美少女プラモデルにしては珍しく18禁なこと。えっちなパーツやキャストオフなどの要素が盛り込まれている。
もちろん、エロ要素を抜いた全年齢バージョンもあるのでエロが苦手なモデラーや未成年モデラーも安心してほしい。一応、18禁仕様のものは「スカイチューブ」というサブブランドに隔離されている。
また、2022年には『New Continent Machines』シリーズでメカ物のプラモデルにも参入している。
・千値練
2009年の設立以来、完成品アクションフィギュアを主に手がけているメーカー。社名の読みは「センチネル」。
2019年にプラモデルにも参入しており、『メカトロウィーゴ』を扱った初心者でも簡単に組める「シンプラー」と、『天元突破グレンラガン』を扱ったより本格的な「プライオボット」の、2種類のキャラクターモデルブランドを主に展開している。
また、自社製アクションフィギュア用のオプションパーツをプラキットとして販売することもある。
なお、グッスマのMODEROIDの一部(マジンカイザーや真ゲッター1など)は、ここの完成品フィギュアをダウンサイジングしプラキット化したものである。
・LEAPRO
リープフロッグ社の模型ブランド。元フジミの開発者が立ち上げた新興メーカーで、2020年に表立ってプラモデル業界での活動を開始した。
最初のキットはアオシマ製のキットにオリジナルの痛車デカールをセットした「ニパ子コペン」で、その後2022年になって、かつて日東科学教材が手がけていたオリジナルのデフォルメ変形ロボプラモ『オモロイド』をリブートする形でキャラクターモデルに本格参入している。
オリジナルの金型が行方不明なこともあって完全新規金型でのキット化となっているが、派手なリメイクなどは避け、日東時代のギミックなどをブラッシュアップする形で開発されている。成形色もシンプルで、色分けの過半はシールによるもの。
また、スケールモデル向けのエフェクトパーツ「プラエフェクト」のような変わり種の製品も送り出している他、プラモデル以外に3Dプリントを用いたモデルガン用カスタムパーツなども手がけている。
・アワートレジャー
完成品フィギュアやレジンキットを主に手がけてきたホビーメーカー。2017年設立。
レジンキットをプラキット化する形で、2021年に1/20スケールのキリコ・キュービィーをリリースしてプラモデル業界にも参入した。2023年には『ファイブスター物語』のエンゲージSR3でもってロボットプラモデルにも手をつけている。
また、プラモデルに近い製品としては、1/8スケールの組立式半完成品美少女フィギュアシリーズ「アッセンブル・ヒロインズ」も2018年より展開している。素材はPVCおよびABSなので、広義のプラキットと言えないこともない。
・エクスプラス(X-PLUS)
アパレルを本業とする傍らで特撮やアニメを題材にした完成品フィギュアの製作を得意としているメーカーだが、2021年よりプラモデル業界へも参入している。設立は1986年。
主に往年の欧米のコミックや映画を題材にしたキャラクターモデルを展開しているが、アメリカはオーロラの「モンスターシリーズ」をオマージュした大きめの固定ポーズフィギュアが主力商品で、日本で育まれたキャラクターモデルの主流とは気色が異なる。
また、得意分野である日本の怪獣特撮のキャラクターのプラモデル化も推し進めているが、こちらも可動ギミックは採用していない。
・海洋堂
1964年開店の個人模型店からスタートし、ガレージキットメーカーを経て食玩・フィギュアなどのメーカーへと成長してきた会社。
かねてより半完成品の食玩「ワールドタンクミュージアム」を未組み立て未塗装の状態で販売した「ブラモデル」など、プラモデルに近い商品をいくつか出していたが、カプセルトイの「35ガチャーネン」を経て2021年にプラモデル業界に本格参入した。
『マシーネンクリーガー』や『新サクラ大戦』などのキャラクターモデルからのスタートとなったが、その後は仏像や太陽の塔、動物園の情景など、一風変わったスケールモデルにも手をつけている。また、キャラクターモデルの分野でもガレージキットの血を継ぐ非可動モデルにも挑戦している。
なお、射出成形によるものではない広義のプラモデルの枠に入るキットとしては、真空成形を用いたバキュームフォームキットを1981年の時点で送り出していた。こちらはアニメや特撮のメカ、怪獣などがメインで、1980年代当時はゼネラルプロダクツと覇を争っていた。
また、「プラモデル」の商標を持つ日本プラモデル工業協同組合に未加盟なこともあってか、プラモデルに対して「プラモケイ」という独自の呼び方を用いている。
・企画室ねこまた
バンダイでBトレインショーティーを担当していた開発者が独立する形で活動をスタートしたメーカー。販売は「SHOPねこまた」という名義で行っている。
2021年より鉄道車両のデフォルメモデル「ますこっとれいん」を展開している。これは、基本的にはBトレインショーティーのコンセプトを推し進めたもので、塗装や接着が不要な点やNゲージ仕様の動力・走行ユニットを組み込める点も踏襲している。
一応はプラモデルに分類できる製品をメインで送り出しているが、その気風はかなり鉄道模型寄り。「こんてにゃあ」と称して、Nゲージの貨車に積めるコンテナのプラキットも手がけている。
・スクウェア・エニックス
ご存知スクエニ。
2003年にスクウェアとエニックスが合併して誕生した日本を代表するゲームデベロッパー。『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』『NieR』シリーズなどの代表作を抱えている。
ゲームが本業のメーカーなのは周知の事実だが、自社でゲーム開発・販売を行うだけでなくアクションフィギュアやグッズ販売なども手がけており、その流れで2021年に「ストラクチャーアーツ」を立ち上げプラモデル業界に参入した。
『FRONT MISSION』シリーズのヴァンツァーや『ゼノギアス』のギアなど、主に自社作品に登場するメカをキット化しているが、他社作品である『アーマード・コア』にも手を伸ばしている。
また、非ブランド品として『NieR:Automata』のメカ・キャラのプラモデルも販売しているが、そちらの開発はコトブキヤが担当している。そのためかヘキサギアのガバナーやハンドスケールFA:Gなどとサイズが揃えられている。
その性質上、取り扱っているのはキャラクターモデルのみ。
なお、ゲーム会社がプラモデルに手をつけたのはスクエニが最初ではなく、過去にはセガも似たようなことをしていたりする。
・メタルサイエンス
2021年より、カスタマイズ自在かつレトロ風味なオリジナルIPのロボットプラモデル「DIYロボ」を展開しているメーカー。本業は工業機械部品の修理・製造などで、工業機械メーカーのニッサブの子会社として1998年に設立された。
DIYロボは近年のロボットプラモとしては珍しく組み立てに接着剤を必要とするが、裏を返せば3mmジョイントのようなジョイント部の位置や数の制約がないため、逆にカスタムの幅を広げる効果を生み出している。
その自由さは、プラスチック製飲料容器などをボディとして各部パーツを取り付けたオリジナルロボットの製作が奨励されているほど。
・アニュラス
2022年に立ち上げられた新興メーカー。とはいえ、他社のプラモデルなどの製造を手がけていた金型メーカーが関連会社として設立させたもののようで、技術自体は50年強の蓄積がある模様。
初の製品は、2023年に発売された『SSSS.GRIDMAN』のヒロイン2人で、それぞれ「上半身・下半担当」と称されたボディラインはぬかりなく再現されている。その後は美少女プラモデルのみならず、オリジナルデザインの固定ポーズキット『干支ノ武者』などにも手を広げている。
なお、2023年現在はグッスマが販売を代行する形が取られている。
・KADOKAWA
1954年に角川書店として創業されて以来70年近く続く、日本では知らない人のほうが少ないであろう大手出版社。
5つの有力ラノベレーベルを傘下に収めるなど、かねてより漫画やライトノベル、アニメやゲームなどでオタク相手のビジネスに食い込んでおり、それらの作品の完成品フィギュアも送り出していたが、その流れで2023年にプラモデル業界への参入を発表し、界隈をざわつかせた*15。
うなるほどある自社IPを活用したキャラクターモデルがメインのようで、現時点で発表されている製品は美少女プラモデルのみ。2024年発売予定の1番手である『この素晴らしい世界に祝福を!』のめぐみんをはじめラノベのキャラクターが多いが、漫画からも『【推しの子】』の星野アイがラインナップされている。
・フィールドワン
主に産業用の金型製造を請け負っていた町工場を前身とするメーカー。2010年に展開を開始した「プラモブロック」が主力商品。
これは、極小サイズのABS製ブロックをランナーから切り離した上で組み立てる、ブロック玩具とプラモデルの合の子のような造形玩具。体裁としてはナノブロック辺りが比較的近いが、パーツの最小サイズはそれより小さく、組み立てにはラジオペンチなどの使用が推奨されている。
各種ブロックのランナー単品販売に加え、動物や建物、さらにはドット絵状の美少女キャラクターなどを組み立てられるキット(セット品)も展開されている。また、前述のスタジオユーワが販売を代行している製品もある。
・ホビーベース
お世話になっているモデラーも少なくないであろう、ホビーショップチェーン「イエローサブマリン」が抱える模型関連ブランド。1994年頃にガレージキットやドールのメーカーとして活動を開始した。
2006年頃から「関節技」と題して、可動関節用の各種ジョイントやポージングが可能なハンドパーツなど、キャラクターモデル向けのアフターパーツのキットを色々と送り出しており、ロボットや美少女プラモデルの改造、自作フィギュアの製作などに活用されている。
その他、模型製作用の各種ツールや、展示用のケースやスタンド、スポットライト、アクションフィギュア用の素体なども展開しており、これらをひっくるめて「プレミアムパーツコレクション」と称している。関節技以外の多くは組立不要の完成品だが、「鉄骨トラスセット」など一部にはランナーパーツが含まれている。
なお、日本プラモデル工業協同組合には加盟しているが、2023年現在までにアフターパーツの枠を越えるフルキットのプラモデルを開発したことはない。
・スマートドール
MIRAI社が2014年から用いているブランドで、1/3スケールのファッションドールを手がけている。
2019年より、素材を従来のソフトビニールからプラスチック(アサフレックス)に置き換えてプラモデル化した「スマートドール コーテックス」の展開を開始した。組立キットの他に完成品バージョンも販売している。
その成り立ち故に構造はドールのそれなので、一般的なキャラクターモデルとは差異がある。価格帯もドールの標準値からさほど外れておらず、モデラー目線では少々高め。
ドールとしては、ソフビやレジンなどの従来のドール用素材と比べて比較的頑丈だったり衣装からの色移りの対策が容易だったりといったメリットがある反面、ソフビと比べると可動域が劣る他、へこみや変形の修復も(モデラーとしてのスキルがないと)難しい。
また、ひとつひとつがかなり大きいためか、パーツはランナーから切り離し済みの状態でパッケージングされている。
なお、完成品のスマートドールにはFA:Gとのコラボモデルも存在している。
・福崎町観光協会
そういう名前の模型メーカーではなく、本物の地方自治体の観光協会。キットの原型製作などは町役場の職員が行っている。
兵庫県福崎町が民俗学者・柳田國男の故郷であることに因み、町おこしも見込んで2017年から「福崎町妖怪プラモデルシリーズ」をリリースしている。いずれも固定ポーズのフィギュア形式で、接着・塗装が必要である。
福崎町でしか買えないご当地プラモデルというわけでもなく、品揃えがマニアックな模型店であれば日本全国あちこちで入手可能。
ちなみに、現在実際の生産は尼崎市の町工場群が分担しているが、そちらはそちらで「プラモ尼崎城」と称して尼崎城のプラモデル化計画を推し進めている会社が含まれていたりする。
・PINKTANK
企業ではなく個人サークルとしてプラモデルを開発・製造しているメーカー。
初の製品は2010年にイベント限定で発売された『マシーネンクリーガー』のコンバージョンキット。その後は、主にアクションフィギュアや美少女プラモデルと組み合わせて遊べる1/12スケールの小物や情景、変わり種なバイクなども多数リリースしている。
即売会や通販のみならず、各地のイエローサブマリンなど場所によっては小売店の店頭での入手も可能。
・Potziland Records(ポッチランドレコード)
アニヲタWiki的には(当人は不本意と思われるが)SCP-173の画像の元ネタを作った人として有名であろう、アーティストの加藤泉氏が2018年に立ち上げたレーベル。
加藤氏は、プラモデルを構成要素として用いた作品の延長として、海洋堂のグループ企業であるゴモラキックの協力のもと、自身の過去作である石の彫刻を「作品」として1/1スケールでプラモデル化し、2022年に発表している。
箱にはPotziland Recordsのロゴがあしらわれており、既存のプラモデルの枠組みに無理に当て嵌めるならば「Potziland Recordsの製品」と言えるだろう。今後はシリーズ化や芸術作品としての限定販売も予定しているとのこと。
なお、現代アートの分野においては、プラモデルをモチーフにした作品やレジンキットとして量産化された作品などは先例があるものの、「作品としてのプラモデル」が製作されたケースはこれが初めてと思われる。
・グリーンマックス
国内外に複数存在する、プラモデルと同様の形で車体を組み立てる鉄道模型キットを手がけるメーカーの代表格。1975年の設立以来、Nゲージを主力商品としている。
1972年開店の個人模型店「ホビーショップマックス」を前身としており、1974年にマックス名義で最初のキットを送り出した。
台車や動力ユニットなどを組み込む必要がある鉄道車両のキットに加え、建物などの情景部品(ストラクチャー)も多数発売しており、こちらは商品形態的には完全なプラモデルと言える代物となっている。双方ともに塗装済みキットが多いのも特徴。2000年代以降は完成品の鉄道車両も増えてきている。
また、1980年代前半までは「スカイウェーブシリーズ」と称して1/700スケールの艦船模型も展開していた……ピットロードのスカイウェーブシリーズは、実はグリーンマックスからの譲渡(金型を含む)によって始まったものなのである。
・学研ホールディングス
1946年より主に教育向けの出版物や教材などを手がけている会社だが、まだ学習研究社という名前だった1967年から、細々とプラモデルの開発も行っている。
車や鉄道、さらには実物の構造を理解できるような設計のエンジンや骨格模型など、知育を念頭に置いた教材的なキットが主なラインナップだったが、『機甲創世記モスピーダ』でキャラクターモデルに手を出したこともあった。
2022年現在は、「書籍の付録」という体裁で骨格模型のキットを何種類か恒常的に販売している他、『大人の科学』などの科学雑誌にも、ランナーからプラパーツを切り離す形式を採用した科学工作キットを付録につけることがある。
・エレキット
イーケイジャパン社が抱える電子工作ブランド。1973年に活動を開始し、1994年には親会社の嘉穂無線からイーケイジャパンに移管されて今日に至る。
ロボットをはじめとした動く科学工作キットを多数リリースしているが、現行品の多くが「部品の過半数がランナーについたプラパーツ」という実質的なプラモデルであり、その方面ではタミヤの楽しい工作シリーズとシェアを二分している。
ビスの使用頻度が抑え気味であるなど、楽しい工作シリーズなどと比べると一般的なキャラクターモデルに近い感覚で組み立て可能。
太陽電池や燃料電池、さらにはゼンマイや風力や水圧など、多種多様な動力源による駆動を楽しめるキットを取り揃えているのも特色と言える。
・大和科学教材研究所(ダイワ)
1946年の創業以来、小学校向けの教材や科学模型などを作り続けているメーカー。
一般向けの「ダイワ科学工作シリーズ」は1970年代から販売されているロングセラー。販路こそタミヤやエレキットより狭いが取り扱う模型店もあり、発電機や風向/風速計、ロープウェイなどプラキット要素が強いものも含まれている。
それ以上に比重が大きいのは小学校用の理科教材で、電気関連の仕組みを学ぶためのモーターカーやロボットの中にはランナーについた軟質プラパーツが多用されたキットが多い。この分野でのシェアは業界トップクラスで、アーテックやはくぶんなどの競合他社としのぎを削っている。
エナメル線をコイルに巻き付けモーターを作るところから始めるなど、タミヤやエレキットなどと比べて基礎的な仕組みを学ぶことができるのが特徴。
また、学校教材枠のキットは一般向けの小売りを行っておらず、多くの人間が義務教育内で触れているにも関わらず知名度は低い。
なお、1970年代頃に活動していた「ダイワ」というプラモデルメーカーも存在するが、こちらとは無関係である。
・京商
1963年に創業し、車や航空機などのラジコンを広く手がけている老舗模型メーカー。
2023年現在に至るまで、明確に「プラモデル」とされる製品をリリースしたことは一度もないが、それにも関わらず日本プラモデル工業協同組合には加盟している。
一応、1992年展開開始の1/8スケールのRCバイクシリーズ「ハングオンレーサー」などでプラキット形式を採用したり、2000年代半ばにバンダイがミニ四駆に対抗して打ち出した「WGPバクシード」に、RCカーシリーズ「ミニッツ」のボディを載せられるコンバージョンシャシーのプラキットでもって参戦したりはしている。
それ以外にも、部分的にプラキット形式を採用したRCモデルも何種類か存在する他、ミニッツシリーズではABS製のボディキット「ホワイトボディ」を展開していたりと、プラモデルに近い製品は色々と出している。
・カバヤ食品
岡山県に本社を置いて1946年より活動する有名な菓子メーカーであり、バンダイと並ぶ食玩プラキットの雄。1978年展開開始の「ビッグワンガム」で「お菓子のおまけのプラモデル」という形式を切り開いた*16。
