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更新日:2024/11/28 Thu 21:50:14NEW!
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金田一少年の事件簿 犯人たちの事件簿 金田一少年シリーズエピソード項目 松本版金田一 地獄の傀儡師 高遠遙一 遺産相続 ロシア 人形 霧 館もの 別荘 湖 骨肉 豹変 仮面 いつきの依頼→事件フラグ 生首 斬首 首なし死体 北海道 見立て殺人 密室殺人 暗号 クローズドサークル 陸の孤島 ボルシチ ココア バイオリン コントラバス 気の毒な被害者 推理対決 ひどい動機 外道な犯人 白い高遠 事件の裏に潜む「闇」 露西亜人形 弦楽五重奏 やる気のない変装 コンダクター 露西亜人形殺人事件 後味の悪い後日談 混入トリック チェロ ビオラ 賭け 平行線
ただ私は性悪説論者でしてね。
この館には、人間の持っている醜い本性をさらけ出させる
「どす黒い悪意」の様なものが満ちている気がしてならないんです…。
露西亜人形殺人事件とは、金田一少年の事件簿での事件の1つであり、金田一少年が解決した事件の1つである。
Caseシリーズ第5弾で前、後編として収録。全15話。
テレビドラマでは第3シーズン第8話・第9話として2001年9月8日と15日に、テレビアニメでは第139話~第143話として2000年7月10日~8月7日にかけて放送された。
なお、アニメ第1期では珍しく、解決編で犯人が明かされた後も2週にまたがって続く形となった(『Rシリーズ』では何度かある)。
アニメ版の容疑者リストの順番は上段が左から田代、桐江、山之内、梅園、神明で、下段が幽月、ローゼス、有頭、宝田、犬飼の順でバックは薄い緑色。
登場する怪人は「指揮者(コンダクター)」。
今回の事件は「人間が持つ心の闇」がテーマとなっており、特にドラマ版ではその部分が強調されている。
〈以降ネタバレ〉
【ストーリー】
いつきの仲介で編集者の宝田から依頼を受けた一たち。
有名ミステリー作家・山之内恒聖の莫大な遺産相続権を賭けて暗号ゲームを行う候補者に選ばれ、
その手助けをして欲しい、というものだった。
場所は北海道の湖の真ん中に建つ山之内の別荘「露西亜館(ろしあやかた)」。
山之内と生前親しかった五人の候補者。暗号を解くヒントとなる、楽器を手にした背丈の違う五体のロシア人形。
館に招かれた候補者の一人の助っ人、奇妙な仮面の人物スカーレット・ローゼスにただならぬ物を感じる一。
そして滞在初日の夜。候補者の一人が殺され、人形は全て持ち去られてしまう。
その後も次々と殺される候補者と遺体のそばに一体ずつ置かれるロシア人形。
犯人は山之内の小説に登場した殺人鬼「コンダクター」なのか?
そんな折、一はスカーレット・ローゼスに接近する。
その男こそ一の宿敵、高遠遙一…!
一触即発の空気が流れる中、逃亡生活の協力者を殺された高遠は、
一にある危険な賭けを持ちかける。
それは「自分が先に犯人を当てたら犯人を殺す」というものだった。
【登場人物】
- 山之内恒聖(やまのうち こうせい)
CV:青野武(「伊集院源一郎」名義)/演:黒沢年雄
開始時点で故人。莫大な遺産を残し60歳を前に急死した有名ミステリー作家。
原作およびアニメでは今にも死にそうなヨボヨボのじーさんだったが、ドラマではバリバリ元気そうなガタイのいいナイスミドル。
代表作は『露西亜人形殺人事件』。奇想天外なトリックの連続でミステリーファンからの評価も上々と、一流の本格ミステリー作家である。
生前は人格者と謳われ人望も厚く、五人の知人と素人楽団を結成し資金援助もしていた。
その五人を遺産相続候補に選び、遺言書の在り処を突き止める遺産争奪暗号ゲームを遺す。
しかし、ゲーム参加者全員を集めて公開するビデオレターで五人の「金に困っている秘密」を暴露して猜疑心を煽ったり、
部屋にあったのぞき穴が桐江の部屋に繋がっていたりと、生前秘めていた陰湿な本性が徐々に露わになっていく。
幽月も自分のことを「殺したいほど憎んでいたんじゃないか」と疑いの目を向けているほど、本心の読めない人物。
- 宝田光二(たからだ こうじ)
CV:内田直哉/演:黒部進
依頼人。相続候補者の一人で文芸常談副編集長。35歳。チェロ担当。
山之内の担当編集者で、眼鏡をかけた腰の低い穏やかそうな人物。
株で多額の借金を抱え、妻も病に臥せているため金を必要としていた(ドラマ版では夜逃げ寸前だった)。神明が殺された後候補者の中で唯一遺産ゲームの続行に難色を示していた。
二日目に自室の扉に隠されていた抜け穴で犯人に侵入され、寝こみをメッタ刺しにされた挙句首を斬られた。
首を胴体に乗せた状態で応接間に座らされ、一たちの目の前で首が転げ落ちた。
アニメ版の中の人は『電子戦隊デンジマン』のデンジグリーンで、ドラマ版の中の人は初代ウルトラマンのハヤタ隊員。年齢と見た目のギャップが…
睡眠薬が効きすぎて目覚める間もなく殺された原作・アニメ版とは違い、ドラマ版では刺された衝撃で叫び声を挙げていた。
- 神明忠治(じんめい ただはる)
CV:平田広明(「山口負平」名義)/演:そのまんま東(現・東国原英夫)
相続候補者の一人でミステリー評論家。50歳。コントラバス担当。
かなりの大酒呑みなスケベオヤジで、しょっちゅう桐江に絡んでいた。
離婚した元妻から多額の慰謝料を請求されて生活に困窮しており、評論のキレも以前に比べ鈍くなったと噂されている。
最初の晩にトロフィーで撲殺され、首を斬られてバスタブに沈められた。
ドラマ版の中の人はご存知、のちの宮崎県知事。
- 幽月来夢(ゆづき らいむ)
CV:松谷彼哉/演:山咲千里
相続候補者の一人で挿絵画家。32歳。ビオラ担当。
自宅の火事により顔に大火傷を負っており前髪で隠している。
弟も火事で植物状態になっており、その治療費のために遺産を必要としていた。
スカーレット・ローゼスこと高遠遙一を誘った張本人。彼の逃亡の手助けをしていたようで、連続殺人鬼であると知りながらも親しく接していた。
悪戯心で作家に無断で挿絵にトリックのタネを仕込み、読者にネタバレを誘発するという作家からすれば憤死物な真似をやらかした事があり、
山之内は笑って許してくれたが、内心殺したいほど憎まれていたのではと考えている。
余談だが
「オペラ座館・新たなる殺人」の初期の版では、事件直後のページ掲載の現場の見取り図に
トリックの答えが書かれているという、この件を彷彿とさせるミスがある。
部屋には地下に繋がるワインセラーへの入り口があった。
三日目に自室で部屋に鍵をかけたにも関わらず、密室で絞殺されて首を斬られた。
ドラマ版では高遠を使って剣持を黙らせるなどやや冷酷な面がある。
- 梅園薫(うめぞの かおる)
CV:鵜飼るみ子/演:片桐はいり
相続候補者の一人でミステリー作家。28歳。第2バイオリン担当。
勝ち気で我の強い女性。
山之内の弟子であり元愛人。お色気ムンムンな女性だが作家としての才能は乏しい。
代表作は『死者の砂時計』で、この作品以外はまるで当てていない一発屋。
自動車事故で多額の借金を抱えている。
部屋には金庫が隠してあった。
四日目に首を斬られ、テーブル上に生首が置かれる。犬飼を疑い詰め寄った末に揉み合いになって死亡したらしいが…
ドラマ版では作品名を『死者の腹時計』と言われ、着物を着たおばさんみたいな見た目、さらに曲者女優片桐はいりの演技と相まってネタキャラと化している。
- 犬飼高志(いぬかい たかし)
CV:一条和矢
相続候補者の一人の高校生。17歳。第1バイオリン担当。
山之内とは隣人の関係で親しい近所付き合いをしていた。
詳細は不明だが、近所の殺人事件を解決したことがあるらしい。
人格的に悪い人物ではないが若干キザで自信家な所があり、同世代ながら優れた推理力を持つ一に対抗心を見せる場面が多い。
父親の事業の失敗が原因で実家が借金を大量に抱えており、自慢の猟犬達も抵当に抑えられ、金銭に苦労している。
