愛と決断のスマッシュ(名探偵コナン)

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登録日:2020/03/16 (月曜日) 10:31:30
更新日:2024/04/13 Sat 09:27:11NEW!
所要時間:約 20 分で読めます



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今無理して怪我でもしたら元も子もないでしょ?


勝ち負けにこだわるのも分かるけど、「参加することに意義がある」って言葉、聞いたことない?

結果にこだわらずに、自分たちが出来ることをそれぞれ一生懸命頑張ることが、大切なんじゃないかな?



『愛と決断のスマッシュ』とは、『名探偵コナン』において江戸川コナンが解決した事件の名称である。
原作がないアニメオリジナルエピソードで、第294話・第295話として2002年9月9日と16日に放送された。
脚本は宮下隼一氏。作画監督は前編佐々木恵子氏、後編青野厚司氏。



※以下ネタバレが含まれますので、未視聴の方はご注意ください。



【ストーリー】

ある向日葵盛りの夏の日、元太が懸賞で当てたテニス大会に出場するために熊本へやって来たコナン達少年探偵団。付き添いは蘭・小五郎・園子・灰原。
優勝目指して張り切る光彦は着いた早々トレーニングとして熊本城二の丸公園でランニングを行う。
コナンたちが走り終わった後、休憩時間を5分しか設けずトレーニングを続けようとする光彦を蘭がなだめ、周辺を散策することに。
熊本城周辺を観光する道中、水前寺公園で園子が携帯電話を拾い、持ち主の手がかりと称して蘭の制止も聞かず着信したメールを見る。
メールには「その子…会いたい! 明日12時に待ってる」とあり、自分と同名の人物への「すっごいラブメール」を見て興奮した園子はメールの待ち合わせ場所へ行って直接持ち主に返そうと蘭に持ちかける。
テニス大会を気にして渋る蘭に待ち合わせ場所が会場のすぐ近くだから少しぐらい抜け出しても平気と持ちかけ、園子は「明日はテニスと恋の行方の2本立てだー!」と張り切る。


その夜、暗い部屋で男3人が「いよいよ、明日だな」「大丈夫か」「ああ、もちろんだ。絶対やってやる。」と不穏な会話をしていた。


翌朝10時、テニス大会ジュニアの部の開会式で主催者の成増健三が自身の汚職について身の潔白を主張していた。
開会式を終え、蘭、園子、灰原の観戦の下、コナンたちはジュニア部門の準決勝まで勝ち進む。
準々決勝を終えたコナンたちが観戦席に戻ったころ、蘭と園子は会場を抜け出してメールにあった待ち合わせの喫茶店に来ていたがそれらしい人は見当たらず、待っている途中、園子が緊張のあまりトイレへと行く。
苦笑する蘭の耳に、「遅えな、その子」という声が届き、なんとなく声の方へ顔を向けて聞いていると、「あの男を殺すチャンスは今日しかねえんだからな」という男2人の会話が耳に飛び込んでくる。
蘭は驚きと恐怖で思わず大きな物音を立てて立ち上がってしまい、男たちに気づかれてしまう。
慌てて逃げ出したものの、喫茶店の裏で自身の携帯を探している時に追いつかれ、「聞いたな、俺たちの話」と詰問される。
怯えて首を振る蘭。そのうちに男たちのうちの1人が蘭の持っている拾った方の携帯電話を奪い、「間違いない、その子のだ」「どうしてお前が持ってんだ」と問い、蘭は拾って返そうと思って来たと答える。
そして、男の「このまま帰すわけには行かねえな」という言葉を聞き、蘭はとっさに空手の構えを取る。しかし眼前の2人に注意を向けていたためかいつの間にか来ていたもう1人の男の背後からの丸太の一撃をまともに食らってしまい、気絶して倒れてしまう。
倒れた蘭を見下ろし、蘭を殴り倒した男は「とりあえず工場へ運ぼう」と提案し、男2人は蘭を抱えるようにして連れ去った。


後ろ手に縛られ暗いロッカールームのような所で目覚めた蘭。
男2人の「このまま帰すわけにはいかねえな」という言葉を思い出し、誘拐されたことを悟り、何とかバッグから携帯を取り出し、園子たちに連絡をする。
コナンは蘭に居場所の手がかりを聞くと、窓から外を見て得られた手がかりは、向日葵がたくさん咲いていることと「蛭子町」という看板があることだった。
しかし蘭が犯人が「今日誰かを殺す」と言っていたことを伝えようとした直後、戻って来た犯人に携帯を奪われ、破壊されてしまう。