ビッグワンガムこそスケールモデル寄りな商品だったが、その後はダグラムガムやボトムズガム、トランスフォーマーガム、勇者シリーズガムなどのキャラクターモデルに手を広げた。
版権もののキャラクターモデルの他に、自社独自のオリジナルIPの食玩プラキットも展開している。『バイオパズラー』や『デュエルナイツ』、そして20年以上続く大ヒット作『ほねほねザウルス』シリーズが主な代表作である。
2022年現在は『ほねほねザウルス』の展開を継続している他、シルバニアファミリーやプラレールなどの食玩でも地味にプラキット形式を採用している。
・エフトイズ・コンフェクト(F-toys)
食玩プラキットを手がける諸社のうち、特にスケールモデルを得意としているメーカー。
海洋堂と組んで「チョコエッグ」を成功させるも不祥事や方向性の違いで提携解消したフルタ製菓の元重役が、同社のお家騒動を機に独立する形で2001年に設立された。
1/144スケールの飛行機キット「ウイングキットコレクション」や1/2000スケールの艦船キット「世界の艦船キット」などのミニキットが主力商品だが、1/72スケールで引込脚や動翼など各部が可動する飛行機キット「フルアクションシリーズ」など、他社のプラモデルに引けを取らない本格的なキットもリリースしている。
また、食玩のみならず「カプセルワークショップ」と称してカプセルトイとして展開されているキットもある。
塗装済みキットがほとんどで中には半完成品もあるが、接着剤の使用が推奨される*17ばかりか組み立てに繊細な作業が必要になるなど、食玩にしては比較的高いスキルを要求されるキットもある。
『シンカリオン』などのキャラクターモデルも手がけており、廉価ながら完全変形を実現するなどクオリティは高い。
なお、プラッツが開発に協力していたり、元はエフトイズの食玩だったキットがプラッツから通常のプラモデルとして販売されたりと、プラッツとの結びつきが強い。
・ポニー
セリアをはじめとする100円ショップを主な卸先にしている玩具メーカー。1975年創業。
以前から中国製の駄玩的チーププラモのOEM販売などを行っていたが、2022年になって生産を中国メーカーに委託する形で自社デザインのチーププラモの展開に乗り出した。
シリーズ内での合体や組み替えが可能なプレイバリューの高い低年齢層向けのスナップキットを主力商品としており、タッチゲートを採用するなど100円+税の品としてはクオリティは十分に高い。
また、アクションフィギュアやドールなどとの組み合わせを意識してか、1/12スケール相当のサイズの武器セットや幼児向け滑り台などもリリースしている。
・山田化学
1988年設立のプラスチック製品メーカー。
元は日用雑貨などを製造していたが、アクションフィギュアや美少女プラモデルと組み合わせられる1/12スケールの小物や銃器のミニチュアの展開を2021年に開始*18。組立済完成品が主ではあるが、2022年になってパーツがランナーについた状態で販売されるプラモデルと言える製品も登場した。
また、ロボットプラモデルと組み合わせられるディスプレイベースやスタンドもリリースしている。こちらは組み立て工程はあるがランナーレス。
セリアやキャンドゥなどの100均が主な販路だが、個人模型店で取り扱われるケースも見られるようになりつつある。税抜き100円の圧倒的コストパフォーマンスでもって競合するプラモデルメーカーなどに挑戦している。
・イケギ玩具製作所
1967年創業の玩具メーカー。子供のお小遣いでも手に取りやすい価格帯・サイズの「ポケット玩具」と称する駄玩具を手がける中で、昭和の昔に駄菓子屋で見られたチーププラモを何種類か、2023年現在も生産・販売している。
スナップフィットを採用していたりはするものの、あくまで「1970年代頃の駄玩プラモ」。21世紀のプラモデルや食玩とはそもそも方向性が異なるキットではあるが、同じ類のプラモデルは日本国内では他に現行品はなく、そのレトロさがひとつの希少価値になっていると言える。
製品は主に一部の駄菓子屋や縁日などで取り扱われており、模型店や家電量販店の模型売場に並んでいることはない。また、公式サイトでは通販も受け付けている。
なお、パッケージや説明書にメーカー名の記載はなく、事前知識がないままキットだけ見た場合、それがイケギ製品だと判別するのは不可能に近い。
・マルサン商店
「日本で初めてプラモデルを作った」とされるメーカー。怪獣などのソフビ人形のメーカーとしても知られる。
1923年から続く石田製作所を前身として、1947年に設立。元はブリキやセルロイド製の玩具を作っていたが、1958年12月になって「1/300 原子力潜水艦ノーチラス号」を皮切りに4種類のプラモデルを発売し、国産プラモデルの時代の幕を開けた(うち1種類は後述する和工樹脂からのOEM品)。
後述する日本プラスチックの存在が周知されてからは「日本初のプラモデルメーカー」という肩書きには疑問が持たれるようになったが、それでも全国津々浦々にプラモデルを供給し、民放で日曜朝に30分枠のPR番組を打ってまでプラモデルの普及に努めたのはまごうことなきマルサンの功績である。
その後もスケールモデルを中心に活動したが、後には『ゴジラ』や『ウルトラマン』といったキャラクターもののプラモデルも手がけた。自社設計とされる製品の中には名キットと評されるものもある反面、国産プラモデル自体が黎明期だったこともあって、ノーチラス号をはじめ海外メーカーのコピー疑惑のあるキットも多い。
1960年代に生じたスロットレーシングカー*19ブームや第一次怪獣ブームに乗って業績を拡大するが、ブーム終焉によって莫大な不良在庫を抱え、1967年にマルザンと改名した後、1968年に一度倒産。
1969年にはマルサンの名で再建されたが、ミニスケールのキットをいくつか送り出した後、1970年代のうちにプラモデルからは撤退し*20、2022年現在はレトロ風味なソフビ人形を主力商品とするメーカーとして活躍している。
また、富士ホビーや後述するブルマァクなど、マルサン倒産直後に元社員によって立ち上げられ、一部キットを引き継いだ「後継」と言えるプラモデルメーカーもあるが、そのほとんどが既にプラモデル業界での活動を停止している。
なお、1970年代までは「プラモデル」の商標をマルサンが所持しており、他メーカーは商品の説明に「プラモデル」という語句を用いることはできなかった。
1960年代中には、キットの生産などを担うその名も「プラモデル株式会社」という関連企業を立ち上げており、マルサン倒産・再建後の1973年には、他メーカー数社と共同で「株式会社プラモデル」としてこちらも再結成している。㈱プラモデル名義でも、駄玩的な製品を送り出すことはあった。
・和工樹脂(WAKO)
1958年に、マルサンと並行する形でプラモデルの開発を進めていたメーカー。
発明家肌の人物によって立ち上げられた企業で、工業向けの射出成形機のメーカーの協力を受けつつ、日産自動車の販促用景品として「1/25 ダットサン1000」を開発*21。
その後、これを一般向けに販売しようとしたところで、「日本初のプラモデル発売」というネームバリューを確保しようとしていたマルサンの提案を受けてOEM供給に応じ、ノーチラス号に数日遅れる形でマルサン製品として世に送り出すこととなった*22。
その後も計7点のカーモデルを1/25スケールで開発しており、マルサンからの発注が滞るようになったことなどを受け、1959年からは自社名義でも一般向け販売を行っている。1960年に活動を終了した。
・日本模型(ニチモ)
1937年よりゴム動力の模型飛行機を製造していた日本模型航空機工業(江田模型飛行機店)を前身として、1959年にマルサンに続く2番手として1/400スケールの「伊号潜水艦」でプラモデル業界に参入した。これと同時期に社名を日本模型に改めている。
艦船や飛行機などのスケールモデルに強く、1960年に発売した1/750スケールの「武蔵」「大和」で同時期に1/800大和をリリースしたプラモ黎明期のタミヤを圧倒し、タミヤの経営を傾かせたという逸話も残る。また、『超時空要塞マクロス』やオリジナルSFメカなどのキャラクターモデルも発売していた。
同じ金型を用いて、バリエーションキットとしてディスプレイモデルと電動のモーターライズモデルの双方を送り出していたプラモデルも多い。また、中にはマルサンなどの他社から引き継いだ製品もあった。
かつては、凝ったディテール表現で手に取ったモデラーを唸らせるもの、パーツ数を抑えながらもキット化対象のアウトラインを上手く写し取ったもの、1960年代の時点で可動部にポリキャップを採用するなど先進的な要素を取り入れたもの、複雑に可動する電動ギミックが組み込まれたもの、組立説明・実物の解説ともに丁寧に書かれた説明書が付属するものと、様々な名作・良作キットを送り出しており、日本における大手メーカーの一角に君臨していた。
しかし、1990~2000年代に入るとプラモデルの新規開発能力を失い、時たま過去のキットの再販を行うのが模型メーカーとしての活動のすべて、という状態になった。
2013年にプラモデル事業を終了。一応企業としては2022年現在も存続しており、バケツやパイプといったプラスチック製品の製造を行っているらしい。金型の現況は不明で、安否を気遣うマニアもいる。
・日本文化教材(N.B.K/NBK)
戦中の1944年からゴム動力模型飛行機などを製造していたメーカー。設立当初の社名は日本航空教材で、N.B.Kへの改名は1945年。
日本プラスチックの「原子力潜水艦ノーチラス号」を再販する形で、1959年にプラモデル業界に参入した。マルサンに続く2番手はニチモではなくN.B.Kとする説もある。
自社開発品としては車や艦艇、飛行機から動物までの各種スケールモデルに加え、オリジナルデザインのSF戦車も手掛けていた。1959年発売説のある「1/580 戦艦大和」は大和型戦艦のプラモデルとして、1961年発売の「宇宙探検車 チャレンジャー」はメーカーオリジナルIPのキャラクターモデルとして、それぞれ日本初とも言われる。
送り出したキットは、1960年代らしくモーターなどの動力を内蔵したものが多い。
1973年に社名をブンカと改め、以後はプラモデルの製造から撤退し模型卸売業にシフトしているが、その後もプラキット形式のものを含むNゲージ鉄道模型を企画したり、取り扱う複数社のプラモデルをブンカ名義でセット販売することはあった。また、過去にクラウンモデルなどの他メーカーから再販されたキットもある。
2023年現在も健在で、他メーカーとタッグを組んでブンカ流通限定品を用意したり、自社ブランドで模型用マテリアルを発売したりすることはある模様。
・三共模型製作所
1950~60年代の国産プラモデル黎明期に大手だったメーカーのひとつ。後述するYMC模型製作所の従業員が独立する形で1959年に創業された。
全60種を数えた1/150統一スケールの廉価な飛行機キット「ピーナツシリーズ」では、日本のプラモデルで初めて「シリーズもの」という形式を採用している。ピーナツシリーズをはじめ模型少年を主要な購買層に据えた手に取りやすいプラモデルを得意としていたが、後には内部再現にもこだわった(当時基準では)精密な飛行機や車のキットや、スケールモデルとしての精密さを備えた1/20~1/35の建機・農機のキットにも手をつけている。
1967年に共同化成と合併して三共ポリマーに名を変えたが、1969年頃に消滅。その後、製品の金型は尾高産業などの他メーカーに引き継がれている。
・三和模型
三共と同じく、国産プラモデル黎明期の黄金時代に活躍した当時の大手メーカー。ゴム動力飛行機を手がけていた英工社を前身として、新たに立ち上げられる形で1959年に設立された。
こちらも模型少年向けの小スケールの低価格帯キットを得意とした他、最初期にリリースした「M-4戦車バッファロー」は日本で初めて駆動用のモーターを内蔵したプラモデルであり、その後しばらくトレンドとなったモーターライズキットの先駆けとなった。
ちなみに、三和製の戦車プラモはさも実在しますという顔で架空の謎戦車が混じっていたり、実在戦車であっても架空の名前がつけられていたりすることが少なくない*23。
1964年に倒産。その後、経営者はそのままで東京プラモやサンキットといった後継メーカーが立ち上げられ、1960年代末頃まで製品の販売は継続されていた。
サンキット時代には「バイブレーターの組立キット」なる、現代の美少女プラモデルなどとは別の方向で直球センシティブなプラモデルを送り出しヒットさせた……という話も伝わる。
なお、社名の読みは「さんわもけい」。後述のミツワモデルとは無関係である。
・YMC模型製作所
木製ソリッドモデルメーカーの山田模型社から分離独立する形で、1957年に立ち上げられたメーカー。当初はYMC商会の名前で山田模型社から引き継いだ飛行機や艦船のソリッドモデルを手がけていたが、1959年に社名を変更するとともにプラモデルの開発に乗り出した。
ソリッドモデルの延長線上と言える飛行機のキットを主な商品としており、1/100スケールの「複葉機シリーズ」では、未だこのシリーズでしかプラモデル化されていないようなマイナーな戦間期の日本軍機を多数ラインナップしていた。また、船や車、拳銃などのキットもリリースしている。
1962年を最後に新製品の発売が途絶えており、近い時期に消滅した模様。
なお、山田模型社も1958〜59年頃にプラモデル業界への参入を試みたようだが、詳細は不明。こちらもその後消滅しており、後述する山田模型とは無関係である。
・相原模型製作所(アイハラ)
戦前からゴム動力模型飛行機を作っていたメーカーだったが、1960年になってプラモデル業界に参入した。1960年代中頃まではZA模型研究会という社名を用いており、ロゴマークには「Z」と「A」の国際信号旗をあしらっている。
当初は陸海空の一般的なスケールモデルをリリースしていたが、1964年に展開を開始した1/4スケールの「名将兜シリーズ」を皮切りに、刀剣や甲冑、城郭といった近代より前の事物を精力的にキット化していくようになった。
またプラモデルでこそないが、金属製キットの「1/15 61式中戦車」はたびたび東宝特撮映画の撮影に用いられたことでも知られる。
1970年代後半に倒産。その後、日本史上の存在を積極的にプラモデル化していく姿勢は金型とともに童友社に受け継がれている。
・一光模型(イッコー)
1960~70年代にプラモデルメーカーとして活躍した企業のひとつ。元は1950年代から寺島模型飛行機製作所という名前でゴム動力模型飛行機や艦船ソリッドモデルを手がけており、寺島模型への改名・法人化を経た1960年に初のプラモデルを発売。さらに1962年に一光模型へと再度改名している。
製品は、陸海空のスケールモデルとオリジナルIPのキャラクターモデルの2つのラインが主で、スケールモデルは1/24や1/32などのスケールで展開された、モーターやゼンマイなどの動力付のカーモデルが多かった。また、1/24・1/32スケールのドラッグレーサーや1/450・1/550スケールの貨物船、1/3スケールのライフルのような国内では類例の少ないキットも手がけている。
オリジナルIPでは潜水艦や装甲車などのメカものに加えて、これまたオリジナルデザインの「宇宙人シリーズ」も、既存の都市伝説や特撮などの宇宙人とは方向性が異なる独創的なデザイン故か知名度が高い。
1980年頃に消滅。製品の金型の一部はアリイに引き継がれ再販されているが、旧エルエスやオオタキのキットのように2023年現在まで継続的に生産されているものはない。また、寺島通商という後継あるいは関連メーカーに継承された製品もあるが、こちらの活動が確認されているのは1980年代まで。
・今井科学(イマイ)
1949年にフジミ模型と枝分かれする形で創業されたメーカー。元は艦船ソリッドモデルを手がけていたが、1960年にプラモデルに参入した。
参入直後に、プラモデルとしては日本初のキャラクターモデルである「鉄人28号」を発売し、以後はキャラクターモデルのメーカーとして名を馳せることになった。ただし、スケールモデルも陸海空をカバーしている。
また、1967年には「リボンの騎士」と「魔法使いサリー」のプラモデルを相次いで送り出しており、広義の美少女プラモデルを最初に手がけたメーカーでもある。
特に『サンダーバード』のプラモデルは大ヒットを記録したが、ブーム終了や後番組『キャプテン・スカーレット』の不振*24によって大量の不良在庫を抱え込み、増産のための設備投資を回収できず1969年に一度倒産している。
この際に金型の多くが人員や工場もろともバンダイに引き継がれており、キャラクターモデルを大得意とする現在のバンダイの姿の礎となった。また、昨今のガンプラブームでバンダイが需要に完全に答えられるだけの増産体制を整えないのは、イマイの倒産劇を反面教師としているためとする評もある。
1971年に再建された後は、木材やスーパーフォーミングなどプラスチック以外の素材によるキットに挑戦するとともに、『超時空要塞マクロス』をはじめとする版権ものや『ロボダッチ』のようなオリジナルIPのキャラクターものなどをリリースしていたが、その後経営が悪化し2002年に再び消滅。再建後に用いた金型はアオシマに引き継がれている。
・大滝製作所(オオタキ)
1910年発足の大滝竜太郎製作所をルーツとして戦前から活動していた模型メーカーで、かつては飛行機やモーターボートなどの模型を製造していたが、1960年になってプラモデル業界に参入した。
かねてからの守備範囲だったモーターボートからプラモデルに手をつけたが、その後はスケールモデル全般に手を広げた。1/24スケールの車、1/48および1/144スケールの飛行機、1/50スケールの蒸気機関車などが有名。他に扇風機や自転車など、今となってはプラモデル化されることが珍しいジャンルも色々と手がけている。
1986年に消滅。その後前述した商品の金型の多くがアリイに引き継がれており、「1/48大戦機シリーズ」や「オーナーズ24」はいまだ入手が容易な定番品として親しまれている。
また、TAKAという関連or後継メーカーが1990年代まで活動していたようだが、こちらの詳細は不明。
・にしき屋飛行機店(J.N.M.C)
1923年創業の模型メーカー。
戦前は「空のにしき」の異名で知られる大手メーカーとして活躍しており、ゴム動力模型飛行機や飛行機の木製ソリッドモデルに加え、艦船ソリッドモデルやHOゲージの鉄道模型、模型用モーターといった、当時の模型というジャンル全般を手がけていた。
