登録日:2017/03/20 Mon 14:49:00
更新日:2024/02/06 Tue 10:44:10NEW!
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鬼滅の刃 鬼 鬼舞辻無惨 変幻自在 始祖 ラスボス 自信過剰 理不尽 所要時間60分以上の項目 外道 災厄 身勝手 自己愛 不条理 癇癪 狡猾 関俊彦 純粋悪 自己中 自己中心的 極悪人 極悪非道 邪悪 エゴイスト 残忍 残虐 殺戮 自業自得 因果応報 コメント欄ログ化項目 改心 存在してはいけない生き物 絶対悪 人類の敵 生きている者の敵 ド外道 腐れ外道 無様曝してもひたすら生き抜いた男 清々しいまでの外道 全部こいつのせい いともたやすく行われるえげつない行為 まさに外道 小物界の大物 逃亡系ラスボス クソ上司 自己中の極み 滅ぶべき存在 パワハラ上司 ブラック上司 共存不可能 チート 相互理解不可 パワハラ 名悪役 不死身 十二鬼月討伐数no.1 平安貴族 最強の肉体 汚いモモタロス パワハラの呼吸 死んで尚他人に不快感を味わわせる男
───その男は暴力的な生命力に満ち溢れていた───
───火山から吹き出す岩漿を彷彿とさせる男だった───
───ぐつぐつと煮え滾り全てを飲み込もうとしていた───
私には何の天罰も下っていない
何百何千という人間を殺しても私は許されている
この千年神も仏も見たことがない
鬼舞辻無惨とは、『鬼滅の刃』の登場人物の一人である。
◆プロフィール
- 身長:179cm
- 体重:75kg
- 趣味:輸入される物品、外国語、新しい機械などを学ぶ
- 死地:市街地
人間時代の名前は不明。
◆概要
1000年以上前に最初に鬼になった全ての鬼の始祖で、炭治郎の家族を惨殺した最大の宿敵。
その血は鬼を作り出す能力を持ち、鬼を増やしながら暗躍する彼との交戦記録は戦国時代に一度のみ。
鬼殺隊の(少なくとも現在の)柱でさえ接触したことが無く、炭治郎が自分の家の惨状での犯人の臭いを憶えていた為、偶然街中で探り当てた。
それ以外は殆どの情報が出回らず、炭治郎が入隊するまで「名前」と「唯一鬼を生み出せる存在」であること以外全くの謎に包まれていた。
◆外見
見た目こそ普通の人間のようだが、老若男女問わず変幻自在に姿と気配を変えられる。
初登場時の外見は小洒落た黒い洋服を着込んで白い帽子を被り、黒髪をオールバックに纏めた美青年。付いたあだ名がマイケル・ジャクソン。
後述の様にその容姿は様々に変わる。
共通してどの姿でも美形であり、色白の肌と紅梅色の瞳に猫の様に縦長な瞳孔が特徴。
なお、部下と対峙した際は女性だろうが少年だろうが元々の声なのか成人男性の声をしている。
◆人物像
間違った意味の天上天下唯我独尊を体現した、究極ともいえるエゴイスト。
己が生きながらえる事以外に何の執着も示さず、「変化」を劣化と捉えて忌み嫌い、完璧な状態で永遠に変わらない「不変」を好む。
息をするように人を殺し、あるいは鬼に変え、「死ねば終わり」という理屈から殺してきた犠牲者を一切記憶せず、何の感慨も抱かない。
自分が成した全ての悪行を「天災」「自然の摂理」と称して「自分こそがこの世の道理」であると罪の意識を微塵も持たない生粋の冷血漢。
- 罪のない人間を自分の欲望の為に犠牲にして一切顧みない
- 鬼化した際に発生する極度の飢餓状態を伝えていなかった上に鬼の食人衝動に負けて家族を殺してしまった相手には「逆恨みも甚だしい」「家族を手に掛けたのはお前自身だから私は微塵も悪くない(意訳)」と主張
- 犠牲者の敵討ちを願って戦う鬼殺隊を「異常者」と評し、自分は被害者であると心の底から信じて辟易する
- 鬼に家族や仲間を殺された相手に「死んだ人間はもう生き返らないのだから、死んだ人間の事など忘れて日々を慎ましく生きればいい。人間とはそういうものなのに何故しない?(要約)」と真顔で言い放ち、復讐のために戦う鬼殺隊を批判する
などその畜生発言にはいとまがない。
作者によれば人間的感性の持ち合わせがないため共感能力が著しく欠如しており、「人間というより昆虫に近いのかもしれない」とのこと*1。
そういった言動の数々から最終決戦で対面した炭治郎は「存在してはいけない生き物」「腹の底まで厭悪が渦を巻く」と嫌悪した。
元側近として無惨を知る珠世には「臆病者」「いつもなにかに怯えている」「死ねば良かったのに!!生き汚い男!!」と罵倒した。
作中でも屈指の愛情と優しさを持つこの二人からの評価が全てを物語っている。
おまけに読者からは総じて「無惨様のパワハラ」と呼ばれるほどの徹底的な実力・結果・成果至上主義者。
時には配下の鬼をおだてて忠誠を得ようとするが、自身を慕う部下であろうと使えなければ容赦なく使い捨てる。
鬼が徒党を組んで反逆しないように共食いの性質を与えて組織的行動させず、自分の名前を少しでも喋ったり情報を漏らそうとすれば自動的にその鬼を抹殺する仕組みまで用意している。*2
その基準はその時の無惨自身が納得できるか否かであり、最強の手駒であろうと、どれだけ頑張っても、ある程度の成果を挙げたとしても、そんな事は関係ない。
成長に伸び悩んだり、地位に胡坐をかいて努力を怠ったり、自分の求める成果を上げられなければ平然とパワハラ会議で罵倒し、場合によっては惨殺する。
中には依怙贔屓お気に入りの鬼もいるが、気に入った鬼とそうでない鬼との扱いは雲泥の差*3。ただし実力至上主義の根本は変わっておらず、階級の優遇等はしない。
ガイドブックによればこれでも1000年以上かけて落ち着いたらしく、人間時代は妻を5人ほど娶りながらも、毒舌でいびり倒して全員自殺に追い込んでいる。
人間の負の心理を読むことに長けた酷たらしいほどの毒舌家であったとの話だが、劇中以上の酷さとなるとまさに想像を絶していたのだろう。
【鬼舞辻無惨オリジン】
わかるのである 日光に当たれば死ぬのだと
人の血肉を欲するのは 人を喰えば解決するため無惨にとって大した問題ではなかったが
昼間の内行動が制限されるのは屈辱であり怒りが募る
日の光でも死なない体になりたい
元々は平安時代、病弱で余命幾許もない20歳にも満たない若い青年。
上質な着物を着込み、住処も綺麗で上質な屋敷であることから、生まれた身分は非常に高位の貴族であったであろうことがうかがえる。
心肺停止した死産状態で生まれ、荼毘にふされる直前に必死に藻掻いて息を吹き返したという生まれつき死に近い虚弱体質。
20歳を超える前に死ぬと宣告される病状の身で、本人曰く「私にはいつも死の影がぴたりと張り付いていた」。
とある善良な医者*4が無惨を少しでも永らえさせるために苦心していたが病状は一向に回復しない。
病気が悪化していると判断した無惨は怒りの余り医者を背後から殺害。
その後、医者の投与した薬の効果が発揮した無惨は強靭で超人的な肉体を得て人食いの鬼と化し、同時に太陽光を浴びると死ぬという致命的な欠点も獲得してしまう。
そしてが日光克服の鍵は医者のメモに書かれていた正体不明の「青い彼岸花」と推測し、何処に生えているのか、栽培できるのかなど調べ始めた。
だが文字通り青い色の彼岸花なのか、何かの比喩なのか、そもそも実在するのかさえも知らず、部下に青い彼岸花の捜索を指示して現在に至る。そして成果が出ないとイラついて制裁する
………と、小物感と人間の腐り具合が加速した無惨による完全な自業自得である。
日光を克服したい動機も、「超人になれたのに昼間外に出られない生活がとても屈辱的でイライラする」というストレスとみみっちいプライドによるもの。
裏を返せば無惨の小さなプライドと癇癪が原因で1000年以上に渡って罪のない人々が犠牲になり続けたということでもある。
鬼化に伴い睡眠が不要となったのに日中出歩けないこともストレスに拍車を掛けたらしいが、1000年掛けてまで昼間出歩けるメリットがあったとも言えない。
それでも太陽の克服に執着したのは「僅かでも自分が死ぬ可能性を消し去り、死への恐怖を払拭したい」という生への執着心からだった。
なお食人衝動は「人間を捕食すれば解決するので大した問題ではない」とあっさり流しており、冷酷で身勝手な性格を端的に表している。
「無惨が鬼になって以来、同じ血筋の産屋敷一族が代々呪われていた」という話を聞いても、「迷言もここに極まれりだな 反吐が出る」と涼しい顔で開き直っている。
自分は1000年間人間を殺害し続けても神仏からの罰で咎が下されることはなかったことを根拠とし、因果関係を完全に否定した上で悪びれる素振りもない無神論者でもあった。
致命的に運が無いのと癇癪持ちなだけで、時折見え隠れする異常な狂気や周到さは「悪役」を否応なく感じさせる。
だが特徴だけを列挙していくと底の浅い人間性と器の小ささ、どうしようもない愚かさが浮き彫りになる。
頭の良さは良好な部類だが、自分の性格的な問題点を一切省みず改善の意志も全くないので、反省というものができない。
そのせいか1000年以上人間社会に紛れ込んで生きている割には短気で傲慢な気性が原因で大きな墓穴を掘りまくる。
そんな致命的な欠点を抱えるので、ラスボスらしいカリスマ性や美学的要素、超越的な要素など殆ど見せない、偏執的で、むしろ人間らしい。
一応フォローすると一から十まで全てにおいて考えなしの脳筋というわけでもなく、決断力や判断力、思考力はかなり高い。
とりわけ「自身の生存」が関わる時のそれはずば抜けており、自身の敗北の可能性が僅かにでも生じた場合、例え長時間に及ぶ戦いの最中であったり遙か格下が相手であっても、プライドを捨て一目散に逃げ出すことに一切の抵抗がない。
これは無惨を厄介たらしる要因の1つである。
その上一度撤退を決めれば例えどんなに口汚く煽られたり挑発されようとも、苛つきこそすれど全力で逃走に徹し、どんな形であろうと絶対に逃げ切る。
非戦闘時には擬態や無限城を駆使して安全圏に位置取りながら鬼殺隊との交戦を徹底的に避け、呪いで機密を漏らせない部下を用いてきた。
過去に自身を討伐寸前に追い込んだ縁壱の場合は、恥も外聞も捨てて逃げ出した後に縁壱が寿命で死ぬまで雲隠れし続けるという不老不死を最大限活用した反則技を取ってまで再戦を拒否。
縁壱が死んだ後も日の呼吸を知る者を黒死牟と共に殺して回るという念の入れようである。
このように生きる為ならプライドを捨ててどんな手段でも使う在り様は、「生きることだけに固執している生命体」と例えられた。
一方で、
- 炭治郎に遭遇してトラウマが発動し、通行人を一人だけ鬼化させて逃走
- 酔っぱらいに絡まれた時は謝って去る
気だった - 妻子諸共自爆した産屋敷耀哉にドン引き
- 感情がないのに感情があるフリをする童磨を苦手に感じる
など、妙に現代的な感性も持つ。
また鬼になっても大なり小なり人間時代の記憶や過去に囚われ、時には所業や在り方を悔いて配下が自滅するなかで、無惨にはそういった感受性は存在しない。
自分の過去や人間性に恥を憶えず、そんな心の機微など微塵もなく、自分本位極まりない最悪の精神性は(メタ的に見ても)極めて驚異。
何しろ猗窩座のように全てを失ってなお迎えに来てくれる人も、黒死牟のように生き恥を知る矜持や誇りすらなく、童磨のように空虚から来る脆さもない。
そもそも生まれた時から自分以外全てがどうでもいいと考えているため、人間性が原因で自滅する要素がない。
一部読者には「底辺と思っていた株が更に下がって恥知らずになる事に比例して脅威度が増していく」と斬新な評価までされた。
まさに全ての鬼の頂点に立つ存在である。
癇癪
私の顔色は悪く見えるか
私の顔は青白いか?病弱に見えるか?長く生きられないように見えるか?死にそうに見えるか?