その後、総合運動公園のとある一室で熊本県警と小五郎たちが聞き込みの結果を話している時、県警に直接「俺たちは毛利蘭という女子高生を誘拐した。助けたければ身代金5千万を持って午後3時に出航する天草パールラインの遊覧船に乗れ」という脅迫電話がかかってきたという知らせが飛び込んでくる。
小五郎のネームバリューで協力した地元の有力者によって身代金を用意した小五郎と警察は指定された遊覧船のチケット売り場へ向かう。
コナンは県警に直接脅迫電話がかかってきた事と電話での蘭の最後の言葉からただの誘拐事件ではなく、身代金は目くらましで殺害計画を漏らされないために蘭は誘拐された可能性もあると考え、灰原とともに捜査を開始する。


果たしてコナンたちは蘭を救い、殺人計画を止めることが出来るのか…?





【事件関係者】

  • 成増健三(なります けんぞう)

CV:渡部猛
熊本選出の代議士でテニス大会「火の国カップ」の大会委員長。60歳。
最近まで汚職事件でかなり騒がれており、世間の評判を取り戻すために大会のスポンサーを買って出た(灰原曰く「ありがちな話」)。
大会の開会式ではテニスに関係ない自身の潔白ばかり話す、保身のためにかなり金をかけてSPを2人雇う等、はっきり言って汚職について潔白であるとはとても言い難い人物。


  • 佐伯(さえき)

成増の秘書だった男性。享年46歳。
成増の汚職事件の全ての罪を被って自殺している。


  • 馬淵恭平(まぶち きょうへい)
  • 立川正人(たちかわ まさと)

プロテニスプレイヤー。ともに25歳。
コナンたちが熊本空港に到着した際にTVで紹介されていた。
その際少年探偵団は馬淵を「カッコイイ」と評価し、園子は「本当にカッコイイって言うのはね、正人さまぁ~」と立川を評価してコナンたちに呆れられていた。


  • 土井明(どい あきら)

CV:山野井仁
工員。25歳。
痩せ型の男。大声で話しておきながら蘭に「聞いたな」と詰問したり、「このまま帰すわけには行かねえな」と蘭を連れ去ろうとしたりと、粗暴な男。
仕舞いには新一から贈られた蘭の携帯電話を踏み壊し、コナンファンの怒りを買った。
蘭の携帯電話を壊した後、目くらましのために県警に蘭の身代金を要求する脅迫電話をかけた。


  • 間宮秀樹(まみや ひでき)

CV:飛田展男
工員。25歳。
肥満気味で眼鏡をかけた気弱そうな男。
気絶した蘭を土井と共に抱えるように連れ去り後ろ手に縛って工場のロッカールームに監禁した後、土井と共にどこかへ外出し(蘭の口を塞ぎ厳重に縛り直すための布と縄でも調達しに行っていたか)、戻って来た時に監禁した蘭が電話をかけているのを見て「やっぱりやめた方が良いんじゃ」と不安げに言ったりしており、殺人計画にはあまり乗り気でない様子。


  • 蘭を殴り倒した男

CV:神奈延年
土井と間宮と対峙している蘭を背後から丸太で殴り倒した男。
蘭が倒れた後土井と間宮から「何だ、来てたのか」と言われており、前方に集中していた・殺人計画を聞いてしまった恐怖で萎縮していた・不意打ちとはいえあの蘭(しかも構えを取って臨戦態勢)に気付かれず背後から殴り倒したことから気配を断つのが上手い様である(単にめちゃくちゃ影が薄いという可能性もあるが)*1


大会前夜では「もちろんだ、絶対やってやる」と決意表明しており、殺人の実行役のようだ。
気絶させた蘭を「とりあえず工場へ運ぼう」と土井と間宮に提案した。
なお後ろ姿で頭が見切れており、短髪の男であるということ以外は不明。


  • その子

土井たちに呼び出されていた人物。
水前寺公園で携帯を紛失し、そのため土井たちからのメールは見ていない可能性が高い。
土井と間宮の会話から土井たちの知人と思われる。


  • 玉名(たまな)

CV:仲野裕
熊本県警警部。
小五郎のことは噂でかねてより知っていた。
目暮警部からくれぐれもと伝言があったらしく、小五郎に「今のあなたに冷静な判断が下せるとは思えません」と蘭が心配なのは分かるがここはぐっとこらえて県警の指示に従うよう頼んでいた。
名前の由来は熊本県の地名「玉名市」から。


  • 加藤(かとう)

CV:岡野浩介
熊本県警巡査部長。
運動公園内の聞き込みを行い、「被害者と思われる女性を男性2人が抱えるようにして連れ去った」という目撃証言を得る。
また、蘭の言っていた「蛭子町」という町名が熊本県内に存在しないことを告げた。