また、平田晋策や海野十三といった作家の空想科学小説の登場メカをソリッドモデル化していたことから「キャラクターモデルの先駆者」と扱われることもあり、1930年代中頃に発売した『新戦艦高千穂』の主役戦艦「高千穂」は日本初のキャラクターモデルとの説がある。
戦後もソリッドモデルなどを作り続けており、プラモデル参入以前のタミヤがコピー元として手本にしたこともある。1960年になってプラモデルにも参入。ソリッドモデルの商品展開を引き継いだかのような艦船や飛行機のディスプレイモデルを主に手がけていた他、弾丸発射ギミックを備えた拳銃などもリリースしていた。
後発のプラモデルメーカーに押されるかのように1968年に消滅。にしき屋の終焉を、ソリッドモデルからプラモデルへの時代の変化の象徴と捉えるモデラーも存在する。
・緑商会(ミドリ/KSN)
1913年から草野商店という社名でゴム動力飛行機や艦船ソリッドモデルなどの分野で活動していたメーカーで、1960年に緑商会と名を改めてプラモデル業界に参入。ロゴにあしらわれたKSNの文字は旧称の名残である。
陸海空のスケールモデルに加えてキャラクターモデルも手がけている。特に 「ミドリSFシリーズ」などと題した自社オリジナルデザインのSFメカを得意としており、1966年からの数年間だけで30種以上を発売している。
時代相応のレトロフューチャーではあれ優れたデザイン、走行を始めドリルやカッターの回転や搭載機の自動射出など魅力的かつ確実に作動する動力ギミックに加え、一部キットでは「日本宇宙開発局(JSDO)所属」という世界観を共有していたのも特徴と言える。
今でこそメーカーが世界観まで創造したオリジナルIPプラモデルは珍しくないが、その端緒となったのはミドリだったのかもしれない。
また、1963年には社長が発起人となり、日本プラスチックモデル工業協同組合(後の日本プラモデル工業協同組合)の創立を取りまとめてもいる。
1978年に倒産。SFシリーズや1/76スケールの戦車などの一部キットは最終的に童友社の手に渡り幾度か再販されている……が、再現が困難だったのかSFシリーズの復刻版では駆動ギミックはオミットされてしまっている。
・山田模型(ヤマダ)
1960年にプラモデル業界に参入したメーカー。後述する木村滑空機研究所(エルエス)の従業員が独立する形で誕生し、1950年代末から木製模型を手がけていた。
モーターやゼンマイによって走行する、1/24前後のスケールのカーモデルを得意としていた。多段変速機構や有線コントロールなどのギミックが組み込まれたキットも多く、バンパーに衝撃を受けるとパーツがバラバラに飛び散る「ビックリ分解自動車」は初期の名作として知られている。
また、数は少ないものの艦船やオリジナルSFメカ、手投げで飛ばせるポリスチレン製の旅客機といった車以外のキットも送り出していた。
スーパーカーブームに乗り遅れるなど、業績に陰りが見えたことを踏まえて1982年に自主廃業。その後金型は童友社に引き継がれ、一部のキットは2023年現在も再販が続いている。
なお、前述の山田模型社とは無関係である。
・渥美産業(ASK)
艦船模型が主力商品だったメーカー。
元々、1954年頃より木製のソリッドモデルを精力的にリリースしており、そのうちの「1/1000連合艦隊シリーズ」をプラスチック製にリニューアルする形で、1961年にプラモデル業界に参入した。
連合艦隊シリーズはウォーターラインシリーズに先駆けて、シリーズ内での統一スケールと喫水線下を省いた洋上模型(ウォーターライン)という形態を採用していた先進的なキットだった。
主な出荷先であった模型問屋が倒産した煽りを受けて、1965年に連鎖的に倒産。プラモデル化以降30種ほどが展開されていた連合艦隊シリーズの既存品は齋藤模型に引き継がれたものの、その後ウォーターラインシリーズと入れ替わるように消滅している。
後身の大州模型はプラモデル開発から撤退し模型問屋として活動していたが、こちらも経営者の高齢化に伴い2018年に廃業。この際に連合艦隊シリーズの最後のメーカー在庫が放出されており、一部キットは運が良ければ未だ新品を入手できる。
・尾高産業(ODK)
昭和中期のプラモデル黄金時代に活躍したメーカーのひとつ。
元は尾高木工所という社名で1950年代から木製ソリッドモデルなどを製造しており、1961年に尾高産業に改名するとともにプラモデルの開発を開始した。プラモデル第1号となった「火星人ファール」は、「どう見てもメカなのに火星人を名乗る」などの突っ込み所の多さから局所的な知名度を持つ。
スケールモデルでは陸海空の兵器や車に加えて、城郭や兜といった分野でも活動していた。駄菓子屋を主な販路とした「チーププラモ」と言ってよいだろうミニサイズのキットや、三共やミドリといった他社から金型を引き継いだ製品が多いのも特徴と言われることが少なくない。一方で、数こそ少ないが本格的なスケールモデルも手がけている。
前述の「ファール」に代表されるようなオリジナルIPのキャラクターモデルも手がけてはいるが、こちらも駄玩具的なミニキットが多い。
1970年代後半にその活動を終えている。また、東京シャープ模型などの他メーカーに金型が移った製品もあった。
・オリエンタル模型社(OM)
「岸本模型店」という個人模型店を前身として、1961年に活動を開始したメーカー。1968年にオリエンタルモデルと名を変えている。
鉄道のプラモデルが主力商品だった珍しいメーカーで、1960年代に「HO鉄道模型シリーズ」を10種強ほど展開していた他、1/30スケールの庭園鉄道もリリースしていた。これらは専用の線路上を自走することが可能だが、レールから集電する本格的な鉄道模型とは異なり、車体側に電池やゼンマイといった動力源を内蔵する形式を取っていた。
その他兵器のスケールモデルなどに加えて、変わったところでは水圧を用いて実際に飛ばせるロケットのプラモデル(原理的には後のペットボトルロケットと同様)も複数手がけていた。
また、マルサン倒産時に引き継いだ金型を用いた製品もあり、うち版権を取得できなかった『ウルトラQ』の怪獣プラモは名前を変えただけで再販され、「元は本家本元だったパチモン」という謎な状況を生み出している。
1970年代まで活動していたようだが、消滅時期などの詳細は不明。一部の金型はヨーデル模型などに引き継がれている。
・小暮模型製作所(コグレ)
1961年にプラモデルを作り始めたメーカー。大元は建具業を生業としており、模型飛行機に手を付ける形で1931年に模型業界入りしている。
飛行機や船に加えて自動車模型を得意としており、純粋なプラモデルにおいても名作と呼ばれるキットを残した他、スロットレーシングカーの分野でも、後述の東宝模型に続く2番手として参入して以来、精力的に活躍していた。
また、スタイリングと「腕を振りながら膝を曲げて人間のように歩く」というギミックを両立させた「サイボーグ」のような傑作から、どう見てもゴジラな「ベンゲラ」のような珍品まで、オリジナルIPのキャラクターモデルでも後世まで名を残す製品を送り出している。
1965年に社名をコグレへ変えた後、1967年に解散……と思いきや、直後に永大として復活を遂げている。また、解散時に製品の金型はバンダイに引き継がれ、その再販品がバンダイ初のプラモデルとなった。
・静岡教材社(シズキョー)
1947年に学校教材メーカーとして設立された企業で、教材としても需要があった木製模型の製造を経て、1961年にプラモデル業界に参入した。
モーターライズを含む艦船や戦車といったスケールモデルを得意としていた他、HO、TT、OOOの3種のスケールでリリースしていたひかり号*25のキットも知られる。また、数こそ少ないが飛行機やオリジナルSF戦車なども手がけていた。
1966年に一度倒産。1967年には社名をシズキョウに改めて再建されているが、こちらも長続きはせず再び消滅し、一部の金型は齋藤模型に引き継がれている。
・東宝模型(TOHO)
プラスチック成形品メーカーの不二化学を母体とする形で、1961年に設立されたプラモデルメーカー。プラモデルの開発自体は不二化学時代の1959年から着手していた。
1970年代には古賀模型と名を変えており、さらにその後に関連メーカーと思しきニコー科学に引き継がれた製品もある。
航空機や艦船、自動車や鉄道といったスケールモデルの王道ジャンル全般を手掛けており、特に車では一般的なモーターライズキットに加えて、1965年には初の日本製スロットレーシングカーのキットとなる「1/32 ベンツ」を発売し、スロットカーブームの加熱に先鞭をつけた。また、オリジナルSFプラモデルやプラキット形式の競馬ゲームなどもリリースしている。
建物のプラモデルも得意分野としており、城郭や寺社仏閣といった歴史ある対象が主流なジャンルにおいて、霞ガ関ビルや若戸大橋といった当時最新の建物をキット化していく特徴があった。
そのうち、不二化学時代にリリースされた「1/500 東京タワー」は、東宝模型系のメーカーが消滅した後も金型が他社に引き継がれ、東京タワーの展望台の売店でしか買えない土産物という形で、改修を受けつつ2010年代中頃まで長らく販売が続けられていた。おそらく「販売元:日本電波塔株式会社」と銘打たれた唯一のプラモデルであろう。
なお、映画会社の東宝とは全くの無関係である。東宝特撮で破壊されるスポットはいくつかプラモデルにしているけど。
・日東科学教材(ニットー)
元は社名の通り1957年に立ち上げられた学校教材のメーカーで、教材のひとつとして取り扱った流れから1961年にプラモデル業界に参入した。
スケールモデルの分野では自動車や軍用車両、飛行機、変わり種では扇風機などを手がけており、カーモデルでは国内メーカーとしてはいち早く、モーターライズによるギミックよりもエンジン再現などのディテールを重視する方向性に乗り換えている。
ゼンマイによる歩行ギミックを組み込んだガメラなどの怪獣プラモデルや、『プラモ狂四郎』でもネタにされた「油すまし」を始め、『オモロイド』や『S.F.3.D』(後の『マシーネンクリーガー』)などのキャラクターモデルでも活躍している。
また、1970年代のスーパーカーブーム時に発売した『サーキットの狼』とコラボしたカーモデルは、後の艦これやガルパンなどで見られる「キャラクターとタイアップした仕様のスケールモデル」の最初の例となった。
なお、オートモデルやウルトラシリーズのキャラクターモデルなどでは「マスター」という別ブランドが用いられたケースもある。
1985年に一度廃業。この際に多くの金型がフジミや童友社といった他社に売却され、そちらから再販が続けられているキットもある。1990年代に再建された後はマシーネン関連の再販などを細々と行っていたが、2022年現在はプラモデル以外のプラスチック製品の製造をメインの事業としており、企業としては存続しているものの模型メーカーとしての活動はほぼ確認できない。
・日本ホビー工業
1961年にプラモデル業界に参入したメーカー。それ以前は15番ホビー商会という名前で切手やコインなどの通販を行っており、キットおよび完成品のプラスチック製マッチガン*26を製品化後、改名を経て本格的なプラモデルに手をつけた。
戦車のキットを得意としており、1/35前後に加えて「マンモス・シリーズ」などと銘打った1/20スケールのビッグサイズモデルを目玉としていた。実車取材を含む綿密な調査も売りにしており、マンモス・シリーズの61式戦車は陸上自衛隊でも隊員の教育に使われたという。また、東宝をはじめとする各社の特撮作品で撮影に用いられることもあった。
同じ精密志向でもディスプレイモデルに舵を切ったタミヤなどとは違い、リモコン走行に加えて砲塔旋回や弾丸発射、赤外線探照灯の作動など、実車に準じた様々な電動ギミックを組み込んでいたのも特徴で、その過程で他社に先んじて連結可動履帯を取り入れてもいる。
これらのギミックの複雑な構造は組立難易度を引き上げていたようで、説明書とは別に組立時のミスをQ&A方式で丁寧にトラブルシューティングできる別紙が同封されているキットもあった。
また、モーターライズの艦船や車なども手がけており、艦船の分野でも1/350スケールの大和といった巨大モデルを送り出したり、水上航行時の沈没を防止するために水密区画を設けたりと同社らしさを発揮していた。
また、第一次怪獣ブームに便乗して、雉やコウモリのプラモデルを怪獣と言い張った珍品「キジラ」「ウルトラバット」も妙に知名度がある。
1969年頃にプラモデルの製造からは撤退し、以後は不動産業に転業したというが、現存はしていない模様。
・米澤玩具(ヨネザワ)
1932年創業の玩具メーカー。1/40スケールの完成品ミニカー「ダイヤペット」などが有名な大手メーカーだったが、その傍らで1961年頃からプラモデル業界でも活動していた。
1/100および1/80スケールの鉄道プラモデル「ダイヤモンドプラキット」シリーズが知られる他、今で言うクリスタルパズルに近い作風でファンタジックな馬車や帆船などをキット化した「ジェミークラフト」など、兵器や自動車といったプラモデルの主流からは外れた題材をキット化する傾向があった。また、『忍者ハットリくん』といったキャラクターモデルをリリースしたこともある。
1994年には業績悪化を受けてセガ・エンタープライゼスに買収され、セガ・ヨネザワと改名。その後、1998年にはセガトイズへと組織再編され2023年現在まで存続している。
セガトイズへの再編時には、1990年代中頃からセガのTOY事業部が手がけていた『サクラ大戦』や『電脳戦機バーチャロン』などのプラモデルが移管された。その後は狭義のプラモデルからは撤退。『グランドランナー』など一部プラキット形式のバトルホビーを送り出したこともあるが、2023年現在現行品は存在しない。
・エルエス(LS)
1962年設立のメーカー。1946年より飛行機や艦船の動力模型を手がけていた木村滑空機研究所を前身とする。
社長が戦前戦中にかけてグライダーの設計を手がけていた元航空技術者なだけあって、1/72や1/75、1/144といった各種スケールの飛行機が得意分野。また、1/24や1/32スケールなどのカーモデルでも活躍していた。
プラモデルの処女作は木村滑空研究所時代の1961年に発売された1/75スケールの「彗星」だが、これは過去に軍用グライダーを手がける中で目にする機会があった実機の印象の強さ故のチョイスだそうで、この印象を再現すべく国内諸メーカーの中ではいち早く凹モールドを取り入れてもいる。
また、同じく1/75の「零戦」は長らく近似スケールでのベストキットの座に君臨していた他、アメリカのジョーハンに改良コピーされたこともあった。
トイガン事業にも手を伸ばしており、外装オールプラ製のエアガン(プラキットもあり)など、模型メーカーらしい製品も販売していた過去がある。これに合わせて、1/1スケールの手榴弾やコンバットナイフなどもプラモデル化していた。
スケールモデル以外にも、『機甲創世記モスピーダ』などのキャラクターモデルも手がけていたが、こちらは事業的には失敗で経営に打撃を与えている。
さらにバブル崩壊などの影響を受け1992年に倒産。金型の多くはアリイ(マイクロエース)が引き継いで2022年現在も再販を続けており、手軽に手を出せる昭和のプラモデル、隠れたベストセラーになっている。また、銃器周りのキットの再販品は模型店よりもモデルガン専門店で見かける機会が多い。
・中村産業(ナカムラ)
元は1951年から甘納豆を作っていた製菓会社で、食玩をとっかかりにプラモデルに興味を持ち、1964年にプラモデルメーカーへ完全に鞍替えしてしまったという異色の経歴を持つ。
車を中心とする陸海空のスケールモデルを手がける傍らで、オリジナルIPのキャラクターモデルも色々とリリースしていた。
元はただの妖怪のプラモデルだったものの成形色を透明にして「メカドクロ」だの「とおめいばけボーグ」だのと言い張ったり、潜水艦やモーターボートなどのプラモデルの箱絵を宇宙を背景にしたセル画に変えて『宇宙戦艦ヤマト』人気に便乗したりと、変に時流に乗ろうとした結果後世までネタにされるようになってしまったキットも多い。
1970年代後半までは活動していたが、その後廃業している。
・ミツワモデル
元はキング教材社という名前で1960年頃から模型卸売業を営んでいた企業で、1963年に初のプラモデルを送り出した後、1964年にミツワモデルと名を変えてプラモデル業界に本格参入した。
1/20や1/24、1/28スケールの車や1/144スケールの飛行機を得意分野としつつ、各分野のスケールモデルを展開していた。プルバックモーターを仕込んだデフォルメカー「ミッドレーサー」など、デフォルメされたメカのキットも有名。
また、「カセットタンクシリーズ」などの1/48スケールの戦車に代表されるように、スケールモデルにもモーターライズや有線リモコンなどのギミックが組み込まれたものが多い。その流れかいわゆる「パチ四駆」も手がけており、2006年にはバンダイ主導でミニ四駆の後釜を狙った『バクシード』にも参加している。
2010年代初頭までは活動していたようだが、その後廃業。一部の製品はフジミやスタジオミドに金型が引き継がれ再販されている。
・清水模型製作所
元は1940年の設立時からラジコンなどの模型飛行機を手がけていたメーカーで、1965年にプラモデルの製造を開始した。
製品数・期間ともにプラモデル業界での活動は限られているが、車やオリジナルSFメカなどに加えて、ゼンマイで動く恐竜や動物のマスコット的キットも手がけていた。
このシリーズは箱絵と中身のギャップが激しく、特に「おさるのチータン」はかわいらしい箱絵とクリーチャーの域に片足を突っ込んだ実際の造形の落差のインパクトから、マニアの間では謎の知名度がある。『こち亀』作中でネタにされたことも。
1968年頃にプラモデルからは撤退したが、2023年現在も企業としては存続している。
・東京シャープ模型(TSM)
1965年になってプラモデル業界に参入したメーカー。
兵器や車といったスケールモデル、オリジナルIPのSFプラモデルといった分野では、ゼンマイなどを動力にした比較的トイライクなミニキットを得意としていた。スケールの公称は1/72だが実際には1/90前後な「世界有名戦斗機シリーズ」や、半ばデフォルメモデルな「Nゲージ 日本の列車シリーズ」など、昭和の昔だからこそ許されたようなおおらかなキットもある。
