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『放浪画家殺人事件』とは、『名探偵コナン』において、江戸川コナンが解決した事件の名称である。
原作漫画には無いアニメオリジナルエピソードであり、1997年11月10日にテレビアニメ第80話として放送され、2019年3月2日にR82話としてデジタルリマスター版が再放送された。
脚本は宮下隼一氏が担当。

以下、ネタバレにご注意ください。

【あらすじ】

事件解決のお礼として、依頼人から画展のチケットを貰った小五郎は、コナンと蘭を連れて米花美術館を訪れた。
絵を鑑賞する中、タバコを咥えた男が柵の中へ入り、一つの絵に近づき額縁を掴んで絵を顔に引き寄せまじまじと見ていた。
その男の様子に気づいた係員が注意すると、男は「すまん」と一言謝ると、ふらふらと美術館を出て行った。

後日、コナン、光彦、元太、歩美は空き地で野球で遊んでおり、元太の打球が明後日の方向に飛び、絵を描いていた画家の腕に当たってしまう。
謝るためにコナンはその画家に声をかけると、その画家は先日美術館でコナンが見た男だった。
しかし、落ちているスケッチブックを拾って開くと一軒家の同じ絵ばかりが描かれており、コナンがどうして同じ絵ばかり描いてるのか聞いても画家はわからないと答える。
さらに自分の名前も思い出せないと話し、痛み出した頭を抱え苦しみ出した。

画家を急いで病院に運んだコナンたちは、画家は記憶喪失になっており、頭の痛みは少しずつ記憶が戻ってきているためだと医師から説明を受けた。
病院を出たコナンは、画家のスケッチブックを持ってきてしまったことに気づく。
画家にスケッチブックを返すため、コナンたちは病院へ戻ろうとすると、先ほどの医師がナース二人と慌てた様子で病院から出てきた。
医師に何かあったのかと尋ねると、記憶喪失の画家がいなくなってしまったというのだ。
コナンは、画家が服や荷物を全部持って出て行ったということは、もしかすると記憶が戻ったのかもしれないと考える。

翌日、コナン、光彦、元太、歩美は、再び同じ空き地で野球で遊んでおり、光彦の打球を追いかける元太は何かにつまづいて転んでしまった。
その様子を見ていたコナンたちが元太を心配して駆けつけると、そこには昨日の画家が倒れており、紐のようなもので首を絞められ亡くなっていた…

【事件関係者】

謎の画家

CV：秋元羊介
コナン達が訪れた画展にいた浮浪者の姿をした男性。
柵の中へ入って一つの絵に近づき、額縁を掴んで絵を顔を引き寄せて見ていたが、係員が注意された。
後日少年探偵団が野球で遊んでいた空き地で絵を描いていたが、元太の打球が腕に当たってしまう。
スケッチに一軒家の同じ絵を描いているがその理由が分からず、自分の名前も思い出せない記憶喪失となっていた。
すると突然頭が痛みだし、病院に運ばれて診察を受けるが、診察後に眠っている中突然目を覚まし、服や荷物を持って病院からいなくなっていた。

だが、翌日少年探偵団が野球で遊んでいた空き地で、首を絞められて亡くなっているところを発見される。
画家が持っていたはずの絵の道具が無くなっている他、靴の中には銀杏の葉が入っており、片方の靴紐だけ縦結びになっていた。
空き地には銀杏の木がなく、被害者の倒れている位置からコナンはどこかで殺されて夜のうちに橋の上から捨てられたと判断する。

早瀬君江(はやせきみえ)

CV：藤井佳代子
専業主婦。37歳。
謎の画家がスケッチに描いていた一軒家の絵と同じ外観の家に住んでいる女性。
特に汚れていないのに清掃会社に新車や家中の清掃を依頼している。
2回に渡り突然訪れた少年探偵団を追い返さず、お菓子やジュースをご馳走する優しい性格をしている。
家の庭には銀杏の木がある。また、紐を結ぶ時、結び目が縦になってしまう癖がある。
家の壁には2日前に購入した大きな絵が掛けられており、絵の下にある棚には焦げ跡があった。

夫は大手銀行の役員を務めていたが、1年前に雪崩に巻き込まれて行方不明になる。
その後危難失踪として扱われ、事故から1年後に死亡とみなされて遺産を相続した。
なお、中の人は数話前にも妻役を演じている。

早瀬達夫(はやせたつお)

元大手銀行の役員。君江の夫。
1年前に雪崩に巻き込まれて行方不明になり、その1年後に死亡とみなされた。
当時巨額の横領の噂があり、強制捜査の寸前だった為、達夫が行方不明になったことは狂言だと考えられていた。
君江の家に達夫の写真が飾られており、謎の画家と顔が似ていた。
君江は人違いだと言っており、霊安室で画家の顔を見てもらったが、夫ではないと言い切った。
達夫に肉親はおらず天涯孤独で、遺体を確認できる人物は君江の他にはいない。
達夫の遺品は全て処分されており、画家の指紋と照合することもできなかった。