【レギュラー陣】

  • 江戸川コナン

ご存知主人公。
少年探偵団の一員としてテニス大会に参加。中々のフォームで試合を勝ち進んでいた。
誘拐された蘭の電話の後、テニス大会の出場続行を決断した光彦に同意の言葉を向けるが、「その気になっているアイツらには悪いけど」と言ってひとりで蘭を探すつもりである。


  • 毛利蘭

ご存知蘭姉ちゃん。
熊本空港に到着した途端「焼酎だー!」と喜ぶ小五郎に呆れと恥ずかしさの表情を浮かべ、小五郎を連れてレンタカーでホテルのチェックインを取りに行った。
熊本城二の丸公園では無理なトレーニングを強行しようとする光彦を項目冒頭の台詞で優しく諭して園子に「あんた良いお母さんになるわ」と褒められていた。
水前寺公園で園子が拾った携帯に着信したメールを勝手に見ようとした時は「ダメだよ、勝手に人のメール…!」と制止し、「その子、会いたい!」という文面を見た園子が赤面しているのをジト目で見て呆れていた。
開会式では少年探偵団の面々が成増の汚職事件について小1らしからぬ会話をしているのを聞いて園子とともに怪訝な顔をしていた。
昼頃園子に付き合い携帯電話を返すために会場近くの喫茶店で持ち主にメールを送った人物を探していたが、園子がトイレに行っている間に殺人計画を聞いてしまい、口封じに誘拐されてしまう。
後ろ手に縛られ暗いロッカールームのような所に監禁された後、バッグから自身の携帯電話を取り出して奪われていなかったことに安堵して園子に電話をかけ、コナンに窓の外の風景を伝えたが、戻って来た土井に携帯電話を奪われ、携帯を踏み潰されてしまった。
その後は土井と間宮に聞き出されたのかバッグを調べられてテニス大会の会場の名札から特定されたのかは不明だが、土井と間宮に名前を知られて殺人計画の目くらましの身代金誘拐の人質として利用されることに。


  • 毛利小五郎

ご存知迷探偵。
熊本に着いた後は熊本名物の辛子レンコンと馬刺しをつまみに焼酎をロックで堪能していた*2
大会の開会式には顔を見せず、誘拐された蘭が連絡してくる直前に合流した。
脅迫電話を聞いた後はジッと待ってるなんて我慢出来ないと蘭の身代金の運搬役に志願した。


  • 灰原哀

ご存知哀ちゃん。
阿笠が「たまには行ってこいとうるさいから」珍しく参加しており、「それにそばにいないと守ってもらえないでしょ」とコナンに冗談めかして言っていた。
蘭の誘拐の捜査報告の際、コナンが光彦たちのテニス大会に出場続行をその気にさせて一人で蘭を探す気であることを見抜き、「罪な人ね」とつぶやいた。
なお、熊本に着いた後はホテルでチャットしながら寝落ちしていた。


  • 鈴木園子

ご存知蘭の親友。
熊本のテニス大会に出場する少年探偵団の付き添いとして蘭と小五郎に自腹で付いてきた。
水前寺公園で携帯電話を拾い、着信したメールを蘭の制止を「持ち主からかもしれないじゃない」と軽くいなして覗き、「その子、会いたい」の文面から「すっごいラブメール」と顔を赤くしていた。そして蘭に二人でメールの送り主に携帯電話を届けに行こうと持ちかけた。
開会式では少年探偵団の面々が成増の汚職事件について小1らしからぬ会話をしているのを聞いて蘭とともに怪訝な顔をしていた。
トイレに行っている間に蘭が誘拐された後、捜査報告で小五郎に「ごめんなさい、私があんな携帯拾ったりしなきゃ…!」と謝り、号泣して軽い気持ちで拾った携帯電話のメールを見て届けに行こうと蘭を誘ったことを後悔していた。


  • 吉田歩美

ご存知純真小学生。
蘭が誘拐された後蘭を心配してテニスの棄権を考えるが、光彦とコナンの言葉で出場の続行を決めた。


  • 小嶋元太

ご存知探偵団団長。
懸賞で熊本のテニス大会を当てた。
トレーニングでは張り切る光彦に圧されて珍しく仕切られていた。蘭が光彦を諭して観光に切り替えた際は「うな重食いに行こうぜ」と提案し、光彦に「何言ってるんですか、熊本と言えばとんこつラーメンですよ!」と言われ「いやとんこつラーメンも食べるけどよ」と返していた。
蘭が誘拐された後「やっぱテニスは棄権するっきゃねーよなあ」と棄権を考えるが、光彦とコナンの言葉で出場の続行を決めた。