一方で本格的なキットも送り出しており、その中には寺社仏閣を扱った「古典建築シリーズ」やクーラーをキット化した「ミニクーラーシリーズ」、スポーツ用品やプレイヤーを象った「スポーツモデルシリーズ」など、ニッチなジャンルの代物も少なくない。
1970年代後半までは活動を続けたが、その後消滅している。
・東京マルイ
モデルガンメーカーとして有名な会社だが、設立翌年の1966年から2005年頃にかけてはプラモデル業界においても活動していた。
スケールモデルの分野では、1/24スケールの自動車をはじめ陸海空をカバーしており、特にシザーズドアなどの特徴的なギミックの可動を近似スケールで唯一再現したカウンタックは、フジミやアオシマなどの後発キットが登場した今日でも、「最高の1/24カウンタック」と評するモデラーが絶えない。
また、本業のイメージが強いモデルガンの分野でも、「造るモデルガン」と称してキャップ火薬を用いるプラキット形式のモデルガンを展開していた。
キャラクターモデルも早くから手がけていたが、版権ものよりもいわゆる「パチモン」と形容される類のオリジナルIPの方が有名なきらいがあり、第一次ガンプラブームに便乗した『モビルフォース ガンガル』は永遠のネタ枠としてプラモデル史にその名を刻まれている。
なお、ガンガルは氷山の一角に過ぎず、『宇宙戦艦ヤマト』や『スター・ウォーズ』、『ウルトラシリーズ』などのパチモンも存在する。何かしらの作品のパチモンだったプラモデルが、箱絵だけ変えて別の作品のパチモンとして再販される……ということも。
完全オリジナルのプラモデルでも、ゼンマイ動力で歩く手首や生首がラインナップされた「スリラーシリーズ」のような妙ちきりんな代物を送り出している。
2022年現在はプラモデルから撤退してはいるが、今なお日本プラモデル工業協同組合にはメンバーとしてその名を留めている。
・宮内製作所(ミヤウチ)
元は日用品雑貨の製造を下請けしていた会社で、1966年にプラモデル製造にも着手。廉価なキットを得意分野としていた。
昭和の黄金時代に活動していたメーカーの中でも変なプラモデルを送り出していたことで知られ、ゴム動力で走る「ゴジラコジラ」をはじめとするオリジナル怪獣や、白骨死体を乗せた漂流船「髑髏船」など、ラインナップの狂犬っぷりは今日のアオシマに勝るとも劣らない。
スケールモデルの分野でも活動していたが、陸海空の兵器や車に混じって実在した闘犬を精密に再現したキットをリリースしていたりと、やはりどこかノリが独特だったりする。
1971年にはベスト化学と改名したが、その後消滅している。
・ヨーデル模型製作所
1966年に活動を開始したメーカー。
自社開発品としては「古典シリーズ」や「風物縁日シリーズ」といった和風の情景模型が知られている他、オートモデルも得意としており、こちらでも1/24スケールのバイクやアメリカンポリスカーなど、他社があまり手がけないジャンルもキット化している。
その他、緑商会や大滝製作所、オリエンタル模型や相原模型、日本ホビー工業などから引き継いだ金型による製品もラインナップに加えていた。
プラモデル以外にオリジナルデカールも手がけており、中でもガンプラやミニ四駆のブームに便乗したものは当時のモデラーに重宝されたという。また、1/72スケールの完成品ミニカー「REAL-X」やヨーヨーなどをリリースしたりもしている。
2008年に倒産。それ以前の時点ですでにプラモデル以外の製品を主軸に据えていた模様。
・ナガノ
元は下請けとして様々な他メーカーのプラモデルの金型を製作していたメーカーで、1967年に初めて自社開発のプラモデルをリリースし、表舞台に姿を現した。
1/20スケールの車や1/8スケールのバイクといったオートモデルを得意としており、チョロQサイズでプルバック走行するデフォルメカーモデル「チビッカー」シリーズや、ミニ四駆向けの非公認改造パーツも取り揃えていた。その他、HOスケールの蒸気機関車のディスプレイモデルなども手がけている。
2010年代前半までは活動していたようだが、その後廃業している。
・永大(エーダイ)
コグレ倒産直後の1967年に、同じ代表者によって新たに立ち上げられた後継メーカー。
コグレと同様に自動車を主力商品としつつ、1/72〜1/76スケールで飛行機や軍用車両もプラモデル化していた。また「グリップ」というブランドを用いるようになり、その後エーダイグリップへ社名を変更している。
プラモデル以外にも、完成品ミニカー「グリップシリーズ」や「エーダイナイン」などの鉄道模型、家庭用ゲーム機「グリップレンド」などにも手を広げていた。プラモデル・完成品玩具ともにキャラクターものも積極的に商品化している。
1980年に再度倒産。その後金型はアリイなどの各社に引き継がれており、時折再販される製品もある。
・ブルマァク
前年に倒産したマルサンの元社員が1969年に設立したメーカー。怪獣もののソフビ人形が有名だがプラモデルも手がけていた、という点はマルサンと共通している。
主力商品はキャラクターモデルで、怪獣ソフビが得意なだけあって『ウルトラシリーズ』などの特撮もののキットが目立つが、『ろぼっ子ビートン』のようなアニメのキャラクターもキット化している。中にはマルサンから引き継いだ金型を用いた製品もあった。
また、1/72スケールの飛行機のようなスケールモデルも送り出している他、アメリカのパイロなどからのOEM品も販売していた。
第一次オイルショックなどの影響を受けて1977年に倒産。その後金型はバンダイなどの他メーカーに引き継がれており、ソフビ人形と同様に再販されたケースもある。
2008年に再建されているが、その後は怪獣ソフビの復刻などを主に行っており、プラモデルとは距離を置いている。
・マニアホビー
模型マニアらが立ち上げる形で、1970年から活動を開始した飛行機プラモデル専門のメーカー。その名の通り、「マニアがマニアが唸るキットを作る」という姿勢を取ったメーカーの第1世代のひとつ。
活動開始当初はそのまんま「マニア」という社名で模型誌上での通販を主な販路としていたが、翌1971年からは一般の小売店へも製品を流通させるようになり、その後マニアホビーに改称している。
1/48と1/72スケールの日本軍機を主な守備範囲としており、特に操縦席をはじめとする機内のディテールや外装のモールドなどは、1990年代のキットにもひけをとらない時代を先駆けた精密さを誇っていた。
1970年代後半に活動を停止。その後、ほとんどの金型はハセガワに引き継がれ再販されており(一部は少改修済み)、特に「1/72 九七式3号艦上攻撃機」は2022年現在も定番品として容易に入手できる。
・マックス模型(MAX)
1972年に誕生したメーカーで、こちらもマニアをメインの顧客層に据えた最初期のメーカーに数えられる。
1960年代後半に元タミヤ社員が立ち上げたテトラ模型を前身とし、アニメーターにしてミリタリーマニアの大塚康生氏を企画部長に迎え、主に売れ筋からは外れていた米軍のソフトスキン(トラックなどの装甲されていない軍用車両)を、細かいパーツ分割や実物の構造の再現に拘りつつ1/35スケールで展開していた。
キット本体のみならず説明書の解説も熱量がすさまじく、実車解説に至っては説明書本体とは別に全4ページの詳細な解説書が付属するという、今日のタミヤやファインモールドに劣らない体制が取られていた。
一方で、マニアックすぎる路線もあってか、「戦車」や「ドイツ軍」といった花形な要素を持つ他社のキットと比べると、売れ行きでは劣ったという。
経営難から京商に吸収される形で1974年に解散に至った後、一部キットは国内ではトミーから再販されるとともに、各国のメーカーにもOEM供給されていた。その後に金型が海外に渡ったキットの一部は、イタリアのイタレリの製品として改修を加えられつつ今なお現役で生産されている。
なお、マックスファクトリーとは特に関係はない。
・河合商会
1973年に設立されたメーカー。
車やミニスケールの廉価キットといった一般的なスケールモデル、さらにはNゲージの鉄道模型なども手がけていたが、それ以上に懐かしい日本の情景を再現した「風物詩シリーズ」や「箱庭シリーズ」が有名。
特に、箱庭シリーズは「グリーンホビー」と称する、ジオラマ内の植物を本物の芝生やクローバーを育てて再現するという特徴で知られている。プラスチック以外の素材が含まれるプラモデルは数あれど、生き物を使う代物はこれくらいではないだろうか。
東日本大震災の影響などを受け2012年に破産。その後、風物詩・箱庭シリーズの金型はマイクロエースに引き継がれ再販されている。
なお、鉄道模型メーカーの「カワイモデル」とは無関係である。
・サニーインターナショナル
1974年から2005年にかけて活動していたメーカー。
自動車や飛行機などのスケールモデルに主軸を置いていたが、その中でも1/144より小さなスケールのエアモデルやプルバック走行ギミックつきのデフォルメカーモデル「ビンバンシリーズ」、マッチ箱サイズの簡易キット「超ミニモデル」など、初心者でも手に取りやすいジャンルを得意としていた。スナップフィットを採用したキットも多い。
韓国のアカデミー科学との結びつきが強く、輸入代理店を務めていた他に、アカデミー製品をOEMするケースや、自社製品として世に出したキットをアカデミーに引き継ぐケースもあった。
その関係で、ニットーからアカデミーへ金型が移った『オモロイド』の国内再販も行っていた他、『科学忍者隊ガッチャマン』などのキャラクターモデルも手がけていた。
ちなみに、『機動戦士Ζガンダム』に端役で登場したXB-70爆撃機をキット化していたがために、別にガンプラを作っているわけでもないのにガンプラのムック本に作例を掲載されたことがある。
・GSIクレオス
2001年までの旧社名はグンゼ産業。1931年より繊維製品をはじめ様々な事業を展開している会社で、プラモデル界隈ではツールやマテリアルのメーカーとして存在感を発揮しているが、2000年代まではプラモデルそのものも展開していた。
1970年代前半には、輸入代理店として提携していたレベルの製品として自社開発のキットを送り出しており、後半に入るとグンゼ名義でのキット開発・販売にも乗り出している。
主力となったのは1/35スケールの軍用車両や1/24・1/32スケールの車などで、特に1980年代から90年代にかけて展開された「グンゼハイテックモデル」は、金属パーツを多用したディテール表現と高難易度・高価格で当時名を馳せた。
一方で「おっとっと」シリーズというデフォルメプラモデルもリリースしていた他、変わったところでは、完成品フィギュア「ピンキーストリート」も手がけていた関係から、ピンキーが乗るデフォルメ戦車プラモも「ロウテックモデル」などと称して送り出したことがある。
2022年現在は「Mr.HOBBY」ブランドでのマテリアル・ツール開発や海外メーカーの輸入代理店としての活動に軸足を置いており、プラモデルの自社開発からは手を引いている。
かつて送り出したキットは、一部がアオシマなどに引き継がれているものの、ほとんどが事実上の絶版状態にある。
・コスモス
明らかにアウトなパクリ玩具を詰め込んだ自動販売機を全国展開していたことで、ある種伝説と化している玩具メーカー。1977年創業。
ビックリマンシールのコピー品がロッテとの訴訟沙汰になったのは有名だが、第一次ブーム時にガンプラに対しても似たようなことを行っており、「宇宙戦士Gシリーズ」などと名乗ってMSの内部メカを再現したチーププラモを勝手に出していたり、''旧キット1/144量産型ザクをフルコピーしていたり''と、確信犯的に真っ黒な製品を色々と誕生させてしまっていた*27。
また、一応は合法な車や飛行機、銃器やオリジナルメカなどのチーププラモもそこそこの数を送り出しており、社内には「模型部」も存在していたらしい。
なお、当り玉と大型景品を交換可能なシステムや、紙箱に入った商品を販売できる自販機などを投入しており、一般的なカプセルトイの枠に止まらないキットを販売する能力があった。
紙箱自販機導入時のコストなどが祟り、1988年に倒産。2022年現在もいくつかの子会社が活動を継続しているが、すでにプラモデルを含む玩具の自社開発は行っておらず、他社製のキットを景品としているケースが見られる程度である。
・ツクダホビー
玩具メーカーのツクダグループの構成企業。1973年設立。TRPGやウォー・シミュレーションゲーム(SLG)などのマニアックなテーブルゲームで有名だが、その傍らで1978年からプラモデルの開発・販売も手がけていた。
レベルなどの海外メーカーからOEMしたキットに加え、自社開発で車や飛行機などのスケールモデル、ジブリ作品などのキャラクターモデルをラインナップしていた。
『機動戦士ガンダム』を題材としたSLGから派生して、プレイ用の駒としても使えるMSのミニキットを発売していたこともあり、バンダイ以外で正規の「ガンプラ」を開発した数少ないメーカーにもなっている*28。
ガレージキットも多く手がけており、バキュームフォームのボディとインジェクションパーツを組み合わせる「半分プラモデル」な飛行機キットや、素材がプラではなくPVCな点を除けばほぼほぼプラモデルな美少女フィギュアのキットもあった。
2003年に倒産。金型の一部はバンダイやアオシマに引き継がれ再販されている。
・野村トーイ
1923年に設立された、昭和の日本を代表する玩具メーカーのひとつ。ブリキ玩具やテーブルゲームなどが製品として有名だが、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』のプラモデルをバンダイと並行して展開する形で、1978年にプラモデルにも参入している。
同時期のバンダイの『ヤマト』のキットよりもプロポーションや可動ギミックが優れていたり、バンダイ版では未発売の艦をキット化していたりといった点が、マニアの間での評価に繋がっている模様。
その後も『宇宙空母ブルーノア』『宇宙戦士バルディオス』のキットを手がけた他、得意分野のテーブルゲームでも一部のプラパーツがランナーについた状態で封入されているものがあった。
1980年代前半のうちにプラモデルからは撤退。1992年にはアメリカの玩具大手ハズブロに買収されてハズブロジャパンとなり、それも1998年には解散している。
・ユニオンモデル
1950年代の創業以来、ゴム動力をはじめとする模型飛行機のメーカーとして有名だったが、それと並行して1979年からプラモデル業界でも活動していた。先行する諸社とは異なり、プラモデルへの完全移行はしていない。
プラモデルの主力は1/20や1/24スケールなどの車や1/15スケールなどのバイクで、自社開発品もあるが緑商会などの他社の金型を引き継いだ製品や、エレールなどの海外メーカーからのOEM品も多かった。
オートモデル以外では1/288スケールのスペースシャトルも有名な他、タカラと分担する形で『装甲騎兵ボトムズ』や『機甲界ガリアン』などのキャラクターモデルも手がけていた。
2007年に業務を終了。その後は同業者のスタジオミドが模型飛行機事業と「ユニオン・モデル」のブランドを引き継ぎ、2008年より活動を続けている。また、童友社に金型が引き継がれ再販されたキットもある。
・クローバー
『機動戦士ガンダム』本放送当時にスポンサーとして玩具を手がけていたことで知られる玩具メーカー。ツクダオリジナルの元従業員が独立する形で1973年に創業された。
「ダイカストガンダム」をはじめとする完成品の合金玩具が(ガンプラとの対比も込みで)有名だが、ガンプラをはじめとするロボットプラモデルのブームへの追随を試みたのか、1981年には『最強ロボ ダイオージャ』のキットでもってプラモデル業界に参入している。
しかし、その後も完成品玩具が主力商品だったこともあってか、以後加熱するガンプラ他のブームによって購買層を本業プラモデルメーカーに奪われたようで、1983年に倒産。
その他、1982年には『ガンダム』よりプラキット形式のビームライフルを発売していたりもするが(完成品もあり)、こちらの実際の開発はモデルガンメーカーのマルシン工業が行っていた。
・トライマスター
1987年に活動を開始した飛行機専門のメーカー。1/48スケールで第二次大戦時のドイツ機をキット化していた。
今となってはスケールモデルに付属することが珍しくなくなったエッチングなどのディテールアップパーツを、日本国内ではいち早くキットの構成に組み込んだメーカーとして知られる。
繊細なディテールをはじめ、発売時点ではずば抜けていたキットの上質さが評価されており、その活動期間の短さにも関わらず、いまだに「トライマスターのファン」を公言するモデラーも少なくない。
一方でパーツ分割の細かさ、エッチングやホワイトメタルといったプラ以外のパーツの多さなどから組み立て難易度も高い。価格帯の高さもあって「上級者向けのハイエンドモデル」というイメージを纏っていた模様。
1991年に消滅。金型は中国のドラゴンモデルズの手に渡り小改修を加えられて幾度か再販されているが、再販時に「トライマスターコレクション」と銘打たれたところからも「トライマスター」のネームバリューをうかがい知れる。
また、消滅直後にライトスタッフという名の後継メーカーが立ち上げられており、レジンパーツも大々的に導入した飛行機のマルチマテリアルキットを送り出していたが、こちらも短期間で活動を停止している。
・ホビースポットユウ
1980年に開業した、マニアの間では有名だった模型店。
1988年、内部まで再現した1/72スケールのX-1超音速実験機のプラモデルを自ら企画しリリース。個人模型店が大手メーカーと遜色ない高品質なプラモデルを製品化したことは、当時のモデラーにとって大事件として受け取られた。1990年代以降に誕生した様々な小メーカーの先駆けと見なされることもある*29。
X-1は後に若干の金型改修を経てタミヤから再販され定番品として親しまれることになるが、そのクオリティは同時期のタミヤ謹製のプラモデルと比較しても遜色ないものだった。また、ホビースポットユウからの再販も細々と2021年頃まで行われていた模様。
その後、同じく1/72スケールのXF5U-1をリリース(こちらはハセガワから再販)。これが最後のプラモデルとなったが、その他に他社製プラモデル用の改造パーツなどのレジンキットも手がけていた。