部屋にはドレスを収納できるクローゼットが隠してあった。
睡眠薬入りココアを飲まなかったとして、ローゼスをコンダクターだと推理するが、
その抜け道*1を一に説明されローゼスにも簡単にやり込められ赤っ恥をかく。
他の候補者が次々に殺害された終盤、梅園が死体となって発見されるに至り、高遠からコンダクターと名指しされ、
「梅園に疑われ揉み合いになった末に殺害、偽装工作を施した」と梅園殺害を自供するが、高遠によりナイフで刺し貫かれ…。
ドラマ版では何と佐木が彼のポジションに収まっていた。
更に睡眠薬の推理に至っては、高遠が犬飼の代わりである佐木を疑うという逆のパターンとなった(ドラマ版でも佐木は虫歯を理由にココアを飲まなかったため)
- 田代富士夫(たしろ ふじお)
CV:青野武/演:宍戸錠
山之内の執事。62歳。殺人事件が起きても丁寧に客人をもてなしていた。
自分が遺産の相続候補にならなかった事に内心不満を覚えていたようだが…。
詳細が明かされなかった金田一と既に殺されていた為に調べられなかった神明の部屋を除くと、唯一部屋に何も仕掛けがなかった。
ドラマ版では剣持が高遠に撃たれた際に駆けつけたものの、負傷した剣持を放置するなど幽月同様やや冷酷。
- 桐江想子(きりえ そうこ)
CV:吉田古奈美(現:吉田小南美)/演:橘実里
18歳。露西亜館のメイド*2。おとなしくて純朴な田舎風美少女。
元は作家志望で、山之内恒聖に弟子入りするために露西亜館で働き始めた。
犬飼に好意を寄せられているらしい。
部屋には山之内の部屋に繋がる覗き穴があった。
- 有頭大介(ありとう だいすけ)
CV:二又一成
山之内の顧問弁護士代理人。27歳。殺人事件が起きても冷静に暗号ゲームの進行をしていた。
医学の知識もあるようで、簡単な検死も行っている。
部屋には英字の文章が隠してあった。
- 指揮者(コンダクター)
今作の怪人。
山之内の暗号に見立て、相続候補者を次々と殺害する謎の人物。
五体のロシア人形の楽団の指揮者であり、殺人劇を操る指揮者としての意味合いも込めている。
元は山之内恒聖の代表作『露西亜人形殺人事件』に登場する殺人者で、小説では館の人間を皆殺しにしたらしい。
が、中盤で正体を現した高遠によってその正体を事件の賭けの対象にされ、金田一には推理で追い詰められ、高遠にはそれに加えて命を狙われることになる。
【レギュラー陣】
毎度お馴染み主人公。
遺産相続の暗号文勝負の依頼を受け、頼りになる二人の助手を連れて『露西亜館』へと向かうも、例によって殺人事件に巻き込まれる。
図らずも宿敵・高遠遙一と三度目の対面を果たし、彼の不敵な勝負に真っ向から挑み、犯人の命を懸けた推理合戦に臨む。
毎度お馴染みヒロイン。
人形のサイズを計ってくれていた出来る美人秘書。
寝ぼけてブラを付け忘れるというサービスシーンを披露。
部屋にはマジックミラーがあり、金田一側の部屋から覗けるようになっていた。
そしてガラス越しに一とキスされる。見てるこっちが恥ずかしい。
幽月の山之内に関する話を聞いて、誰もが仮面の下に持つおぞましい本音に恐怖感を抱く。
準レギュラー佐木2号。
一のHPを開設しご満悦。しっかり者の助手。
いつものようにビデオが決定的な証拠となり大活躍。一に「お前を連れてきて良かった」と言わしめた。
前述の通り、ドラマ版では彼が犬飼の代役だったため、普段とキャラが全く違った。
一達にキツく当たったり、剣持警部の動きを抑えるため高遠に拳銃を渡したりとやりたい放題。
原作、アニメでは「佐木は強い眠気に襲われなかった」→「虫歯があった佐木はココアを飲まなかった」→「ココアに睡眠薬が」と、
図らずも睡眠薬混入の真相に迫るヒントを与えたが、ドラマ版では容疑者の一人でありながら同様に虫歯を理由に睡眠薬入りココアを飲まなかったため疑われる事になる*3。
準レギュラーのフリーライター。
今回の事件のきっかけ。冒頭とラストのみ登場。
金田一探偵事務所のHPの依頼人第二号で、宝田を紹介する。
ドラマ版には未登場。
ご存知、魔術列車殺人事件の真犯人、「地獄の傀儡師」で、本作における実質的な、もう一人の主人公。
幽月の依頼を受けて露西亜館にやってくる。
ロシア人奇術師を名乗る謎()の仮面の男、スカーレット・ローゼス*4というバレバレの変装をした。
と言ってもこの件に関しては一達一行がこの場にいた事そのものがガチのただの偶然であった事から、一が来る想定をせずに「謎解きの間だけバレなければそれでいい」程度の変装で済ませていた可能性も高い。
自身がプロデュースした事件ではないものの血と悪意の渦、そして一との偶然の再会に心を躍らせていたが*5、
不覚にも逃亡の協力者だった幽月を殺されてしまったことでいつになく激しい怒りに燃え、「犯人の命を奪うか、救うか」を賭け一に推理合戦を提案する。
部屋には屋敷の外へ通じる抜け穴があった*6。
戸締りの用心のためマスターキーが保管されているキーストッカーの鍵を預かり、その上で自室の外から厳重にバリケードを築いて自らを軟禁状態に置くが、翌日に幽月の遺体が発見されてしまった為、「マスターキーを使えた唯一の人物」として疑われる羽目に。
「犯人殺害」の賭けはこの濡れ衣の怒りからも来ているらしい。
幽月殺しの密室トリックを一より先に看破する、宝田殺害後の各部屋調査では部屋に仕掛けられたギミックを次々と見つけるなど、
天才マジシャンとしての実力を見せた。
そして梅園の遺体発見時に、犬飼による梅園殺害と偽装工作を告発。一に勝利宣言し、犬飼に非情にもナイフを突き立て…。
ドラマ版ではこの回で一と「魔術列車殺人事件」以来の再会を果たす*7。
前回の事件で黒かった頭が金髪に染まり、短髪なっているなど、猟奇的な姿に変わっていた。変装としてはこっちの方がまともだが、一と剣持にはすぐバレている
また、剣持に容赦なく発砲している。
ご存知イヤミ警視。
ラスト、一にイヤミをとばす為に登場。
なお、犬飼からは「僕は…あそこまでは…(イヤミじゃない)」と引かれていた。
ご存知オッサン。
ラストにだけ登場。明智のキラキラを突っ込んでいた。
ドラマでは暗号ゲームに参加しており、高遠に撃たれてしまう。
しかし今回は誰も殺さないという高遠の言葉を信用し、彼に各部屋共通のマスターキーを預ける。
【ドラマ版のみの登場人物】
- 五木ひろし
- Mr.オクレ
一が「ロシア」と聞いてついやった妄想の中で登場。
五木ひろしをテレビで見ていた一の隣に突然現れたMr.オクレが「五木ひろしや(ロシア)…」と呟いた。
【用語】
○暗号文
山之内恒聖が遺した、遺産配分を示した遺書の在り処のヒントとなる詩。
楽団は朝礼で前から順に首を刈られた
さあ次は数合わせ
2番目の子の首を5番目の子の首に並べてごらん
楽しいリズムの始まり始まり
作中で起こった殺人事件は、この詩になぞらえて死体の首が切断されている。
○五体のロシア人形
弦楽五重奏の楽団をモチーフにしている。
背の高い順に
- コンスタンチン(Konstantin) 第1バイオリン 50cm
- ターニャ(Tanya) 第2バイオリン(冬服) 40cm
- オリガ(Origa) ビオラ(夏服) 40cm
- エミール(Emir) チェロ 30cm
- イワン(Ivan) コントラバス 20cm
だが、楽器を実際の大きさに換算すると…
○露西亜館
今回の事件の舞台で、山之内恒聖の別宅。
死期を悟った彼はこの館に引き籠り、ひっそりとこの世を去った。
北海道の人里離れた湖の上に建てられており、外界から隔離されている。
ロシア建築特有のタマネギ頭の五つの塔が特徴。
中央の高い塔には鐘の鳴る時計台が据えられている。
屋敷の建築家が奇術師だったこともあり、屋敷のいたるところに隠し部屋や隠し扉などが仕掛けられている。
【以下、事件の真相… 更なるネタバレに注意】
そうよ!山之内の莫大な遺産があればこんなお城みたいな屋敷で使用人を抱えてお姫様みたいな生活だってできる!!
金!金!金よっ!!あたしは金が欲しかったの!!山之内の遺した何十億という金が…!!