違う違う違う違う
私は限りなく完璧に近い生物だ
無惨の抱える人格面における致命的な問題点。
恐ろしいほど自己中心的で、尚且つとんでもなく短気で気難しい癇癪持ちであり、最早理不尽の域に達している。
その名の通り怒りの沸点が異様に低いため、逆鱗に触れてキレる要素が数多いのである。
酔っ払いの一般人が「青白い顔」と無惨を小馬鹿にした際は、それまで争いを好まないかのように大人しかった態度を180度変えて素手で殴殺。
更に上記のように執拗に自分が「死にそうに見えるか」と血走った眼で淡々と問い詰め続けてから惨殺するという異様さを読者に見せつけた。
ちなみにこの狂気発言、公式に癇癪である。
劇中でキレた要因としては
- 自身の命令が中々遂行されない
- お気に入りの十二鬼月のメンバーが死ぬ
- 一般人に「病弱そう」と言われる
- 下弦が柱に何度も殺され入れ替わる情けない姿を晒す*5
- 部下が心の中で自身への不平不満を言った
- 別の部下が嘘をついて自分の言葉を否定した
- 更に別の部下が
パワハラ制裁中にビビって逃げ出した - 配下に指図された
- メインの命令が達成されてないのに、敵である鬼殺隊の柱*6を殺したことを報告される
- 何百年も目的のものが見つからず、鬼殺隊も滅ぼせていない
- まだ裏付けの取れていない不確定情報をプレゼンされる
- 治療の効果が中々出ない
- (弱体化しているとはいえ)ただの蛇に攻撃を見切られる
- 喰った相手の細胞から色々聞き出そうとして逆に煽られる
これらが現在までに無惨の逆鱗に触れた要因。まさしく生きた地雷原と呼ぶに相応しい。
…というか、過去の経歴からして分かる通り、この癇癪が原因で鬼としての弱点の解決方法が分からなくなってしまっている。
当然逆鱗に触れれば最高位レベルの配下である上弦の鬼のように換えの効かない人材でも無い限り確実に処刑一直線である。
一応お気に入りの鬼であれば処刑されないこともあるが、その場合は大抵拷問を伴う制裁が課される。これは上弦の鬼であろうと例外では無い。
下弦の入れ替わり問題に関しては、現役の下弦達にこれまで死んでいった前任の下弦達の全責任を押し付けて問答無用で処刑が始まった。
現役の下弦達にとっては完全に蚊帳の外の話であり、特に『下弦の陸』釜鵺は入れ替わったばかりで理不尽なことこの上ない。
他者との関係
配下の鬼に関して
誰にも自身に関わることを伝えず、部下の鬼に対してもお気に入り以外には理不尽かつ横柄に接する文字通りの暴君。
数多の鬼を生み出していたのは、手駒を増やすと同時に太陽光を克服できる稀有な特異体質の鬼を探す人体実験の一環でしかない。
そのため同族を増やすこと自体が千年間目的を果たせない屈辱と嫌悪の証でしかなかった。
実際劇中では鬼の存在を「増やしたくもない同類」とまで言い切っている。
つまり鬼へのブラックな仕打ちは、単純に「鬼の存在そのものが嫌いだから」でしかないのだ。
よってお気に入りでない鬼には地獄のような苛烈さを加えるが、お気に入りの配下には甘言を用いる事も多い。
累が良心の呵責を感じていると「お前は悪くない。悪いのは周りなのだから、もっと自信を持て(要約)」とアフターケアに足を運んでいる。
また堕姫を「特別な鬼だ」と激励したり、打ち首寸前の半天狗を優しく勧誘する姿を見せている。
ただし、無惨の本心が鬼という種への嫌悪に染まっていることを考えると、真に特定の鬼を気に入っていたかは微妙な所。
人徳が皆無と思いきや、一部の高位の鬼からは忠誠を誓われているのもまた事実。
- 無慈悲な自他への仕打ちに感動し忠誠を露わにした魘夢や玉壺
- 出逢いの感動の余り、無惨を教団の現人神として熱心に崇拝した童磨
- 無惨を主君と定めて忠誠を誓い、思考の読み取りによる恐怖政治すら「気を遣わなく済んで楽(要約)」と気楽に感じて許容していた黒死牟
などがチラホラいる。
ただし基本的に配下の鬼はあまり忠誠を示しておらず、下弦の肆のように敵前逃亡をする鬼がいたり、配下の鬼からはあまり慕われていない様子が窺える。
無惨のために鬼狩りを倒しているというより自分の私利私欲(「強くなりたい」とか「復讐がしたい」など)や、無惨に処されるのが嫌だからという理由で鬼狩りを倒してる鬼が多い。
もっとも無惨から選ばれることを光栄に思ってる節はあるので、最低限の敬意自体はあると思われるが。
敵対している人物に関して
断片的に関わっている人間からは軒並みボロカスに言われている。
元部下で無惨と関わりのあった珠世は上記の通り散々に酷評し、自身を殺そうとした鬼にさえ同情する炭治郎が一切同情の余地を持たなかった。
無惨と同じ血筋を持つ鬼殺隊のトップである産屋敷耀哉は、「一族唯一の汚点」と無惨への怒りと憎悪を向けている。
無惨自身も珠世や産屋敷一族には敵意を向けており、部下達に抹殺を指示している。
一方で人間に擬態している際の周囲からの評判は軒並み良く、身を隠す為とはいえ外面を良くする事は可能だし抵抗もない。
なお、炭治郎と同じ花札の耳飾りを付けた剣士にはとりわけ強烈な敵意を向けている。
これは戦国時代に己の頚を斬り落とす寸前まで至った、その剣士への恐怖から来るもの。
この時の体験はほとんどトラウマと言って良く、殺されかけた記憶が細胞レベルまで刻まれている。
無惨の血を多く得ている十二鬼月のメンバーも無惨同様に同じ耳飾りを持つ炭治郎を警戒し、同時に存在自体が癪に障るという。
他の鬼よりも多くの血を受けた上弦の鬼に至っては、断片的に無惨の中の剣士の記憶を垣間見てしまうほど。
ただし、この記憶も恐怖でかなり誇張されたものであることがその剣士の回想で明らかになっている。
剣士がつけていた耳飾りは今もなお無惨の逆鱗に触れるようで、現在の持ち主の炭治郎に対しては度々刺客を送り込んでいる。
そんな行動が、因果応報とばかりに巡り巡って自分を少しずつ追い詰め、十二鬼月が切り崩されている。
結果的に無惨の置かれた状況は盛大な自業自得ともとれる。
◆戦闘能力
人格面での欠点は多いが、戦闘能力は紛れもなく劇中最強格。
現代の鬼殺隊総戦力と一通り戦った上で尚「本来なら何の意味もない」「どの鬼狩りもあの男には劣る」「無駄な攻撃」と冷たく一蹴するほどに隔絶した力量差がある。
そして鬼の始祖らしく、鬼の細胞を破壊することで日輪刀を使わずとも鬼を唯一殺害できる特性を持つ。
肝心の基本戦術は技巧にも血鬼術にも頼らない『鬼』という種族特性と、筋力・スピード共に規格外の身体スペックに任せての力業のみ。
だが作者に「最強の肉体」と評されたほどの身体能力は、技術も糞もない「腕と触手を振り回すだけのゴリ押し」だけで痣と赫刀を発動させた柱5名を中核とした現代の鬼殺隊の全戦力を終始圧倒し続けた。
五感も人間離れしており、周囲の風切音や土煙の舞い方を僅かな時間観察するだけで体が透明化した者の人数・居場所を簡単に見抜いて攻撃を命中させることすら行なっている。
「太陽光」と「後先考えない短気な性格」以外に明確な弱点は存在せず、単行本解説でも「太陽光以外で殺すことはできない」と明言。
最終決戦で鬼殺隊が無惨と正面から戦えたのは縁壱が刻んだ赫刀の後遺症、耀哉と珠世が自分の命を捧げて無惨に重篤な弱体化を齎したからに他ならない。
もしこれが無ければ鬼殺隊側の勝ち目は間違いなく存在しない。
本編の最終決戦は大幅な弱体化後の戦闘であったため、完全態の無惨のスペックは未だ未知数*7。おまけに本来なら敗北の切っ掛けになった珠世の4種の薬も時間さえあれば全て無効化できていたという。
劇中では鬼殺隊の全戦力が死力を尽くして無惨の手駒を削り、無惨を無限城から叩き出し時間稼ぎをした事で、漸く炭治郎は無惨と正面対決ができる土俵に立てていた。
これほどの力を持ち、自身を「限りなく完璧に近い存在」と評して、それでもなお更なる高みを目指す向上心の塊でもある。
ただし自分が死ぬと全ての鬼が死滅するという欠点はある。
※血鬼術
- 黒血枳棘
血液を無数の有刺鉄線に類似した触手に変化させて腕から伸ばし、敵を打ち据える。
ファンブックでは血液を媒介とした攻撃を受ければ、良くて即死、最悪の場合鬼に変えられ支配下に置かれる事が示唆されている。
無惨が持つ能力の中では唯一血鬼術らしい固有名称を持つ技。
- 衝撃波
右肩から左腰にかけて巨大な口を形成し、そこから放つ稲妻のような衝撃波攻撃。
黒血枳棘の次に術と明言された技。
広範囲を薙ぎ払うように広がるが見かけに依らず物理的な殺傷力は低め。
しかし命中すると吹き飛ばされる上に神経系を狂わせることで肉体を激しく麻痺させ、呼吸さえも封じてしまう。
本来なら連射も可能であったが、珠世の薬によって著しく弱体化した状態では体力の消耗が激しく、連射できなくなってしまった。
なお無惨は「死の淵を垣間見て生き残った生き物はより強靭になる」「死を回避する為に通常生きていく上では不必要だった感覚や力の扉が開かれる」という持論を持っている。
人間時代は産まれながら常に死と隣り合わせの病弱な肉体を持っていた反動で、今の最強の鬼の肉体を得たのかもしれない。
肉体操作
血鬼術の域にまで高められ、解説でも「能力」と明言されるまでに昇華された鬼の基本技能。
無惨の肉体は変幻自在であり、元の体積を上回るほど肉体を瞬時に変容させることができる。
姿形だけでなく気配、性別、衣服さえ別物にできる程の高度な擬態と変身を行える。
よって無惨の存在を固定された姿で認識した場合、思わぬ反撃を喰らってしまう。
なお動く素振りすら見せず一瞬で下弦の参や上弦の伍・玉壺の頚を斬り落としもぎ取る超常的な力を有している
…と思われていたが、後の描写から踏まえると異能でも何でもなく、単純に上弦の鬼すらも知覚できない速さで腕を伸ばして頭をもぎ取っていただけだったと考えられる。*8
※内容
- 両腕
鞭のように変化した伸縮自在の両腕。
射程は90cm〜約10m。だがファンブックでは「十数m」と記載されており射程距離が一定してない。
形状は骨が変形したような無数の歪で鋭利な刃が生え、各部に凶悪な牙を持つ無数の口がある。
別種の生物のように宙を自由にうねり、伸び縮みが著しい上に決まった長さと形も持たないため攻撃が読み難く、距離も詰めづらければ回避もし難い。
そして人体を豆腐のように切断する切れ味と、柱クラスの実力者でなければ反応はほぼ不可能且つ肝心の柱すら見切ることが難しい超高速度を誇る。
よって事実上通常攻撃が全て回避困難な広範囲全体攻撃に等しい圧倒的攻撃範囲と攻撃速度となっている。
おまけに不規則に多数ある口から行う吸息との組み合わせより、攻撃範囲と回避のし難さを更に高めているのも特徴。
骨が変化したと思わしき刃は高い硬度を有し、日輪刀の斬撃を防ぐ障害になる。
- 細い管・背中
背中から生える9本の管状の細く赤い触手。長さは4m。
先端に槍のような鋭利な骨の刃が付いた形状。
触手自体が腕の触腕と同等かそれ以上に速く、そしてその細さから軌道も読み難い。
両腕と同等の切れ味に加えてこっちも無惨の血が大量に含まれている。
- 細い管・太もも
太ももから生える左右4対、計8本の管状の触手。長さは7m。
見た目・形状・性質は背中の管と同じだが、背中の管よりも更に細く攻撃速度も速い上に、背中の管と異なり身体から出たり引っ込んだりするため読み難さが大幅に強化されている。