すでに実店舗は閉店しており、2020年代の時点では古物商兼業の通販専門店として活動を続けている。
・ロッソ(ROSSO)
フジミから独立する形で1991年に立ち上げられた、フェラーリを中心とするカーモデル専門のメーカー。
カーモデルのスタンダードである1/24スケールに加えて、1/8や1/12といったビッグスケールや、完成品ミニカーの独壇場でプラモデルの少ない1/43スケールでも製品を展開していた。
製品のクオリティに加え、商品化が望まれていた車種をキット化したり、塗装・マーキング済みのキットを販売していたりといった点から評価が高い一方で、価格帯の高さや一部パーツの嵌め合いの悪さなど取っ付きにくいところもあった。
また、ダイキャストやエッチングといった金属パーツの使用率が高く、1/43のキットでは成形色・メッキのみである程度色分けがされているなど、「組立式ミニカー」といった雰囲気の強い製品もある。
1992年に起きた自社倉庫の火災やバブル崩壊の影響もあって、わずか数年で活動を停止。メーカーとしての短命さも相まって、当時の愛好家に鮮烈な印象を残したという。
・タスクフォース
プロモデラーが立ち上げる形で1990年代前半から活動していた、自称「世界一小さなプラモデルメーカー」。
主に第一次怪獣ブーム期の円谷メカをキット化しており、放送当時のプラモデル、あるいはガレージキットくらいしか選択肢がなかった中で喜んで迎えられた。
実物を取材するなど撮影用模型(プロップ)の再現に拘っており、キャラクターモデルではあるものの「プロップのスケールモデル」と言ってよい域に達していた。ただし、それ故にディテールもプロップのそれと変わらないため、メカ物のプラモデルとしては控え目。
また、金型が失われ再販が不可能になっていたイマイの『サブマリン707』のプラモデルを、当時品を元に金型を作り直して再び世に送り出してもいる。
2010年代半ばまでは活動を継続していたが、キットの新規開発はプラモデルからレジンキット主体に移行していた。主催者の死去に伴い2017年に活動を終了。その後、一部の金型はウェーブに引き継がれ再販されている。
・トライスターモデル
2001年頃に活動を開始したマニアックなメーカー。香港に本社を置いてはいたが立ち上げ人は日本のプロモデラーで、日中に跨がったメーカーだったと言える。
ドイツ軍を中心とする1/35スケールのミリタリーモデルを専門としており、兵士のフィギュアを手始めに戦車などのAFVも複数手がけている。また、1/35では珍しい軍用機としてFi156観測機もキット化していた。
製品には「プロのモデラーやAFV研究者が設計した」という誕生経緯の長所と短所が顕著に表れがちで、ディテールやサスペンションの可動ギミックなど凝った点が多くモデラーからの評価も高い一方で、実物の構造を再現するためのパーツの細分化が組みやすさを削いでいる他、嵌め合いの悪さや説明書の記載ミスなど難点もあった。
また、マニアからの注目度が高かったためか、IV号戦車D型のキットを発売した際にはディテールの考証ミスから騒動が起きたこともあったとか。
2009年に活動を停止。その後、金型の多くは中国のホビーボスに引き継がれており、箱絵も変わらずに2023年現在も再販が続けられている。
なお、製品の多くがドラゴンモデルズなど他の中国メーカーとのバッティングを起こしており、「トライスター潰しではないか」という噂が囁かれたことも。
・ダイナベクター
プラスチックを用いた組立式模型(広義の「プラモデル」)の中でも、熱したプラスチックシートを真空ポンプで型に吸い付けパーツへと成形する「バキュームフォーム」製キットを送り出していた日本メーカーの代表格*30。
本業はオーディオ機器メーカーで、1978年創業。バキュームフォームキットを初めて送り出したのは2002年で、イギリス機を中心とする1/48スケールの飛行機が主力商品だった。オーナーは日本人だが、活動初期はイギリスを本拠地としていた。
シートからパーツを切り出したり強度不足のパーツを裏打ちで補強したりする必要があるなど、射出成形を用いた一般的なプラモデルとは一癖違う「ガレージキット」と括られることも多い玄人向けの品ではあるが、そのようなバキュームキットというジャンルの中ではハイレベルなパーツ精度・構成とディテールを誇っており、「バキュームキットの最高峰」と形容されたりもする。なお、細かいパーツはホワイトメタル製。
2010年にバキュームキットの製造を終了。またメタルフィギュアも手がけていたが、2023年現在は模型製造全般から撤退している。
・アトリエ彩
元はプロモデラーによって1996年に立ち上げられたガレージキットメーカーで、2005年からプラモデルの分野へも手を広げた。
ギミック&スティールというメーカーと共同で手がけた「BJPM」というシリーズが有名で、5mm径のボールジョイント(BJ)を用いてパーツを接続していくブロックトイのような構造が特徴。オリジナルデザインのメカ物を中心としていたが、地味に他社に先駆けて可動美少女プラモデルの枠に入るものもラインナップしていた。
後に、BJPMの路線を踏襲した「GENEBLOCK」や、関節に同様のBJを採用した版権もののロボットプラモ「MODELOCK」などのシリーズもリリースしていた他、それとは別に1/100スケールでビックバイパーもキット化している……が、後者は難物なプラモデルとしても名を知られている。
2013年に倒産したが、その後も2024年現在に至るまで、BJPMに関わっていたいくつかの個人サークルから規格を踏襲したブロックトイ的プラモデルが展開されている。
・エブロ(EBBRO)
エムエムピー社の模型ブランド。タミヤに勤めていた設計者が独立し、1998年に起業したもの。
当初はダイキャスト製の完成品ミニカーを主力商品としていたが、2012年になってタミヤ時代に取った杵柄であるカープラモの展開を開始した。
プラモデル方面では、F1を中心とする往年のレーシングカーを1/20スケールで展開するのが主な活動で、その他に1/24スケールのフランス車もリリースするなど根っからのオートモデルメーカーだったが、1/48スケールのHondaJetや『ガルパン』エンディング仕様のデフォルメ戦車など、カーモデル以外も手がけてはいる。
また、代表者の古巣であるタミヤとのコラボレーションモデルとして発売されたキットも存在する……が、タミヤ側のベースキットも元々は彼が設計したもの、ということも。
コロナ禍による業績不振などの影響を受け、2024年に倒産した。
・アンジョウハーツ
愛知県安城市の商工会議所に所属する企業群が2010年に結成した協同組合。ペットボトルのキャップをリサイクルして製造されるミニプラモデル「きゃぷらも」を展開していた。
企業や自治体が広報活動の一環として用いるノベルティとしてプラモデルを製造しており、基本的に製品が一般流通に乗ることはなかった珍しいメーカー。内容も、ゆるキャラや顧客企業の商品など他社ではあまり見られないものが多い。
きゃぷらもは組み立て簡単なスナップキットではあるが、原料の性質上、普通のプラモデル用接着剤や塗料は歯が立たない点には注意が必要。
組合を解散する形で2023年に消滅したが、きゃぷらも事業は組合を構成する1社だった高木金型製作に継承されている。
・日本プラスチック
マルサン以前から国産プラモデル開発に取り組んでいた先駆者。日本プラスチックスという社名を用いた時期もあった。
レベルのプラモデルの下請け生産を行っていた技術者らが1956年に立ち上げた会社で、同年に1/50スケールの「零戦」および「F51Dムスタング」発売を予告。その後も数点の製品を発売した後、1959年に消滅した。
零戦とF51Dは現存が確認されておらず発売予告の広告と目撃証言のみが存在の傍証であるが、その後の製品のうち現物が確認されている「原子力潜水艦ノーチラス号」は1957年発売との説が唱えられており*31、マルサンより早くプラモデルを送り出した「真の日本初のプラモデルメーカー」である確率はどのみち高い。
また、関連メーカーであるハマライト化学は、日本プラスチック消滅後もプラスチック製玩具の下請け製造を担う傍らで、タミヤなどのプラモデルメーカー各社に対して開発・製造の手助けや自社製品の提供などを行っていたという。
製品の出回り数は後発の諸社と比べて少なかったようで、現存するキットは稀覯品扱いが基本で、再販が絶望的なこともあっておいそれと手を出せるメーカーではない。
【主な海外のメーカー】
・アカデミー科学(ACADEMY HOBBY MODEL KITS/아카데미과학)
韓国の大手玩具メーカー。1969年に模型店として創業と意外と歴史は長く、現在はプラモデルの他にラジコン、エアガン、子供用玩具などの分野でも事業展開している。
プラモデルはスケールモデルが主。一時期は露骨なコピー製品の存在が議論になったこともあり、未だ良い印象を持たないモデラーもいる。
なお、似たようなことをしていた他の韓国メーカーとは違って「完コピ」や「デッドコピー」と明言できるキットは少なく、スケールやランナーの配置を変えていたりディテールを追加したりしていることが主。
2023年現在は、コピー疑惑のあるキットの販売も続けている一方で、コピーに頼らない製品や決定版とも言えるキットも多く送り出している他、他メーカーの金型を引き継いで販売している製品もある。2021年には『科学忍者隊ガッチャマン』でキャラクターモデルの自社開発にも参入した*32。
韓国車や南大門広場などお国柄を反映させた製品もある他、変わったところでは創業当時の自社店舗をキット化していたりもする。
・ドラゴンモデルズ(DRAGON MODELS/威龍模型)
香港の模型メーカー。
1987年に創業。当初は1/144スケールの飛行機をリリースしていたが、1990年に戦車模型に参入後、タミヤのミリタリーミニチュアシリーズと人気を二分するほどの戦車模型メーカーへと成長した。
タミヤが切り開いた1/35スケールに加えて、掌に収まるサイズの1/72スケールでも積極的にAFVをキット化しているのも特徴。
今日でも、戦車以外のスケールモデルも兵器を中心に手広く手がけている。また、公式通販サイトを主体とした「サイバーホビー」ブランドで発売されるキットも存在する。
緻密に分割されたパーツ(「Gen2」と呼ばれるさらに分割された緻密なシリーズもある)に加え、一部のキットは初めから前提パーツとしてエッチングパーツが同梱されていたりと制作難易度が高めだが、それに見合った出来の良い製品もある。ラインナップも豊富で、第二次大戦から現代に至るまで幅広い国の兵器を網羅している。特に、戦車模型界隈で人気のドイツ軍兵器は非常に充実している。
最近では、組み立てやすさとリアルさを両立する「スマートキット」シリーズも広く流通しているが、かつての組み立て難易度の高さを物語る例としては、艦これ絵師の1人としても活躍中で、静岡ホビーショーに駆逐艦「丹陽」を出展するレベルのモデラーでもあるA士氏は、子供の時にドラゴンのBMP-2E(ソ連の歩兵戦闘車)を組み立てられなかったという逸話がある。
取扱説明書には日本語の表記もあるが、一時期は誤字や誤読が多い怪しい日本語が多々見られ、マニアから「ドラゴソ語」と呼ばれて親しまれていた。
また、模型メーカーとしては1/6サイズのミリタリーアクションフィギュアにも参入しており、戦車模型で培われた技術や緻密さが活かされ、好評を博している。
意外と知られていないが『がんばれ!!ロボコン』のリバイバルブームがあった際に同作品のフィギュアなどを制作しており、キャラもの商品も手がけている。
・トランペッター(TRUMPETER/小号手模型)
マカオの模型メーカーで、ドラゴンモデルズと並ぶ中国の大手。一部のモデラーからはメーカー名とロゴから「ラッパ」と称されることも。正確には華新発展有限公司の模型ブランドで、1995年の立ち上げと同時にプラモデル業界に参入した。
陸海空と揃ったスケールモデルが中心で、ナチス・ドイツの計画戦車や第一次大戦時の艦艇など、ニッチな題材に手をつけることも多い。また、中国メーカー故か現代中国軍の兵器にも強い。
パーツの分割度合いはドラゴンと比べれば控え目なほう。
最近は『バンブルビー』のキットによってキャラクターモデルにも参入している。ちなみに、自社のAFV製品には、箱絵の背景でトランスフォーマーのようなロボットがバトルしているキットがあったりする。
主に中国国内向けの廉価品を扱う「ミニホビーモデルズ」というサブブランドも持つ。こちらでは、初期に開発されたコピー品疑惑のあるキットがいまだに現役だったりすることも。
また、代表が同じな兄弟メーカーとして「ホビーボス」がある。こちらはトランペッターと似たようなノリの商品展開の他、組み立ての簡単さを重視したイージーキットにも注力している。
・モンモデル(MENG MODEL)
2011年設立の中国メーカー。主な活動分野は陸海空のミリタリー系と1/24スケールのカーモデル。
最初はテクニカル(即席で武装した民生車)や日本のマニアックな計画機といったニッチな題材をキット化対象に選んでいたが、その後はメジャーな兵器も多数手がけるようになった。
スケールモデルにおいては、1/35スケールの戦車であれば「ティラノサウルスシリーズ」、1/72スケールの飛行機であれば「ディモルフォドンシリーズ」など、カテゴリーごとに恐竜などの古生物の名を冠したシリーズ名を付けているのも特徴。
また、「モンキッズ」と銘打った若年層向けの兵器のデフォルメモデルにも力を入れており、近年はここで培ったスナップフィットなどの技術を活かして、多色成形の艦船スナップキットを送り出したり、超巨大なエヴァのプラモデルでもってキャラクターモデルへ殴り込んだりもしている。
・タコム(TAKOM)
香港で2013年から活動しているスケールモデルメーカー。
主力商品である1/35スケールの軍用車両では、第二次大戦~現代のメジャーな車両に混じって、たびたびマイナーな試作車両や第一次大戦時の車両、テクニカルなどを送り出している。
さらに、1/72スケールの戦艦の主砲塔だの1/144スケールのエクラノプランだの1/350スケールの都市伝説上の円盤機だの、他社が手をつけなかった発想でもってキット化された製品も多く、その製品化チョイスからアオシマと並ぶ「中国の狂犬」と呼ばれたりもする。
ただし、アオシマの狂犬性の所以のひとつである、べらぼうな発想のオリジナルIPには手を出していない。そちらはスヤタの領分である。
製品は、パーツの嵌め合いの部分では他メーカーに一歩及ばないこともあるものの、ディテールはパキっとシャープ。
・フライホーク(FLYHAWK/鷹翔模型)
2007年創業の中国のメーカー。当初は艦船模型用のエッチングパーツなどを手がけており、2015年になってプラモデルにも手を広げた。
1/700スケールの艦船をはじめとして、1/72の戦車や飛行機といった「ミニスケ」と呼ばれがちなサイズ感のスケールで主に活動しているが、いずれもその小ささに見合わない綿密なディテールが刻み込まれているのが特徴。
特に艦船模型では、プラによるディテール表現としては世界トップクラスと言っていい域に達しているが、極めて破損しやすいパーツやゴマ粒より小さいパーツも多く、組み立てにはある程度のスキルと集中力を必要とする。
キット化する対象は第二次大戦以前のものが主で、日本海軍を専門に取り扱う「カジカ」というサブブランドも持つ。
基本的にはスケールモデルメーカーだが、過去には『戦艦少女R』とのコラボキットとして、軽巡洋艦「重慶(オーロラ)」の限定仕様*33を発売していたこともある。
・HEHEXING(合和兴塑料玩具厂)
2010年代から活動が見られるようになった中国のメーカー。主に「4D MODEL」といったブランド名を前面に出している。
一応はスケールモデルに区分されるであろう製品を手がけているが、キットごとに程度の差こそあれ大味気味なディテール表現、スナップフィットの採用など、「チーププラモ」と形容できなくもないトイライクな作風のものが過半を占める。
ミニスケールのものを中心とした陸海空の兵器が主力だが、同じくミニスケールの車や鉄道、ミリタリーアクションフィギュアと組み合わせて遊べる1/6スケールの銃器といった、独自色の強いジャンルもカバーしている。
AmazonやAliExpressで多数見られる、謎ブランドの「DIY 4Dパズル」の類は大抵がここか類似メーカーの製品。一方で、日本の模型店や家電量販店で扱われることはほぼなく、たまに100均などの店頭に並ぶ程度である。
・橘猫工業(ORANGE CAT INDUSTRY)
2010年代後半になってから隆盛著しくなった中国のキャラクターモデルメーカーの中でも、一際早く活動を始め日本に紹介されたメーカー。2017年創業。「新重研究所」というサブブランドも持つ。
この手の中国メーカーの例に漏れず、日本のデファクトスタンダードを踏襲した複数の成形色を用いたスナップキットが主力商品。活動開始時は日本のメーカーの設計をなぞった箇所や強度不足のパーツがあるなどこなれていない部分も少なくなかったが、2022年現在は日本メーカーと遜色ない出来のキットを送り出している。
日本のデザイナーとタッグを組んだオリジナルIPのほかに版権もののキットもリリースしており、中国国内限定で発売されたテッカマンブレードのプラモデルが後になって日本に逆輸入されたこともある。
メカ物か美少女プラモデルかどちらか片方を専門にしがちな中国メーカーの中で、双方ともに精力的に展開しているのも特徴。また、美少女プラモデルと絡められる1/12スケールの銃器もシリーズ化している。
・スヤタ(SUYATA)
2020年に活動を開始した、ぶっとんでいる香港の新興メーカー。
1/48スケールの戦車や美少女プラモデル『狩人詩篇』といった他社にも類例があるようなジャンルも手がけてはいるが、それ以上に1/24スケールの可動鎧武者だのアーマーを装着したナッツ類だのメカニカルなカブトムシだの、「なぜそんなプラモデルを作ろうと思った」とツッコミたくなるようなオリジナルIPに注力している。
日本海軍を宇宙に飛ばす『蒼穹の連合艦隊』を見て、かつてアオシマがその狂犬性をいかんなく発揮した『レッドホーク連合艦隊』を思い出したモデラーも少なくない。