【レギュラー陣】

江戸川コナン

ご存知主人公。
小五郎と蘭と画展に行ったが、蘭が綺麗と言った絵にはパッとしない様子だった。
少年探偵団と野球で遊んでいる際、何でサッカーじゃないのかと不満を言っていた。
事件当日の夜に小五郎と達夫の失踪について話しをした。

毛利蘭

ご存知蘭姉ちゃん。
小五郎と蘭と画展に行き、綺麗な絵に見惚れていた。
事件が解決した際、小五郎にある人物を探してもらおうとした。

毛利小五郎

ご存知迷探偵。
小五郎と蘭と画展に行ったが、コナンと同様蘭が綺麗と言った絵にはパッとしない様子だった。
事件現場に訪れた際、コナンが目暮に迷惑かけていると真っ先に疑った。
達夫の失踪については強制捜査の寸前だったため記憶に残っていた。

ご存知少年探偵団。
空き地で野球をしており、そこで謎の画家に出会った。
画家の記憶が無く、痛み出した頭を抱え苦しみ出したため、急いで病院に運んだ。
翌日にまた空き地で野球をしていたが、画家の死体を見つけて第一発見者となる。
その後、探偵団の調査で画家が描いていた絵と同じ外観の家を見つけ、家に行ったら君江にお菓子とジュースをご馳走になった。

目暮十三

ご存知警部殿。
コナンから達夫の失踪について話しを聞き、君江に画家の遺体を確認してもらったが、夫ではないと言われてしまった。

高木渉

ご存知高木君。
嫌煙家の君江の前で喫煙した事で怒鳴られてしまう。
後に劇場版『紺碧の棺』で煙草は吸えない事が判明するので、高木が喫煙者なのは本作オリジナルの設定となっている。

【用語】

普通失踪宣告と危難失踪宣告

失踪宣告（民法第30条）とは、行方不明で生死が分からない人間に法律上死亡したのと同じ法律効果をもたらすことを目的とする制度のことを言う。失踪宣告には普通失踪と危難失踪の２種類がある。

まず、普通失踪とは、分かり易く言えば失踪者自ら行方をくらました場合で、借金などから逃れるために蒸発したりする場合がこれに当てはまる。
この場合、行方不明の日から７年経過して初めて宣告（死亡認定）され、その失踪宣告の日から相続などの権利関係の移譲が開始される。

一方、危難失踪とは、船や飛行機、雪山などで事故に巻き込まれたもののついに遺体が発見されず、死亡が確認できないものの、死亡したことが明白な場合である。
この場合、行方不明の日から１年経過後に宣告され、その事故があった日から失踪者は死亡したものと看做されて、同じく相続などの権利関係の移譲が開始される。

【以下、事件の真相。さらなるネタバレに注意】

やっと失踪を認められてあの人が横領したお金も手に入ったのに!

早瀬君江

今回の事件の真犯人。

殺害された画家は夫の達夫本人であった。
達夫は冬山へ絵を描きに行って雪崩に巻き込まれ、運よく助かったが記憶喪失になってしまった。
そして、放浪画家となって無意識のうちに自宅の絵を描きながらあちこちを歩いていた。
そうしているうちに一年が経過し危難失踪が認められ、達夫は正式に死亡したことになったため、君江は達夫の遺産を相続した。
しかし、運が悪いことに達夫は病院で記憶を取り戻し家に帰ってきてしまい、遺産を取られてしまうことを恐れた君江は達夫を殺害した。
彼女が清掃会社にまで依頼して掃除したのは、達夫が帰ってきた際に残った可能性がある髪の毛や指紋をなくすためだった。
そして、夫は一年前に山で死んでおり生きていたという証拠はないとシラを切ることにしたのだった。

小五郎（コナン）は彼女と被害者のつながりがある証拠を次々とあげて行った。
君江の家にある銀杏の木がある点と、君江のエプロンの結び目が縦になっている点が、達夫の遺体に合った特徴と一致していると主張。
だが、君江は銀杏の木は日本中どこにでもある、紐を縦結びにするだけでは証拠にならないと反論し、これ以上侮辱するのであれば法的手段で訴えると強気に出る。

しかし、コナンは今度は蘭に絵の前に立つよう指示。
棚には焦げ跡が付いていたが、達夫はヘビースモーカーで、君江はタバコ嫌いであると推理した。
病院を抜け出した達夫は、タバコを口に咥えながらこの家の絵の前に立った。しかし、家に灰皿がなく、棚に押し付けてで火を消したため焦げ跡が付いたと推理した。
銀杏の葉は、タバコ嫌いの君江が換気のため窓を開けた時に幾つか家の中へ舞い込み、それが達夫の足についたものだった。
だが、焦げ跡程度では証拠にならないと君江は強気な姿勢でいた。