戦闘では死角からの攻撃に活用。
使う度に地面が砕け罅割れるほどの衝撃とカナヲの超人的視力で何とかギリギリ回避できるレベル超スピードを伴いながら放たれ、威力も鍛えた強靭な肉体を持つ人間の体を軽々と大きく吹き飛ばす物理衝撃を有している。
- 吸息
腕に不規則に多数ある口の強烈な吸息により小型の竜巻の様な渦を形成。
強烈な吸い込みで相手を渦へと引き寄せ広範囲を抉り取る攻撃。明らかに術っぽいが作中で明言されなかったのを見ると術では無いらしい。
吸息の大きさは瞬間毎に変動する上に、例え強靭な肉体を持つ柱であっても接触すれば渦に触れた部位が大きく抉られる殺傷力がある。
吸息の回数・規模によっては周囲の地面に丸いクレーターを大量に作り、石造りの建造物すら丸い大穴の形に削り取る程の攻撃範囲を有する。
そして回避しようにも強烈な吸い込みの影響で大振りな回避動作を強要され通常の何倍もの体力消耗を強いられる2段構えの攻撃。
加えて無惨は触手による通常攻撃に付随させる事で、触手を回避した相手の不意を突くように渦に巻き込ませるトラップのような悪辣な使い方を駆使する。
渦が発生する際に生じる呼吸音は「ガヒュ」。
- 肉体分裂
肉体操作能力の極地であり無惨の奥の手。
全身を花火のように破裂させ、更に肉体を大小合わせて1800個の肉片に分裂させる事で撤退する逃走術。
威厳も何もないが、例え肉片の大半が潰されたとしても、頭1つ分の質量でも残っていればそのまま高速再生を併用して完全再生を可能にする為、逃走を阻むことは極めて至難。
縁壱は初見ながら1500個の肉片を斬り裂き迎撃したが、1800の内300個の肉片を捕捉しきれず逃してしまい、そのまま無惨は生存・逃亡する事に成功した。
一部読者から「生き恥ポップコーン」などとネタにされた奥の手だが、その後公式でこの肉体分裂をイメージしたグッズ『無惨のポップコーン(缶バッジ付き)』が発売。体を分裂させたシーンがパッケージになって発売されるという衝撃のネタ要素が追加された。
- 肉の鎧
最終決戦において、珠世の薬により著しく弱体化し奥の手の分裂も封じられ、
その上で鬼殺隊全戦力による決死の時間稼ぎの果てに夜明けを迎えた無惨が、太陽光から逃れるための苦肉の策。
全身の細胞を増殖させて陽の光から身を守る時間稼ぎの手段であるが、その外見は眼の潰れた巨大な赤ん坊。
風貌は口の中に鬼特有の鋭利な牙が無数に生えた醜悪極まりないもので、自動車程度なら片手で叩き潰せるパワーを誇る。
ただし弱体化を重ね過ぎた苦肉の策である事は変わりないので、術も使えなければ移動スピードも緩慢と欠点は多い。
- 肉人形
ファンブックで明らかになった能力。
自身が暗躍する場合、自身の肉でダミーとなる人形を生み出し置いておくことで不在を誤魔化す。
擬態
肉体操作能力を応用した変装であり、その姿は青年、女性、幼子と変幻自在。
人間社会に潜伏し、資金源にしたり、人脈を情報収集に利用している。
無惨自身の手掛かりを残さないため、鬼殺隊が無惨を追えない最大の要因にもなっている。
人間社会に潜り込んで潜伏する行動方針も含めて、無惨の厄介さを支える能力の1つである。
共通して瞳は鬼特有の異形のもので、肌が病的に青白い。
また過去現在を通してペイズリー柄の着物や洋服を好んで着込んでいる。
ただ、最初に披露したのは炭治郎に見つかり、囮を生み出してすぐにその場から姿を眩ませた後。
まだ下っ端の戦力でしかない主人公との戦闘力の差を考えるとここまで変容させるのは慎重を通り越して臆病と言え、読者からは臆病者と認識される原因となっている。
なお、姿を変えること自体は身バレの有無は特に関係なく定期的に行い、人間関係を築くことに利用している模様。
擬態一覧
- 月彦
劇中最初の無惨の擬態であり、浅草で炭治郎と遭遇した際の姿。
鬼を増やし青い彼岸花を捜索させる傍らで、貿易業の社長としての表の顔を持つだけでなく、人間の女と所帯を持ち、娘まで連れて人間に成りすまして人間社会に溶け込んでいる。
妻と定めている女性に鬼であることは当然告げていない。
当時まだ希少だった自動車を送迎の為に手配している事などから、商人としては非常に高い地位にあると推察される。
その後ファンブックの記述から、妻の家が持つ人脈目当てに彼女の夫を殺し、新たな夫の座と社長の地位を手に入れたことが明らかになった。
つまり娘は妻の連れ子で無惨との血のつながりはない可能性が高い。
芸妓の姿では無理な場所の情報収集及び資金確保のための擬態も兼ねていた。
- 芸妓の女性
下弦の鬼一斉処分の際に無限城で見せた姿。
一見すると黒い着物を着た花魁のような上品な美女であるが、声は男の声のまま。*9
体をいじって別人になるというと某怪盗がやっていたが、無惨の場合はがっつり髪を結って化粧を施し、着物まで着付けている。
気配までも弄っているようで、下弦の鬼たちですら声を聞くまで正体に気づかなかったほど。
ファンブックによれば青い彼岸花の情報収集や、人間を利用した日中の彼岸花捜索の指示を出すための姿だった模様。
なお、映画無限列車編では魘夢がこの姿の無惨を思い出しているため、映画で初めて鬼滅の刃を知った人は無惨が女だと思ったらしい。
- 俊國
67話にて見せた姿。見た目は10歳前後のあどけない少年。
製薬を営む富豪の家に養子として転がり込むと「皮膚病を患った才能ある利発な少年」を装い引き取った夫妻の信頼を獲得。
家業の後継者扱いされるほどの信頼を得て人間社会での資産面と地位の後ろ盾を着実に固めていた。
同時に製薬会社という立ち位置に目を付け、青い彼岸花製造のための知識や機材を得るのが目的だったのだろう。
人間社会に潜伏する隠れ蓑としてはこれ以上は無いと言える程に良好な環境であったが、日光克服に繋がる手掛かりを見つけた歓喜に任せて養母と女中を殺害、絶好の環境を自らぶっ壊した。
ファンブックによれば、これは太陽を克服する薬を作る場所を確保するための擬態であった。
- 着物の青年
黒死牟、童磨、猗窩座、半天狗を鬼に変えた時の姿。
といっても本来の姿から見て身体年齢を変えてるわけではなく、擬態というよりは服装を時代に合わせているだけと思われる。
黒い着物に長い黒髪の若々しい姿で、復讐心から凶行に走り自暴自棄に陥っていた狛治や処刑寸前だった半天狗、弟への劣等感と残り少ない寿命に焦燥する継国巌勝の元に足を運んだ。
- 洋装の青年
無惨の比較的多く変貌している姿であり、恐らく無惨本来の姿。
風貌は波打つ長い黒髪の線の細い美青年。外見年齢は二十代半ばから後半辺り。
洋服である事を除けば、着物を着ていた頃の風貌と瓜二つ。
髪はオールバックに撫で付けている場合もあり、体躯は細身でありながらも非常に屈強で筋肉質。
累の勧誘や響凱のリストラの際に見せたのもこの形態であり、その他妓夫太郎兄妹が潜む遊郭に客として足を運んだり、無限城で青い彼岸花の秘薬制作のための実験に勤しんでいる姿を見せている。
瞬間再生
鬼は種族特性として高い不死性と再生能力を持ち、強さが上がるに比例して高まっていくが、無惨の場合肉体操作同様不死性と再生力は上弦の鬼を凌駕して異能の域に達している。
肉体の耐久性こそこれまで登場した上弦の鬼達ほど硬くは無いものの、日輪刀で幾ら無惨の頚を斬ろうと滅ぼせない。例え無惨の身体を斬ったとしても斬られた瞬間から傷口が瞬時に癒着・再生して無傷の肉体へと戻る。
このため傍から見ると斬った筈なのに切断されていないように見えてしまう。
例え、
- 産屋敷邸を粉微塵に吹き飛ばすほどの爆炎を伴う撒菱混じりの自爆
- 浅草の青年の血鬼術により体内に無数の棘が食い込んだ状態
- 珠世作の「鬼を人間に戻す薬」の投与
をほぼ同時に受けて弱体化された状態で全身を粉々に砕かれても瞬間レベルの超高速再生が可能。
その為、無惨の身体をばらばらに刻んで動きを封じるといった戦術は不可能。
おまけにこれほどの強力な再生を行なっておきながら無惨側には一切の体力消費が発生しない。
無惨の再生力を完全に妨害するには何らかの手段で切断面を切り離すか、肉体そのものを物理的に粉砕するしかない。*10
そんな常識の埒外というべきしぶとさを誇るが、赫刀で斬られた時のみ再生力が鈍り、斬られた部位の再生が始まるまで多少の間が生じる。
かつて縁壱に全身を斬り刻まれた際にはさらに効果覿面で、再生のために意識を集中させても全く再生が進まず、最終的には肉体分裂で逃げざるを得なかった。
不死のカラクリ
異常な不死性の真相は、前述した5つの脳と7つの心臓が原因。
無惨の体内にある合計12個の臓器が不死を維持している。
おまけに12の臓器は体内を常に移動して位置を変え続ける為に攻撃すること自体が難しく、12の臓器を同時に切断しない限り無惨の不死性を突破することは不可能。
現状の突破手段は「透き通る世界」と「赫刀」に開眼した柱クラスの剣士複数人が同時に無惨の12の臓器を切断することのみである。
一応薬の影響で弱体化が酷く進んだ状態だと脳と心臓のある位置に縁壱が刻んだ古傷が発生しており、これによって透き通る世界無しでも脳と心臓を狙えるようになった。
数多の鬼を狩ってきた悲鳴嶼から見ても、人体でもとりわけ複雑な構造を持つ臓器を複数造る事は常軌を逸した能力に他ならず、その事実を知った際は衝撃の余り一瞬信じることが出来なかった。
鬼化
前述の通り、人間に己の血を注ぐことで鬼に変えることができる。
注ぎ方は相手の身体に指などを突き刺すことで、そこから注入を行う。
追加で血を注ぐことで更に鬼の能力を向上させることも可能であり、鬼たちにとってはご褒美な様子。
ただし血を過剰に投与されても順応できなければ人間であろうと鬼であろうと無惨の細胞に受ける側の肉体が耐えられず、摂取した者の全身が崩壊して死ぬ。
劇中では過剰に注がれた人間がどろりと溶けて惨たらしく死ぬ描写が描かれている。
なお全集中の呼吸を習得した剣士を鬼に変えるためには通常よりも多くの血が必要となり、強い剣士であればあるほど鬼と化すまでに要する時間は長くなる。
ファンブックによると太陽光を克服できる細胞の持ち主を求め、これまで鬼にした人間と異なる血質・体質の人間や、今まで上弦になれた鬼と類似した体質の人間を標的に鬼に変えてきた模様。
戦闘では細胞崩壊の性質を攻撃に転用する。
攻撃全てに鬼化に必要な量を超えた多量の血を混ぜており、無惨の攻撃で傷を負った場合体内に多量の無惨の血が侵入。相手の細胞を崩壊させ死に至らしめる。
その毒性の猛威は傷一つで死ぬ程であり、無惨の血に対し何らかの対抗手段がない限り人類はかすり傷一つ負う事も許されない。
柱クラスの呼吸の使い手や痣を発現させた者にはやや効果が薄いものの、即死にならないだけで肉体が激痛や脈の狂いに蝕まれていき、約20分程度で死に至る。
呪い
喋ってはいけない
私のことを誰にも喋ってはいけない
喋ったらすぐにわかる……
私はいつも君を見ている
無惨が配下の鬼に刻む呪縛。 死にスキル
「人間の前で鬼舞辻無惨の名前を口にする」行為や、「自身の情報を漏らすと判断した事」をトリガーとして発動し、鬼の中にある無惨の細胞が野太い巨大な腕に変化。