製品は基本的には色分け済み・スナップフィット採用だが、一部のキットには嵌めにくかったりポロリしやすかったりするパーツがあるので注意が必要。
・AFVクラブ(AFV CLUB/戦鷹模型)
1990年頃から活動している台湾のスケールモデルメーカー。元は個人模型店だった。
その名の通りにAFV(装甲戦闘車両)をはじめとする軍用車両に強く、1/35スケールを中心に幅広く展開している。他社が手をつけていないニッチな分野や、長らく新キットが出ていない兵器などをキット化の対象にする傾向がある。
AFVほど数はないが艦船や航空機なども手がけており、ハセガワのたまごひこーきに影響を受けたと思しきデフォルメ飛行機モデル「Qシリーズ」も抱えている。変わった製品では、海外のスケールモデルメーカーとしては珍しい1/12スケールの学生机なども。
レジン製フィギュアなどを展開する「ホビーファン」というブランドも持つ。また、社長は実用のタクティカルギアなどを製造する会社も率いており、ミリタリーフィギュアのデザインにはその経験も活かしているらしい。
・STiKFAS
ABS製のアクションフィギュアプラキット『スティックファス』を展開していたシンガポールのメーカーで、製品名がそのまま社名になっている。
プラキットとしてのスティックファスは、ピクトグラムのレベルまで簡略化された全高8cmの人型のものが主で、ボールジョイントによる幅広いポージングと装身具や武器などのアクセサリーパーツによるカスタマイズ性が売り。また、人型スティックファスが乗れる乗物など、より大型のキットもある。
2001年の設立直後よりスティックファスのオンライン通販を開始し、翌2002年からはアメリカの玩具大手ハズブロにライセンス供与され、日本を含む各国で手軽に手に取れるようになった。2015年には公式サイトが閉鎖され、2023年現在はほぼ活動を停止している。
・PMモデル(PM MODEL)
トルコの模型メーカー。1978年の設立時はゴム動力模型飛行機を製造しており、1986年にプラモデル業界に参入した。
1/72スケールを中心に飛行機のキットを20種ほどラインナップしているが、そのほとんどがパーツ数・ディテール・精度控えめの簡易キットで質が良いとは言いにくい。
反面、マニアックな機種選択や実売1000円を越えない安さ、気を抜いて組める「緩さ」などから妙に人気があり、飛行機プラモデル界隈の中で唯一無二の立ち位置を占めている。
創業者の死去に伴い2013年に一度活動を停止しており、2020年の活動再開時には輸入代理店が「伝説的メーカーの復活」と評したことも。
なお、一部のキットは生産拠点をトルコに置いていたイギリスの模型メーカー・パイオニア2の製品を引き継いだものだが、PMモデルが開発したキットをパイオニア2がOEMしたと言われることもあり、どちらが実際に開発したのかは判然としない。
・エアフィックス(AIRFIX)
イギリスで1939年に玩具メーカーとして創業。1949年にプラモデルに手をつけて以来、黎明期から現在まで続く老舗模型メーカー。1981年に破産した後も他の企業が抱えるブランドとして活動を続け、2022年現在は鉄道模型メーカーのホーンビィ傘下にある*34。
飛行機を中心とするスケールモデルが主力であるが、『007』シリーズなどの版権作品のメカのプラモデルも作っていたりする。日本のアニメとのタイアップ品もあったり。
稲妻のような「AIRFIX」のロゴと、ホーンビィ体制に入ってから採用された、赤色を基調にしたほぼ全キット共通のパッケージデザイン、通称「赤箱」は、模型店の棚の中でひときわ存在感を放っている。気合いが入った店でないとそもそも見かけないのは海外メーカーの常。
近年の新金型製品は、シャープな造形と緻密さを追求しすぎない組み立てやすさが特徴で、初心者が手を出すことを想定したキットも何種か送り出している、一方で、「ヴィンテージクラシックス」と称して自社の旧金型製品も市場に出していたりと、キットのクオリティの振れ幅が大きい。古いものでは1950年代のキットも現行である。
飛行機のキットで見られるホワイトブルーの成形色と、インドの工場の空気を封じ込めた箱の中の独特な香りも最近の製品の特徴。また、塗装が下手でも塗膜に埋まらない太くくっきりしたモールドには、初心者に対する気配りが見て取れるとも。
・ゲームズワークショップ(Games Workshop)
イギリスに本社があるミニチュア模型会社兼ボードゲーム会社。1975年創業。主力商品である『ウォーハンマーシリーズ』を中心に、28mm(約1/56)スケールのSF、ファンタジーミニチュアの企画、製造、販売を行っている。
海外では有名な模型メーカーとして知られているが、日本では知名度は低い。ようやく最近になってから少しづつではあるが知名度が上がってきている。
スティーブ・ジャクソンとサー・イアン、ジョン・ピークの3名が会社を立ち上げ、創業当初はバックギャモンの販売やTRPG『ダンジョン&ドラゴンズ』(D&D)および関連製品の英国内での販売を行っていた。
その後、1983年に独自のミニチュアゲームであるウォーハンマーシリーズを立ち上げて大ヒット。以後は独自IP一筋で商品展開を行っていったが、2000年代には映画『ロード・オブ・ザ・リング』(指輪物語)のミニチュアゲームも展開している。
以前からメタルフィギュアを手がけており、現在は材質こそレジンやプラが中心になったものの技術は健在。
ミニチュアキットは無可動だが、そのディティールの細かさやポージングの躍動感は非常に素晴らしい。また、近年のキットではスナップフィットが採用されているケースもある。
日本のメーカーがなかなか出さないであろうドラゴンや宇宙人、ドワーフ、オーク、エルフ、果ては宇宙海兵隊のオッサンや悪魔の軍団のモデルなど独自の世界観によるミニチュアキットを販売している。
もう1つの大きな特徴は、ほとんどのキットが卓上ゲームの駒として使用可能なこと。
各シリーズはゲームとしても展開しており、別売のルールブックと対戦相手を用意すれば、ミニチュアを配置しながら遊べるようになっている。もちろんゲームのルールも含めて自社で企画・販売が行われている。
また各種の関連書籍や小説なども展開しており、自社のIPを立体物とストーリー性の両面から提供している。
なお、この会社のキットは日本のキャラクターモデルのような色分けはされていない。代わりに、同社が製造・販売している筆塗りできる高性能水性塗料「シタデルカラー」での着色が推奨されている。
シタデルカラーは純粋に塗料としての評判もよく、ウォーハンマーの愛好者のみならず、ガンプラやスケールモデルのモデラーの中にも愛用する者は少なくないという。
もし製品に興味があるなら、直販店である「ウォーハンマーストア」を訪ねるといいだろう。国内でも都内を中心に10店舗以上が展開されている。
また、プラキットと平行して高級レジンキットの製造・販売も行っている。
1体1万円を超えるようなキャラクターモデルや、重さ数キロ、サイズ数十センチもする巨大な戦車、飛行機のレジンキットなどなど……。
特に巨大ロボット「ウォーロードタイタン」(身長60cm、横幅45cm、重量8kgでお値段20万円以上)は圧巻。
これらの高級キットは、同社の通販サイトである「Forge World」で購入可能な他、2022年に秋葉原にオープンした「ウォーハンマーストア&カフェ東京」の店頭でも取り扱われるようになった。
懐と腕に自信のある趣味人はぜひとも挑戦してほしい。
・フロッグ(FROG)
IMAというイギリスのメーカーが用いていた模型ブランド。ブランド名は「Flies Right Off the Ground」の略。
1931年の創業当初はゴム動力模型飛行機などを製造していたが、1936年に1/72スケールでプラスチック製の組立式飛行機模型「フロッグ・ペンギン・シリーズ」*35の展開を開始。これが世界初のプラモデルとなった。
第二次大戦後もペンギン・シリーズより連なる1/72スケールの飛行機を始め様々なプラモデルの開発・生産を続けた。ペンギン・シリーズでは素材としてアセチルセルロースを用いていたが、その後のキットでは一般的なポリスチレンに改められている。
いわゆる「英国病」による不況の煽りを受け、1976年に倒産した。その後、金型の多くは同じイギリスのノボというメーカーに引き継がれたが、こちらも1979年に消滅。ノボが生産拠点をソ連に置いていたため、フロッグの金型は旧共産圏の様々なメーカーに離散することになった。
ロシアや東欧の聞いたこともないメーカーのプラモデルを買って、古臭いがしっかりした設計のキットが中に入っていた場合、それはフロッグの忘れ形見である可能性が高い*36。また、ドイツレベルやイギリスのエマーなどから再販されたキットもある。
なお、フロッグのブランド自体はHobby Bountiesというシンガポールのメーカーが2022年現在も所持しているが、製品などに旧フロッグとの繋がりはない。
ちなみに、ペンギン・シリーズの箱絵は誕生から80年以上経って日本のアニメのEDでパロディされたことがある。
・マッチボックス(MATCHBOX)
イギリスの玩具メーカー・レズニーが1953年から用いていたブランド。完成品ミニカーが有名だが、1973年からプラモデルも展開していた。
主力は1/72〜1/76スケールを中心とした航空機や軍用車両だが、それ以外にも海外メーカーでは最初に1/700スケールで艦船をキット化していたりもする。また、アメリカのAMTを一時期傘下に収めていた関係上、AMTが開発したプラモデルを自社ブランドで販売していたこともあった。
航空機のキットの多くはランナーごとに成形色が分かれた2〜3色成形を採用しており、素組み未塗装の場合は実機と似ても似つかないながらもどことなくイメージを掴んではいる色分けで仕上がる。また、深くはっきりとした「運河彫り」と渾名されるモールドでも知られる。
これらの特徴から、マッチボックスのプラモデルはトイライクな存在と受け取られることも多いが、本物の駄玩的なプラモデルと比べれば十分にスケールモデルの枠に入るクオリティは保っている。
1982年にレズニーが経営破綻した後、プラモデル関連はドイツレベルへの継承を経て再販されており、2000年代まではドイツレベル傘下の1ブランドとしてマッチボックスの名は用いられていた。また、1990年代には中国のSUPTがライセンスを取得しマッチボックス名義での再生産を行っている。
その他、アメリカのマテルがミニカー関連を引き継ぎ2022年現在まで展開を続けているが、こちらはプラモデルには関わっていない。
・エレール(Heller)
1957年の創業時からプラモデルを作り続けるフランスの老舗模型メーカー。
こちらも1981年に独立した企業としては経営破綻。以後はあちこちの企業の傘下を転々としており、2022年現在は自他ともに認めるフランスの模型メーカーでありながら経営上の中心をドイツに置いている。
スケールモデルがメインで、車や軍用車両など2020年代現在でもコンスタントに新作を出しているジャンルがある反面、飛行機などは1970年代のキットが未だ中心だったりする。また、一時期はイギリスの塗料メーカー・ハンブロールの傘下にともに収まっていたこともあって、エアフィックス製品の製造を代行していたこともあった。
近年は日本の輸入代理店での取扱量や品目が減少していたため、キットの入手は少し難しくなっていたが、2023年夏にプラッツが正規代理販売店となったことで、本邦での入手性も改善の兆しが見えつつある。
昔は社名を英語っぽく読んだ「ヘラー」と呼ばれることが多かった。
・イタレリ(ITALERI)
1962年創業のイタリアの模型メーカー。1968年に最初のプラモデルをリリースして以来、コンスタントに新作を世に送り出している堅実な会社。
1970年頃まではアリプラスト(ALIPLAST)、1980年まではイタラエレイ(ITALAEREI)という名前で活動していた。
スケールモデルが主力で、最新の飛行機や車両などのモデルも立体化が早いことで有名。
特に、アメリカがステルス戦闘機(攻撃機)F-117を開発していた頃に、アメリカのテスターと共同で想像を元にデザインを行い販売した「F-19」は当時話題となり、他メーカーからも模倣したキットが複数リリースされた。
なお、1999年の活動停止後に金型を引き継いだエッシーや2003年に吸収合併したプロター、1970年代前半から2000年代後半にかけてイタレリから分離独立していたスーパーモデルなど、すでに消滅した他のイタリアの模型メーカーの製品の再販も行っていたりする。
タミヤとは密接な関係があり、金型のOEM供給や日本におけるイタレリ製品の代理販売もタミヤが行っている。通称「タミレリ」。タミヤが採用したAFV系キットの1/35スケールを、海外メーカーの中でいち早く踏襲したのもこの会社。
・プライザー(Preiser)
1947年創業のドイツの模型メーカー。
あらゆるシチュエーションの非可動人物フィギュア(塗装済み完成品含む)を主力商品としており、人物に付随する形で、車やバイクなどの乗り物といったよりプラモデルらしいキットも提供している。
プラモデルの国際標準スケールに合わせたもの他に、鉄道模型や建築模型との併用を前提としたスケールの品も取り扱っている。というか後者が主。
また、「ヌーディストビーチの再現」などと謳って一糸纏わぬ女性のキットを色々出しているなど、バンダイやコトブキヤなどの日本メーカーとは別の方向で変態性を求道している節もある。
なお、最初にプラモデルの枠に入る製品を作ったのは1956年で、それ以前は木製フィギュアを製造していた。
・ファーラー(FALLER)
ドイツの模型メーカー。1946年創業。
1950年代後半に1/100スケールの航空機でもってプラモデルの製造を開始したが、1970年代を過ぎた後は、鉄道模型のストラクチャーとして用いられる建物などのキットを専門分野とするようになり、2023年現在は欧米型鉄道模型用のストラクチャーの大手として存在感を発揮している。
1/87(HO)スケールが主力だが、1/160(N)スケールや1/220(Z)スケールの製品などもカバーしている。複数の成形色を用いることで、素組み未塗装でも見栄えがするように考慮されたキットも少なくない。
なお、鉄道模型の車両そのものには手をつけていない。
・フーマモデル(HUMA MODELL)
1980年頃から1/72スケールをメインに活動していた、航空機専門のドイツのプラモデルメーカー。「ヒューマモデル」と呼ばれることもある。
戦間期から第二次大戦にかけての自国ドイツの航空機のみを守備範囲としていた。練習機やスポーツ機、グライダー、試作・計画機といった大手メーカーが取りこぼしがちな題材を精力的にキット化しており、いまだにフーマ以外からはプラモデルが出ていない飛行機も少なくない。
初期のキットはディテールがもっさりしていたりする反面、1990年代以降は他社であればエッチングパーツにするような繊細なプラパーツを導入するなど、こだわりを見せるようになった。
2000年代から2010年代初頭にかけての間に消滅した模様。
なお、日本においてはモーヴというメーカー*37が自社製品としてOEM販売していたキットも存在する。
・レベル(Revell)
1943年設立のアメリカの老舗プラモデルメーカー。星条旗の意匠を取り込んだメーカーロゴが特徴。遥か昔には「ラベール」と呼ばれていた時期もあった。
セールスマンが訪問営業に使うプラスチック製の家具模型の製造を経て、1953年に初のプラモデルを発売。1950年代のプラモデル黎明期には様々な名作キットを世に送り出した。かのマルサンの原子力潜水艦ノーチラス号は、この時期のレベルのキットのデッドコピー品だったと言われる。
また、当時は日本の下請け工場でも生産を行っており、アメリカのプラモデルなのに箱に「MANUFACTURED BY JAPAN」と書かれていたこともあった。日本プラスチックの創業者もこの下請け生産に携わっており、国産プラモデルの黎明期に強い影響を与えたメーカーと言える。
その後、1956年設立のドイツの子会社が規模を拡大し、ドイツレベル、アメリカレベルと区別されるようになり、紆余曲折あってアメリカレベルは破産し、旧製品はドイツレベルなどから販売されている……と思いきや、コロナ禍の巣籠もり需要によってアメリカレベルも首の皮1枚で生き延びている。
ドイツレベルは1971年に最初の自社開発キットを送り出して以来オリジナル製品の開発にも積極的で、自国ドイツ製のメカについては有名どころはもちろん、マイナーな計画機や第二次大戦後の復興を支えたトラックなど、ニッチなところまで熱心にキット化している。
一方で、アメリカレベル(含モノグラム)やマッチボックス、フロッグなどのキットの再販に加えて様々なメーカーのキットのOEM販売も活発に行っており、箱を見ただけでは純ドイツレベル製のキットとの識別が難しいこともあって「ドイツレベルの新製品と思って買ったら○○のキットだった!」という体験談が語られることもしばしば。
逆に、韓国の工場で製造を行っている一部キットは箱を変えただけで韓国のエースコーポレーションやアカデミーからも販売されており、韓国メーカーの過去の色々故にコピー製品と間違われることもある。
また、かつてはイギリスの子会社(イギリスレベル)も1/72スケールの軍用機「レベル・ファイター・シリーズ」の展開を主導するなど精力的に活動していたが、1970年代にドイツレベルに吸収されている。
・Round2
2005年設立のアメリカの模型メーカー。
かつて玩具メーカーのプレイング・マンティスでポーラライツという模型ブランドを率いていた人物が、文字通り自身の「ラウンド2」として立ち上げた。
往年のアメリカ製プラモデルの保存と継承に尽力しており、AMT、MPC、ホーク、リンドバーグ、さらには古巣のポーラライツといった、独立した企業としては力尽きたメーカーの金型とブランドを引き取って再生産を続けている。
また、各ブランドの往時の雰囲気を保った上での新製品開発や、金型が失われ再生産が出来なくなったプラモデルを、キットを3Dスキャンしたデータを元に金型を作り直して再び世に送り出す、という活動もしている。
AMT、MPCが得意とした自動車の層が厚い。
基本的に本来のブランド名のみを冠した状態でプラモデルを送り出すため、「Round2」という社名自体を模型店で目にする機会は少ない、知る人ぞ知る有力メーカー。