  • 円谷光彦

ご存知天才小学生。
「勝つために熊本まで来たんです」と熱くなりトレーニングで暴走しかけていたが蘭に諭され、トレーニングを切り上げて観光に切り替えた*3
蘭が誘拐され思い悩んでいた後、棄権しようとする歩美と元太に「蘭さん、僕たちのことすごく応援してくれてたじゃないですか!なのにここで棄権してどうするんですか!」
「蘭さんが帰って来た時に優勝カップを見せて喜ばせてあげた方がずっと良いと思います」と準決勝への出場を決断して歩美と元太を鼓舞した。



【用語】

  • 第一回火の国カップ慈善テニス大会

成増が主催した慈善テニス大会。プロの大会とジュニア部門に分かれて開催されている。


  • カフェアスリート

テニス大会の会場である熊本県民総合運動公園にある喫茶店。園子が拾った携帯電話に来たメールで待ち合わせに指定されていた。


  • 蛭子町

蘭が監禁された工場のロッカールームの窓から向日葵の向こうに見えた看板に書かれていた。
地名と思われるが加藤によれば熊本県内に「蛭子町」という地名は存在しないとのこと。




以下、事件の真相。さらなるネタバレにご注意ください
























その子もし来れないようなら今日のあの人の命日はお前一人で線香を上げてくれ
ヨコマチの工場ウラに咲いたヒマワリを供えて


コナンと灰原がカフェアスリートで捜査しているとコナンを探しに来た少年探偵団が合流。
光彦の「園子さんもホテルで泣いてましたよ」という言葉でコナンは園子が拾った携帯にメールを送った人物が犯人という蘭の言葉を思い出し、イヤリング型携帯電話で園子に電話をかける。


園子はホテルで何度も蘭の携帯に電話をかけながら泣いており、そんな折に電話がかかってきたのを蘭からだと思って反射的に取ってコナンだったので思わず落胆するが、拾った携帯に例のメールの他に気付いたことがなかったかと聞かれる。
すると、待ち合わせの喫茶店に行く直前に違うメールが来たとの事で、そのメールの「ヨコマチの工場ウラに咲いたヒマワリ」という単語から蘭が言っていた看板の建物を蛭子町と書いてヨコマチ診療所と突き止め、コナン達はそこに向かい、園子もメールの向日葵と蘭の言っていた向日葵が同じであることに気がつき、警察に連絡する。


その頃、土井は高台で車に乗って遊覧船のチケットを手配する小五郎と警察の動きを望遠鏡で見てほくそ笑んでいた。
そしてテニス大会の試合は立川と馬淵の決勝戦へ進み、間宮は工場跡の大部屋で蘭を見張りつつテレビで試合を観戦していた。
蘭は手の縄を解こうともがいていたが間宮に気付かれ、ナイフで脅されてしまう。
その後コナン達はヒッチハイクで蛭子町診療所に到着し、向日葵畑を発見し、工場に侵入して蘭の救出を開始した。
蘭はふと天井の気配に気づき見上げるとコナンが手を振っており、コナンは天井からターザンのように間宮に突撃し、間宮を突き飛ばしてナイフを間宮の手から離すと、すぐさま元太たちがシャッターを開けて工場に乗り込み間宮を捕縛。
蘭はコナンに拘束を解かれ、コナン達にお礼を言い、コナンに「この人たち、あの男を殺すチャンスは今日しかないんだからと言ってた」と伝える。
そして、土井が戻って来た時に不意をついて彼を取り押さえて捕縛したコナン達は警察に連絡。


警察を待つ間、コナンは土井と間宮に質問し誘導尋問で成増を殺そうとしてた事を突き止める。
その時、蘭が誘拐された時に殴られた後頭部の痛みで自身を殴ったもう1人の男の存在を思い出し、コナンたちはまだもう1人の犯人が成増を狙っている事を小五郎に連絡し、警察にテニス大会を中止して成増を保護するよう手配するが、成増は「この大会にはわしの政治生命がかかっているんだ」と警察の通知を突っぱね、SPを雇っているからと大会を続行。
その後、コナンは土井と間宮との会話と「優勝して表彰台に上がるのは」というテレビの声から決勝戦で試合をしている立川と馬淵の2人のうちどちらかが犯人だと突き止める。
一体どちらが犯人なのか…






あの世で佐伯さんに謝れ!