名前を口にしてしまった鬼の身体を突き破るように体内から無数の腕が生え、その者を徹底的に破壊し抹殺する。
この時口から腕が生えるため、犠牲者は死ぬまでの間一言も言葉を発することは出来ない。
この腕には鬼の細胞を壊す性質があるため、呪いによって殺された鬼は再生できずにそのまま死ぬ。
一方、あくまで外に名を知られないようにする為に発動する呪いであるため、鬼同士の会話や心の中で呼ぶだけならば特に問題はない。
ただし鬼であっても珠世のように支配から逃れた者に対して名を言ってしまった場合は例外として発動する。機密保持の為と言っても、鬼殺隊であれば全員「鬼を生み出している黒幕の名は鬼舞辻無惨」と知っているので、わざわざそんな呪いを用意しておく必要があるのかは甚だ疑問である。
- 知覚掌握
鬼に刻んだ呪いの1つ。
鬼が知覚する様々な情報を自身も共有することができる。
共有できる情報の程度は距離が近くなるほど強くなり、どれだけ離れていても位置を把握することだけは可能。
特に視界に映る範囲ならば思考まで完全に読み取られる為、面と向かって嘘をつくことは不可能。当然、心中の些細な不平不満であっても容赦する事はない。
よって無惨と接している間は配下の鬼はどれほど理不尽な仕打ちを受けようと不平を漏らすどころか心の内で不満を抱くことすら許されない。
ここまで来ると暗黒を通り越してディストピアである。
また視界ジャックも可能で、配下の視覚を通じて遠方を見ることが可能。
鬼の項目で述べた呪いの一環であり、鬼化症状の変容によって把握を外すことができるが、外さない限り追跡効果から逃れることはできない。
鬼殺隊もこの能力は把握しておらず、炭治郎の処遇を決める柱合会議では禰豆子も産屋敷邸へ連行したため、危うく本拠地の場所がばれるところだった。
ただし視覚支配も完璧ではなく、対象の視覚が外部から操作されている場合、覗き見た視野も変質してしまう。
- 念話
部下に対して無惨が行う命令方法。恐らく呪いを応用したと考えられる。
念力のようなもので、離れた場所にいる配下にも直に言葉による指示を送る行為。
時折血を注いだ者の精神を言葉責めで苛み、行動や思考に呪縛を掛けているシーンも見受けられ、無惨の生前からの性格を考えると本質はかなりえげつない。
鬼の吸収
自身の細胞から生まれた鬼を己の肉体に取り込み吸収する能力。
鬼由来の力であれば何でも吸収できるのか、物理攻撃系の血鬼術すらも吸収の対象内。
加えて吸収した相手の細胞を介してその者の残留思念と会話したり、生前の記憶を読み取る使い方もできる。
悲願である太陽光の克服も、この能力で禰豆子を吸収することで達成しようと目論んでいる。
◆活躍
初登場
作中で初めて全体の姿を現したのは13話。
浅草の街の中、妻と娘を連れて街を歩いている所を自身の匂いを偶然嗅ぎ付けて追ってきた炭治郎と遭遇。
当初は一般人の振りをして誤魔化しつつ、目くらまし代わりに妻子の死角に居た適当な人間へ血を注いで鬼化。
鬼化した一般市民への対処に追われることになった炭治郎を嘲笑うかのように姿を眩ますも、その直前彼の耳飾りを見て過去に交戦した同じ耳飾りの剣士を思い出し豹変。
姿を消した後は妻子に言い訳をして単独行動になると、自身に絡んできた無辜の酔っぱらい家族3人を癇癪で殺害し、炭治郎及び、自身の素性を知る珠世抹殺の為に刺客として朱紗丸と矢琶羽の2匹を送り込んだ。
自身が直接戦わないのは恐らく目立って鬼殺隊への手掛かりを残したり、この姿での社会的地位を捨てたりしたくなかった、あるいは耳飾りの剣士の関係者だと考えて警戒したなど、いくつか考えられる。
しかし、囮の鬼を生み出した後に耳飾りを見た瞬間に血相を変え、炭治郎の抹殺を刺客の鬼に丸投げしたことが読者から無惨がチキン呼ばわりされる原因の1つとなった。
この頃はまだ恐ろしい敵という印象があったのだが、癇癪を起こす、炭治郎から即座に逃げるといった愚行の片鱗は見せている。
那田蜘蛛山篇
頭を垂れて蹲え 平伏せよ
釜鵺(無惨様だ…無惨様の声 わからなかった 姿も気配も以前と違う 凄まじい精度の擬態)
零余子「も、申し訳ございません お姿も気配も異なっていらしたので……」
誰が喋って良いと言った?
貴様共のくだらぬ意志で物を言うな 私に聞かれた事にのみ答えよ
私が問いたいのは一つのみ『何故に下弦の鬼はそれ程まで弱いのか』
十二鬼月に数えられたからと言って終わりではない そこから始まりだ
より人を喰らい より強くなり 私の役に立つための始まり
炭治郎に刺客を放ってしばらくは姿を全く見せなかったが、下弦の伍・累が討伐されたことで残る下弦全員を強制的に集めて初っ端から憤怒し再登場。
ただし芸妓の女性の姿で。
上記の擬態の初披露であり、気配すら全く変わっていた。肝心の匂いがどうなっているかは不明。
面立ちが整っているため綺麗ではあるのだが、鬼そのものである性格は大体そのままで声も変えてないらしい。
その次の回では丸々1話でメインとなり、謎が多かった恐るべきその能力を存分に振るった。
…ただし、十二鬼月・下弦の鬼達に対して。
結果、下弦達のあらゆる弁明も全て無慈悲に退け、召集された下弦5名のうち4名が惨殺される事態に。
理由としては「弱いから要らない」を主軸として、
- 下弦の陸・釜鵺:心の中で文句を言ったから
- 下弦の肆・零余子:嘘をついて自分の言葉を否定したから
- 下弦の参・病葉:(前2人への凶行に恐れて)逃げ出したから
- 下弦の弐:轆轤:出来もしないことを言った挙句、配下の分際で「血を分けてくれ」と自分に指図したから
である。
唯一殺されなかった下弦の壱・魘夢は遺言を問われた際に「敬愛する鬼舞辻様が直々に殺してくれる。しかも夢みたいな時間をくれてありがとう(要約)」と宣った結果、気に入られてひとまず難を逃れたが、それも自身の血を大量に送り込んで強制的に強化させるという行為を踏まえてのもの。
上述の通り、無惨の血は摂取した場合耐えられる素質のない者は肉体が崩壊して死ぬ劇薬であり、ぶっちゃけこれも生き残れるチャンスが少しあるだけの遠回しな死刑宣告である。
漫画的にはまだ序盤でありながら、敵幹部12人(正確には13人)のうち4人を首領自ら殺すという前代未聞の展開に読者驚愕である。
【下弦処分の件について、無惨さまの行動&問題点の考察】
要するに無惨の基本方針は、「私に従え。そして私が決定した事項はどんなことであろうと絶対に従い完遂しろ。お前らの肯定以外の意思なぞ求めてない。黙って従いやり遂げろ。出来ないのならば早く死ね。いや、有無を言わさず即殺す。」という一点のみ。
理不尽に部下を殺す悪役というのはよくいるが、上述のようにここまでぶっ飛んだ奴はそうはいない。下弦のみならず読者も恐怖に震える羽目となった。
その後は自分の血を大量に投与した魘夢を新たな刺客として炭治郎に差し向けている。
この無惨の主張は視聴者目線だともうブラック企業どころではないのだが、後に登場した上弦の参・猗窩座は、上弦の上位に位置してもなお強くなろうとする向上心の塊のような性格であり、それと比べると下弦の連中は甘いと言わざるを得ないのも事実である。
強くなろうとする姿勢を評価し、その様な姿勢が見られないならそれ以上の戦力にならないため、切り捨てる方針の様だ。
実際、向上心と忠誠心はあったが、素質の問題で無惨の期待に応えられなくなった響凱に対しては地位剥奪で済ませているし、具体的に強くなる作戦を考えている魘夢も生き残らせるなど、その辺はかなり重要なのかもしれない。
しかし、解雇もとい処刑したかったとしても、まずは最後通牒で発破をかけてからでも遅くはなかったはず。
最悪、無能なりの囮としての特攻させるなり、今後に下弦へ配置されるであろう怠け者への見せしめにするなど、長期的な視野を持っていれば活用する手段はいくつもあったはずである。
そもそも、歴代でも最強格の柱たちに勝てないことを責めること自体、理不尽もいいところであり、無惨が彼我の戦力評価を的確に出来ていたかかなり怪しいところがある。
尚この会議。あまりに無惨自身への利がなさすぎるので一説には単にお気に入りだった累が死んだ事に対するただの八つ当たりという考察もある。
このあたりから、本格的に無惨の愚かさが読者にも明らかになってくる。
特にこの下弦解体&下壱の使い捨ては筆舌に尽くしがたい愚行であり、この一手だけで
- 一般隊士を何人相手にしても苦にならない現場指揮官
- 今後、上弦の鬼が欠けた時のための育成中の次世代(十二鬼月ですらなく、『弱すぎる』矢琶羽と朱紗丸でも、当時の炭治郎一人では勝てなかった強敵である)
という手駒を捨てる行為であり、組織としてみた十二鬼月の強みをスポイルしてしまっている(実際に、この下弦解体の結果は刀鍛冶の里篇〜無限城決戦篇で鬼殺隊側に大きな時間的アドバンテージを与えるという形で跳ね返ることになる)。
つまり無惨は組織というものを根本的に理解していないのである。
ついでに、劇中で描写された中では、一番多くの十二鬼月の鬼を単騎で殺害した人物*11である。首領なのに一番多く幹部を殺してるとはこれいかに
もっとも、既にある様に無惨にとって鬼は「増やしたくもない同類」であり、一部を除いて徒党を組めない呪いもかけているあたり、
最初からまともに組織として運営する気がないと思われる。
無限列車篇〜刀鍛冶の里篇
67話で久々の再登場を果たしたと思いきや、部下へのハラスメントは上弦の鬼に対しても健在であった。
柱の1人煉獄杏寿郎を抹殺することを報告した猗窩座に対しても、無惨にとって柱を殺すことは鬼としてはわざわざ語るまでもない当然の行為でしかなく、むしろ自分の目的である『青い彼岸花』を未だに発見できないことや煉獄と一緒に居た鬼狩りの3名を殺し損ねた(特に炭治郎を、であろうか)ことに対して逆に激怒。
塵を見るような目で猗窩座の全身から血を噴出させる程の制裁を科し、「上弦の参も堕ちたものだ」「お前には失望した」と一方的に通告。
猗窩座のプライドと自負を完膚なきまで引き裂いている。*12
最早、向上心なぞ関係ないブラック企業も真っ青なディストピア企業。
……と思いきや、新たなお気に入りと思わしき上弦の鬼・堕姫には猗窩座とは対照的に、彼女に対して微笑み非常に寵愛する姿を見せる。
お気に入りとそうでないかとではやはり対応の差が激しいのかもしれない。
今回はなんとハラスメントで猗窩座が発奮したため、無惨様の愚かさ具合よりはクソ上司アピールの方が読者の印象に残る。
おまけに甘言で堕姫のモチベーションも上がるという奇跡のような展開である。
これに限らず、無惨は弱い人間や愚かな人間の心の隙を突くのが極めて上手い。
そして98話にて妓夫太郎の死を受け、残る全上弦の鬼を無限城に呼び出し再び出現。
妓夫太郎の敗北を薄々予期していたことを語りながらも、漫画的にアウトすぎるチキン戦法*13を取らなかった妓夫太郎を酷評。
「何百年経っても、青い彼岸花発見と鬼殺隊殲滅のどちらも成し遂げられない上弦の存在意義が分からなくなってきた」
と下弦抹殺時のように怒りのボルテージが溜まる中、玉壺が無惨の目的達成に関する情報を伝えようとする。
しかし、その瞬間「未確定情報を嬉々として伝えようとした」という理由で腹の虫が収まらないイライラの余り玉壺の頚を切断。