- 桐江想子
今回の事件の真犯人「コンダクター」。
元は露西亜館の前の主の娘だったが、作家志望の父の死と共にどん底の貧乏生活に転落。
食うためには売春まがいの事まで、どんな事でもやった、という「話したくもないような人生」を送っていた。
そんな中、バーでホステスとして働いている時に客としてやってきた父の友人=山之内と偶然再会。
そこで彼の書いたデビュー作の内容が父のトリックノートの内容に似ていた事から、作家志望と偽って山之内に弟子入りし、露西亜館に潜入する。
そして、山之内が金庫から出した父の持っていたトリックノートを見ている姿を目撃し、自身も金庫のナンバーを思い出して開けて調べた事で、
山之内の作品の内容殆どが父のトリックノートのアイデアから盗み出した物である事に気付いた結果、
「山之内の遺産は、本来ならば父親が築くはずの物で、つまりは娘である自分の物であったのだ」という極端なまでの解釈をしてしまうまでに至った。
なお、劇中の描写で見る限り、想子や父親の身に起きた悲劇に関しては、山之内は全くの無関係である。
その後、山之内の遺産を巡る暗号ゲームにおいて、暗号の解読をエサに5人の有資格者の中の一人に取り入って分け前を得ようと考えた事で
父のアイディアノートの内容からヒントを得て、一や5人の有資格者達を出し抜く形で真っ先に暗号を解き、
『TOKEI』という答えから時計台の文字盤付近に遺書が隠されている事実を突き止める。
そして手に入れた第2の遺書には…
「私 山之内恒聖の出題した暗号の謎を解き明かし、
この第2の遺書の在りかを突き止めた人間こそが我が遺産を手にする事になる。
相続資格は5名の資格者 神明忠治 梅園薫 幽月来夢 宝田光三 犬飼高志に限られる。
ただし、暗号解読の期限になった時点で、これら5名の有資格者が一人も館にいなかった場合は、
資格者に限らず暗号解読者本人に譲るものとする。」
と記されており、「候補者5人が死ねば、自分にも遺産を得る権利が得られる」と解釈した桐江は、遺産目当てに突発的な殺人衝動を起こしてしまう。
しかし、時計台で遺書を盗み見るのに夢中になった結果、急な雨に降られた事で窓際の人形がびしょ濡れになってしまい、
「濡れた人形を放置すれば、『窓が開いていた=誰かが時計台に近付いたこと』がバレてしまい、暗号解読における決定的なヒントになってしまう」
「かといって人形を処分してしまうと、『候補者が全員死んだ後、偶然暗号が解けたと主張して遺産を手に入れる』という計画が成立しなくなってしまう」
という状況を切り抜ける為、「暗号の『前から順に首を刈られた』という内容に因んで、担当楽器が一致する人形が乾ききった順(人形が小さい順)に候補者を殺し、
死体の側に乾ききった人形を置く」という見立て殺人を行っていた。
ただし、最初に殺害した神明の場合は、まだ人形が濡れたばかりの状態で本人にそれがバレてしまった事で、慌てて殺害した為、
イワンの人形が濡れたままである事実を隠す為に、止む無くお湯の溜まったバスタブの中に人形を投げ込んでいた。
が、他の人形は、該当する人間を殺す度に窓際に置いていた為、一や犬飼には不自然に思われていたようである。
密室トリックに関しても、その手記に記された屋敷の仕掛けを利用した急場しのぎに過ぎない為、お世辞にも緻密な犯行とは言えない有様で、
事件後に警察が徹底的に調べれば、トリックの全容はいずれ解明されてしまっていた可能性が高い(特に明智警視あたりに…)。
更に言ってしまえば、殺人事件の起きた露西亜館自体が、湖畔に囲まれてボートが無いと外に行き来出来ないという、言わば「巨大な密室」であった為、
外部からの侵入は有り得ず、自分も含めて事件に関わった全員が容疑者から外れるのは不可能にもなっていた。
梅園、犬飼が図らずも死亡したことを機に、計画通り偶然を装って「暗号文が解けた」と告白し、遺書の在り処を突き止めるが、
その遺書は真犯人を突き止めるために、すでに暗号を解いていた一と高遠がグルになって用意した偽物。
犬飼による梅園殺害、高遠の犬飼殺害も全て狂言であり、桐江を追い詰めるための一たちの罠であった。
密室トリックを解き明かされた上、各部屋の仕掛けを確認した際にビデオカメラに映った、
「人形の側の電気スタンドの傘が、現在桐江の部屋にあるものと入れ替わっている(人形と同じく濡らしてしまったため交換した)」
という証拠も付きつけられ、犯行が明るみになった。
「言っとくけどあたしはね、こう見えてもあんたらなんかよりずっと修羅場くぐってんのよ!」
「たかが金のために何で人殺しなんか…」と問う一に対しては、「そう言えるのは苦労知らずのスネかじりだから」だと言い返し、
生きるには金が何よりも第一だと吠えた。
「とうの昔に落としてしまった大金の詰まった財布を――思いもよらない場所で偶然見つけたとしたらあなたならどうする?」
「拾うでしょ?当然!」
「他に手を伸ばそうとしている連中を――押し退けてでも…ね!」
告発され自殺しようとしたが、高遠が「一が先に事件の謎を解けば犯人の命は助ける」という約束を果たしたことで救われた。
しかし、人生を一発逆転する一世一代の計画が水泡と消え、生きる意味を失った彼女にとってそれは残酷な仕打ちにしかならず、ただ泣き崩れていた…。
その後は逮捕されるも、「自殺の可能性がある」とみなされ逮捕直後は厳重警戒されていた。
金田一シリーズにおける女性加害者の多くは、怨恨(主に恋愛絡み)による犯行動機が多いものの、彼女の場合は
「自分が相続するはずだった遺産を奪い返すため」という極めて身勝手な動機である。それに加え、そのあまりの豹変ぶりに驚愕したファンも多いはず。
直情的な面が目立つが、連続殺人事件が発生して警戒する高遠の目を掻い潜って彼の友人を殺した挙げ句、濡れ衣まで着せたという点では策士と言えるかもしれない。
- 桐江純一郎
演:ラサール石井
想子の父。主にロシアの美術品を扱う貿易商で、露西亜館の前の持ち主。
元・作家志望で学生時代からトリックノートを書き溜めており、いつか自分の推理小説を世に出すのが夢だった。
山之内とは大学時代のミステリー研究会での友人同士であったが、親の仕事を引き継ぐ形で何不自由無い裕福な生活を送っていた上に、
ミステリー作家としても優れた発想力まで持っていた為か、身寄りの無い貧しい人生を送っていた彼から内心嫉妬されていた模様。
想子がまだ10歳にも満たない頃に、仕事先のヨーロッパでの事故により急死。
死後、会社は色々な人の裏切りにより傾き、娘にもろくに財産は渡らなかった。
その上自分の作った暗号で娘が殺人を犯してしまったとても可哀想な人。
なお、純一郎を演したラサール石井は『お笑い金田一少年の事件簿』以来の出演である*8。
こうして 霧の立ち込める奇怪な露西亜館を舞台にして起きた連続殺人は
晴れゆく霧と共に終わりを告げた
―――だが俺の心には、ひと握りの晴れない疑問がわだかまり続けていた………
人格者の仮面の下に隠された山之内恒聖という男の底知れぬ悪意を垣間見る事になったのは
それからまもなくのことだった……
- 山之内恒聖
この事件を背後で操っていた真の指揮者。
桐江の父・純一郎とは、大学時代にミステリー研究会の友人であった。若い頃は生活に困窮していたのか、桐江の父にたびたび金を借りに来ていた。
純一郎に小説のアイディアを見せられ相談された際は、裕福な彼への嫉妬心からか「面白いが、小説にはとてもならない」と言いつつ、彼の死後にそのアイディアを盗用し、巨万の富と名声を得た。まあ売れない作家の山之内一人にこんなことを言われただけで若かりし頃からの悲願を即座に諦める純一郎も純一郎だが。
トリックノートの入手経緯は不明だが、純一郎を裏切った者達からすれば、大して価値の無い物でしか無かったと思われるため、
おそらくは彼の死後に「大学時代のミステリー研究会の友人の遺品」として難無く手に入れたのだと思われる。
また、トリックのアイデアは盗んだもので犬飼からは「文章は平凡」と評されているものの、
想子が考えている様にトリックだけで面白いストーリーが書ける程ミステリー小説はそんな甘い物では無く、
また、執筆に純一郎が直接関わっていないので、
登場人物達の心理描写やプロットに関しては間違いなく作者である山之内本人の物であり、
作家としては確かな実力があったと思われる。
また、「ミステリー小説のトリックのアイデアを作者以外の人間が考案する」というのは別に珍しい事でもなく、
考案者本人が裁判等で訴えない限りは「違法」扱いされる事も基本的に無いので、
想子の山之内に関する恨みは、結局の所は「嫉妬による逆恨み」になってしまうと言える。
作家志望と偽って近づいてきた想子の正体については知っており、彼女の自身への憎しみと並外れた金への執着を見抜いていた山之内は、
それを利用して金に目が眩んだ想子に、自分が憎んでいた5人の人物を殺させるという目的をもって暗号ゲームという名目で殺人計画を考案した。
高遠や幽月の推測や神明の言う通り、本来は我儘で自分の想い通りにならない相手を裏工作で潰す醜悪な性格の人物であり、
自らがアイディアの盗用(「だけ」というのは前述通り間違いだが…)で成り上がった身でありながら、トリックのネタバレや盗作、果ては犬がうるさかったという理由だけで他者に殺意を抱いていた。