  • 立川正人

CV:神奈延年
汚職事件で佐伯を自殺に追い込んだ恨みで成増の殺害計画を企て、蘭を口封じに気絶させた張本人。


工場に貼られていた記事から立川が犯人と突き止め玉名に伝えるコナンだが、その頃の会場では立川が優勝して表彰台に上がっていた。
成増を睨みながら表彰台に上がり、成増と握手してほくそ笑んで「お久しぶりです」と挨拶。
表彰時にSPが離れるのを狙い、成増を捕らえてナイフを突きつけた。


そして、成増にナイフを振り上げた時に県警のヘリからその子が出てきて説得を始める。
「佐伯さんの認めてくれた正人のテニス、めちゃくちゃになっちゃうよ」というその子の言葉でテニスを利用して殺人を行ってはそれこそ佐伯を悲しませてしまうと思い、ナイフを捨てて警察に投降。
その後は殺人未遂か殺人予備罪、未成年略取罪、傷害罪の罪に問われたと思われる。


  • 土井明

蘭の携帯電話を壊した後は、バッグからテニス大会の名札を見つけたか蘭に問い詰めたかして名前を知り、蘭の電話で警察に蘭誘拐を知られたと考えた為か県警に直接脅迫電話をかけて殺人計画の目くらましとして蘭の誘拐を身代金誘拐に偽装。
その後は天草パールラインの遊覧船のチケット売り場を見渡せる高台で車中から双眼鏡で警察の動きを偵察していた。


工場に戻ると何故かシャッターが開いているのを疑問にも思わず無防備に入り、縛って監禁していたはずの蘭が捕縛された間宮の横に立っているのを見て、蘭が縄抜けして間宮を捕縛したと思い「秀樹お前、こ、こんな女に!?」と驚き蘭に襲いかかろうとしたところを頭上からバケツを落とされ、よろめいた隙に上から降りてきたコナンに取り押さえられ、少年探偵団に捕縛された。
捕縛された後も反抗的な態度を崩しておらず、粗暴だがどこか抜けている男だったと言える。
その後は殺人予備罪と未成年略取罪、器物損壊罪に問われたと思われる。


  • 間宮秀樹

土井が警察の動きを偵察している間、テニスの試合の行方をTVで見守りながら蘭を監視していた。
蘭が縄抜けしようとした時はナイフで怯えながらも脅し、もがくことも出来ないように蘭の手首の縄と腕の縄を別の縄で結んだ。
その後、コナン達に捕縛された後はコナンの誘導尋問に引っかかり、殺人計画には最初から迷いがあったようでコナンと蘭にその子や佐伯関連で説得された際、「もう遅いよ、今からじゃとても間に合わない、試合がここまで進んでるんだからな」と言って実質殺人実行役を自白した。
その後は殺人予備罪と未成年略取罪に問われたと思われる。


  • その子/筧苑子(かけい そのこ)*4

CV:中村尚子
土井・間宮・立川の友人だが、土井らの成増殺害計画には反対していた。
土井と間宮が逮捕された後、県警から連絡を受けて県警のヘリで玉名らとテニス会場へ向かい、立川を説得。
県警から連絡を受けるまでは立川たちが計画を中止して佐伯の命日の墓参りに来ることを信じて待っていた。
10年前成増の工場で働いていた時は成増から酷い目に合わされたようだが、蘭からはもう忘れようとしていたんじゃないかと推察されていた。


  • 佐伯

成増の工場で働いていた時の立川達の上司。
10年前劣悪な労働環境から立川達が逃げ出した際、彼らが成増に仕返ししようとしたのを止めた。
立川達4人が慕い、いい人と評していること、工場からの逃亡に関わったことから、かなりの好人物だった(再就職も世話やサポートをしたかもしれない)。
だが、上記の行動で成増に目を付けられたのか成増の秘書になった後成増の汚職の罪を全て被って自殺する結果となり、立川達は成増が自殺するよう仕向けたと推察していた。


成増の秘書になったのが、成増が上記の汚職の罪を被せる為に命令したのか佐伯が成増を抑制する為に自発的に就いたのかは不明。


  • 成増健三

10年前は劣悪な労働環境で立川達従業員を工場でこき使っていた悪徳経営者。
政治家になった後も悪どい事をしており、「テニス会場に成増の命を狙っている者がいるのでテニス大会を中止してほしい」と県警から要請された時もSPがいるからと高をくくり「この大会にはワシの政治生命がかかっているんだ」と続行させ、「県民の皆様のためにこの身を投げ出す覚悟であります」とちゃっかりイメージアップに利用していた。