そのまま頚だけとなった玉壺に持論を語り、「上弦というだけでお前らを甘やかしすぎていた。今度からもっと死に物狂いで働け(要約)」と伝え、情報が確定したら半天狗と共に出撃するよう強制出張の命令を下し姿を消した。
前回の猗窩座への言動も含め相変わらずの悪鬼ぶりだったが無惨にとってはまだ甘く扱っていたという認識だった模様*14。
なお妓夫太郎の戦法を酷評した無惨であったが、批判自体は結構穏やかなものであり、妓夫太郎の死に対しどこか未練めいた感情がうかがえる。
【この回における、無惨さまの行動&問題点の考察】
遊郭編は愚行というよりはひたすら器の小ささと上弦達の不仲さが露見した回になっている。
現在の問題を解決する提案を持ってきた相手に無駄な説教と制裁を叩き込む様は、上司として本当にどうしようもなく無能。
自身の理解を必要とする話を聞く能力が一切ないという底知れない底の浅さまで見せつけてしまっている。
ただ、無惨は配下の鬼の考えを読める都合上話を全て聞く必要がなく、不確定な情報を元にしたのでは有用な提案でも無意味に終わる可能性を考えると発言前にちょっと待てと言いたくなる話ではあるが。
加えて、敵の武器供給拠点を破壊するのに投入したのが最高戦力とはいえわずか二名という戦術眼のなさも露見している。
無惨には、相手が逃げる準備を万全にしていれば(実際万全だったが)、たかが二名では十分に相手を取りこぼす危険性はあり完全破壊に至らない可能性が高い、という戦術レベルの視点がない。
初登場時の時点で個人の能力を推し量る力がなく戦士として無能、無限列車編で組織を理解しておらず首領として無能、そして刀鍛冶の里篇で物事を大局的に捉えられず将軍として無能であることが確定した。
一応、半天狗が強力な分身を作る血鬼術、玉壺が手下召喚型の血鬼術を持っているため、里を壊滅させるだけなら単純な頭数はその2名で十分であった。
能力を考慮していたかまでは読者に知る余地はないが、そうであったとしても、今まで無惨は強力な部下に依存して生きてきたという事がうかがえる。
無惨本人は気づいてないやも知れないが。
ちなみに半天狗と玉壺が敗死した理由として共闘できない呪いのせいで連携がとれなかったことを挙げる意見もある。
ただ仮に一緒に行動していたとしても連携できていたかは怪しく、里の壊滅が目的なら別々の位置から破壊活動を行った方が効率はよいだろう。
そもそも上弦2名が同時に戦う必要のある相手がそんなにいない上、柱二名と炭治郎含めて倒せる人員が偶々里に揃っていたという条件が敗因といえる。
まあ、玉壺がみみっちいプライドで鋼鐵塚に拘ったことが最大の要因だが。
柱稽古篇〜無限城突入
ついに太陽を克服する者が現れた…!!よくやった半天狗!!
これでもう青い彼岸花を探す必要もない クククッ
永かった…!!しかしこの為 この為に千年
増やしたくもない同類を増やし続けたのだ
十二鬼月の中にすら現れなかった稀有な体質 選ばれし鬼
あの娘を喰って取り込めば私も太陽を克服できる!!
そして次なる登場は127話。
討伐された半天狗の視界を通じて太陽光を克服した禰豆子の体質を知り大望が叶う切っ掛けを得たことに歓喜。
127話にて劇中で初めて部下を手放しで賞賛。歓喜に打ち震える自身に話しかけようとする母親役の女性の頭を片手間で血煙に変え、更に変貌する己の姿を見た女中の上半身を消し飛ばすなど息をするように惨殺。
禰豆子に標的を絞り、つけ狙わんとする無惨の姿が映された。
しかしながら自らの愚行により下弦を、刀鍛冶の里で玉壺と半天狗の二人の上弦を失ったのはあまりにも痛く、最終決戦の準備をする際に完全に鬼側の機能が停止。
具体的には鬼が全く出なくなったのである。
これにより鬼殺隊は時間的に余裕ができ、柱稽古により下階級の隊員含めて超強化されるというパワーバランスの崩壊を起こした。
当然ながら、この柱稽古による強化が無限城決戦における無惨の作戦の瓦解につながることになる。
無惨の致命的なまでの計画性のなさがここにきて突き刺さったのであるが、無惨はそんなことに気が付く、否気が付ける者ではない。
そして鳴女の能力で全鬼殺隊員の位置と産屋敷の家を探り当てると、遂に宿敵・産屋敷耀哉の目の前に突如として出現。
病が末期症状に至り死の寸前まで弱った耀哉の存在を嘲笑い罵倒しながら抹殺を試みるも、耀哉の自分の命を囮にした捨て身の策に嵌り、更に幾重にも張り巡らされた足止め作戦を受けた結果全柱と炭治郎に接近を許し追い詰められることに。
しかし、この展開は無惨の望む展開でもありまんまと柱全員と炭治郎を無限城に叩き落とすことに成功。
これで私を追い詰めたつもりか?貴様らがこれから行くのは地獄だ!!
目障りな鬼狩り共 今宵皆殺しにしてやろう!
地獄に行くのはお前だ無惨!絶対に逃がさない必ず倒す!
やってみろ!できるものなら!
竈門炭治郎!!
落とされてもなお自身への殺意を揺るがさない炭治郎に啖呵を切り、自らも毒を食らわせた珠世と共に無限城に落ちてフェードアウト。そのまま無限城最奥で珠世を巻き込みつつ肉の繭に自身を包み、自身に注入された薬を解毒するべく休息することとなる。
この産屋敷耀哉との問答から始まる一連の流れを見ても、最後の無限城落としの一瞬は別として風格のあるボス要素はほぼ出てこない上に、愚かさだけが強調されてしまっている。
【産屋敷邸襲撃について】
産屋敷邸襲撃に関しては、
- 耀哉とのレスバトルに速攻で完全敗北
- 耀哉とのレスバトルの過程で「自分が死ぬと鬼も絶滅する」という最重要情報が完全にバレる
- 耀哉に煽り返されたことでキレて耀哉を殺そうとしたら、耀哉の自爆攻撃を完全に見抜けず爆風が直撃し全身粉微塵になる
- 自分が適当に鬼化させた浅草の青年が新たな離反者になった上に、青年の血鬼術で拘束される因果応報の逆襲を食らう*15
- 奇襲で忍び寄ってきた珠世に人間化薬を体内にぶち込まれる
- 頚を切断どころか頚から上全てを悲鳴嶼の日輪刀で粉砕される
- 敬愛する耀哉を喪った哀しみで柱達の殺意が頂点に達する
と、耀哉が無惨に言い放った通り余計な虎の尾を踏んできた結果見事にボコボコにされており、「醜く死にかけてる耀哉を煽り倒して殺害する」という目的に対して得た結果が全く釣り合ってない。
おまけに受けた反撃の原因は全て無惨の身勝手な行動に付随する因果応報である。
…とはいえ、最強の戦闘力を持つ自分自身が直接敵の中枢を叩くという発想は己が不覚を取らないという十分な理由があれば間違いとは言い切れない*16。
また、禰豆子、お館様の二名は鬼の最重要目標であり、鬼殺隊がこの二人を同じ場所に置いて防衛すると予測していたなら、無惨が直接出向くのも理にかなってはいる。*17
鳴女による転送を用いた奇襲自体も、無惨が拘束されてなければ作戦としては成功していた。
褒めるべきは無惨の襲来を読み、自爆攻撃という完璧な奇襲を成し遂げて珠世の人間化薬投与へと繋げた耀哉の勘と発想力、無惨への憎悪の力だろう。
【無限城決戦までの流れ&戦略について、無惨さまの行動&問題点の考察】
大勢の鬼殺隊をまとめて無限城に落としたのは、無限城内の鬼によって鬼殺隊を一網打尽にする意図だったと思われる。
無限城に下弦レベルまで即席強化された鬼を大量配置して閉じ込めた柱を疲弊させ、そこに上弦をぶつけて勝つという作戦だったのだろう。
しかし、その鬼たちは知性が低く血鬼術も使えない半端な戦力に過ぎず、大勢の一般隊士も柱稽古で鍛え上げられているという状況を無惨は把握していない。
大量の鬼は一般隊士に倒されていき、柱たちは疲労することもなくほぼ万全かつ複数で連携可能な状態のままである。
加えて無惨は耀哉達の反撃でまったく動けなくなった上に、鬼殺隊を招き入れた無限城の中で回復を図っている。
動けない状態で襲われあっさり倒される可能性が出てくるし、戦力は無惨を守るために行動することになり、攻めあぐねてしまう。
古参の上弦は無惨を守るために戦力の逐次投入による防衛戦を行うことになり、複数の柱(もしくはそれに匹敵する強者)を相手にすることとなる。
鬼殺隊の主戦力が上弦に集中、逆に上弦は戦力分散される形となった。
戦略的に言えば敵の戦力を分散させて各個撃破を狙うのがセオリーなのに、その逆をやるという愚行中の愚行である。
単に鬼殺隊の戦力を削減するのなら、日本中に強化した鬼をばらまいて一般人を襲わせ、各地に防衛の為に散った柱に上弦をぶつけて各個撃破を狙えば良い。
簡単に言えば無限列車編でやったことを繰り返せば良いということである。
後は禰豆子を捕えて吸収、日光を克服すれば無惨の目的は達成されるのだ。*18。
加えて鬼にとっては日光がささない上に遠方へも自由に移動できる無限城は攻防両面で活用できる拠点であり、血鬼術でコントロールしているため鬼殺隊は容易に進入できない場所である。
その拠点に敵を大量に招き入れて緊急避難できる場所を自ら潰しており、不利になった場合の仕切り直しもできない。
無限城を維持する鳴女も倒される可能性のある状態となり、有利な拠点を失うリスクの方が高い。
さらには引き込んだ柱は慕うお館様が死んだ為に哀しみと怒りでテンションがMAXな状態であり勝ち目が薄く実りも少ない大博打でしかない。まさか下弦解体以上に株を下げる出来事が待っているとは読者の誰もが予想していなかっただろう
この大失態は無惨が自身の目的達成条件を吟味する最低限の戦略眼すら持たないということに起因する。
敵の強さを推し量ることができない、または判った上で考慮する能力を一切持たないため、そのようなことを判断することは当然できないし、部下に助言を求めることも一切しない*19。
奇襲と一網打尽にする作戦にしても、「禰豆子が太陽光を克服した」ことと「鳴女の能力が非常に強力かつ(作戦実行に)好都合な形に成長した」という好都合が重なったことで、勢いに乗って攻勢をかけた……といったところではないだろうか。
千年の悲願達成のチャンスを逃すまいとテンションが上がるのもわかるが、そんな時だからこそ一旦落ち着いて熟慮すべきであった。少なくとも、母と女中を始末して俊國としての社会的地位を放棄してよいものではないだろう。
そもそも共食いの性質なんか持たせるから悪いのだが百年間最強であり続ける鬼であっても限界や失敗はあるし不滅ではない。
そういう時の為にリスク管理を行うのが首領の仕事なのだが、無惨は
- 次世代育成が途切れた結果、ただの穴埋めに過ぎない即席上弦では下弦の強者程度の実力しかない*20
- 敵に自由時間を与えてしまったため、すでに敵の能力は変動している(実際、敵は柱稽古で一般隊士が強化され、柱同士も連携する訓練を積んでいた)
ことなどを一切想定していない。わかっていたことだが首領としては間違いなく最低クラス、累にすら劣る無能采配である。
全てが己の愚かさゆえの自業自得で追いつめられるラスボスというのはあまりにも珍しく、底知れない底の浅さと極まった浅ましさ、小さすぎる器と恥知らずっぷりは一周回って凄みすら感じる。
なお、柱を含めた鬼殺隊の大半を無限城に閉じ込める作戦自体は、無惨が自由に動けるのなら有効ではあった。
鬼殺隊を閉じ込めてしまえば、無惨はほぼ妨害されることなく禰豆子を探し出し吸収し、目的が達成できるのである。