そんな山之内は、未発表の小説『露西亜館 新たなる殺人』の原稿を書き残しており、その内容は今回の事件の流れとほぼ同じであった。
物語では、暗号解読によって遺産相続が出来ると持ち掛けられた弦楽器で演奏する5人の素人楽団のメンバーが、醜い争いを繰り広げた挙句に連続殺人まで起き、
事件の犯人は死んだ作家の元で働いていたメイドの少女「片桐(かたぎり)」と、桐江想子を連想させる名前であった*9。
しかもこの小説、最初から事件発生後に存在が明らかになる事を計算した上で書いた物であるらしく、山之内は暗号解読レースが行われている間に、
代理人を通して文芸常談編集部に届くよう仕向けていた。
その結果、事件が伝わった編集部では、その話題性抜群の遺作を「速攻で掲載を決定した」といつきは語っている。
つまり、仮に桐江が殺人を完了させて遺産を手にしても、この小説の内容が世に出てしまえば、内容の符合から警察に疑惑の目を向けられ、
捜査の末に真相が明るみに出る可能性も高かったと思われる*10。
更に、山之内の遺した第2の遺書の内容には、殺人を犯した想子にとって「落とし穴」と言える部分もあった。
遺書には「暗号解読の期限になった時点で、5名の有資格者が一人も館にいなかった場合は、資格者に限らず暗号解読者本人に譲るものとする。」と記載されていたが、
それはあくまでも「5名の有資格者が一人も露西亜館にいない」…つまりは「暗号解読レースにおいて有資格者が全員『不在』…あるいは『不参加』であった」という
極めて特殊な状況下においてのみ適用される物となっていると言えなくもなかったのである。
しかし、実際には5人の有資格者は全員暗号解読ゲームに『参加』すべく『露西亜館に滞在』しており、
例え想子に殺されて有資格者が全員『死体』になってしまっても、『有資格者が期限までに露西亜館にいる』と言う事実は変わらない事になり、
その候補者を標的とした殺人事件までもが起きてしまった以上、暗号解読に成功したとしても、遺書の内容通りに遺産を得る権利が認められるかどうかは微妙であった。
仮に想子が裁判を起こして自分が遺産を得る権利を主張したとしても、莫大な遺産の所有権が掛かっている以上は、裁判の長期化は避けられないものとなり、
また、裁判自体の費用もとんでもない額になると思われるので、その日暮らすだけで精一杯の想子ではどの道無理であったと思われる。
山之内がこれらの事実も見越して第2の遺書を記したのだとすれば、恐ろしいまでに狡猾な策略だったと言わざるを得ないだろう。
事故で死亡した桐江の父のアイディアを盗んだ事を最後まで隠し通した上、自分には何の影響も無く桐江を利用して憎んでいた人物を殺して貰えた点を考えると、ある意味山之内は完全犯罪を成し遂げた人物といえなくもない。
(ただし、金田一らの活躍で計画が狂って犬飼と梅園が生き残ったのでそういう意味では完全ではないが)
また、事件を仕組んだのは確かに山之内であるが、だからといって遺書の内容に乗せられて自らの意志で殺人を犯した想子の罪が許されないのも事実であり、
全てを死んだ山之内のせいにしてしまうのも無理があると言えるだろう。
この事実は恐らく後で桐江にも伝わると思われ、ただでさえ事件後に精神が崩壊する位にキャラ変した彼女が、
山之内に利用されていたという事実を知ったら、一体どういう反応をしただろうか……。
- 神明忠治
元から舌鋒鋭い評論家ではあったが、山之内が文学賞候補に選ばれた際、一人だけ批判して落選に追い込んだ結果、殺意を持たれていた。
作中での傍若無人な振る舞いから読者にもいい印象の無い人物ではあるが、この動機について言えばただ審査員としての仕事をしただけのことであり、
私情を持ち込んで故意に落選させた訳ではないのでかなり理不尽な恨まれ方である。
…とは言うものの、神明は元から山之内の本性を知っており、その言動からも彼は彼で山之内を個人的に憎んでいたのは明らかである為、
自分だけ批判して文学賞候補を落選させたのも、実は公私混同で行った可能性も否定出来ない*11。
死体がバスタブに沈められたのは、初日で人形が乾き切ってなかったため。
元々殺害順が一番だった上、桐江が回収する前に人形に触れ、濡れていることを知ってしまったため真っ先に殺されることとなった。
- 宝田光二
原稿の取り立てが厳しくしつこいことで疎ましく思われており、山之内から憎しみを向けられていた。だがそれもただ編集者としての仕事をしただけの事である。
人のネガティブな噂話を語りたがるという、実は陰湿な性格と思われる描写もあったが、動機としては「かなり弱い」
病床の妻がどうなったのかについては触れられていない。
ちなみに、宝田(ドラマ版では神明も一緒だった)はホステスとしてバーで働いていた頃の想子と一度顔を合わせていたが、露西亜館での反応から同一人物とは気づいていなかった模様。
- 幽月来夢
彼女自身の想像通り、前述したトリックの挿絵事件で山之内の怒りを買ってしまっていた。
密室トリックは、屋敷のキーリングの構造を利用し、キーストッカーからリングを取り外す事なく簡単に鍵だけを取ることが出来たため。
梅園の死体の胴体部分と思われていたのは彼女の死体である。これは高遠が真犯人を確実に騙すために敢えて実行している。
良識を持った人間ならまずやらないため、真犯人も死体の再利用には全く気付かなかった。
植物状態の弟がどうなったのかについては触れられていないが、恩のある高遠が何らかのフォローを行っている可能性もある。
人気キャラであり、殺害された理由自体も「非はあるが殺される程ではない理不尽」なので同情もできるが、
凶悪な犯罪者である高遠の逃亡を助けているという点では彼女もれっきとした犯罪者である。
また、山之内の励ましのメッセージの内容や結果的に間違っていない評価とはいえ、一応表向きは自分の挿絵事件におけるやらかしを許す事にした山之内に対し、本人が死んだのを良い事に一や想子、田代の前で酷い悪口をネチネチ言う等、幽月も幽月で結構陰険な面を覗かせている為、挿絵事件に関しても本当は反省なんてしていないのではないかと伺わせてしまう。山之内も内心それに気づいていたから、幽月を候補者(標的)の一人にしたのではないだろうか?
ドラマ版でも、高遠に剣持を負傷させるよう指示するエゴイスティックぶりを見せており、やはり同情はできない。
- 梅園薫
前述の死は鏡を利用した(『オペラ座館・新たなる殺人』、そして後の作品である『高遠少年の事件簿』と同じ)トリックで生首に見えるよう偽装していた。
前述の様に首なしの胴体は幽月の死体の再利用。
死の演技は見事であった。
生前の山之内と愛人関係にあった際、彼の作品を盗作し、賞を受賞したため彼から殺意を向けられていた。
五人の中では比較的恨みに正当性があるが、そもそもが盗作作家である山之内に彼女を恨む資格はない。
彼女と担当楽器の一致する人形は幽月のものとサイズが同じであり、違いは人形の着ている服が乾きにくい冬服であったことだけ。
そのため、殺害順が人形が乾いた順であったことを知った際には、一歩間違えば幽月ではなく自分が殺されていたことに気付いて怯えていた。
ドラマ版で上記の鏡を使ったトリックでは、高遠、梅園、そして犬飼の代役の佐木が楽しそうに準備をしているシーンとして描かれており、無邪気に準備をする高遠の姿は、原作の冷酷なイメージとかけ離れたシュールなものとなっている。
- 犬飼高志
梅園の殺害と、高遠による制裁は演技。
高遠が彼を刺すのに使ったのは所謂マジックナイフで彼は傷一つ負っていない。
山之内とは一見親しい隣人関係を築いていたが、彼の自宅で飼っている猟犬の鳴き声で殺意を抱かれていた。
犬の鳴き声ごときでと思うかもしれないが、そういった騒音が原因でノイローゼになって心身共に病むケースも実際にある上、現実でも隣人の騒音トラブルで殺人事件も起きている様に、この問題は少々捨てがたい点もある。
高遠は「作家である山之内が本当に殺したかったのは、その様な犬の鳴き声のトラブルを抱えていた犬飼だったのでは」と語っている。
事件中は一に対抗意識を向けるなど、印象はあまり良くなかったが、根は案外イイ奴である。
桐江を密かに想っていたが、最悪の形で裏切られることになった。しかし、それでも未だに思う所があるのか、
「父親のトリックノートを彼女が出所した時に*12届けたい」と語っている。
あくまで一の推測に過ぎないが、桐江が彼まで殺す気があったかどうかは不明確であり、
「もしも彼女が犬飼の好意に気付いていて、なおかつそれに応える気があったのなら、全員を殺す以外の選択肢も考えていたかもしれない」としている。
第1バイオリンの犬飼はこの事件の流れ的に一番最後のターゲットであり、もし桐江が犬飼の好意を知った上で彼のことを憎からず思っていたなら、
「犬飼だけは生かした上で、彼にさりげなくヒントを与えて遺産を手に入れさせ、悠々と妻の座に収まる」という選択肢も十分魅力的に映っただろう。
ただし桐江の境遇、犯人発覚後の態度、桐江の行動を見透かした山之内のシナリオから考えると、
一の意見は非常に希望的な観測だと言わざるを得ないが…。
最後、一とは「またいつか会おう!」と言い合って別れた。いずれ、再登場の可能性もあるかも…?