事件の3日後、収賄容疑で逮捕され、佐伯の自殺についても追求は必至とマスコミに書き立てられ、命は助かったが政治生命は絶たれた。


  • 毛利蘭

連絡できないよう布で猿轡をされた上に手をより固く縛られ、腕まで縛られて隣の工場跡の大部屋に移され、土井が警察の動きを偵察に行っている間は間宮に見張られることに。
不安げに間宮がテニス大会を観戦しているのを見ながら手の縄を解こうとしていたが気付いた間宮にナイフで脅され、手首を動かせないよう『ベイカー街の亡霊』終盤のように手首の縄と背中の腕縄を別の縄で結ばれてしまう。


その後、もがくことも出来ず不安と絶望の表情で目線を漂わせていた時、ふと気配を感じて見上げたところコナンを発見し、嬉しさと感動で目を潤ませていた。
少年探偵団に救出された直後土井が戻って来た時は囮として捕縛した間宮の横に立ち、土井の気を引きつけて少年探偵団の奇襲作戦を成功させた。
コナンが誘導尋問で殺人計画の標的が成増であることを突き止めた直後、誘拐された時に殴られた後頭部が痛み出した事で自身を殴ったもう1人の犯人のことを思い出し、気を失う時にしていた声からその犯人が男性であることをコナンに告げた。
成増がテニス大会を続行させた後は、「その子さんって人なら止められるんじゃない?」「もしかしたらあなたたち、本当は苑子さんに止めて欲しかったんじゃない?」と土井と間宮を説得した。


  • 成増鉄工所

成増健三の持ち物だった鉄工所。現在は廃工場のようで工場設備は置かれておらず、元従業員の土井と間宮、立川がアジトにしていた。
熊本県民総合運動公園からは車で約1時間(40km前後)、天草パールライン遊覧船のチケット売り場からは車で短時間で往復できる距離にある。(恐らく大矢野島)
蘭は最初この工場のロッカールームに監禁され、携帯を破壊された後はロッカールームの隣の工場跡の大部屋に移されて布で猿轡をされ、より厳重に縛られて見張られていた。


土井、間宮、立川(そして恐らく苑子)は10年前この工場でろくに給料も貰えず成増にこき使われており、その頃はろくに給料が出ない・待遇に耐えかねて逃げ出す従業員が少なくとも4人出る等今でいうブラック工場だったようだ。
成増鉄工所の裏には向日葵がたくさん咲いている。


  • 蛭子町診療所(よこまちしんりょうじょ)

成増鉄工所の向かいにある診療所。蘭が監禁されていたロッカールームからは看板の「診療所」の部分が向日葵畑で見切れていた。


  • 成増殺害計画の蘭の扱いについて

コナンが言っていたようにその場で蘭を殺さずわざわざ誘拐したことから蘭まで殺す気だったとは考えにくく、恐らくだが、


当初:立川が成功するのを土井と間宮が外で待ち、合流したら一緒に逃げる。
蘭誘拐後:3人で打ち合わせや蘭監禁のための縄等の調達をして土井と間宮で工場に戻り蘭の様子を見て連絡できないよう猿轡をして縛り直してロッカールームに放置し、後は当初の通り。
蘭連絡後:蘭の誘拐を身代金誘拐に偽装して目くらましに利用、蘭に布で猿轡をはめて拘束を固くし、ロッカールームから隣の工場跡の大部屋に移して蘭の監視、警察の動きの偵察の2手に分かれ、頃合いを見て蘭をそのまま工場に放置してテニス会場へ向かって外で待ち、成功した立川と合流して逃走。


といった具合に変遷し、復讐対象以外への殺人を厭うタイプの復讐で、成増さえ殺せれば蘭のことは目くらましと時間稼ぎに使えれば後はどうでもよかったと思われる。


もっとも、少なくとも立川は表彰式などというあまりに目立つ場所で殺人を実行しようとしていたので、仮に殺人を実行してもその場からの逃亡に成功していたとは到底考えられず、万一したとしても顔も素性もバレている為、即指名手配になるのは避けようがない*5
だとしたら、最初から成増を殺した後は逮捕される覚悟だった為に蘭を殺さなかった(計画を知った彼女を実行完了まで閉じ込めておければそれでよかった)という可能性もある。
その場合、監禁されている蘭は立川が居場所を警察に供述して警察に保護されたと思われる*6


ちなみに、もし苑子が携帯を落とさず予定通り話し合いに来ていたら、土井達の心のどこかの「止めて欲しい」という思いで殺人計画を思いとどまるか、殺人計画を強行しようと止める苑子を本編中の蘭のように実行完了まで監禁したかのどちらかになったと思われる。