ただそう考えていた場合でも、カウンターを食らい動けなくなったのに続行したせいで結局無能采配だったと言わざるを得ない。
最終決戦篇
千年以上生きていると 喰い物が旨いという感覚も無くなってくるが
餓えていた今の食事は実に美味だった……
私の為にわざわざ食料を運んできたこと 褒めてやろう産屋敷
そして180話にて遂に完全復活を遂げる。
髪の毛は白色に変容し、肉体は返り血を浴びたように赤く変色し所々血管のような紅い紋様が浮かび、各所に禍々しい牙を生やした口を備えた邪悪な姿を露にした。
その風貌はこの世全ての人間を喰い物としか見ていない無惨の精神性を如実に体現するかの如き悪鬼そのもの。
なお、自信満々で第二形態感がすごいが、単に解毒完了しただけなので最初に姿を見せた時とスペック自体に大差はないと思われる。人間に擬態する必要のない状況での姿という意味では、戦闘形態・臨戦態勢と表現した方が近いだろうか。
復活後は周囲にいた鬼殺隊の一般隊員を全員食い殺し、前述の言葉で産屋敷輝利哉を煽って鬼になることを上から目線で勧誘。
また、「珠世の投与した薬は効かなかった」と珠世の捨て身の努力を頭ごなしに全否定。
肉体が取り込まれ頭だけになってしまった珠世の奮闘、珠世からの糾弾の何もかも嘲笑って頭蓋を握り砕いて殺害・捕食するという陰惨な方法で抹殺。
「十二鬼月を含めた全ての配下が自分の役に立たなかった(要約)」と不快感と不満を隠す事なく露としながら、遂に自ら鬼殺隊の完全抹殺を行うことを宣言する。
だが自身が薬を解毒するまでの間、柱を含めた全鬼殺隊員を足止めしていたのは「役に立たなかった」と身勝手に酷評した配下の鬼達である。
しかも無限城内で鬼殺隊の配置を制御しているのは唯一健在の上弦である鳴女であり、この台詞を言いながらも部下に頼っていることを完全に棚に上げている。
こんな時でも身勝手極まりない自分本位の考え方を露にする辺り安定のブレなさといったところか。
そして鳴女の琵琶の音色に合わせ、天地が逆転した洋風のレストランのような一室で、遂に冨岡と炭治郎と再び邂逅する。
無惨の犠牲になった仲間や家族を想起させ怒りに震える2人を前にした無惨は…
しつこい
お前たちは本当にしつこい 飽き飽きする 心底うんざりした
口を開けば親の仇、子の仇、兄妹の仇と馬鹿の一つ覚え
お前たちは生き残ったのだからそれで十分だろう
身内が殺されたから何だと言うのか 自分は幸運だったと思い元の生活を続ければ済むこと
お前 何を言ってるんだ?
私に殺されることは大災に遭ったのと同じだと思え
先ほどまでの鬼殺隊への殺意はあっという間に消え失せ、さも自分が被害者或いは常識人であるかのように心底呆れ返ったかような理不尽極まりない持論を語り出し、さも自分が常識人であるかのような顔で無惨は考えた末に一つの結論に達したと言葉を漏らす。
理由はひとつ 鬼狩りは異常者の集まりだからだ
異常者の相手は疲れた いい加減終わりにしたいのは私の方だ
無惨 お前は 存在してはいけない生き物だ
他者を犠牲にする事に全く感慨のない己こそが異常だと気付いていない無惨と人間との、決定的な価値観の違いを知らしめさせられた炭治郎の顔からは完全に感情が喪失。
永遠に分かり合えない両者の最終決戦の幕が開く。
序盤はその凄まじい速度で駆動する腕で炭治郎たちを翻弄し、炭治郎の片目を潰して追い詰める。
しかし、無限城を維持している鳴女が愈史郎に接近され脳を支配されかけており、無惨は炭治郎たちと戦いつつ遠隔操作で鳴女の支配権を取り戻す戦いを強いられる。
最終的に支配権を取り戻すのは難しいと考えたか、無惨は鳴女を呪いで殺害。
その結果制御不能に陥った無限城は崩壊、戦闘は地上戦にもつれ込む。
だが地上戦になろうとも無惨の戦闘能力は依然として脅威であり、攻撃に含ませた血の毒が回ったことで炭治郎は死亡寸前に陥る。愈史郎により救われたので無惨の宣告は外れたが
上記の渦を用いて恋柱を撃退して戦闘不能に追い込み、無数の触手を繰り出し次々と襲い掛かる柱をも迎撃。
愈史郎の血鬼術を用いて姿を消していたカマボコ隊の面々と岩柱・悲鳴嶼行冥、風柱・不死川実弥を加えた七人すらも、奥の手ともいえる超高速の触手で戦闘不能になるダメージを与えて撃退してしまう。
しかしそこに死の淵から舞い戻り、血の記憶を元に日の呼吸を完全に習得した炭治郎が現れる。
何という醜い姿だ これでは
どちらが鬼か 分からないな竈門炭治郎 ……虫唾が走る
終わりにしよう 無惨
「透き通る世界」に至り、赫刀に至った炭治郎だが満身創痍であり、徐々にスピードが落ち始める。
しかし無惨自身もまた同様に減速し始めており、炭治郎を殺しきれない。
実は珠世の投与した薬は「鬼を人間に戻す薬」だけでなく、「老化する薬」「分裂逃走を阻害する薬」「細胞を破壊する薬」の四種、しかも「鬼を人間に戻す薬」を解毒する際に他の薬の効果がより強まる細工までされていたのである。
珠世の細胞から記憶を読み取った無惨は、この時点で肉体が実に9000年分の老化を起こしていたと把握。
無惨の髪の変色もこの薬の効果だったが(つまりただの白髪である)、無惨は身体機能が低下するまで気がつかなかった。
刻一刻と弱体化していく上に奥の手の分裂逃走もできず、細胞破壊により肉体の崩壊すら始まり、触手や吸息、空気弾、衝撃波と言った広範囲攻撃も連発が利かなくなり、鬼殺隊を倒し切ることは不可能になってしまった。
更に夜明けが近づき時間がなくなって来たことを悟った無惨は迷うことなく逃走に移る。
鬼殺隊にとっては逆に「夜明けまでこの場に無惨を留めれば勝ち」という千載一遇の機会であり、立ち上がった生き残りの隊士共々決死の時間稼ぎに出る。
無惨も少しでも生き残るための時間を稼ごうと肉体を肥大化させ赤子の形の肉の鎧を構築し、近くにいた炭治郎を巻き添えに飲み込んで暴れながら抵抗。
鬼殺隊は後方支援の隠たちも総動員した足止めと、重症ながらも動ける柱たちによる攻撃で無惨の体力を削り、最後は体内に取り込んでしまった炭治郎の赫刀による攻撃が止めとなり、
動きを封じられた無惨はなす術なく太陽に灼かれ、肉の一片も残らず消滅。
鬼の首魁である鬼舞辻無惨は死んだ。
【最終決戦の流れ&戦略について、無惨さまの行動&問題点の考察】
この最終決戦は、一重に今まで晒し続けた無能の集大成によりチャンスの全てを溝に捨てた漫画史上稀に見るチキンプレイ+舐めプ+圧倒的状況判断の遅さが招いた最低最悪のアホにしかなし得ない盛大極まる自滅と言える。
そもそも論として上弦の鬼が全滅したのは、産屋敷家襲撃を決め、見事に返り討ちにあった挙句、一網打尽にする作戦が全くの逆効果となることを見抜けない無惨自身の責任である。
だが、物事を大局的に捉えられず将軍として無能な無惨はそんなことが理解できない。
最後に辛うじて鳴女が生き残っていてくれたからどうにか復活できたものの、生き延びたのは単に運が良くて上弦のメンバーが強かったからに過ぎない。
その上、復活した後の行動も致命的である。
まず、無惨は復活直後に自分の愚行のせいで戦略的には既に王手がかかっているということを認識すべきであった。
無惨は、太陽の光以外では弱体化こそすれ死亡することはほぼありえない。
そして無限城に籠っている限り、無惨に太陽の光は当たることはない。
つまり無限城を維持することが戦略的には最重要であり、復活直後に無惨がすべきは「全力で無限城の核である鳴女を守る事」である。
そもそも、鳴女の空間移動能力で敵を空中に放り出し、動けない敵を無惨本人が叩くだけで、誰も飛べない鬼殺隊は全滅するのだ。
そんな鳴女が柱2人と交戦中という状況は、限りなく最悪の状態なのである。
無惨は余裕をかまして「お前たちは本当にしつこい」などとつっかかってる暇があったら鳴女の所に走るべきであった。
最低でも護衛役ぐらいはつけておくべきだったろう(有望株を自ら抹殺した結果の人員不足がここでも響いている)。ただファンブックで鳴女の生来の気質がクラウザーさんじみた何かだった事が判明したせいで人員いてもつけられなかった感は出て来ているが
最終的に支配権を奪われかけたからといって鳴女を切り捨てたのは、無限城を奪われた場合の展開を考えれば間違いではないものの、最悪の損切りには違いないので本来ならこんな事にならないよう対処するのがベストである。
こうして無惨は簡単に勝利できる最後のチャンスを、自らの手で投げ捨てることになる。
つまり無惨は後先を判断できる能力がなく、組織の長として無能どころか失格である。
そして無限城の外で戦っている時も、無惨の愚行は留まることを知らない。
無惨自体は規格外の身体能力での通常攻撃に加え、変幻自在の変則的な攻撃で簡単に鬼殺隊を葬れる実力はある。
問題は「自らの変調に手遅れになってから気が付く」という注意力の無さにある*21。
個人の能力を推し量る力がなく戦士として無能という欠点はここにおいて最悪の形で無惨に突き刺さったのだが、それ以前の問題として単純に無惨はものを考える力が足りていないのである。
無惨自身は自分が負けたことをさも偉大な事のように言っていたが、これで勝てたら奇跡か相手の舐めプである。*22
極論すれば、最終局面で鬼殺隊がやったことは「無惨が自分で掘ってハマった墓穴から、這い上がらないように叩き続けた」ということでしかない。
とはいっても、その条件ですら鬼殺隊の主力はもちろん非戦闘員や鬼の協力者まで一丸となって決死の覚悟でようやく成し得たあたり、本当に面倒くさいボスである。
◆余談
『鬼滅の刃』の前身である『過狩り狩り』には「時川」という名前の服装がよく似た人物が登場している。
ジャンプの敵の首領とは思えないほどのとんでもない小者臭さ、堂に入りすぎたクソ上司ムーブもあり当初は賛否両論であったが、
ブレることなく徹底的に小者要素とクソ上司要素を追求したキャラ造形の結果なのか異色の敵首領として一際キャラが濃く、読者からも人気を博した珍しいボスキャラと言える。
タグ一覧などを見てもらえればわかる通り、大体の評価は罵倒だが…。
その無謀極まる行動による因果応報はファンから「頭が無惨様」と罵倒されることは序の口で、ラスボスとは思えぬ愚行について困惑する初見さんに「無惨様だから」という説明で済むなど、もはや鬼舞辻無惨という一ジャンルとして扱われている節もある。
アニメでの演者の関俊彦氏も、無惨について「自分が悪役を演じる時はそのキャラに同情や共感できる点を重視しているが、無惨だけはほんっとうに悪い奴」と称している。
因みに「無惨」という言葉は「残酷」「罪を犯しながら心に恥じないこと」を意味している。名は体を表すといっても過言ではない。
そして2019年度の節分の日では猗窩座に続いて公式Twitterで無惨の「アイコン画像(圧が凄いセリフ入り)」が配布された。
……が、その内容はこれまでのパワハラ語録をひとまとめにした鬼にとても厳しい画像の宝庫だった。
おまけに公式も「このアイコンにすれば他の鬼が寄り付かなくなるかも…?ぜひご活用ください!」とまで書いてある。鬼の首領なのに鬼除けに効果的とは一体……
【公式で選ばれた語録】
- 私はお前たちに期待しない
- 私が“正しい”と言ったことが“正しい”のだ
- お前は私が言うことを否定するのか?