- 有頭大介
真犯人を嵌めるための一の作った偽遺書を読み上げ、図らずも一に代わって犯人の告発を担当した。
- 田代富士夫
彼自身は山之内の遺産後継者候補に選ばれなかった事を不満に思っていたが、事件の真相や仕掛けのない部屋を当てがわれていた事実を考えると、
彼は「山之内にとって憎しみや猜疑心の対象ではなかった数少ない存在」だったのではないか、と読者に思わせる。
- 金田一一
高遠との勝負に負けたと見せかけ、一時的共闘で真犯人を嵌めて告発へと導いた。
とはいっても、推理が外れると殺る気マンマンだった高遠を警戒していた。
そして、犯人の自殺を阻止した高遠の桐江への同情心を見抜き複雑な感情を抱いた様子。
しかし、いつきから渡された山之内の遺作と高遠からの暴露によって「ひと握りの晴れない疑問」の正体を知り驚愕する。
それを面白がる高遠に食って掛かるが、「君と私は決して交わらない平行線」と言い放った高遠は姿を消してしまう。
そんな宿敵、高遠に屈辱を感じながら改めて彼を相容れない存在と断じ、一は声を絞り上げる。
『ジッチャンの名』にかけて、ではなく…
「そうやってお前が鼻高々に「芸術犯罪」とやらを俺に振りかざしてくる気なら…俺は「推理」でそいつを叩き切ってやる!俺自身の…誇りにかけて!!」
犯人をハメる芝居では素の演技を披露する。血のりの様なものの付いたナイフを舐めながら一を手にかけようとする姿はガチで恐い。
しかし直後の真犯人の「親から自身に受け継がれたはずの物を求めた*13」という境遇に自身と似たものを感じたのか、
同情を示し、前述したように真犯人の命を救って、励ましの様な言葉を残した。
また、協力者だった幽月の遺体の目をそっと閉じさせてやる場面や、幽月の変わり果てた姿を見て衝撃を受ける場面もあり、
今までとは違った面が見られた。
一方で一に対して桐江が悪あがきをした時に弄んでいたナイフは、「犬飼殺し」で使われたものとは別のナイフであり本物の可能性もある。
展開や桐江の態度次第では、躊躇なく制裁を加えた可能性もある辺り、やはり殺人鬼である。
事件後に一の前に現れて事件の被害者たちの黒い素顔、そして山之内の正体についてを彼に話し、ショックを受ける彼を嘲笑い、
自身と一の関係を象徴する言葉、「平行線」の例えを話しながら宣戦布告をして去っていった。
今回に関しては作者側も(恐らく、一が「晴れない疑惑」の向こう側の真相にまでは辿り着けなかったと言う意味で)、
「今回は全体的にみて高遠の勝ちだった。」と評価している。
なお、この時に高遠が犬飼の騒音に対する山之内の殺意を例えた、「ピアノの音がうるさいだけで隣人を殺してしまうという事も、あり得ない話ではない」というくだりは現実にあった事件や「ピアノ騒音殺人事件」が元になっている*14。
高遠が事件に黒幕として関わらなかった初の事件で、彼が金田一と再び協力体制を築くのはまた先の話になる。
ドラマ版では上述通りやたら楽しそうにトリックの準備をしていたが、まぁ逃亡生活中はクローズアップ・マジックばっかで大掛かりな装置使ったマジックやれてなさそうだしね。
【謎解きについて】
今回のメイントリックは頭の中で証拠から論理を組み立てていくタイプではなく、直感的なひらめきが要求される。
そのため、わかる人はすぐにわかってしまうが、そうでない人は難しく考えすぎてドツボに嵌るという状況に陥ったようである。
…しかし、人形は五体しかないんだから、「首を並べる=名前の頭文字の組み換え」とわかった時点で総当たりすれば暗号はすぐ解けた可能性が高い*15。
全部やっても120通りしかないんだから、カタカナ、ローマ字の並べ変えを試す事に、大して時間も掛からなかっただろう。
「時計」にさえたどり着けば、残りの「数合わせ」「楽しいリズム」から、
「時計台で鐘の鳴る時間に何かが起こる」と読み解くのもさほど難しくないと思われる。
◇原作との違い
【ドラマ版】
- 剣持警部が同行する。
- いつきは登場しない。
- 有頭が登場せず、代わりに田代がその役割を担う。
- 犬飼は登場せず佐木がポジションを担い、宝田の代わりに依頼人に。中盤高遠に協力し、思わぬ行動に出る。
- 山之内の遺産の総額が50億円とはっきり提示されている。
- 候補者5人が素人楽団を組んでいたという設定はなくなり、それぞれ好きな楽器を選んでいる。ただし、選ぶ楽器は原作と同じ。
- 神明は桐江にセクハラをしない。また桐江に対する呼び方を「想子ちゃん」に変更。
- 山之内の第二のメッセージで怒った神明は、「夕食はいらん!!」と言っている(原作では「部屋の前にでも置いておけ!!」と言っていた)。
- 高遠が中盤まで部屋に引っ込んでおり、ローゼスの偽名も使っていない。
- 原作ではセリフのみ語られた候補者5人のそれぞれの事情が映像で描写される。
- 神明の検死を行うのは剣持警部。原作のように専門外の有頭が行うよりもこちらの方がまとも。
- 宝田は殺される前に、原作では布団をかけて寝ていたが、ドラマ版ではベッドに腰掛けた瞬間そのまま眠りに落ちている。
- 田代の部屋に英字の文章が隠されており、明かりを照らすと表示される。
- 幽月の火傷は顔の右側ではなく左足首のほうにある。
- 幽月の死体は首を斬られない。
- 全員の部屋に仕掛けがないか確認する際、美雪は撃たれた剣持警部を見張るため同行しない。その為美雪の部屋にあるマジックミラーの存在を美雪は知らない。また、マジックミラーのカーテンは一の部屋の側についている。
- 幽月の部屋にはワインセラーではなく甲冑が置いてある。
- 原作・アニメ版では高遠が自ら申し出てキーストッカーの鍵を預かっているが、ドラマ版では剣持警部がコンダクターは高遠だと睨み外へ出られないよう封鎖したうえで彼にキーストッカーの鍵を預かるよう頼んでいる。
- 美雪と一のガラス越しのキスは唇ではなくほっぺ。
- 一がココアに睡眠薬を入れないトリックを解いて晴らすのはローゼス(高遠)ではなく佐木の無実。
- 桐江が暗号の謎を解く場面がカットされ、一が推理中に解説している。
- 純一郎は山之内を「先輩」と呼び、彼に敬語を使っている。
- 幽月殺害トリック解明のタイミングを物的証拠解明前に変更。
- 桐江の自殺を高遠が唆すが、彼の「気まぐれ」で助けられる。その為、「彼女に過去の自分を重ねたため助けた」という理由はカットされている。
- 山之内の未発表作品「露西亜館新たなる殺人」の原稿は剣持警部から渡される。
- 事件後一と高遠が対面する場所を公園から港に変更。
- 高遠は山之内が向けていた候補者への殺意を佐木のみ語っている。
- 一が「オレ自身の誇りにかけて」と誓うことが、「人間には心の闇に打ち勝つ力があると自分は信じる」ということになっている。
【アニメ版】
- 序盤の高遠遙一の人形劇や、幽月来夢との対面のシーンはカット。
- 宝田のいつきに対する呼び方を「いつきさん」から「いつきくん」に変更。
- 金田一がセクハラをはたらいた神明に瓶を直接ぶつけていない。
- 山之内の第2のメッセージはカット。
- 死体の首が切断されない。
- 有頭の部屋に仕掛けがない。
- 剣持と明智が登場しない。
- 犬飼が桐江に好意を寄せている明確な描写がなく*16、ラストシーンもカット。
- 高遠が山之内の候補者へ向けた殺意を語る時、山之内の顔(高遠の想像)が怒りに満ちている。
- 山之内の未発表作品「露西亜館新たなる殺人」の内容は、一の口から「今回の事件そのまま」と語られるだけで詳細については語られない。
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さあ次は追記修正
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- 反対意見もなかったようなので、コメント欄のリセットを行いました。(2回目) -- 名無しさん (2015-06-05 22:17:45)
- この事件の単行本の下巻で「天才と呼ばれた人物の血を色濃くひく二人。悪しき縁に決着をつける日は近い!」みたいなことが書かれていた。それから約15年、決着はついてなかったぜ。 -- 名無しさん (2015-06-19 22:16:28)
- ↑決死行で1回ついたからそれで見逃してあげよう。 -- 名無しさん (2015-07-13 14:09:58)
- 当時はともかく今だと「犬がうるさい隣人に殺意」は共感されやすい気がする。ご近所問題の深刻さが認知されてきてるし、他のご近所も迷惑してたし、犬のうるささは飼い主の躾のせいだし -- 名無しさん (2015-08-01 12:58:02)
- 遠野さん、こっちです。 -- 名無しさん (2015-08-05 13:26:18)
- アニメ版では明智や剣持は顔出さなかった事は誰も触れないのか? -- 名無しさん (2015-08-09 19:58:13)
- お金にとことんまで苦労したうえで、「巨額の財産の元になったのが自分の父親の遺したものだった」「それが自分には一銭も入らない」ことを知ればなんとしても欲しくなったとしても仕方ない面はある。 …まぁ、解答が分かってたなら記事中にもある通り、犬飼あたりに近づいてそれとなく教えて山分けすればよかったんだろうが… -- 名無しさん (2015-08-28 21:49:48)
- 高遠様がカッコイイ話o(^o^)o -- 名無しさん (2015-09-03 19:44:58)
- 完全犯罪を防げたことが数少ない救いだな。 -- 名無しさん (2015-09-25 19:54:16)
- 金田一少年の事件簿に限らず、全漫画の女性キャラの中で好きなキャラを一人挙げろと言われたらジョジョのリサリサかここの幽月さんかで迷うぐらい幽月さんが好き。故に、想子と山之内許さない! -- KWG (2015-09-29 00:20:35)