  • 蘭誘拐の時系列

11時30分頃…蘭が口封じに誘拐される
12時30分頃…蘭が目を覚まし、園子に電話するが土井と間宮に見つかり携帯を壊される
13時頃…土井が県警に蘭の身代金を要求する脅迫電話をかける
15時少し前…コナン達が蘭を救出する
テニス大会表彰式少し前(16時頃?)…県警がヘリコプターで工場に到着、蘭達の保護と犯人2人の逮捕を行う


ちなみに、蘭が監禁されたロッカールームから電話をかけた時の園子の携帯の画面と蘭が誘拐されてから電話をかけてくるまでの時間から逆算すると上記の通り蘭と園子が携帯を落とし主に届けにカフェアスリートに来たのは苑子宛のメールの待ち合わせ時間である12時の30分ほど前。
この時の土井は「遅せーな苑子」とこぼし、間宮も同意しているが、待ち合わせ30分前に来ていないのは遅いとは言えない気がするのだが…



【エピローグ】

事件が解決して万事万々歳と思いきやテニス大会の優勝を逃した責任の追及も必至ということで朝から公園で走り込みを課されたコナン。途中から灰原も付き合い、歩美も参加して成り行きで少年探偵団全員で走り込みを行うことになり、爽やかにランニングを行うことになった。
その中でコナンはげんなりするのだった。



【余談】

今回壊された蘭の携帯電話は304話『揺れる警視庁 1200万人の人質』のOP直前のアニメオリジナルシーンで再度同機種のものが新一から蘭に贈られた。*7


今回立川正人を演じた神奈延年氏は安室透の警察学校時代の同期である松田陣平を、間宮秀樹を演じた飛田展男氏は安室透の公安の部下である風見裕也をそれぞれ演じている。


『世紀末の魔術師』の放送含め3週放送休止の前だからかレギュラー陣・ゲストキャスト・BGMが豪華な回。
また、項目冒頭の蘭の諭しや、終盤のコナンの「分かりたいとも思わねーよ、人が人を殺したいと思う気持ちなんてな」など名台詞も豪華である。


以前放送されたアニオリ回である『謎の老人失踪事件』では「自分(蘭)に付き合わせたせいで親友(園子)が誘拐された」と自分を責めて誘拐された親友を心配するという展開だったが、今回は蘭と園子の立場を逆転させた形である*8



追記・修正は熊本でテニスのトレーニングをしながらお願いします。



  • 少し修正しましたが、まだ文章が所々おかしいようなので修正してもよろしいですか? -- 名無しさん (2020-03-16 12:45:33)
  • 「人着」って、なにかと思ったら、人相の警察用語(「人相と着衣」の略)なのね -- 名無しさん (2020-03-16 14:45:30)

灰原「熱血漢も度が過ぎると周りから嫌われるわよ」 光彦「えっ!?」 -- 名無しさん (2020-03-16 14:49:59)