- 猗窩座 猗窩座 猗窩座 猗窩座!
その人気(?)ぶりと映画化された無限列車編が日本映画史上希に見る大ヒットを叩き出した相乗効果もあってか、
2020年ネット流行語大賞ではなんと無惨が1位に選出されたのであった*23。
なぜ私がお前の指図で項目を編集せねばならんのだ 甚だ図々しい 身の程を弁えろ
轆轤「……!違います!!違います!!私は」
黙れ 何も違わない 私は何も間違えない
全ての決定権は私に有り 私の追記・修正は絶対である
お前に拒否する権利はない
私が“正しい”と書いた事が“正しい”のだ
お前は私に指図した 死に値する
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死の間際に、無惨は自らが死産で生まれたことを思い出す。
無惨の背中には、ずっと死がへばり付いていた。
人間は脆い。鬼とは違ってあっけなく死んでしまう。
だからこそ無惨は「永遠なる生存」のみに執着し、「完璧な生命」になる、その為だけに千年生き続けた。
しかし、人の思いは継承され続け、より強く永遠に受け継がれていく。
産屋敷耀哉は正しかった。
人の思いこそが永遠であり、その永遠は鬼となった無惨すらも打ち倒すのだ。
無惨は、死ぬ間際でありながらも感動していた。超上から目線だったが
そして、人の思いが永遠であるように、無惨もまた、鬼狩りを滅ぼす思いを目の前の少年に託すことにした。
無惨は炭治郎に残された力を全て注ぎ込み、最強の鬼…鬼の王へと変えたのだった。
いくら感動したとは言っても、やっていることは今までと同じ相手の思いを無視した鬼化であり、最期まで無惨らしく、傍迷惑極まれりである。
果たして、鬼の王となった炭治郎の才能は凄まじいものであった。
心肺停止した状態から蘇り、失った手や目を再生させ、暴走を始め、すぐに太陽までも克服。
死傷者多数で満身創痍の鬼殺隊は歯が立たず、善逸と伊之助はあまりのショックに攻撃する事すらできなかった。
人間へ戻った禰豆子の呼びかけとカナヲによって注入された鬼を人間に戻す薬により、炭治郎の精神はかろうじて戻り始めた。
そして、
あの世か、精神世界か、あるいはそのどちらでもない場所か、醜悪な無惨の肉塊の中、薬の効果で炭治郎は覚醒。
無惨の細胞は炭治郎を逃すまいと、自身の所業を棚に上げて煽り、嘘で絶望させようとするも、仲間や家族からの想いで支えられてきた炭治郎には全く効果はなく、
禰豆子の両腕に引き上げられ、思いを残した人達に押し上げられ、禰豆子に続いて間に合った今を生きている人達の願いの手に引き上げられ、炭治郎は現世に帰還した。
今まで全てを利用してきた無惨。
己の意志を何よりも重んじた無惨。
だが、その意志は炭治郎にとっては何一つ価値のないものにすぎなかった。
確かに人の思いは永遠だ。だがその永遠は受け継ぐものの意志あってこそ。他者を尊重せず、できず、しようともしない無惨は、当然他者から尊重されることもなく、何も残せず消え去る他はない。
つまり「永遠」を手に入れるためという視点で見れば、無惨の千年、無惨の魂、無惨の意志、そして無惨の存在そのものにすら、何の意味も価値もなかったのだ。*24
炭治郎
炭治郎行くな!!
私を置いて行くなアアアア!!
こうして何処までも続く闇の中に美しく咲き誇る藤の花の天蓋の下、自分のことしか考えられなかった愚かな鬼は、ただ一人「永遠」に取り残されながら今度こそ完全に滅び去った。
もっとも、炭治郎の精神力に加えてカナヲの片目が残っていたこと、しのぶの薬、それに禰豆子の血から無惨の細胞に対する抗体を取り込んだという奇跡が重なってギリギリ掴み取れた勝利ではあった。(どこまで厄介なんだ…)
その後『鬼殺隊見聞録・弐』の描きおろし漫画にて阿鼻地獄*25に落ちていたことが判明。姿は白髪と全身に走っている古傷という最終決戦時と同じものであった。地獄に落ちてもなお効力を発している縁壱さんの赫刀よ
日の呼吸・ヒノカミ神楽の斬られ心地について「不快」と物凄く不機嫌な顔で答えており、全く反省していない。
【鬼舞辻無惨という人物の総評】
劇中の行動をまとめると
- 戦士として相手の力量を図る力がない
- 上司としては人を使う能力も組織を運営する能力もない
- 将軍としては長期的な視野が無い
- 挙句のはてに一個人としても他人の気持ちを考えることがない
とまあ人格面ではボロクソな評価が多い。
一方で「肉体の改造能力」は他の追随を許さない。
上述の戦闘能力や、首を落とされても死なない生命力、生き恥の極み非常識極まる分裂逃亡等、肉体に備わったスペックの高さは疑いようがなく最強で、厄介な能力は枚挙に暇がなく、神々の寵愛を一身に受けた男相手にもこれで逃げ切っている。
最終的に討伐に成功したのも、この肉体の強さを珠世が命がけで潰した点が大きい。
これだけ無能無能言われる無惨だが、無惨にとって最重要なのは「まず生き残ること」であり、その姿勢だけはぶれていない。
生き残るためなら、なりふり構わず逃げ、隠れ、時には相手の寿命が尽きるのすら待つ。
逆に鬼を狩る側からしてみれば、いくら他の鬼を倒したところで無惨を倒さない限りはまたどこかで鬼が増えるため、無惨の討伐が最重要になるのだが、
倒すどころかまず居場所を見つけるのが困難、下準備なしだと絶対に勝ち目がないくらい強い。
そんな敵として見た場合は果てしなく腹立たしく厄介な存在、それが無惨なのである。
その一方で戦略眼がないから、劇中のように化物に喧嘩売った挙句返り討ちになったり、ノコノコと危険地帯に現れて虎の尾を踏んで、知らない間に最大の武器を潰されたりするわけなんだけども。
ついでに言えば、実のところ無惨の知能自体は決して低いという訳ではなく、千年間の様々な環境の変化に対応して人間社会に溶け込んでいた点など評価すべき所もある。
ただ、無惨はちょっと注意力があれば気が付くことや、少しだけ我慢すればうまくやれること、少し考えれば理解できるはずのことが全て劇中でできていない。
要するに無惨は知能の高い秀才ではあるがそれ止まりの人間で、高ストレス下で瞬間的に優れた判断を要求される状況にまるで対応できないのである。
それに加えて、己の行いを省みることを一切せず、あろうことかすべて他者のせいにし、エゴ丸出しの屁理屈で自己正当化に徹し続けた。
それでも生き残れたのは、生きるためになりふり構わない恥知らず姿勢と、肉体の改造能力ゆえ。失策を生き汚さと肉体チートで無理やり挽回してるとも言える
上述したように無惨は戦士や首領などの様々な立場において無能を晒し続けたが、この瞬間的な対応力の無さはそれらの愚鈍な判断に直結する致命的な欠点と言える。
そして残念ながら、この瞬間的な対応力こそが、正にリーダーや責任者に必要とされる才能なのである。
また、たとえそうした才能に欠けていたとしても、そのことを自覚したうえで部下の進言を素直に聞き入れる度量を持っていれば補う事も出来ただろうが、無惨にはそれさえ無かった。*26
そのくせ人を信用せず見下し、自らの判断に根拠のない自信だけは持っているのだから本当にどうにもならない。
鬼になった人達は、自らの限界に悩むものや、鬼にならなければ救われないような重傷を負った…いわば弱者も居た。そういった弱者にとって、無惨は救世主にすらなり得ただろう。
だが無惨はそんな自分を真に敬ってくれるかもしれない相手にさえパワハラ上司そのものの姿勢でしか接さず、表面上優しい態度をとっているように見えてもそれは嘘偽りだったり、相手が本心で望んでいるものを理解していない上っ面のものにすぎなかった。
医者の治療が完全に終わっていたら、そもそも鬼にならなかったかもしれないし、鬼になるにしても、もっと完璧な存在だったかもしれない。
だが無惨はそれを一時の癇癪の為に放棄した。
鬼になってしまったとしても、名前すらない蛇鬼のように、或いは珠世のように善悪問わず人と関わることは不可能ではなかったし、無惨自身も上記のように幾つもの社会的な立場を確保はしていた。
だが無惨にはそれらの立場を得るために、誰かを殺したり嘘を吐いたり変装をしたりする能力はあれど維持するために必要な忍耐力はなく、せっかく手に入れた製薬会社の跡取りという立場さえ青い彼岸花の代替たる禰豆子を確保していないうちに台無しにしてしまった。
無惨はその千年の生涯において、何一つ己の望むものを積み上げることに成功しなかった。
このどうしようもない人生の全てが無惨の責任によるものではない*27が、しかし大部分は無惨の愚かな選択の報いであり、やはり無惨の自業自得である。
無惨が虚無の千年を送る羽目になったのは、無惨が自身の無能ゆえ与えられた地位や自由を使いこなせないからであって、他の誰の責任でもないのだ*28。
劇中で見せた無惨の問題解決能力は、十二鬼月を始めとする配下の鬼への丸投げと他人から奪った地位任せの力押しがほぼ全てであり、無惨自身が出来たことは鬼の生産と血の投与を含めて暴力の乱用だけである。
行使する力の大小は別として、このレベルのアプローチは常人ならば幼児でもできることであり、無惨の人生は千年かけたにしてはあまりにも軽い。
自らの永遠だけを夢見ながら、最後までそれを手に入れることできぬまま死んだ無惨。
その思いが報われなかったのは、無惨の意志に積み重ねがなく、あまりにも存在が軽すぎたことも理由の一つだろう。
もし無惨に己を少しでも謙虚に鑑みる能力があれば、また違う未来が待っていたのかもしれない*29。
無惨は、「鬼は空しく哀しい生き物だ」という炭治郎の主張をある意味で最も体現していたと言えるだろう。
まあ漫画的にメタな事を言ってしまえば、ここまで無惨が首領として無能なのは鬼殺隊側との戦力バランス調節のためという見方も出来なくはない。
何しろ、作中最も鬼殺隊側を苦戦させた幹部ポジションの上弦達だけでなく、名も無いような雑魚であっても「日輪刀で頸を落とす」「日光を浴びせる」「(解毒されないよう成分を調整した)藤の毒を打ち込む」以外の方法では絶対に殺せないのが本作における鬼である。
その鬼達が同族嫌悪によってバラバラに動いていたからこそ鬼殺隊は鬼を各個撃破出来ていたのに、これで無惨に作戦を練る戦略眼や部下をうまく動かす用兵術まで備わっていたら本当に目も当てられない。
と、ここまで散々ボロクソに書いてきたし他所でも大体同じような言われっぷりなのだが、ではキャラクターとして評価が低いのかといえば決してそんなことはない。
無惨は他作品のラスボスにありがちなスケールの大きい野望を掲げた存在でも世界に絶望し極論に走ってしまった存在でもなく、ただ生き伸びたい、自由になりたいという人として至極普通の欲求が行動原理であった。
そのために他者を踏みにじることを一切躊躇しない残虐性こそあるものの、本質は何処までも俗物である。そして、こういったタイプのラスボスはジャンプ作品においてもなかなか貴重である。
また、何度も指摘してきた視野の狭さについても、最初は有能だったのが話が進むにつれて無能化したとかでなく、むしろ無惨の浅ましさは作中で一貫していた。