- 記事でも言われているが「山之内の財産は本来なら自分が得られる物だった」と思ってしまった以上、誰かのおこぼれをもらうなんて論外だったのだろう。彼女の父は死後いろんな人に(山之内含む)裏切られてるし、どん底の半生からして人なんて信用できなくなったのかもしれない。 -- 名無しさん (2015-09-29 11:14:40)
- 金田一の中でも後味の悪さが折り紙つきで好きだな。山之内恒聖の底知れない悪意が怪物じみてる -- 名無しさん (2015-10-27 16:30:01)
- 山之内恒聖はある意味金田一に勝利した唯一の犯罪者なのかも知れない -- 名無しさん (2015-10-29 02:43:04)
- 田代さんは自分が相続候補に上がってないことに若干不満抱いてたっぽいが、山之内の計画を考えたらむしろ候補にあげられなくて結果オーライだったよな。万が一名前があげられたら、間違いなく桐江は田代さんも頃してたはず… -- 名無しさん (2015-11-22 11:44:44)
- 金に飢えた犯人は、ネタバレだが、『ダンガンロンパ霧切』に登場している。 -- 名無しさん (2015-11-23 17:16:48)
- ↑3 全員が死んだわけではないので、勝ったわけではない。只、一なら「犯罪に勝ち負けなんてないんだ」と言うだろうけど。 -- 名無しさん (2015-11-29 11:10:25)
- 正直高遠が桐江に同情したって話は「作者的には」そうしたつもりなんだろうけど、読んでる側としては釈然としないな。 -- 名無しさん (2015-12-01 05:38:23)
- 幽月さんってどうして高遠の逃亡生活を手助けしてたんだろ? -- 名無しさん (2015-12-04 23:56:26)
- 今、最新話に出てる覆面作家ペルソナドールが「仏蘭西人形殺人事件」という映画にもなったミステリを書いてたが、自分の「露西亜人形殺人事件」とごっちゃにされる。って理由で憎んだりしないだろうな。と少し思ってしまった。 -- 名無しさん (2015-12-16 01:42:58)
- 山之内恒聖って金田一の登場人物で一番邪悪じゃねえか? -- 名無しさん (2015-12-16 20:20:42)
- 表面上だけでも人格者だったぶん多間木とかよりはマシだろ -- 名無しさん (2016-01-11 22:31:39)
- ↑2 自分は同意。多間木や左近寺や蒲生は、糞野郎だけど残酷なる死の制裁を受けた。椿原は、もしかしたら今後の人生で報いを受ける可能性あり。ところが、山之内は、報いを受けることなく世間的には善人のまま病死、というのが個人的には許せない。次点で、飛騨からくり屋敷の綾子が許せない。 -- 名無しさん (2016-01-13 18:34:30)
- 山之内と違い生きたまま完全犯罪を成し遂げた(逮捕できなかった)犯人は、私の知る限り「ポセイドンの罰」の斎藤久志しかいない。 -- 名無しさん (2016-01-29 19:13:28)
- 犯人が自分と似た境遇だったら許しちゃう高遠笑っちゃうわ -- 名無しさん (2016-02-24 03:13:33)
- 桐江は転落極貧生活歩んできたから、苦労した事ない同世代に「たかが金くらい」って言われて激怒するのは分かるけど、殺人を正当化する理由にはならないし、タチの悪い逆ギレでしかない。まして幽月達が桐江を不幸に追いやったわけでもないし、私利私欲のために直接的な恨みのない人間を殺して首まで切った挙げ句、自分の不幸を言い訳に逆ギレとか屑すぎる。 -- 名無しさん (2016-02-29 04:59:32)
- 高遠が桐江を助けたのは生きてた方が苦しみそうだからじゃね。 -- 名無しさん (2016-04-13 23:07:22)
- 高遠に敗北という点を鑑みれば同情して助けたという一の推理は外れだろうな。トリックパクリに関して高遠は「母の芸術を汚された」で桐江は「本来なら私の金だったのに!」と違い過ぎる -- 名無しさん (2016-05-07 19:35:35)
- 高遠の勝ちって、おかしくない?事件発生の段階で、一が「黒幕が山之内であること」に辿り着くのは不可能。そもそも、勝負として成立してない。 -- 名無しさん (2016-06-02 22:07:48)
- 桐江の命を救ったという点では、高遠の勝ち。まぁ、高遠からすれば、同情や約束以上に、殺すより、生きたまま苦しめたほうが面白いという考えもあったのかも。 -- 名無しさん (2016-06-02 22:11:39)
- 金田一て被害者が殺されて当然の悪魔連中が多い中こういう何の非もない被害者は珍しい(不謹慎で申し訳ないが。) -- 名無しさん (2016-06-14 23:40:19)
- 実際の殺害者相手の非はなかったけど、真の黒幕の山之内相手と考えると殺される程かどうかは別として被害者達はそれぞれそれなりに非はあったけどな -- 名無しさん (2016-08-21 20:14:26)
- 人間的には神明が一番アレだけど山之内の動機は一番理不尽 -- 名無しさん (2016-09-06 17:24:49)
- 山之内の本性の知った後だと、神明先生の作品を見る目は確かだったんだろうなと思ってしまう。 -- 名無しさん (2016-10-19 11:36:43)
- 犬飼君という希望が残ってる桐江に対して、殺されたうえ首から下を再利用され犯人は高遠に助けられ植物状態の弟のフォローも無しな幽月さん -- 名無しさん (2016-11-14 17:42:40)
- ↑14 全員の抹殺は失敗したがな。 -- 名無しさん (2016-12-13 21:42:54)
- >椿原は、もしかしたら今後の人生で報いを受ける可能性あり。 でも、鏡花は事件のラストで報いを受けたよね。 -- 名無しさん (2016-12-19 20:47:45)
- ↑4。実際酔っぱらってる姿を見て宝田さんに評論を「昔のようなキレがなくなり~」となってる限り本物なんだろうな(最もその原因と推測されてる離婚は身から出たサビらしいけど)。 -- 名無しさん (2017-01-14 01:39:28)
- ↑5梅園の盗作を見抜く目はあったってことだよな -- 名無しさん (2017-02-14 22:08:25)
- 金田一で金銭トラブルが発端の事件はこれ以外にあったっけ? -- 名無しさん (2017-08-16 22:37:50)
- ↑ゲームの館とか飛驒からくり屋敷とか。自分のための金じゃないけど。 -- 名無しさん (2017-08-16 22:56:19)
- 殺意抱かれるのに(変な言い方だけど)十分差ランキングは幽月>犬飼>梅園>宝田>神明かな 神明の受賞への反論は私情かもしれんけど1人で受賞が覆るってことは内容自体は的を射たものだったんだろうし -- 名無しさん (2017-11-17 10:27:19)
- 高遠が桐江を助けたのは、真のコンダクターが山之内だと勘付いていたからかも。犬養の推理は高遠が鍵を預かるという成り行きから来たものだが、密室トリック自体は(原稿にするくらいなので)山之内が用意したに違いない。今回の事件だけでなく、後に桐江が逮捕されることすら計算していたとしたら、自殺を許すとそれこそ山之内の掌で踊っていたことになる。はじめちゃんだけだったらコンダクターに手一杯で、真の黒幕にはあしらわれていただろう(というか直接的指示を出さない以外は、高遠の殺人教唆とそう変わらない) -- 名無しさん (2017-11-29 00:49:36)
- 過去の不幸な出来事の犯人を山之内だと断定してるけど本当にそうなのか?表向きは悪いことをせずに生きてきたからこそやっかいな悪になれたと思うんだが -- 名無しさん (2018-03-13 16:26:01)
- ↑2桐江父はヨーロッパで事故死だし山之内が絡んでるのは無理があるし、作中でも言及されてないから偶然だろう。ただし神明の言うように「陰湿な手段で人を陥れ」てはいた可能性はある。例えば神明に浮気を勧めておいて妻に密告するとか、宝田にわざと失敗する株取引を持ちかけるとか。 -- 名無しさん (2018-04-04 19:26:34)
- 余談かつ有名推理小説のネタバレになるが、この作品の真の犯人は「死んだ人物の悪意」というプロットは日米の最高傑作クラスの推理小説で使われている。しかも日本のはジッチャンの事件だ。 -- 名無しさん (2018-05-01 08:39:27)
- しかし、桐江の売春まがいをしていた過去とあまりに見苦しい往生際の悪さとヤケを起こした豹変具合や暴言と三人殺害を知って、まだ彼女に想いを寄せる犬飼の心情はちょっとありえない。まあ告白と言わないまでも出所後の援助をしてやるくらいならわかるが。 -- 名無しさん (2018-05-01 09:01:26)
- もっとも、桐江の「山之内の幽霊の仕業だわ」という言い逃れは呆れられてはいたが、オカルト現象が実在している描写が点在している金田一世界では案外、画期的な言い逃れと言えない事もない、さらに言うとこの滅茶苦茶な言い逃れが実は事件の核心をついていたというのも皮肉な話し。 -- 名無しさん (2018-05-01 09:46:16)
- 遺産って生き残った相続権利者に配分されるんでしたっけ? そんな記述はなかったような・・・五人の中で謎を解いた人間にのみ相続され、その人物が居なかった場合は寄付される筈。 -- 名無しさん (2018-05-01 16:00:57)
- ミステリーとしての出来もさる事ながら、物語的にも非常に良く出来ている秀作と言える。 -- 名無しさん (2018-05-02 08:59:02)
- 高遠の犯罪者としての嗅覚が山之内が真の黒幕だと気づかせたのかもしれない。一も事件解決後まだ -- 名無しさん (2018-05-03 02:57:18)