コナンは画展での達夫の動作と家にある達夫の写真で眼鏡をかけていたことから、達夫は近眼であると見抜いた。
そのため、絵に近づいて額縁を掴んで見ており、小五郎（コナン）は蘭に美術館で見た達夫と同じ動作をするよう指示をして、蘭が絵の額縁を掴もうとした瞬間、ストップをかけた。その瞬間、蘭は額縁に達夫の指紋が付いていると気づいた。
清掃会社のようなプロはむき出しの絵を拭くなんて事はしないはずであり、達夫の額縁を掴んで絵を見る癖は記憶喪失になってからのものである。
雪崩で眼鏡を紛失した以降の達夫は物がよく見えないため、絵に近づいて見るようになり、さらによく見ようと絵を掴む癖がついていた。

達夫がこの家に戻ってきて絵を見た時、君江はタバコの煙を換気するため窓を開け、達夫に背を向けていたので、その癖に気づかなかったと思われる。
小五郎（コナン）は君江に、2日前に購入した絵に被害者の指紋が何故ついているのか説明できるのかと問い詰め、目暮は鑑識を呼んで指紋の照合をするように高木に指示した直後、君江は睡眠薬入りのコーヒーを達夫に飲ませ、紐で首を絞めて殺害したと自白した。

動機は達夫が生きていたことで相続した遺産（横領したお金）を返さなければいけなくなると考えたためである。
達夫が横領を行っていたという噂は事実であり、危難失踪が認められたことで、達夫が横領したお金も君江に相続された。
横領犯の身内であると周りから白い目で見られ、達夫が横領したお金を含めた遺産で自分の人生を取り戻したいと考えるも、達夫が生きていたことがわかると横領したお金も取り上げられてしまうと考え、世間に知られる前に殺害した。
犯行を自供したあと、高木によって連行された。

夫が横領を行ったせいで周りから白い目で見られ苦しい思いをしてきたのは気の毒だが、これまで愛してきた夫が生きていたことを喜ばず、むしろ自分の人生の邪魔になると考えて殺害した事で、最終的には殺人犯としての道を選ぶ結果となった。
あまりにも身勝手な理由で殺害したことから、コナンも横領したお金で自分の人生を取りもしたかったと話す君江に対して「時間はたっぷりありますよ…鉄格子の中にね…」と、珍しく犯人に対して厳しめに言うのだった。

早瀬達夫／謎の画家

コナンの推測通り謎の画家の正体は達夫だった。
雪崩に巻き込まれて死亡したと思われていたが、実は記憶喪失となって生きていた。
雪崩の後、放浪画家となって無意識のうちに自宅の絵を描きながらあちこちを歩いていたが、そのまま1年が経過し危難失踪が認められ、死亡したことになっていた。

横領の噂は事実であり、そのお金も君江に相続された。
病院で記憶を取り戻して家に帰ってきたが、横領のお金を失いたくないと思った君江によって殺害された。
お金欲しさに横領を行い、そのお金を相続した妻に殺害されるという因果応報な結末となった。

【事件解決、その後】

眠りから覚めた小五郎は、殺人事件だけでなく失踪事件の謎も解決したことで蘭に感心され、自分も探してもらおうかなと言われる。
コナンは嫌な予感がしたが、その予感通り蘭が探してもらいたいのは、いつまで経っても帰ってこない新一である。~~（すぐそばにいるけどw）~~
しかし小五郎はその依頼を断るが、その理由は新一が戻ってきたら俺の名声が脅かされるからだった。~~（いろんな意味でその通りであるw）~~
いつまでも失踪していればよいと言って大笑いする小五郎に、コナンも内心で一応わかってんじゃんっと思うのだった。

【余談】

この回の次回予告では、君江が宝石、ブランド物の服やバック等の高額なショッピングを次々としている様子をコナンが見て犯人だと確信するというシーンがあるが、本編では使われなかった。

追記・修正は雪崩で失踪して生還してからお願いします。

▷ コメント欄

部分編集

なんでわざわざ再作成？ -- 名無しさん (2023-04-14 14:03:59)
再放送の時にタバコ吸ってる高木刑事に色々驚いたな -- 名無しさん (2023-04-15 18:58:28)
この下にある(作成ミス項目)、そのまま放置せずに責任持って削除依頼出して、申請中ならタイトルに「削除申請中」とか入れたほうがいいと思いますよ。 -- 名無しさん (2023-04-15 18:59:19)
犯人、大人相手にはドギツイけど子ども相手には嫌な顔せず二度もお菓子をご馳走してくれるほど子ども好きの優しい人なんかな -- 名無しさん (2023-04-30 12:02:20)

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放浪画家殺人事件(名探偵コナン)

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