実際にそれが巡り巡って仇となったことも耀哉から指摘されているし、珠世からも思いきり皮肉を言われている。
災害じみた強大な力と悪逆無道ぶりを発揮しながらも、徹頭徹尾(悪い方向での)俗物・小物であり続けるという絶妙な味付け。
それこそが鬼舞辻無惨というキャラクターの最大の特徴であり、魅力なのだ。
だからこそ、どんな失策を犯し状況を悪化させても、読者・視聴者はそれに呆れつつも「無惨はそういう奴だから」とすんなり受け入れられるのだろう。
【結局「アレ」はどこにあったのという話】
無惨が人生をかけて追い求めていた「青い彼岸花」だが、すべてが終わった未来の最終回にてその所在が判明する。
青い彼岸花は1年に数回、日中にだけ花を咲かせる植物だったのだ。
つまり太陽光が天敵な鬼、もとい無惨だけではどう頑張っても見つけることができないという代物である。
仮に鬼がこれを見つけるのであれば何かしらの形で人間を利用しなければならず、これにより1度でも人間を利用することを思いつきさえすれば長い年月のうちに必ず見つけられた、自身の狭量さのせいでヒントにすら気づくことがなかったと揶揄されることも多い。
しかし実際の無惨は、作中の範囲だけでも貿易会社の経営、実家にコネクションを持つ人妻を寝取る、製薬会社の御曹司になる等の手段で人間社会に潜りこんでおり、決して人間を利用しなかったわけではなかった。
しかも「青い色の彼岸花」というそれなり以上に目立つ見た目の植物にもかかわらず、鬼はおろか人間にもおよそ1100年間(公に)発見されず噂にすらなっていない。
情報化社会の現代だからこそ発見できたような代物である以上、多少の努力と運で発見できるようなものではなかったのは間違いなく、こればかりは一概に無惨の過失とは言い難い。
ただし、これから作られた薬が無惨に投与されていた以上、この薬草が平安時代には既に存在していたのもまた確かである。
加えて言えば青い彼岸花を発見できないでいた猗窩座ら上弦の鬼達への仕打ちを鑑みるに、人間を活用すると言っても何処まで人脈や人手を有効活用していたかは怪しいものである。
しかも無惨が披露した社会的立場は権力者の家族という拘束時間が長いものばかりで、こんなものを千年間増やして掛け持ちし続けるなど影分身の術でも使えない限りは物理的に不可能である。*30
加えて月彦であれ俊國であれ、擬態の外見年齢がかなり若く一族の父と子を兼役したのでもない、つまり組織に入り込んだのもあくまで最近という共通項から逆説的に考えるなら、獲得した立場をすぐに捨てて別組織に乗り換えるというスタンスだった、或いは得た立場を一時の癇癪で幾度となく台無しにしてきた可能性がかなり高い。
その上ただ立場を捨てただけでなく作中で日光を克服した鬼が出たと知った後の顛末から推察するにわざわざ素性を明かして関係者を惨殺していた可能性も否定できず、もしそうならせっかく構築した人脈などを毎回毎回完全に投げ捨てていることになる。これではいくら人間社会に長く潜伏していても情報が集められる訳がない。
後に『鬼殺隊見聞録・弐』によると、「青い彼岸花」の咲く場所は縁壱の妻・うたが埋葬されていた場所と同じだったことが判明。炭治郎の母・葵枝はその場所を知っており、炭治郎も幼少期に見せてもらっていた。加えて僅かな期間にしか咲かないため、六人兄弟の中で唯一炭治郎だけが「青い彼岸花」を見れたという。
これらの点を踏まえると、もし下手したらこの物語は炭治郎も殺されるor鬼の王爆誕で初回打ち切りになっていたという最悪の可能性もあったと言えよう。
また、水と土の質の調整が死ぬほど難しいため、うっかりミスとはいえ嘴平青葉が枯らしてしまったのも致し方ないだろう。
最後には青葉が全て枯らしたことも含め、結局「青い彼岸花」は無惨には見つけられない運命だったというのが正しいのかもしれない。
第一話で炭治郎を家に泊めたことで(結果的に家族は殆ど殺されてしまったが)最悪の可能性をある程度回避し、鬼の打倒へのきっかけを作った三郎爺さん、最終的に「青い彼岸花」を絶滅させたことで(学者達に批判された上、職場をクビにされたが)現代において鬼の完全復活の阻止に貢献した青葉はGJとしか言う他ない
【もしも彼を倒すのに時間をかけすぎてしまったら……?】
作中の時系列から逆算した場合、無惨様を大正時代に倒せなかったら危なかったと言われることがある。
どういうことかというと、まず本作の年代は大正時代の始め頃*31という点。
作中の浅草界隈の賑わいを見てもわかるとおりこの頃の文化・文明の発展が著しく、すでに都内では山手線が敷設され国産乗用車の試作が始まるなど成長の一途を辿っていた。
そして、大正4年(1915年)に日本初のあるものが誕生する。
地下鉄である。
最初に誕生した大正4年では貨物専用の地下鉄だったが、続く大正14年(1925年)に宮城県仙台市で、昭和2年(1927年)に東京都で本格的な一般旅客向けの地下鉄*32が作られ運行が開始。
太陽光の入らない地下鉄・地下街・地下トンネルが日本中にどんどん増えて21世紀の現代に至る。
人工的なライトがあるとはいえ大陽光が届かない場所となれば鬼の潜伏にうってつけ、しかも狭い空間に人間がわんさかいるなんて都合が良いにも程があるわけで、
もし炭治郎達が途中でやられていた、あるいは無限城編辺りで無惨様を取り逃がしていたら、もう二度と倒すことも探すことも不可能になっていたかもしれない。ただワニ先生がそこまで考えていたかは定かではない。
追記・修正は主人公に思いを託してからお願いします。
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*2 その為、配下の鬼達は自分が死なないよう、無惨の事を「あの方」と呼ぶ
*3 無惨がどういった理由で気に入ったかは現時点では不明
*4 回想のたった数コマしか登場しないが、ある意味この物語全ての元凶。ナレーションで善良とされているため悪意はないと思われるが、どこまで想定していたかは不明。読者内では人間に戻す前提で意図的に鬼化させた、あるいは同じ薬を投与しても無惨だけが特殊な体質から鬼化してしまった、または薬効効果のありそうなものを多数試していたら偶然鬼化させてしまったなど様々な推測がされている。アニメ版では回想が無惨の視点で描かれたため、胡散臭く見えるようになった。
*5 これまで死んでいった前任の下弦メンバーも当然の様にカウント
*6 鬼殺隊の最高戦力にして下弦の鬼すら太刀打ちできないほど強い。敵対組織の幹部を排除するのはどんな組織であっても基本的に大手柄として祝うべきであり、例えメインの命令を達成してなくても誉めるべき功績である
*7 少なくとも無惨が10000歳にならないと現行人類とは勝負にもならないのは分かっている。
*8 下弦の参の場合は逃走によりそれなりに距離が開いていたので、鳴女のアシストがあったのかもしれないが。
*9 後述するこの姿での役割を考えると、女声は出せるが出す必要がないので地声で話していると思われる。
*10 しかしそれでも傷口から切断された筈の部位が一瞬で再生し完全復元される為、この対処法もその場凌ぎにしかならない
*11 上記の釜鵺、零余子、病葉、轆轤と、後に上弦の肆となった鳴女の計五名。なお炭治郎は魘夢、妓夫太郎、半天狗の三名で、最終的に自死を選んだが頸を刎ねることには成功している猗窩座を含めても計四名。
*12 ただし、血をふんだんに分けた下弦の壱を使い捨てて負傷・疲労させたという有利な状況で猗窩座を投入したのに、当人は勧誘を優先してトドメを刺しきれず相打ちに持ち込まれかけた。という状況を考えれば叱責もむべなるかなである。
*13 「解毒できない毒を打ち込んで逃げる」というもの
*14 後にファンブックにて、猗窩座はお気に入り(忠実だから)、玉壺も割とお気に入り(壺が高く売れるから)であったことが判明。
*15 おまけに適当に鬼に変えたせいで術の詳細を把握できていない
*16 本人に自覚があるかは分からないが客観的に見ても無惨の戦闘力は異常に高く、よほどの罠にかからなければ問題にはならないので
*17 実際、無限城決戦中は輝利哉と禰󠄀豆子は同じ建物内にいて、元柱の二名(鱗滝含めれば三名)で護衛していた
*18 無限城決戦の時点で禰豆子には人間化の薬を投与されていたため、結果的には無限城に落として全滅狙いはそう悪くない手ではあるのだが、無惨はそんなことは知らなかったので単に運が良かっただけである。
*19 少なくとも、劇中描写から見て黒死牟は敵の力量を正確に見抜く目を持っているが、無惨が愚かすぎて意味がなかった。
*20 新生陸の獪岳に至っては敗因として「鬼になって早すぎたが故に血鬼術を十分に使いこなせてなかったこと」「1年後なら善逸と実質相打ちどころか善逸が初手即死してた」と愈史郎から断言されるレベル
*21 繭から出てきた時点での白髪は己の意思によるものではないにも関わらず、全く気に留める事なく戦闘を続けて9000年分も老化し、弱ってから「髪の色を戻せない事に気付くべきだった」と心中で漏らすというお粗末さである。
*22 劇中の無惨のように極端に強靭な肉体を持っていれば負けはしないだろうが、だからと言って勝てるわけでもない。実際に無惨はその強靭な肉体が薬で崩壊したことで敗れている
*23 参考なまでに比較すると、ヒロインである竈門禰豆子は10位、無限列車編のキーパーソンである煉獄杏寿郎も3位と、高順位にランクインしている。
*24 もっとも、無惨がそれを理解できる男ならこんな無意味な押し付けはしなかっただろうし、する必要もなかったのだが
*25 別名無間地獄。ありとあらゆる拷問が待ち構えている地獄の最深部であり、堕ちたら最後、途方も知れない呵責の時間が待っている。ただし到達まで2000年もの時間が必要とされてる場所なのだが、何故死んで間もないはずの無惨が阿鼻にいるのかは不明。鬼滅の刃の世界ではすぐに阿鼻地獄に堕ちるのかもしれないが…
*26 更に言うと、童磨や妓夫太郎など鉄火場でも冷静な戦術・戦略判断をできる能力を持った部下は存在していたし、黒死牟も元は戦国時代の武家の長男だったとあって戦事の教養はしっかり身に付けているはずなので、それを活かせなかった無惨の狭量さが余計に際立っている
*27 例えば「医者を癇癪で殺したら鬼になる」などという未来は、この状況に置かれれば無惨でなくとも予測不可能だろう
*28 上記の例なら、医者を殺せば鬼になることは予測できずとも、己を治療中の医者を殺害して状況が好転する可能性は限りなく薄いということは想定できる。別の医者を呼び寄せるなど、もっと穏当かつ問題解決に直結しそうな選択肢はあった
*29 そもそもそんな能力が欠片もないからこそ無惨は詰んだのだ、と言われればそれまでだが
*30 一応肉人形を作って不在を誤魔化すことはしていたようだが
*31 詳細な大正〇〇年かは不明
*32 それぞれ現在のJR仙石線と東京メトロ
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