- 何かあるとは思っていたらしいが、高遠と違って真相までにはたどり着いていなかった。あと今回の事件が公になれば山之内の腐りきった本性も公になるんじゃないかなと思うが。そうなれば死んだ後とはいえ山之内は勝ち組と言えなくなると思う。 -- 名無しさん (2018-05-03 03:00:57)
- 実写版の佐木の行動はどう考えても只では済まないだろ・・・・ -- 名無しさん (2018-05-07 22:32:04)
- 記事の内容が間違いだらけ、改定した方が良い。 ①桐江父が他殺なのは間違いない←その可能性は極めて低い。根拠もない。 ②生き残った二人に遺産が相続される←彼らは「遺産相続候補者」にすぎずそんな権利はない、寄付されるのだろう。 ➂犬飼が桐江に告白しようとしている←「彼女の出所後に父親のノートを渡したい」と言っただけ。しかも犬飼が桐江に想いを寄せていた件は作中描写としては最後の方にチラと触れられる程度の描写だった。 -- 名無しさん (2018-05-16 00:26:39)
- それと、ここでの話しではないが、高遠と幽月が親密な関係だったという考察というか妄想がファンの間に取り沙汰されていろいろ妄想創作されているが、実際は高遠が幽月に特別な事をしたのは「目を閉じさせてやった」だけで。実際は彼らの関係はかなり淡泊で高遠は幽月を守ろうともしなかったうえ、仇であった桐江の仇を討つ事はおろか罵る事すらなく桐江を許した(というか金田一との約束を優先し司法の手に委ねた)。何より幽月の死体を芝居の道具に使った所を見るとあまり彼女に想い入れがあったように見えない。六星すら若葉が解剖されるという話しを聞き感情的になったのとは大違いである。以上、漫画、アニメ、実写全て見た私の意見 -- 名無しさん (2018-05-16 00:30:54)
- ↑特別な愛情は無かっただろうが、少なくとも恩義は感じていたんじゃ?流石の高遠でも単独で逃亡続けるのは多少しんどかっただろうし。それに、二次創作にまで突っ込み入れるのは野暮ってもんだ。 -- 名無しさん (2018-05-27 06:24:14)
- 内田親子二人とも金田一で被害者役やるとはなあ。 -- 名無しさん (2018-06-12 16:18:49)
- 「俺自身の誇りにかけて!」は好きだったけど全く定着せんかったな。黒幕が高遠と判明したときくらいはこれでもよかったと思うけど、やっぱり「ジッチャンの名にかけて!」が有名過ぎるのか。 -- 名無しさん (2018-12-23 15:31:01)
- 違反コメントとそれに関わるコメントを削除しました -- 名無しさん (2019-02-10 07:40:38)
- 犯人達の事件簿だともしかしたら指揮者編と真の指揮者編の2パターンに成るのかな? -- 名無しさん (2019-03-16 18:41:03)
- ↑6高遠が他者のために他人を害そうと思ったのは魔術列車と真相がわかってないときの薔薇十字館ぐらいだしそれなりの感情はあったんでしょう。それに高遠はプライドが高く勝負事は潔い部分があるし。 -- 名無しさん (2019-04-03 03:22:44)
- やはり暴力…! -- 名無しさん (2019-04-27 21:20:03)
- 描写されなかったけど、犯人たちの事件簿時空だと高遠が桐江助けたのは「存分に金田一スキンケアできたのでその謝礼」ではないかと…。うん、この解釈だと幽月さん浮かばれねぇな -- 名無しさん (2019-05-03 12:57:58)
- 山内にあの世で勝ち逃げですねとインタビューしたら60にもならずに病死したのにどこが勝ちだって言いそう -- 名無しさん (2019-07-03 12:54:22)
- 高遠が言っていた「性悪説論者」ってなんか意味が違うような気がします。 -- 名無しさん (2019-07-23 08:28:13)
- ↑野暮だから敢えて黙ってたけど、アレ完全な誤用だよね(性悪説は人間の根本にある悪意を前提とした教育論を述べてるのであって、「人間の本質は悪意しか無い」みたいな極論は述べてない)。そもそも「性悪説論」なんて単語は存在しないだろっていうツッコミ -- 名無しさん (2019-09-06 23:09:37)
- 別に山之内を庇う気はないんだけど1人に1回否定的なこと言われただけであっさり書くの辞める桐江父も諦めるの早すぎだと思う -- 名無しさん (2020-02-12 15:04:43)
- ↑7高遠が潔かったのって初登場回と決死行の時くらいじゃないか?大抵は不出来なマリオネット(実行犯)のせいだの君がトリックを見抜けたのは偶然ヒントを目にしたおかげだのとアレコレ理由付けて負けを認めてなかったと思うんだけど -- 名無しさん (2020-02-14 00:26:29)
- 桐江に対する意見は正しいと分かっている一方で個人的には辛辣すぎるとも感じてしまう。例え一人も殺してなかったとしても山之内の遺作が発表されれば世間のバッシングに晒されそうだと思える。殺そうが殺さまいが未来が暗すぎる。そして彼女が山之内にそこまでの事をされる筋合いもないし(逆の立場ならともかく)。 -- 名無しさん (2020-06-02 22:35:33)
- 山之内は桐江の出自に気がついてるから、彼女がどうにかしてトリックノート持ち出してさらになんとかしてこれは父の物だ!山之内は盗作野郎だ!って世間に公表すれば、自分に結構ダメージが出ると考えるんじゃないかな。まあどうにかしてとなんとかしての部分がまず無理で立証難しいとも思うけど。 -- 名無しさん (2020-06-25 03:02:44)
- 山之内はトリックこそパクリだが人間観察力と人間心理描写には優れていたんだな。確かに動機とか個性的なキャラを書けなければあそこまでヒットしないかも。 ↑1ノートを持ち出すことはどうにか出来そうだけど真の持ち主は死んでるし「生前に桐江父から譲ってもらった」とでも言える。おそらく山之内は桐江の前で「私は独身だから財産を受け継ぐ人がいない」とかぼやいて桐江の興味を財産に向けさせた可能性はある -- 名無しさん (2020-06-25 07:07:46)
- 桐江パッパのあんな簡単に夢を諦めたメンタル見てると、どの道あのまま小説家になったとしてもちょっと壁にぶち当たっり出版社の人から厳しめな指摘もらっただけで潰れてたんじゃないかと思う -- 名無しさん (2020-07-18 13:45:26)
- 幽月は高遠を警察に突き出して(もちろん2人の演技で)懸賞金を得られれば露西亜館に来ることはなかった可能性あり? -- 名無しさん (2020-07-23 01:19:44)
- ↑ダンジョンほとりの宿屋の魔術師じゃないんだからw 真面目に考察すれば、友人関係?だからこそ金の無心でなく遺産相続レースの助っ人として依頼をだしたんだろうし、友人に売り飛ばされて捕まったは演技でも嫌だろ(特に金田一や明智に知られるのは) -- 名無しさん (2020-08-04 07:23:52)
- 殺された高遠の恩人の弟からしたら、高遠が犯人助けたのは「余計なことしやがって!」って感じだろうな -- 名無しさん (2020-08-10 12:09:24)
- 犯人の事件簿では、犯人のコンダクターは金田一とスカイダイビングしました....なんでだよ( 笑 。 -- 名無しさん (2020-08-10 15:24:37)
- ↑2「世話になってるお姉さん守れなかったけど犯人の命は助けるぜ!未成年だから死刑にならないかも!」…まあ植物状態だからその辺知ることはおそらく永遠にないままというのが幸いなのか不幸なのか… -- 名無しさん (2020-08-15 11:41:51)
- 小説と漫画は別物だけどネウロやコナンしかり、トリックだけでヒットするようなもんじゃない気がする -- 名無しさん (2020-11-29 23:20:03)
- 異人館村の事件を読んだ後だと物凄い皮肉を感じる動機 -- 名無しさん (2020-11-30 00:30:07)
- 山之内のやり方は確かに卑怯だけど、売れない作家に一回ダメ出しされただけで昔から積み上げてきた夢を簡単に諦めたあの親父の情けなさ見てると、別に山之内がいなくても小説家として大成しなかったんじゃないかと思えてくる -- 名無しさん (2021-01-22 14:05:09)
- 麦ママといい、金田一の金絡みの犯人は強いな。麦ママはこの事件の犯人とは比べ物にならないくらい身勝手な動機で四人殺してる。 -- 名無しさん (2021-01-23 08:27:22)
- 高遠よりも凄いジジイやんけ -- 名無しさん (2021-02-10 14:53:33)
- 山之内としても「面白いトリックだが小説にはならないよ」って一言批判しただけで簡単に夢を諦める所まで行くなんて予想外だったんじゃないかな -- 名無しさん (2021-02-12 12:15:21)
- もっと心が広いというか嫉妬を抑えられれば共作って手もあったんだろうにな。 -- 名無しさん (2021-04-05 20:06:12)
- コメント欄が長くなったので、コメント欄をログ化したいと考えています。 -- 名無しさん (2021-04-05 20:45:02)
- 山之内の手際見てると、親父のトリックは人の心理読むのに長ける山之内が使ったからこそ輝いた気がするね。桐江が「大金の詰まった財布」って例えてけど、桐江はちゃんと金にできるだけの才能やら技術あったのだろうか…。メンタルはかなり強そうだけどさ -- 名無しさん (2021-04-30 12:22:06)