  • ↑↑↑構いません。どうぞ -- hurosugaru (2020-03-16 15:21:50)
  • ↑どうもありがとうございます。 -- 名無しさん (2020-03-16 15:50:36)
  • 安室「ボクの出番は10年後」 -- 名無しさん (2020-03-16 19:54:54)
  • 目くじら立てるほどでもないが何故メインキャラと読みが同じキャラ(その子)をだしたのか -- 名無しさん (2020-03-16 21:37:07)
  • コナン、相手側にかなり怒ってたね...当然だけど。今回の犯人たちのやった行為は許し難い行為だけど、それを実行させるような元凶をもたらした一番の悪いヤツを捕まえることが出来たのは良かったかも...。 -- 名無しさん (2020-03-16 22:39:09)
  • ↑2 今原作でも「ゆみ」ってゲストキャラ出てるし気にしたらダメなのかね? -- 名無しさん (2020-03-16 23:09:40)
  • ↑↑そりゃ、自分が送ったケータイも壊されてるワケだし -- 名無しさん (2020-03-17 18:03:01)
  • 蘭ちゃんのママ感が凄いから忘れていたけれど、まだ高校生だもんな。でも、光彦君ってあんなキャラだったのかな?元太くんが勝ち負けにこだわるセリフを言って光彦くんが止めそうな感じだけど -- 名無しさん (2020-03-17 19:36:31)
  • 男子プロテニスプレイヤーにそれなりの太さの木の棒で頭ぶん殴られるって結構危険だよな、ラケットよりはマシだが -- 名無しさん (2020-03-17 20:30:26)
  • ↑結構な時間経ってから殴られたところが痛み出してるし割と危険だったよね。多分警察のヘリで保護された後は検査入院したんじゃないかな -- 名無しさん (2020-03-19 17:42:36)
  • ↑ 蘭にもしもの事があったらベルモットが黙っていなさそう。 -- 名無しさん (2020-03-19 18:33:22)
  • そもそも蘭って、達人のわりには油断したり、わりと抜けてるところがある。それはそうと、本文では犯行後蘭を放置して逃げる・・・とあるけど、少なくとも立川は、蘭の誘拐があろうがなかろうが、逃げる気無かったんじゃないかな。表彰式なんて目立ちまくる場所で殺して、逃げられるとも思えないし、仮に逃げられたとしても顔も素性もバレてるから指名手配になる。復讐を果たしたら捕まる覚悟だったから、蘭を殺さなかったのでは。 -- 名無しさん (2020-03-20 11:52:42)
  • 安賃金でこき使われてた時立川たちは15歳、つまり中卒の新人工員か…中卒新人を(恐らく研修名目で)低賃金でこき使うとかマジブラック、成増が代議士になったあたりで廃業したっぽいが -- 名無しさん (2020-03-23 11:46:35)
  • ↑迫る闇のエレメント 黒の魔法使い・マジブラック? -- 名無しさん (2020-03-23 15:08:30)
  • 今回の主犯のヒント、視聴者視点だと見切れてる後ろ姿をよく見ると短髪ということと冒頭で園子と探偵団が言及したテニスプレイヤーって情報があるけど、コナン視点だと共犯の自供とポスターだけという推理もクソもない状態だったりする -- 名無しさん (2020-05-08 19:21:59)
  • 私は高校生空手家毛利蘭。親友の鈴木園子と拾った携帯を届けに行っていた私は園子がトイレに行っている間に男の二人組が殺人計画を話しているのを目撃する。慌てて逃げ出したが追いつかれた私は目の前の男達を警戒するのに夢中で背後から迫るもう一人の男の気配に気付かなかった。私は気絶させられ、目が覚めたら…縛られて暗いロッカールームに監禁されてしまっていた! -- 名無しさん (2020-05-11 10:47:24)
  • 蘭って背後からの不意打ちに対して、何にも注意を向けてない+相手が殺意むき出しなら反応できるけど今回みたく目の前に注意を向けている相手が複数いる+殺気がない、だと反応できないみたいね -- 名無しさん (2020-05-11 12:25:04)

↑12蘭を解放した後戻って来たもう一人の犯人を制圧するのに蘭の空手じゃなくて自分で飛び降りる攻撃を選ぶ辺り怒りの高さがうかがえるね、犯人制圧した後も尋問・説教する時の口調がかなりきついものだったし -- 名無しさん (2020-05-11 15:21:52)

  • その子(苑子)さん、立川たちと同年代と考えると10年前成増に酷い目に合わされた時は15才くらいか…そんな少女が一体何をされたんだろう… -- 名無しさん (2020-05-12 10:03:42)
  • 殺人計画を聞いて連絡する時に拾った携帯ではなく自分の携帯を使おうとした良い子っぷりが蘭の長所だが今回はそれが仇で攫われることになってしまった…(拾った方の携帯で連絡している時に不意打ちで気絶させられて攫われる、という可能性もあるけど) -- 名無しさん (2020-05-21 16:07:19)
  • 政治家が秘書に罪着せて自殺させるとかよくある話すぎて今じゃ放送出来なさそう -- 名無しさん (2021-06-17 22:09:36)
  • 2人は思いっきり顔を見られてるのに、それでも殺さなかったということは、それでも逃げ切る自信があった(高飛びとか)か、最初から事が済めば捕まる覚悟だったか… -- 名無しさん (2023-03-16 12:30:37)
*1 ちなみに、過去に蘭を背後から斧の不意打ちで殺そうとした犯人は殺気で気付かれて撃退されており、この辺はアニオリ特有の「蘭の弱体化」である。
*2 ちなみに熊本空港に着いた早々探偵団の「着いた!」「九州だ!」「熊本だ!」のかけ声に被せて「焼酎だー!」と声を上げ、蘭たちに呆れられていた。
*3 蘭が空手都大会優勝者で言葉に説得力があったためもあると思われる。
*4 ちなみにフルネームはEDのクレジットで判明。
*5 さらに報道で苑子が犯行を知ればそこから土井と間宮の素性もバレる可能性がある。一応、土井はそれまでに逃げ切れると踏んでいた節があるが…
*6 その場合は殺人計画を止められなかったことで蘭は心に傷を負う事になるが。
*7 尤もリマスターで当エピソードも併せてリマスターするのではなくそのシーンが削られたりシークレットアーカイブスで773話で新一が側溝に落とした携帯の弁償ということにされていたりと近年は今回のエピソードはなかったことにされてる節がある。
*8 こちらも宮下氏の脚本である。

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