なお、Round2ほど手を広げてはいないものの、アメリカには他にもグレンコモデルやアトランティスモデルなど、自国の往年のプラモデルの再販を主な活動にしているメーカーがいくつか存在する。Round2傘下となったブランドの旧製品でも、これらのメーカーから再販されているケースもある。
・AMT(Aluminum Model Toys)
アメリカの自動車プラモデルメーカーの代表格と言えるであろうメーカー。1948年創業。
そもそもはフォードなどの自動車メーカーが営業に使用するための完成品模型を製造しており、それを組み立て前の状態で一般向けに売り出す形で1957年にプラモデルを送り出し、メガヒットさせるようになった。
なお、創業直後に製品の素材をプラに切り替えたため、社名に反してアルミ製の模型を製造していた期間はわずかでしかない。
販売戦略の一環という側面もあって、1960年代までは自動車メーカーとの契約のもと、毎年のモデルチェンジに合わせて実車の図面に基づく1/25スケールのキットをリリースしており、スケールモデルとしては最良の環境で開発を行っていたと言える。また、「トロフィー・シリーズ」と称して、60年代当時から見た「旧車」のキット化も推し進めていた。
立体的なパーツを一体成形できる「スライド金型」を、初めてプラモデルに導入したのもAMT。スライド金型を用いたボディの一体成形、フルインテリア、ゴムタイヤの採用、ステアリングの可動といった現代のカープラモまで踏襲される要素は、この時期のAMT(およびアメリカの競合他社)によって確立されたと言っても過言ではない。
そのため、1950~60年代のキットであっても設計はあまり古びておらず、2024年現在まで再販が続く品も多い。反面、年ごとのモデルチェンジに対応するなどの理由で過去の製品の金型を他の仕様に改修してしまうこともままあり、再販が不可能になっていたキットも少なくない。
自動車以外では、1966年からは『スタートレック』などのキャラクターモデルも手がけており、こちらも好評をもって迎えられた。また、1970年代には1/48スケールを中心に飛行機のプラモデルの展開も始めている。
変わった製品としては、ユーザーが組み立てる「キットカー」として、「AMT・ピラニア」という本物の自動車を売り出したこともあった。
1970年代に入ると自動車メーカーとの蜜月も終わり、1978年には独立した企業としての活動は終了。その後はいくつかの親会社の元を巡っており、農業機械模型メーカーのアーテル(ETRL)の傘下にあった時期は「AMT/ETRL」と名乗っていた。2022年現在はRound2が擁するブランドのひとつとして活動している。
・ウィリアムズブラザーズ(Williams Brothers)
戦間期から第二次大戦にかけてのアメリカ製航空機を主な守備範囲としているアメリカのメーカー。
エアレーサーなどの一般航空(ゼネアビ)向け民間機をはじめとするマニアックな商品展開が目立つが、この手の小メーカーとしては珍しく1960年の創業から2023年現在まで続いている古参。ラインナップにも1970年代初版のベテランキットが混じっていたりするが、アメリカのメーカーらしくフォルムや組み立てに大きな難点はない。
一方で、説明書の内容は英語の長文が主で図や写真は補足として小さく載っているのみ……という、正確な組み立て方を把握するには英文読解能力か英和辞典が必須という状態が長らく続いていた。近年の再販分では流石に写真メインに改定されている。
なお、飛行機本体のみならず、エンジンや機銃などの大スケールキットも送り出している他、1/87(HO)スケールの自動車のキットも手がけている。
・Adam Poots Games
『ウォーハンマー』などと同種のミニチュアゲームの駒としてプラモデルを手がけるアメリカのメーカー。
彼らが2015年から展開する『Kingdom Death』を欧米各地に散らばる同業他社の製品と差別化しているポイントは、キャラクターデザインが日本の漫画やアニメなどに影響を受けていることと、エロいこと。
送り出すキットはダーク・ファンタジーな世界観のグラマラスな女性キャラクターが中心で、18禁のラインこそ踏み越えてはいないものの、細かな装飾と肉感的な肢体を固定ポーズ故に可能なクオリティでもってこれでもかと言わんばかりの情熱で造形している。スカートを履いているキャラクターに至っては太ももがむちむち過ぎてパンツが見えないほど。
一応、モンスター系のキャラクターもラインナップには加えられている。また、レジンキットにも比重が置かれており、元はレジン製だったものがプラキット化されるケースも存在する。
メインは35mm(約1/43)スケールだが、駒としてではなく純粋に塗装を楽しむための「ペインターズ・スケール」(約1/20)でキット化が行われることもある。
・サルビノスJRモデルズ(Salvinos JR Models)
2018年に立ち上げられたアメリカの新興カーモデルメーカー。
1/24および1/25スケールのアメリカのレーシングカーを専門としており、活躍当時には市場の冷え込みによってキット化が叶わなかった往年の名レーサーたちのプラモデルを送り出している他、現代のNASCARで活躍する車両のオフィシャルモデルも展開している。
元は本物の自動車部品などを手がけていた人間が中核メンバーを務めているのもあって、メッキパーツにはプラモデルでは普通は使われない実車同様のクロームメッキが施されており、接着などのためにメッキを剥がそうとすると四苦八苦するという。
また、かつてモノグラムが開発したNASCARのキットの再販も行っており、アメリカのモデラーには「サルヴィノグラム」の愛称で親しまれている。
・モノグラム(MONOGRAM)
1954年よりプラモデルの製造を開始した、レベルやAMTと並ぶアメリカの往年の大手プラモデルメーカー。設立は1945年で、プラモデル以前はゴム動力模型飛行機や艦船のソリッドモデルを手がけていた。
日本では輸入代理店が付けた「ご機嫌最高モノグラム」のキャッチコピーで知られ、その言葉に恥じないシャープな凸モールドで彩られたハイクオリティなキットを送り出していた。
ジャンルとしては飛行機や自動車を得意としており、1/24や1/48といった国際標準スケールを積極的に採用していたのも特徴のひとつだった。
また、「スナップタイト」と称して早くから初心者向けのスナップキットの開発を手がけており、かのバンダイが売り出した初のスナップキットも実はガンプラではなく、それ以前に「バンダイモノグラム」と称してモノグラムのスナップタイトキットをOEMしていたりする。
1986年にレベルに吸収合併され、独立した企業としては活動停止。その後一時期は「レベルモノグラム」として名前が残っていたものの、2007年に単なる「レベル」へと再改称され、完全に消滅した。
金型の多くはレベル(ドイツレベル)に引き継がれている他、元モノグラム社員が2003年に新たに立ち上げたアキュレイトミニチュアなど、他社から再販されたものもある。
・オーロラ(AURORA)
1950年に創業し、1952年からプラモデルを作り始めたアメリカのメーカー。キャラクターモデルが有名。
コミックや映画の1シーンを切り取ったかのような固定ポーズフィギュアを「モンスターシリーズ」などと称して1/8~1/9スケールなどのビッグサイズでキット化しており、可動重視の日本のそれとは違う独自のキャラクターモデル文化をアメリカに根付かせている。世界で初めてゴジラのプラモデルを送り出したのもこの会社。
1977年に倒産したが、その後もポーラライツやメビウスモデル、ドール&ホビーのようなオーロラのキットを再販するメーカーや、デンコムやモナークモデルといったオーロラ風のキャラクターモデルを新たに送り出すメーカーなど多くのフォロワーが誕生しており、後世に残した影響は大きい。日本ではエクスプラスがこの流れに続いている。
なお、陸海空のスケールモデルも多数こなしており、鉄のカーテンから漏れ出してくる断片的な情報を元にキット化した結果、実機と似ても似つかぬ姿になってしまったMiG-19戦闘機のプラモデルなどが知られる。
・ウイングナットウイングス(WINGNUT WINGS)
1/32スケールの飛行機を得意分野としていたニュージーランドのメーカー。2009年設立。
『ロード・オブ・ザ・リング』などのメガホンを取った映画監督のピーター・ジャクソンが、自身の飛行機趣味の一環として立ち上げたメーカーで、主に第一次大戦時の軍用機をキット化していた。また、ホワイトメタルやレジン製の兵士のフィギュアも手がけている。
キットの価格帯は1万円前後とかなり高めだが、サイズや精密さ、組み立てやすさといった基本的な部分で値段に見合った高いクオリティが担保されていることに加え、実機写真をふんだんに交えたフルカラーの説明書は資料的価値も併せ持っている。
なお、ジャクソン氏は本物の古い軍用機のレストアを業務とする会社も率いており、キットの考証や資料写真などにはそちらでの蓄積も活かされている。
モデラーが知りたがる細かい部分について、自分の手元にある実物の写真を撮って説明書に乗せる、という芸当を飛行機で真似できるメーカーはそう多くはないだろう。
コロナ禍の煽りを受けて2020年に廃業。その後、未発売に終わったキットの一部はいくつかの中国メーカーに引き継がれており、うちボーダーモデルから発売されたランカスター爆撃機は全長60cm、価格12万円を越える怪物として衝撃をもって迎えられた。
また、2021年には元メンバーによってコータリモデルスというメーカーが立ち上げられ、2023年より再び1/32スケールの軍用機のプラモデルを送り出している。
・スペシャルホビー(Special Hobby)
チェコのメーカー。1990年創業。
当初はバキュームフォームキットのメーカーだったが、1991年より樹脂または軽金製の低コストな簡易金型を用いた「簡易インジェクション」を利用したスケールモデルを山のように送り出している。
それら簡易インジェクションキットは基本的に初心者向けとは言い難く、レジン製のパーツを組み込まなければならないこともしばしば。
製造工程の性質上、一部パーツを加工しなければ形にならないレベルで部品精度が悪かったりするが、普通のインジェクションキットでは商品化されないようなマイナーな存在をキット化してくれるという利点は欠点を補って余りある、と見なされている。最近は精度自体も向上しており、簡易インジェクションの域を越えるハイクオリティなキットを送り出すことも。
大量のサブブランドを持っているのも特徴で、主力商品である航空機を扱う「MPM」「コンドル」、フランス製航空機が主体の「アズール」、陸戦兵器の「スペシャルアーミー」、艦船の「スペシャルネイビー」、レジンキット中心の「CMK」「プラネットモデル」がある。
「スペシャルホビー」の名前自体が元はブランド名で、旧社名である「MPM」に取って変わる形で2016年に社名に格上げされた経緯があったりする。
なお、スペシャルホビーを先駆けとする同種の簡易インジェクションキットメーカーはチェコやウクライナなどの東欧各国に大量に存在しており、同地のプラモデル産業の土壌となっている。
また、世界各国に存在する簡易インジェクションキットメーカーの中には、実際のキットの開発・製作をスペシャルホビーが代行している、というところも少なくないという。
・エデュアルド(eduard)
1989年創業のチェコのメーカー。
元はエッチングパーツやマスキングシートといったプラモデルの仕上がりを高めるアフターパーツのメーカーだったが、設立から数年経った1993年にプラモデルの自社開発に乗り出した。
簡易インジェクションからのスタートではあるが、現在はタミヤやファインモールドに比肩する、世界有数レベルの高クオリティなキットを送り出すメーカーへと成長している。
1/48と1/72スケールの航空機が主力商品で、ブルーグレーの成形色やクリアパーツの円形ランナー、基本的に1/72スケールであっても繊細なモールドとリベットを掘り込んであることなどが特徴。
同じキットで、使用パーツを抑えて組み立てやすくした「ウィークエンドエディション」と、得意分野のアフターパーツをセットしてよりハイレベルな製作を可能にした「プロフィバック」の2バージョンを発売することも多い。
あと、海外メーカーとしては珍しく社内に日本語ペラペラな人がいるらしく、公式サイトの言語選択に日本語があったりFacebookに公式日本語アカウントがあったりする。
・KP
チェコのメーカーで、1968年から活動している東欧の老舗。創業当時から1/72スケールの航空機が主力で、1980年代の時点で同時期の西側メーカーと比べても遜色ないキットを送り出していた。
社会主義体制の時代から今日まで生き永らえているだけあって波瀾万丈な歴史を歩んできたらしく、国営企業だった時期やハンガリーのメーカーになっていた時期もあった。「KP」という社名が何を意味するかも時代によって変わっており、2022年現在は「KOVOZÁVODY PROSTĚJOV」の略とされている。わからん。*38
2022年現在はプラスチック製品メーカーのスムニェル*39の傘下に収まり、主に簡易インジェクションキットを手がけている……が、過去の製品の再販もこなしており、キットの方向性にはばらつきがある。
また、同じ簡易インジェクションキットメーカーのAZモデルとは浅からぬ繋がりがあるようで、新製品の作風が酷似していたり、互いの製品を再販し合っていたり、住所が同じだったりする*40。
AZモデルともども、ひとつの金型で複数の仕様を再現できるようにした上で、形式やデカールの違うバリエーションキットを山のように出すのが最近の傾向。また、同種のメーカーが避けがちだった大手メーカーと被る有名機にも果敢に挑戦している。
・ICM
1994年創業のウクライナのメーカー。軍用車両や航空機、さらには人物のフィギュアを得意分野としている。1/72スケールでは日本軍機も少なからずカバーしており、ICM製のものがベストキットと言える機体もある。
かねてから東欧メーカーの中では製品のクオリティは高いほうで、2022年現在は世界有数レベルまで達している。ただし、パーツ分割がやたらめったら細かいなど、組み立てやすさよりも精密さを優先しがちな傾向もある。
また、後述するマスターボックスほど顕著ではないが、下着を干しているところを上官に怒られるソ連女性兵士のようなネタ枠、チェルノブイリ原発事故に翻弄される人々を象ったシリーズや「キーウの幽霊」仕様のMiG-29戦闘機といった自国の歴史と向き合ったキットも手がけている。
日本のメーカーとの結び付きも強く、タミヤのミリタリーミニチュアシリーズに兵士のフィギュアを提供している他、輸入代理店を務めるハセガワも、自社製キットとICM製キットのセット品などを販売していたりする。
・ミニアート(MiniArt)
2001年から活動しているウクライナのスケールモデルメーカー。最初にプラモデルを送り出したのは2003年。
主に1/35スケールで第二次大戦頃の事物をプラモデルにしており、創業当初から今日に至るまで人物フィギュアや小物などを得意分野としている。
特に小物は銃火器などに留まらず、柵や屋台、各国ごとの交通標識といったジオラマの製作には欠かせないストラクチャー類を広範にカバーしている。また、人物フィギュアも兵士のみならず、溶接工や肉屋の親父、カフェでくつろぐ客といった市井の人々までキット化対象に選んでいる。
2010年代に入ってからは様々な乗物にも手を広げており、軍用車両はもちろん、オート3輪やトラクターといった民間車両や路面電車などの鉄道、オートジャイロのような航空機も精力的にプラモデルにしている。
送り出すキットは、フィギュア以外は精密ながらも「粉々」と評されるレベルでパーツが細分化されているのが特徴。1パーツごとのゲート数もやたらと多く、細かいパーツをランナーから切り出す際には神経を使う必要がある。
また、内装を再現したフルインテリアキットも色々と手がけているが、中にはT-34/85やT-54のようにエンジンやトランスミッション、履帯といったパーツ単位でのバラ売りもされている代物すらある。
なお、公式サイトは日本語にも対応している。
・マスターボックス(MASTER BOX)
1/24や1/35スケールの人物フィギュアを主力商品として、力を注いでいるウクライナのメーカー。数は少ないが軍用車両などの大型キットもリリースしている。2000年代前半に活動開始。
日本のメイド喫茶のメイドさんや世紀末のヒャッハーども、ゾンビものから厳ついトラックの運ちゃんまで、ぶっ飛んだセンスやドラマを想起させるようなシチュエーションのキット化に定評がある。
このジャンルの主流と言える兵士も色々出しているが、そこでもぶっ飛びっぷりは健在で、
- 立ちションしている兵士。
- トップレスで水浴びしている女性を覗き見する米独両軍の兵士。
- 今まさに殺し合っている、鬼気迫る白兵戦闘を行う兵士たち。
- 娼婦を買おうとしている休息中の兵士。
- 少年とサッカーに興じる兵士。
- ボクシングで殴り合う米英の兵士。
- 雌牛の乳を搾る兵士。
- ピンナップガール。
など、他社製品ではなかなかお目にかかれないようなキワモノのミリタリーフィギュアが目白押し。無論、真面目なポージングのフィギュアも圧倒的に多いのだが。
近年では1/35スケールで少年兵のフィギュアを発売*41し、モデラーたちの物議を醸した。
そのスタンスから「ウクライナの狂犬」とアオシマと並び称されることも。
2022年現在は、自国が現在進行形で巻き込まれている戦争を題材にしたシリーズを展開中。ロシアの侵攻が始まった2月末頃、ウクライナに多数集中している模型メーカーの安否が気遣われる中、マスターボックスはすぐさま同シリーズの開発ニュースを発信して無事を知らせており、「いつものマスターボックスだ」とモデラー達を安堵させた逸話がある*42。
とはいえ、彼らは単にノリがぶっ飛んでいるだけではなく、プラモデルにも世界を写し出す媒体としての力があると信じているのかもしれない。
製品のディテールはアナログながら繊細で、ICMと同様にタミヤのミリタリーミニチュアシリーズへフィギュアを供給した例もある。
・Aモデル(A model)
ウクライナの簡易インジェクションキットメーカーの中でも、とりわけ玄人向けな商品を送り出してくることで知られるメーカー。主に1/72スケールの飛行機を多数展開しており、一部キットは「スカイハイ」というサブブランドから送り出されてもいる。