- 追記されてるけど遺言書には「居ない場合」とは書いてあるけど生死は書いてないから事件の状況では遺言は不成立になるだろうね。つまり候補者たちの相続権は生きてることになり宝田さんの奥さんや犬飼くんの親や幽月さんの弟が権利を主張する可能性は十二分にある。桐江が相続できる可能性はかなり低そうだな -- 名無しさん (2021-05-12 23:39:30)
- 田代さんを相続に関わらせなかったのは惨劇に少しでも巻き込みたくないという山之内の最後の良心だったのかな? -- 名無しさん (2021-06-29 23:56:53)
- 結局遺産どうなったんだろう? -- 名無しさん (2021-09-04 09:32:11)
- 露西亜館最初のオーナーはユーリ・イワノフというロシアの高名な奇術師だったらしい。奇術師にして仕掛けだらけの建築物を好むという人物像は高遠の実の父親に重なりそうなのだが、実はまったく関係なかったとなりそうな気もする。あとはナターシャってロシア人っぽい外国人女性もいたけど。 -- 名無しさん (2021-09-11 10:43:05)
- ↑4どうかなあ。(金田一世界の法律が現実と同じかとかそういう話は置いておいて)現行法だと「相続人」じゃない「相続候補(血縁関係のない他人)」の更に親族が権利主張出来るかはかなり微妙だと思う。日本だと遺書は民法よりも優先されるけどそのぶん旨をはっきり明記しなきゃならないけど山之内の遺書にはその辺の記述が無い上に民法だと遺産相続時までに推定相続人が死亡してた場合遺言書に記載のない第三順位以下の他人に相続は発生しないから…。むしろ桐江想子の場合周りの相続人がどうこうよりも本人が「相続欠格(被相続人および自分以外の相続人を殺害した、または殺害しようとして刑に処せられた)」っていうそのものズバリの行為に該当してる方がよっぽど問題。しかも相続欠格ってのは裁判で有罪が確定した時点で自動的に決まるから告訴権者がとりなしたりそれ単独への異議申し立てはできない。つまり実刑食らった時点で詰み。 -- 名無しさん (2021-10-03 17:25:28)
- 事件はちゃんと解決させたのに金目当ての犯行、黒幕含めた純然たる人間悪など金田一が思想的には徹底的にへし折られたのが異彩を放って評価したい事件 -- 名無しさん (2021-11-19 01:36:40)
- ↑まあこのエピソードの場合、仮に桐江の動機が「父親を死に追いやった奴らへの復讐」みたいないつものパターンだったりしたらこのエピソード及び犯人の魅力値は落ちてたろうなとは思う -- 名無しさん (2021-11-19 06:09:19)
- ↑ただ利用された哀れで愚かな虚しいピエロって点も含めての悪役としての魅力だよね -- 名無しさん (2021-12-21 12:36:54)
- 犯人の父親の才能をぶんどって、自分の功績にしていたのは、「怪盗紳士の殺人」と似てるな。 -- 名無しさん (2022-03-26 23:09:56)
- 上の方で言われている「高遠は自分と似た境遇の犯人に同情した」わけでも「少なくとも作者はそう見せたかった」わけでもなくて、「あの時点でのはじめは(図らずも共闘したこともあって高遠に人間性の欠片を見出そうとしており)そう思いたかった」のであり、エピローグの高遠の発言によって「あのとき生かしたのはその裏にある人間の悪意を感じ取っていたから」だと気づいて「自分とはやはり相容れない存在だと思いなおした」ラストなのだと個人的に思うなどしている -- 名無しさん (2022-05-05 07:38:33)
- ↑あと、生かすことによって「金田一との約束を守る」という名目で一人の人間を壊すことが金田一の精神にダメージを与えられるだろう、つまりいつもの悪趣味な嫌がらせの意図もあったんじゃなかろうかって。エピローグの二人は性善説と性悪説を象徴しているように見えるが、高遠周りにもそれが出てるんじゃないかなーなんて根拠のない説を唱えてみる -- 名無しさん (2022-05-05 07:51:03)
- 山之内って盗作で成り上がったフェイク作家みたいな扱いだけど、桐江の犯行を予測した作品を残せたあたり普通に作家として有能なんじゃないかって気がする -- 名無しさん (2022-05-09 21:19:22)
- 高遠は善意であれ皮肉であれ犯人を助けたのは凄いカッコ良かったんだけど、隙を突かれて近くで幽月さん殺されてたのはオイオイ…ってなった。まあ幽月さんの目を閉じる所はいいシーンだと思うけど。 -- 名無しさん (2022-05-15 23:10:31)
- ↑2トリックがよくても作品としての「魅せ方」がなければ意味ないもんね(近宮のアイディアを奪った弟子達だって生きたマリオネットのトリックを知ってるのは4人でも再現できるのは2人だけ)。ただ人間の裏面を描くサスペンス作家としてもやっていけそうなのに人から盗んだアイディアで大いに上乗せした栄光を掴んだ山之内と、父のトリックのアイディアさえあれば私も売れっ子ミステリー作家になれたはず! という「作家なめんな」思考で富に執着する想子の滑稽さが魅力。 -- 名無しさん (2022-05-21 19:22:17)
- ほんと、良いトリックを使っただけで小説がヒットなんてありえないよな。だってこの漫画だってそうだろ?笑 まあ複数の人間で書いてる、とかならわかるけど、文章力、キャラクターの魅力、セリフの力強さとか、いろんな要素があるわけで。 -- 名無しさん (2022-07-04 17:38:26)
- パクリ作家の伏線的に山之内の文章力が評価低いのあったが、綺麗で正確な文章書けることが売れる能力とは直結しないしな -- 名無しさん (2022-07-04 17:49:55)
- ↑まあ現実でも一部のなろう小説や一昔前のケータイ小説なんかは文章力がそこまででも売れてる作品があるしな -- 名無しさん (2022-07-06 00:04:09)
- あれは典型的な売れてる作家へのアンチ評で本当にトリック以外大したことない話しか書いてないなら間違いなく大して売れてないわ -- 名無しさん (2022-07-06 07:27:03)
- 殺人事件が起こる最中で仮面で隠したような人間の悪意におびえる美雪。でもはじめは誰でも仮面はつけており、それは決して恐ろしい理由だけじゃないと美雪を諭し、そのあと鏡越しで美雪にキス…金田一シリーズ指折りの素敵なシーンなんだけど、確かこの鏡、美雪がはじめちゃんの顔をぶつけて割ったはずじゃあ…? -- 名無しさん (2022-07-16 12:25:00)
- ドラマ版の俳優陣がレジェンドばっかりで笑う -- 名無しさん (2022-07-16 12:34:31)
- 蝋人形館の犯人も犯罪計画書をもとにした推理小説で成功したけど、この世界の小説は文章や魅力的な登場人物よりトリックが全てなのか -- 名無しさん (2022-08-05 19:48:51)
- まあ文章力は本当に低いんだろう。だがそれでも売れてる作品は現実でもいくらでもあるし、そういう作品は◯◯が良い(受けた)だけと言われるのもリアルかもしれない -- 名無しさん (2022-08-05 23:23:03)
- 山之内は遺稿からして人間心理を読み解く観察眼は優れていたみたいだからそれが推理小説の中でも生々しい心理描写として上手く活きたのでは -- 名無しさん (2022-11-12 11:55:48)
- 駄目だ…。ドラマ二作目の最終話、金田一の満を持しての己の誇りを賭けての言葉を訊けた回なのに、某スピンオフのせいでもう「やはり暴力!」の回にしか見えねえ。 -- 名無しさん (2023-01-13 05:47:36)
- 俺的には結構気に入らない事件だけど評価は高いイメージ -- 名無しさん (2023-04-26 10:36:58)
#comment
*2 メイド服ではなく普通のエプロンなので家政婦と言った方が正しいか
*3 原作とは逆に高遠が犬飼の代役である佐木を疑うという流れになった。
*4 彼の好むアイテムである、「血のように赤いバラ」からきているのだろうか
*5 冒頭のセリフはその際の高遠の物である
*6 もっとも、足場がないので出るにも出られない状況ではある
*7 この事件の段階で、高遠は脱獄をしている
*8 この時は本人役を演じていた
*9 ただし実際の事件とは違って「相続人候補は全員死んだ」ということになっており、更に自身が持っていたトリックノートの内容を見ていた想子に今回の事件の真相に悟らせない為、「露西亜館 新たなる殺人」の内容は、トリックノートの内容を利用していない「山之内の完全オリジナル作品」と思われる
*10 事件自体が突発的な衝動殺人であるため、一度警察に明確な疑惑を持たれたら、全ての証拠を隠蔽して逃げ切るのは難しいだろう
*11 この為か、アニメ版では自業自得の印象を薄くする為か、「山之内の作品を何度と無く批判した」程度に治められており、文学賞の落選にまでは追い込んでいない模様。
*12 未成年なので、態度次第で出所もありえる
*13 高遠の物と比較すると、身勝手さに大分差があるが
*14 こちらの事件は厳密には「隣人」ではないが
*15 事実、佐木(ドラマ版では美雪)が「名前の頭文字の並び変えは真っ先に思いついた(が、分からなかった)」と解決編で語っている
*16 意味ありげに視線を向けて気にするなど、何か含むものがある程度の描写はある
コメント
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もう惨めな思いはしなくてすむという強迫観念に取り憑かれると豹変してしまうんだな。スラムでもパン一個のために人を殺すっていうしな。
ただただ、哀れな犯人だった。お金がなければ幸せになれないという女性の成れの果てがこれか。
麻生もただ邪魔だから殺したというエゴの塊だったもんな。
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