パーツ精度の甘さなど簡易インジェクション全般で見られる難点に加え、改善が見られるケースこそあれ近年の製品でもディテールのクオリティが1950~60年代のキット並みなことがざら、成形時に混入したらしい謎の汚れがプラと一体化している、たまに袋の中に人毛が混じっているなどの様々な要素が重なり、その存在を知る人間からは''メーカー自体がHGUCトリスタンの如き扱いを受けている''。
ただし、極めてマニアックな商品化チョイスに加え、キットの造形物としての「芯」は優れているため、幾多の困難を乗り越えて手に取った完成品に惚れ込み、Aモデルへの愛を叫ぶモデラーも少なくないという。情熱以外のすべてを置き去りにしてきたメーカー、ということなのだろうか。
また、模型史を眺めれば、Aモデルと同などかさらに凄まじいプラモデルを送り出してきたメーカーはいくつも存在する*43。Aモデルばかりが名を語られるのは、1995年の誕生から今日に至るまで自身のスタンスを貫き精力的に活動を続けてきた故なのかもしれない。
なお、2023年現在はキットの販売をポーランドのIBGモデルスに委託している。
・レッドボックス(RED BOX)
鉛や陶器の兵隊人形をルーツとする「ヒストリカルフィギュア」と呼ばれるジャンルで、1/72スケールのプラキットを展開しているウクライナのメーカー。2006年から活動している。
欧州各国に存在するこの手のメーカーの例に漏れず、古代スコットランドのピクト人からベトコンの兵士に至るまで、歴史上のあらゆる「戦士」を製品化しているが、その中の一揆衆のフィギュア*44の存在が日本のインターネット上で妙にウケたため、東欧メーカーの中では謎の知名度がある。
駐日ウクライナ大使が自身のTwitterアカウントで製品を紹介したことも。
1パーツ構成のフィギュアが50体ほどセットになっているのが基本的な商品形態で、ランナーから切り離してバリを削ぎ落とせば形になる簡単仕様。ただし材質がPEあるいはPPの軟質プラなので、PS製の一般的なプラモデルと同じ感覚で完成させることはできない。
「アライアンス」というファンタジー系のサブブランドも持つ。レッドボックス製品ともどもミニチュアゲームの駒として用いられることもあるので、ゲームズワークショップなどと近い立ち位置にあるメーカーとも言える。
・IBGモデルス(IBG MODELS)
2006年の創業以来、堅実な作りのスケールモデルを出しているポーランドのメーカー。名前の「IBG」は「INTERNATIONAL BUSINESS GROUP」の略。
1/35や1/72スケールの軍用車両に強く、軍用トラックをはじめとする「脇役」的な車両にも気を配っている。旧日本陸軍の戦車も色々とキット化していたり。
また、1/72および1/76スケールの軍用車両を扱う「ワールドアットウォー」というサブブランドも抱えている。
軍用車両以外に航空機や艦船もカバーしており、特に自国ポーランドの飛行機に関してはどマイナーな試作機まで情熱的にプラモデルにしている。
自国の飛行機への愛着は、ロゴマークの1つにポーランドの戦闘機PZL P.11のシルエットをあしらっているほどである。
組み立てやすさは申し分ないが、エッチングパーツの使用頻度が高いのも特徴。
・アルマホビー(ARMA HOBBY)
2013年に活動を開始した新進気鋭のポーランドのメーカー。1/72スケールのレシプロ機を中心に飛行機のプラモデルをリリースしている。
初期のキットにはパーツの嵌め合わせが悪い箇所などこなれていない点もあったが、その後めきめきとクオリティを向上させていき、現在では出すキットが軒並み同一スケールにおける決定版、と言って差し支えないであろう優れたメーカーへと成長している。ただし、その出来映えに比例するかのようにキットの価格帯は平均よりもだいぶ高め。
エデュアルドを踏襲しているのか、プラパーツ以外を最小限に抑えた「ジュニアセット」とアフターパーツ満載の「エキスパートセット」の2バージョンを発売することも多い。また、エデュアルドにOEM供給しているキットもある。
「ホビー2000」というサブブランドもあり、こちらではOEM供給された日本メーカーなどの既存キットに、新規のデカールやアフターパーツをセットして送り出している。中には日本では再販がご無沙汰気味のキットもあるが、やはり総じて値段は高い。
なお、新興メーカーなこともあって名前の日本語読みはまだ定着しきっておらず、「アロマホビー」と呼ばれることもある。
・ズベズダ(ZVEZDA/ЗВЕЗДА)
1990年設立のロシアのプラモデルメーカー筆頭*45。メーカー名が意味する通りの星と、ロシア国旗をあしらったロゴマークが特徴。
陸海空のスケールモデルが主力商品。ロシアのメーカーだけあって国産兵器のプラモデルも多く、ミリタリー系のキットの題材の中で第二次大戦における独ソ戦(大祖国戦争)が大きなウェイトを占めているのはお国柄と言える。米英の兵器のキットでも、ソ連軍に供与された仕様が再現可能になっていることが主。
2014年のクリミア危機の後、クリミアに派兵された「礼儀正しい人達(リトル・グリーンメン)」のキットを発売したことは一部のモデラーの間で物議を醸した。
ミリタリーモデル以外では、1/144スケールの旅客機のキットも評価が高い。
1/2700スケールのスター・デストロイヤーの巨大キットや『カーズ』のスナップキットを送り出すなど、キャラクターモデルの分野でも活躍していたりする。
また、ミニチュアゲームの駒となるミニスケールの兵器キットを手がけていたことから、「さくっと駒を組み上げてゲームしたい!」という需要を発端として、海外メーカーの中ではスケールモデルへのスナップフィット導入に真剣に取り組んでいる。近年では組み立てるだけならガンプラ並みに簡単に完成する域に達しているキットもあったりするが、塗装は必要。
ウクライナでの戦争の影響を受け、2022年以降は日本にキットが入ってくる見通しは立っていない。しれっと並行輸入しているモデラーや個人模型店はあったりするけど。
【主な業界団体】
・日本プラモデル工業協同組合
1963年に設立された、日本全国に散らばるプラモデルメーカー各社が加盟している組合。
2023年現在、「プラモデル」という単語はこの組合の登録商標となっており、非加盟のメーカーは自社の製品を「プラモデル」と表現することはできず、「プラスチックモデルキット」のような形で言い換える必要がある。
活動内容としては、模型の新製品が一同に会する「全日本模型ホビーショー」を毎年秋に東京で開催している他、日本の模型の歴史を纏めた大著『日本プラモデル50年史』を送り出したこともある。
なお、「かつてプラモデルを作っていた」などの経緯ゆえに、現在はプラモデル以外のジャンルで活動しているにも関わらず組合員を続けているメーカーも存在する。
・静岡模型教材協同組合(静模協)
1955年に設立された静岡県のプラモデルメーカーの組合。設立当初は9社が加盟していたが2023年現在の組合員はタミヤ、ハセガワ、アオシマのみで、所在地が静岡でも加盟はしていないメーカーも多い。
3社共同でウォーターラインシリーズを展開している他、毎年5月に静岡で行われる「静岡ホビーショー」を主催している。また、こちらも『静岡模型全史』という歴史本を出したことも。
なお、艦載機やストラクチャーといったウォーターラインシリーズの一部には、静模協名義の製品となっているキットもあったりする。
……見ての通り、多くのメーカーが変態企業である。
しかし、どれも愛おしいと言えるほどの魅力と個性がある。
興味を持ち始めたりここで知ったメーカーがあれば、ぜひとも探して作ってみて欲しい。
追記・修正は、童友社やドイツレベルのOEM元メーカーが見分けられるようになってからお願いします。
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- KATOは?と思ったがあそこは鉄道模型であってプラモではないか。もっと言うならKATOはブランド名であって会社名ではないのな。今調べて初めて知ったわ -- 名無しさん (2022-12-11 21:36:46)
- よく作ったなコレ -- 名無しさん (2022-12-11 21:37:38)
- 作成者の情熱がすごい -- 名無しさん (2022-12-11 21:53:50)
- トミーテックは最近ブキヤの創彩少女庭園向けにリトルアーモリーの銃器持たせれる武器持ち手出すようになったな。 あれ、創彩の方が1/10だからサイズ合わなそうに見えて代表キャラのまどかでも150mmだからギリ合うのよね。 -- 名無しさん (2022-12-11 23:37:55)
- 海外のメーカーまでマークしとるんか!? -- 名無しさん (2022-12-12 00:34:15)
- なんかもうこの項目だけでwiki作れそう -- 名無しさん (2022-12-12 05:37:15)
- めちゃくちゃ濃いい記事だな -- 名無しさん (2022-12-12 09:57:09)
- ドラゴソは子供時代のA士氏が作れなかったってエピソードは知ってる -- 名無しさん (2022-12-12 11:06:57)
- 「筆舌に尽くしがたい仕様の『伝説巨神イデオン』のプラモ」イデオ・クロッサスとかXメカイデオンとかソロシップイデオンとかな…。 -- 名無しさん (2022-12-12 12:05:11)
- アゾンはコトブキヤのビルに入ってるからアゾンのフロアにFA武器パーツ置いてたりたまにコトブキヤの美少女系プラモに自社のドール服着せて宣伝してたりする -- 名無しさん (2022-12-12 17:11:30)
- 項目開く前に想像した5倍は分量があってびっくりした -- 名無しさん (2022-12-12 23:20:04)
- 「プラモデル」の項目の一部がついに独立か…ってすでに100分あるからまた一部を独立させないとまずいな -- 名無しさん (2022-12-13 00:22:51)
- 項目を開く前「どうせタミヤとかバンダイとかブキヤとかがメインっしょw」→読み終えた後「熱意が・・・凄まじい・・・!」 -- 名無しさん (2022-12-13 21:58:37)
- ↑2 やるとしたらバンダイ系を纏めるとかですかね。 -- 名無しさん (2022-12-13 22:49:09)
- 国内外で2 -- imijex (2022-12-15 15:41:10)
- ↑投稿ミス失敬。あとは、国内外で2分割するか、国内外プラス今はもう存在しないメーカーで3分割するか、とかですかね……? -- imijex (2022-12-15 15:42:57)
- タミヤがキャラクターものに手を出さないのはサンダーバードの一次ブームのときにジョー90って作品のキット出したら番組共々大コケした失敗があったから、というのこともあったり。今だとミニ四駆でねんどろいどぷち載せられるやつとか鉄のラインバレルやサイボーグ009もコラボしたやつが出たりと多少は態度も軟化してるけど -- 名無しさん (2022-12-15 19:57:50)
- コスモスは動画での紹介も見たけど、何やってんのさ。を意味する名前のくせに、やってる事は思いっきりカオスじゃねーかww -- 名無しさん (2022-12-16 12:55:04)
#comment
*2 中にはプラキット形式の鉄道車両やストラクチャーもある。
*3 世界の艦船キットと同様の半完成品の他、未塗装未組立の状態でプラモデルとして販売されたものもあった。
*4 なお、創業前の1985年にも無限軌道の会名義で発売したプラモデルがある。何気に今でいう美プラ枠。
*5 『マクロス』『オーガス』に続く超時空シリーズのテレビアニメ。
*6 光センサーと連動して小便を流すギミックつき
*7 ポーランドに同名のプラモデルメーカーがあるが、当然ながら関係はない。
*8 レッド・バロンという名義も用いていた。
*9 西日本で見られる山車のこと。
*10 ガンダムの設定画よりも分厚いブレードアンテナや装甲の角(「C面」のことで、モデラーからは「バンダイエッジ」と呼ばれることがある)など。精度を上げるのであれば自分で余分なところを削るか足りない部分を盛る必要がある。箇所によってはディテールの一部に見えるところもある。
*11 なお、過去にスーパーミニプラを立ち上げた人物がグッスマに転職してMODEROIDをスタートさせた、という経緯があるので、両者のノリが近いのは当然だったりする。
*12 2014年頃にF-14のPOP展示があったもののその後音沙汰がなくなる、1/700大和などの人気商品の再販が絶望的になる、長年金型を使いまわしていたF-15などのリデコ商品の展開が増える、など以前からシリーズ展開が鈍くなっていた。さらには価格もシリーズ開始当初が2000円程度だったのが、新金型製品が出るたびに価格が上昇して倍近くなり、末期に出たV-22は価格が戦闘機よりも高い定価5000円超となるなどユーザーにとっても気軽に買えなくなっていたのも大きい。
*13 ただし、3mmジョイントがコトブキヤの独創というわけではなく、過去にも『ZOIDS』や『オモロイド』などで採用された例がある。
*14 ……と思っていたら、自社製プラモデル第1弾として全身フル可動の社長のキットを送り出した坂井精機なるメーカーが現れてしまった。
*15 ただし、それ以前の2014年にハセガワとのコラボという形で『ストライクウィッチーズ』の痛戦闘機プラモデルを送り出したことはある。
*16 正確には、1964年発売の「グリコプラモガム」など、ビッグワンガム以前から食玩プラモデルに該当するものは存在している。
*17 接着剤無しでも組み立て可能となっているが、サイズの小ささ故に強度に不安が残るものもある。
*18 中にはコトブキヤの『創彩少女庭園』とコラボした品もある。
*19 誘導・給電用の溝(スロット)が刻まれたコースをモデルカーが走る、要するに車版鉄道模型。マルサンはプラモデルに近い組立式のものを主に手がけていた。
*20 ただし、マルサンが開発した模型用ゼンマイが他社のプラモデルに使用されるなど、その後も間接的にプラモデルに関わることはあった。
*21 なお、景品としてエンドユーザーの手に渡った時期はマルサンのノーチラス号発売よりも早かったとも言われる。
*22 同時期に発売されたマルサン製プラモ3種はいずれも海外製品のコピー品疑惑があるため、初の純国産プラモデルはダットサン1000と捉えることもできる。
*23 なお、実在兵器に架空の愛称をつけること自体は、かつてはタミヤなどの他社でも行われていた。
*24 なお、これは日本での話で、本場イギリスではエアフィックス製のキットが放送当時から21世紀まで親しまれるロングセラーとなったほどの人気がある。
*25 なお、実際のモデルは0系ではなく試作型の1000形だった。
*26 文字通り、マッチ棒を弾丸として発射できるモデルガン。
*27 一応、本放送当時は『機動戦士ガンダム』のスポンサーに名を連ねていたのだが、これらの商品をリリースした時期にはすでに版権を手放している。
*28 その他の「バンダイ以外のガンプラ」としては、「ガンダムキャラメル」「ガンダムチョコスナック」をはじめとする森永の食玩キットなどがある。
*29 ただし、1980年代に簡易金型を使って1/72スケールのSu-22戦闘爆撃機を送り出したグリフォンモデル(ホビーショップマキシム)や、前述の無限軌道の会といった先例は存在する。
*30 他の日本メーカーとしてはゼネラルプロダクツなどが有名な他、欧米圏には様々なメーカーが存在する。
*31 1959年説も存在するが、これは前述したNBKによる再販と混同している可能性がある。
*32 以前にも、日本メーカーから引き継いだ金型を用いたキャラクターモデルの再生産は行っていたことがある。
*33 パッケージのデザインがアオシマの『艦これ』コラボキットのパロディになっている。
*34 なお、ホーンビィ自身も鉄道模型のレイアウトで用いるプラキット形式の建物などを手がけていたりする。
*35 シリーズ名の由来は、飛ばないディスプレイモデルの飛行機=飛ばない鳥=ペンギンという連想から。
*36 ただし、ノボ以降の再販品は成形のシャープさでフロッグ時代に劣る。
*37 正確には、「ワーク」という模型店が1990年代頃に抱えていたプラモデルブランド。
*38 ちなみに、「KOVOZÁVODY」は「金属加工工場」といった感じの意味らしい。「プロスチェヨフ」については不明。
*39 スムニェル自体、国内外の他社から引き継いだ古い金型を活かし続けるプラモデルメーカーでもある。KPの一部旧製品もスムニェルに移管されている。
*40 さらにややこしいことに、AZモデルは「アドミラル」や「レガト」といったサブブランドを抱えてもいる。
*41 日本国内の通販サイトでは流石にマズいとなったのか、自主規制として少年兵の部分だけ黒塗りにされているパッケージ画像などもあったりする。
*42 なお、マスターボックスやICMの他にも、緒戦で活躍したと見るやバイラクタルTB2無人機のキット化を発表したクリアープロップやビッグプレーンキット、「ロシアと戦争中のウクライナで作りました」と新製品の箱に書きつけたミクロミル、軍務とプラモデル開発の2足のわらじを履きこなすドラウィングス、撃破されたロシア軍車両の動画を公式Facebookアカウントで共有しながら「これウチがプラモ出してるよ」と宣伝するACE、戦時下にも関わらず新メーカーとして旗揚げしたX-スケールモデルズやリタキ、ラッシュモデルキッツやトライデントモデルなど、ウクライナには逆境にもめげずに逞しく模型を作り続けるメーカーが轡を並べている。
*43 チェコのパブラモデルズ、イギリスのマーリンモデルやペガサスなど、模型店の棚から姿を消してしまったメーカーも少なくない。
*44 正確には「一揆」と「一向一揆」の2種類があり、わざわざ厳密に区別している点をネタにされることも。
*45 一応、旧ソ連時代からロシアにもプラモデルメーカーは存在したが、西側のメーカーと比べるとキットの出来が悪く、ソ連崩壊後は淘汰されている。
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